ーーーー講義録始めーーーー 民主的統制、あるいは行政統制の構図は、「統治者 → 為政者 → 被治者」という自己循環的な回路として説明されます。この回路は、印刷教材の図表において「行政統制の自己循環回路」の左側に示されています。 統治者(市民)、すなわち被治者が民主制においては市民意思に基づいて行政を統制し、その統制された行政が民衆を支配します。そのため、建前としては民衆は自らの意思に反した支配を受けない仕組みとなっています。つまり、統治者(市民)、為政者(行政職員や政治家)、被治者(市民)の意思は一致することが前提です。 しかし、実際には行政が支配権力の行使を通じて市民意思に影響を及ぼす可能性…