元禄17年3月8日。申半(午後4時)過ぎ、火事とのことだったが嘘であった。近江守家来橋爪十大夫目付役の子小姓役分蔵が蓄電する。初め、十太夫は天野儀平の女を娶り、分蔵を産んでいた。その妻が死に村瀬自休の女を娶った。女の子を産むが労咳で死んでしまった。昨年児嶋一郎右衛門が暇を出した妾を十太夫は真福寺で見かけ、目がくらみ、妻とした。この女は初め瑞竜院様に仕えていたとても美しい女性で、十太夫は磯野古三郎の曽孫(ひまご)となった。沼田了慶・児島一郎右衛門・磯野などとは縁ができた。このため橋爪の親類天野・磯野・田中・小串らと十太夫は疎遠になった。分蔵はこれに迷惑し、色々と父に訴えたが聞き入れてもらえなかっ…