木陰に群れて咲くスズラン。 花軸に沿って縦に並び、 夏に向かう季節に相応しい可憐な小花。 この花は毒草だがこの事がかえって凛とした犯し難い気品に つながるように思える。 スズランの毒あるという清しさよ 追記 人気の野草ギョウジャニンニクに葉の形が似ており 時々中毒事件を起こすという。 花、葉、根の全てに毒があり、枕元の花を活けた 花瓶の水を飲んだ子が死亡した事件もあるそうだ。
今を盛りと咲き誇るツツジ。 赤、白、ピンクと様々に口を一杯に開けて歌っている様だ。 元気一杯・明るさ一杯。この季節は何処を歩いてもツツジ に会える。 ツツジ診る喉は問題有りません 追記 ツツジは隠し事の無い花。 今今の今を無邪気に謳歌 している。 そう言えば毎年この時期に放映される マスターズのゴルフコースもツツジの花に溢れている。
今日で四月も終わり。今更取り立てて言う事でもないが月日の 経つのは年を経るごとに早くなるように感じる。 過ぎた四ヶ月を振り返ると・・・・ 四月尽何か忘れているような 追記 調べてみました、なぜ早く感じるのか?もちろん仮説です。 ジャネの法則:例えば10歳の子供にとっての一年間は生きて 来た人生の1/10(10%)。 50歳の人は1/50(2%)。 従って50歳の人は10歳の子供よりも5倍の速度に感じる。
葱畑の向こうを走る鉄路。今は葱の花が盛んに花穂を 伸ばしている。 長い貨物列車の一部に売られ行く豚を積んでいるのだろう。 不安げに鳴く豚の声を残して列車は走り去る。 葱ぼうず鉄路去り行く豚の声 追記 葱坊主はネギの花。通常は花穂が伸びる前に刈取られて 捨てられる。しかし天ぷら、炒め物、酢味噌和等にも 利用できるそうだ。
何とも優しく柔かい色合い、たをやかな雰囲気が春の夕焼けの 持ち味。見る者の心を和ます。 一度味わってみたいような気持にもなる。 菜箸に絡めとりたや春夕焼 追記 清少納言は、春はあけぼのやうやう・・・・と 春の明け方を讃えた。 現代の俳人櫂未知子は これに引っ掛けて「春は曙そろそろ帰ってくれないか」 と詠んだ。櫂さんの機知も捨てたものでは無い。
日がな一日、浅い水底の泥の上にユラユラ群れている オタマジャクシ。 今から十数年前に空からオタマジャクシが 降って来ると騒ぎになったことがある。その時は飛ぶ鳥が 空中で吐き出したのだろうとの事だった。その後の報道は聞かない。 蝌蚪(かと)の群れ移る日溜まり追掛けて 追記 愛らしいオタマジャクシだがメダカと一緒に飼うと メダカを食べてしまう。また餌不足になると共食い をするそうだ。意外にどう猛である。 尚、俳句では短く「蝌蚪」と表現する事が多い。
潮が大きく引き、温かい日差しの下の干潟では様々な生き物が 活動している。 カニ、アサリ、ハマグリ、シャコ、ゴカイ、 イソギンチャク、小魚、鳥類等々海辺の生物にとって干潟こそが 命の本舞台。 春干潟小さき命の小さき穴 追記 干潟の浄水作用、生物多様性の保持等、その重要性は 広く知られている。しかしプラスチック廃棄物などで 人間が自然からの贈り物を台無しにしつつある。 対策は一人一人の心がけに尽きるのかも・・・・・
これまで雄蕊の赤紫色に覆われていたツバナが徐々に 白くなり始めた。 土手の斜面に群れを成し、川風に 吹かれる様はこの季節ならでは。 間もなく訪れるであろう爽やかな初夏の到来を予感させる。 茅花原微かな風に逆らえず 追記 今でもファンの多い三橋鷹女の句 「狂いても女・茅花を髪に挿し」 情景の捉え方に凄味が有り、私なんぞは ただ感じ入るばかり。
川べりに恐らく植えられてこの方、職人の手が入ったことは 一度も無いであろう一本の大きな松の木。奔放に枝葉を伸ばし、 盛大かつ、膨大な数の松の芯を立ち上げている。 そのどれもこれもが空を目指していることに感動すら覚える。 上は天したも天みる松の芯 追記 松の新芽を指して「緑立つ」「松の芯」等と云う。 長谷川かな女の句:むさし野の鳥来る松の芯無限 今頃の松の勢いある情景を巧みに捉えていると思う。
街路樹のハナミズキが見頃を迎えている。 コブシ、桜に続きハナミズキの季節到来である。 この花は上を向いて咲くので、空中を舞っているように見える。 舞うが如く薄紅と白はなみづき 追記 100年以上も前の話。 ワシントンD・Cへ贈った桜の返礼に、花水木の白40本 薄紅20本の合計60本が送られてきたそうだ。 白と薄紅の花水木を交互に植えた見事な庭を見た事が有る。