小曽根真について考える 小曽根真は、既に、かなり前から、今や日本のジャズミュージシャンの精神的な支柱となっている感がある。彼のプレイの卓越さだけでなく、いろんな面で配慮ができ、そのポジティブで開かれた印象の人間性からも絶大な信頼を得ているのであろう。私自身、小曽根真の実際の演奏に接したことは2度ほどしかないが、まず、一番印象的なのは、楽しそう、嬉しそうに弾いている姿である。弾いている最中の視線も、エバンスのように内省的な下向きではなく、一緒に演奏するプレイヤーに時には微笑み、時には挑戦的な視線が向けられている。こうした印象は、非の打ちどころのない緩急がついた、良く歌う正確なプレイと相まって、観…