二見書房刊「釣魚名著シリーズ」の一冊に、衆議院議員を14期務めるとともに文部大臣、法務大臣などをを歴任した稲葉修の「鮎釣り海釣り」がある。 この著者の政治家としての名前は、ちょうど個人的に世の中の事に目を向け始めた頃、政治の中枢におられたことから、また相撲に深い造詣をお持ちなことも、横綱審議委員会委員としての姿を度々拝見していたため承知していたが、釣りもお好きとは存じ上げなかった。 今般この「鮎釣り海釣り」を読んで最も印象深かったのは、何と広くまた深い人脈を持った方だったのか――という点だった。 この印象は、同書に収められた釣行記の多くが、用意万端整えられ、至れり尽くせりの世話を受けながらなさ…