貝原益軒は、『養生訓』で、中国の『難経』から引用して丹田のことを記しています。 「臍の下三寸を丹田という。腎間の動気といわれるものはここにある。(中略)気を養う術はつねに腰を正しくすえて真気を丹田に集め、呼吸を静かにして荒くせず、事をするときには胸中から何度も軽く気を吐き出して、胸中に気を集めないで丹田に気を集めなければならない。こうすれば気はのぼらないし、胸は騒がないで身体に力が養われる」(『養生訓』伊藤友信訳 講談社学術文庫)
いつも読んでくださりありがとうございます。楽陽堂の山口です。 さて、僕には素敵な仲間がいます。 鍼灸学校の同級生だったり、経絡治療学会のクラスメイトだったり。 そんななかでクラスメイトだったS君がある日のZOOM飲み会で 「どうせなら古典を一緒に学ぼうよ」 と提案がありました。 一緒にいたS含めて4人は即座にOKして学ぶことにしたのです。 鍼灸の古典にはいわゆる聖典と呼ばれるものがいくつかあり、最も大元になるのが黄帝内経(こうていだいけい)と呼ばれる二冊の書物。 鍼灸のすべてはこの二冊に集約されているといって過言でなく、その後の鍼灸関連の本はここからの発展形、もしくは意訳に過ぎない・・・と偉い…
これを打ち込んでいるのは2024年04月28日、ゴールデンウィーク前半の連休中ですが伝統鍼灸学会の理事会が開催されるということで、新年度から理事会の体制がかなり変わるので初顔合わせになるため東京へ出かけている新幹線の中です。ということで、往路の新幹線の中で打ち上げねばならない時間限定ルールの第二弾です。 滋賀漢方鍼医会版の実技に特化したテキストを現在製作しているのですけど、早起きして作業しているといいながらも漢方はり治療全体を扱うテキストなのですから一朝一夕に進むというわけには行かず、四ヶ月半で主要部分がやっと出来上がったというところです。脈診と証決定の天王山の二つは完成してからでないと出され…
昨日は名古屋漢方鍼医会 午前は, 難経の1難から21難までの勉強でした。 難経というのは、私にとっては脈診を使った施術の教本みたいものです。 原本は漢文で書かれています。 解釈した人によって内容が変わっているようです。 私は、池田政一先生の「難経真義」で勉強しているのですが、 今日の先輩の発表を聞いて、 もっと深く理解したいなと思いました。 午後は、実技です。 腎経の経穴の取り方を勉強しました。 やっぱり臨床経験の多い先生方の話を聞くのは素晴らしいです。 まだまだ勉強だと思いました。
現在「押し流す奇経治療」と自然発生的に命名したのですけど、任脈・衝脈・督脈の三つについては固有流注場を押し流すだけで、帯脈については腎の陽気を衝脈へ渡すという役割から帯脈・衝脈の順番で押し流していくというかなり簡単な法則と理論さえ飲み込めれば誰でも確実に効果が出せる補助療法が現在研究中であり、すでに滋賀漢方鍼医会の会員内では臨床投入できているので技術を手中にしつつあります。「どうして今までこのようなことに誰も気づかなかったのだろう」「この方法がマスコミベースに乗れば鍼灸治療のイメージが一新できるのに」と自負するくらい、基本さえ守れば驚嘆する治療効果がその場で出せます。一番よく知られている奇経(…
君臣佐使(くんしんさし)とは、漢方で生薬をその役割から4つに分類する考え方で、漢方薬に配合された生薬を、それぞれの役割から君薬、臣薬、佐薬、使薬の4つに分類する。 君薬とは、作用の中心的役割を果たす。 臣薬とは、君薬に次いで重要な作用を果たす。 佐薬とは、君薬を助ける役割を果たす。 使薬とは、君臣と佐薬の補助的役割を果たす。 漢方薬の処方箋においては、君臣佐使の重要性が主張されている。 これをお灸でも応用できないかと考えている。 お灸の場合は、薬ではなく、ツボ(経穴)である。 例えば、腹部の灸法の場合は、「神闕(心)」が「君」として治療の中心的な役割を果たす。「関元(腎)」を「臣穴」として、神…
難経十六難では、五臓の病変を見る腹診法として、臍を中心にしていると考えることもある。 臍の周辺の部位を脾。 臍の上を心。臍の下が腎。 臍の右を肺。臍の左が肝。 個人的には、見る順番としては、腎(下)、脾(臍中心)、心(上)、肝と肺(左右)という感じにしている。 何を見るかというと、色をまず見る。 部分的に黒や白や青や紫などの色になっている箇所が重要になる。 動悸がないかというのもかなり重要だと思う。 熱と冷えも見る。 浮腫も見る。 最後に、圧痛やコリになる。 脈に良い変化がある場合でも、腹の状態が悪いということもある。 この場合、腎間の動気(動悸)を見ることも大切になると思う。 臍下丹田の状態…
丹田に気が満ちていることが健康にとっては、大切だという考え方がある。 丹田は下腹部にある。下腹部がしっかりと安定していれば、体も安定してくる。 丹田は、ツボ的には、気海、石門、関元あたりといわれている。 現代人は、頭に気血が上がりやすく、丹田から気が抜け、足元もふらついていることが多い。 そこで、全身に散らばった、あるいは頭に上がった気を丹田に集めることが灸法においても重要になる。 丹田を強化することが健康につながる。全身の調整を行う上で最重要と思われる。 ツボは気海、石門、関元を必ず使うということではない。その他のツボでもおそらく丹田に気を集めることは可能だろう。 古典鍼灸などでは、気海や関…
上 その一 昔から今に至るまで素晴らしいことと語り伝えられているものとしては、かの不老不死の薬にまさるものはないでしょう。 その昔、天竺では耆婆という人はこの薬を伝え聞いて、自らもこれを服して、生きながら天上に行って大仙人となったということです。この人は中天竺の王舎城の主、瓶沙王の妾腹(めかけばら)の皇子です。母は奈女とか申したそうです。この女性は父も母もいなく、スモモの木の根本より生まれ出たといわれる美しい姫君で、ある人が拾い取って養育しましたが、日に日に成長して、世に類ないほど美しく光輝くほどで、五天竺に並びなき美人としてその誉れは隠れないものでした。八か国の大王たちは皆噂を聞き及びなさっ…
上 その二 また唐土の古代では、三皇五帝のその昔、神農と申した聖人がいらっしゃいました。天下を保ち国を治め民の病を憐れんで、草木の味わいを嘗め分けて、薬というものを始めて施しなさった方です。体を養い性を養い命を延べるために、上品・中品・下品・の薬の品を一年三百六十日にたとえて、三百六十種上中下合わせて一千八十種の薬を寒熱補瀉に分類して、本草経三巻を著述なさったのは素晴らしいことです。 さてその後、軒猿氏黄帝と申す帝の時、天老・岐伯などという仙人が臣下となって政務を執り行いましたが、これに対して人の病気・身の養生・天地の廻り・薬の分類などを様々問答しなさいました。それを書き記して「素問内経」と名…