ロシア語のあいさつには変な言い回しというか、妙な決まり文句がありまして、たとえば、これから入学試験を受ける人を励ます場合、日本語なら「がんばって」とか「よい結果を祈ります」式の言葉をかけるところですが、ロシア語圏の人々は「獣も鳥も獲れませんように」という意味の言葉をかけるのだそうです。これはもともとは狩りに向かう人に対してかけていた言葉でしょうが、「何も獲れなきゃいいですね」と言っているわけで、普通に考えたら、全くあべこべです。言われた側は不快ではないかと思うのですが、これはロシア人特有の縁起を担ぐ表現でして、ロシア人のあいだでは未来を予測して、相手の成功に言及するのは一種のタブーで、「試験に…