■ブライアン・グリーン『時間の終わりまで』(青木薫訳、講談社、2021)を読む。 第5章「粒子と意識」にある、意識のハードプロブレムを生命のハードプロブレムの歴史的運命と対比させた部分がためになった。 19世紀には、生命をめぐって科学者の陣営が真っ二つに割れていた。一方の陣営には、生命は当時の科学がそのまま発達すれば自ずと説明できるという還元主義、今でいう「イージープロブレム」派があり、他方、生命の謎は当時の科学では説明できないので「生命力」という神秘的な概念が必要だとする生気論、今でいう「ハードプロブレム」派があった。 結果は、今の目で見るとその中間が正しかった。つまり、ニュートン力学中心の…