一般に鈍いというと、マイナスのイメージが強いが、鈍さを馬鹿にすべきではない、鈍さも見方を変えれば才能で、それこそが誠実さや、一途さや信念といったものを生み出す原動力となるはずである- 渡辺淳一 - 小学生の頃、『白昼の死角』という本を読んで主人公鶴岡七郎の鉈(なた)のような強さに憧れました。小説の中でそういう表現があったのかどうかとにかく、それまでカミソリのような切れ味を目指していたのにすっかり宗旨替えしました。どちらにしてもマセていたようです。 その後、中学→高校→浪人→大学→と進む中で何度も鉈とカミソリの間を行ったり来たりしました。もちろん、自分がどちらかになれた訳でもなくてどちらかに憧れ…