法然の浄土宗を皮切りに、道元・栄西・親鸞・日蓮など、鎌倉新仏教の宗祖らは、いずれも旧仏教サイドから弾圧された歴史を持つ。しかし一遍の時衆に関してはそうした例があまりない。これは何故だろうか? そのヒントが「一遍聖絵」に描かれている。前記事でも少し言及したが、1284年3月、近江・大津の関寺にて踊り念仏が行われている。この時の踊り念仏を描写した絵巻を見てみると、面白いことが分かるのである。 「一遍聖絵」より、近江・関寺で開催された踊り念仏。高屋ではなく池の中島に踊り屋が設けられるという、変わったスタイルで行われている。 踊り念仏が描かれたシーンでは、高屋の踊り屋で開催されているものが多いのだが、…