時衆の戒が厳しかったことは先の記事で述べた。時衆の最高責任者「知識」は「阿弥陀仏の代官」という位置づけであったから、信者は絶対服従するのがルールで、これを「帰命戒」と称した。彼に対する服従の代償として、帰依した者は極楽往生が確約されるのであるが、服従が絶対的でなかったことが判明した場合には、知識から容赦なく罰則を受けることになる。 知識は犯した罪の多寡に応じて、改心させるための仕置きである「罰礼」などを下したようだが、あまりに罪が重いようだと教団から追放処分となった。追放処分を許してもらうため、知識の前で必死になって五体投地の礼を繰り返した者がいたことが記録に残っている。 時衆教団には、代々受…