ーーーー講義録始めーーーー 行政過程への市民参加では、市民の意見そのものが必ずしも民意として行政や為政者を民主的に統制するわけではありません。しかし、行政には市民の意見や感情に直接応答する責任があります。この応答は行政職員の直感に依存する部分もありますが、むしろ行政業務の遂行過程で、行政職員が市民との対話を通じて様々な判断や再考を行うことに基づいています。したがって、行政過程における市民参加が実効性を持つためには、市民の声を傾聴し応答する能力を持つ行政職員の存在が不可欠です。 市民参加が形式的に行われても、行政職員に傾聴や応答の姿勢や能力がなければ、それは形骸化してしまいます。例えば、公募市民…