江戸の元禄時代に『養生訓』が流行ったということを知った。養生訓(1712年)は福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた、養生(健康法)についての指南書である。普通の人向けに「人としてどう生きるべきか、どう在るべきか」というところが興味を引くところだ。 一番印象的だったのは、「老いには一日を十日とし、十日を一月とし、月を年としておもひいそぐべし」の文句だ。こんなことも言っている。 「世の中の人のありさまが自分の考えに合っていなくても、凡人たちのすることだから、それも仕方のないことだと思って、(中略)人の過ちを寛大に許し、とがめてはならない。怒ったり、恨んだりしてもいけない。また、自分が幸福でなか…