余波

動向を知りたいという人はあまりいないと思うけど(笑)、ともあれ北朝鮮に関してのカナダ政府のリアクション。


昨日から一応非難はしていたんだが、あらためて記事が出てきたのは、昨日まではTHANKSGIVINGで3連休だったもんで、いや立ち上がりが遅い遅い。隣の国は国全体でシティバンクかコンビニか(7 days a week, 24 hours)を志向しているところがあるが、ここは週には5日しか働きません、休日は休日です、がかなり徹底しているし、場合によっては、さすがにシエスタはしないが、金曜日の午後なんかすでに限りなく休日モードになっているという、なんでしょう、かなりこう、長く働いたら負け風の気風がないでもないところ。ヨーロッパモードとも言うんだろうが、隣からの常に一致した(?)風評である働きの悪いカナダ人というのは、確かにわからないでもない。働いて自分を試したいという人はアメリカに行くことにする、という選択肢もある。


それはともかく、ハーパー首相が非難、マッケイ外相がアメリカおよび国連が課すといっている制裁を見てみるよ、制裁すると北朝鮮の人たちが大変かもしれないけど、だけどそれ以外に北朝鮮にこの重大さをわからせる方法はほとんどないからね、とのことで、制裁支持のグループに入っていく模様。


マッケイは、電話でチャイナとソ連じゃなかったロシアの外務大臣と話した後でこの言を起こしているというのは少し興味深いかも。アメリカから言われたからじゃねーぞ、という意味だけかもしれないが。


そもそもテロ対策として位置づけたアフガンのミッションを背負っている以上、核が拡散していく方向に対して、待ってもいいんじゃね?とは言えまい。あわせて、夏前に小泉純ちゃんが来たとき、拉致問題についてハーパーは理解を示して協力しますよ、と言っていたのでその点からも、おれは外で見てます、とも言えないだろう。


Harper calls for sanctions against North Korea
http://www.theglobeandmail.com/
servlet/story/RTGAM.20061010.wmackay1010/BNStory/National/home

 クリントンだろとマケーンが言う


今般の北朝鮮の件について、ブッシュ政権の失政です、としらーっと書いてしまうメディアはアメリカにも日本にもあるのだが、選挙の近いアメリカはとりあえずシャレにならないので、McCain登場。クリントンだろ、と。


McCain: Clinton's North Korea policy 'a failure' CNN
http://www.cnn.com/2006/POLITICS/10/10/mccain.clinton.ap/


ブッシュ政権について批判されているクリントン上院議員(ヒラリー)とその他の民主党の方に思い出していただきたいと思います。ご主人の政権が交渉したフレームワークは失敗でした。

この朝鮮人たちは、何百万ドルもの多くのエネルギーの支援を受け取りました。彼らは何百万ドルもの食糧支援を軍事力に転換したのです。


と言ったと。

(この朝鮮人たち、って日本語で書くとぎくっとするけど、The Koreans と書いてある。)


どういう経緯があれ、これはまったく嘘ではないし、実際、冷静に考えるまでもなく、困窮したから援助してくれと言うところまでは国際社会、というより地球上の一人一人、なんなら、citizens of the world は理解を示し行為するだろうが、それを軍事力に使って、ほうれ見ろ俺は強くなったと出てきて自分で祝福しているという点について、それも仕方がないと受け取っている人は一部国と地域を除きほとんどいない。


今日は、そういえばカナダのテレビで、論者4人と北朝鮮を代弁する格好になったカナダの大学にいる人が討論をしていたが、この朝鮮の人が、北朝鮮はセキュリティを求めているのだ、USはダブルスタンダードだといろいろ熱弁をふるっていた。しかし、そうすればするほど、会話ははずむどころか上品な当てこすりと熱弁が組み合わさるだけだった。この、言いにくいが、話し合うというより、彼を見ないようにして残りの人が話しているという感じさえあった(遠隔地からのテレビ参加だから混ざりづらかった、とも一応・・・言っておく)。


今日の番組にはそれ自体としていろいろ理由はあるだろうが、なんというか、誰も同じ土俵に乗っている気がしていない大きな原因のひとつには、この疑問が言明されないからだろうな、など考えても間違ってない気はする。別にUSをかばいたくはないけどさ(カナダ人だから)、そもそもなんでUSが支援しないとなんないの? 国際支援をなんだと思ってんの、ねぇ、という感じだろう。


なにを削ってでも、社会保障がぺらぺらになろうとも、何が滅茶苦茶でも徴税機関だけは過剰なまでにしっかりしている、バジェットだけは執念で回復していく(この点で理念が先に来るなんてことはまったくない)、そのために自分たちも協力したという意識を人々が持つ、涙ながらに持たざるを得ない国だから、ここの違和感はガチだ。

 リベラル


North Korea's bomb
Oct. 11, 2006. 01:00 AM
http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=thestar/
Layout/Article_Type1&c=Article&cid=1160517009603&call_
pageid=968256290204&col=968350116795


ようやく読んで気持ちよく納得できるリベラルな社説を読んだ。カナダのリベラル紙トロントスター。リベラル紙って、リベラルという政党の強力な応援団となって気持ちの悪いこともしばしばだ、という意味でもあるんだが、とりあえずちゃんとしているところはちゃんとしてた。


要するに制裁支持派なわけで、とりわけチャイナがずっと支援してんだから、それを縮小しろ、と。そうすることは23百万の北朝鮮の人々を苦しめることになるのはわかっているけど、でもそうするしかないでしょ。


そうしなかったらアジアでは、日本、南朝鮮、台湾が核を持つようになっちゃうよ。それはチャイナの利害にとってよくないでしょ。また、チャイナはアジアのリーダーだという自分の主張がかかってんだからね。
(褒めて目標点を定めさせてそれに向かわせる。カナダ的直球とも言う(笑))


で、それで北が核プランを放棄したらこの不名誉な政策をしちゃったブッシュはUSの保証について話し合わないとだめだよ。
(これは一応リベラル紙だから。)


だけど、こうなったのも大国が自分たちの核兵器をあきらめなかったからで、その間に、イスラエル、インド、パキスタンが核保有になって北朝鮮、インド、そしてエジプト、サウジアラビアも興味を持ってきてる。


こうやってれば核の無政府状態アナーキー)になっちゃうんだよ。さっさとしないと事態は悪化する。北朝鮮のケースにかかってるんだからね。


以上。


ここからリマインドさせられるのは、ダブルスタンダードだ、俺にも権利が、これは俺の勝手だというのは、要するに、アナーキズム志向なのであって、一般に左路線、リベラル路線と呼ばれているようだが、それはリベラルではないということ。リベラル、つまり自由主義の最も苦手とするものはアナーキズムで、その延長線上の社会主義または共産主義という名前の要するに、俺の薬缶が俺のものでなくなるという事態なわけだから、リベラルがアナーキズムを嫌うのはとても理にかなっている。あ、これはきっとブルジョワリベラリズムとか、体制迎合派というものなのかもしれない。


が、しかし、それを言ってこの手を憎んでいいのは、現在問題になっている国と地域でいえば、それこそ北朝鮮内の2000万以上の人々であって、インターネットやって明日は仕事、ローンも大変、といいながら米帝を憎む人々でもない。もちろん、北のエリート諸君にその資格などあるわけもない。


cf:
うそんこリベラル、なんちゃってリベラルの代表例

【社説】2006年10月11日(水曜日)付

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#syasetu1


【核開発】一部左派団体「北の核は民族を米帝から救う道」
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/10/11/20061011000045.html



・・・とはいえ、手放しでクラシック・リベラルを褒めるのも怖くなる。というのは、これらの人々は、上述の通りアナーキズムを最もよくないことを考えるが故に、これを防御せんとして戦いも辞さずになる傾向を十分に有する場合がある。従って、この線でアナーキズム検知器のアラートがあがると、茫洋としたいわゆる右の人よりも、歯止めが効かないとも考えられる。アメリカの民主党のことざますよ。しかし今回に限っては奇妙なことだが、NYTが壊れているので、そうはならなかったりして?