国鉄711系電車(岩見沢駅) 1968年、北海道初の国鉄電車として導入された711系――その真っ赤な車体は、いつしか「赤電」という愛称で道民に親しまれるようになった。 国鉄711系電車(美唄駅) 約半世紀、風雪に耐え、広大な大地を駆け抜けた赤電は、2015年3月、老朽化によってそのすべてが廃止となる運命を迎えた。 赤電にまつわる思い出は、それを見送る人々の数だけ存在する。 学生たちはその車内で笑い、未来に抱く不安や期待を語り合った。 通勤に疲れた大人たちは、今日の重みを背負い、明日へ向けたささやかな希望を抱きながら、あの赤い車体に乗り込んでいた。 恋人たちもまた、窓越しに広がる風景に心を奪われ…