彼女が探偵でなければ(逸木裕/角川書店) 本書は、好奇心という「業」を背負った女性探偵・森田みどりを主人公とする連作集で、五つの物語が収められている。 みどりは、気になったことを確かめずにはいられない。たとえ真実を暴くことで誰かを傷つけるとしても、その衝動を抑えられない。その欲求こそが、探偵としての資質であり、同時に罪深さでもある。 前半の三話では、この「暴かずにはいられない性質」が存分に発揮される。自分でも制御できない衝動に突き動かされながら、常人では踏み込めない事件の核心へ迫っていく姿が描かれる。 第四話では、いわゆるクルド人問題が扱われる。現実の社会問題を直接論じるのではなく、落書きの犯…