釈迦ヶ岳は、奈良県十津川村と下北山村の境にそびえる標高1,800mの山で、大峰山脈の主峰の一つ。古来より修験道の霊場「大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)」の中核をなし、山頂の釈迦如来像は修験者たちの信仰の対象である。 登ったのは2015年9月29日。まだ登山を始めて一年も経っていなかった。その日、僕は、奈良県下北山村の「前鬼」から釈迦ヶ岳を目指した。 その名を初めて聞いたとき、ただの地名だと思っていた。だが、日本で最初のクライマーであり、修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)に仕えた鬼の夫婦、前鬼と後鬼の伝承が残る、修験道の聖地だったと、そのとき初めて知った。 もとは人里を荒らす山の鬼であったが…