宝永4年10月24日。午(午前11時)前、地震がある。深夜、少し地鳴りがして少し揺れる。実の弟ではないが五大夫の弟山口弁蔵がこの朝逐電する。かねてから弁蔵は五大夫の飯焼女と関係を持っていた。五大夫もまた妻子がありながらこの女と関係を持っていた。女は弁蔵と心を通じ、五大夫には快く従わず、このため五大夫は含むところがあり妬んでいた。やがて子どもを孕んだので五大夫に押しつけた。この子どもは死んでしまった。この女に暇を出したが、弁蔵はこの女をほかに抱え置き、子どもまで産ませた。五大夫は聞きつけて弟を激しく𠮟りつけた。その上、朋友に意見させ、堅く思いとどまるよう起請文を書かせた。その後、五大夫は困窮のた…