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アクチュアリー試験数学の研究



 アクチュアリー試験
 (社団法人日本アクチュアリー会資格試験、アク試験)
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2010-10-27 年金数理のご質問

平成19年度資格試験問題集の年金数理の問題1(8)についてブログの読者の方からご質問を受けたので、ご質問者の許可を得て掲載いたします。

私は年金数理の専門家ではないのでその点はご容赦ください。


問題の概要とご質問者のご質問内容は次のとおりです。


(問題の概要)

ある年度の年金制度の諸数値が以下のとおりであった時、この年度の差損益として正しいものを選べ

期初責任準備金 2000 期末責任準備金 2300

期初過去勤務債務 500 

標準保険料 (年一回期初払い) 400 給付(年一回期末払い) 300

予定利率 5.5% 実際利回り 7.5%

過去勤務債務償却方法及び償却割合 初期過去勤務の30%を償却(年一回期初払い)


(ご質問内容)

問題では予定利率5.5%と実際利回り7.5%があります。実際利回りで

(1500+400+150)*1.075−300=1903.75

として期末積立金を求めています。

同じようにして予定利率で

(1500+400+150)*1.055−300=1862.75

とすることができないのはなぜですか?答えを見ると予定利率の場合では期末積立金は1930.75とならなければなりません。

問題に載ってある「ある年度の年金制度の諸数値」は実際利回りで運用した時の値なのですか。

今回は保険料期初払いで給付期末払いなので利率の違いにより

(1500+400+150)*1.055−B=1930.75

と給付額が実際利回りの場合と予定利率の場合では異なるのですか。

予定利率の場合では

B=232となってしまいます。

答えでは予定利率の場合で

(500−150)*1.055

と期末債務を求めていますが、同じように

(500−150)*1.075

と実際利回りの場合でも求めることができないのはなぜでしょうか?


年金数理、特にこのような年金財政を考える問題については、基本的な簿記・会計の知識が前提になっていると考えられます。

もちろん、「会計・経済投資理論」に合格するよりもずっと初歩的な知識で十分です。

それについては、例えば会計の入門書等で補ってください。


以下基本的な簿記・会計の知識はあるという前提ですすめます。


(1)期初時点((標準)保険料収入・過去勤務債務償却前)の貸借対照表は次のようになります。

資産)1,500負債)責任準備金 2,000
(純資産) △500

資産の1,500は、

2,000(責任準備金)−500(過去勤務債務)=1,500

として算出されるものです。

つまり、500の分だけ債務超過であり、それが正しくここでいう「過去勤務債務」です。


(2)標準保険料収入・過去勤務債務償却直後の貸借対照表は次のようになります。

資産)2,050負債)責任準備金 2,400
(純資産) △350

まず、過去勤務債務の500の30%を償却するので特別保険料

500×30%=150

であり、資産

1,500+400(標準保険料)+150(特別保険料)=2,050となります。

このうち標準保険料400は将来の年金の給付原資にあてるべきもの年金契約者に対する債務を負ったことになり、責任準備金(負債)の増加につながります。

特別保険料は過去勤務債務(マイナスの純資産)の埋め合わせに使われるので責任準備金の増加にはつながりません。


(3)「差損益」を聞かれているのですが、「差損益」とはどのようなものかを改めて振り返っておきます。

保険では三利源で捉えることとされています。

死差損益(損保では「危険差損益」):予定される死亡率(事故発生率)等と実際の死亡率(事故発生率)等の差により生じる損益

利差損益:予定利率と実際の利回りとの差により生じる損益

費差損益:予定事業費と実際の事業費の差により生じる損益

この問題では、

(a)利差損益

(b)利差損益以外の差損益

を考えることになります。

(b)は、予定利率以外の基礎率(加入者数、昇給率、脱退率etc)が予定と違っていたことによる差損益です。具体的には予定どおりであったときの責任準備金と実際の責任準備金との差異を求めます。


(4)まず、利差損益ですが、

期初(標準保険料収入・過去勤務債務償却直後)の資産2,050

×(実際の利回り7.5%−予定利率5.5%)

=41

となります。


(5)次に利差損益以外の差損益の方ですが、予定どおり推移した場合の期末の責任準備金を求めます。

「予定どおりの推移」、利率も予定利率を使います。*1

保険料導入直後の責任準備金は2,400だったので、年金を支払う直前には、

2,400×1.055=2,532

になります。

年金300を払うことは、年金契約者に対する債務(の一部)を履行したことになるのでその分負債(責任準備金)が減少します。したがって、

2,532−300=2,232となります。

これと期末の実際の責任準備金2,300との差は

2,232-2,300=△68

です。これがマイナスというのは予定より債務が膨らんだことになるので、「差損」となります。


(6)したがって、(4)の利差益と(5)のそれ以外の差損を通算して

41−68=△27

が答えとなります。


責任準備金については、

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20100109

もご参照ください。

*1:責任準備金を予定利率で評価することを暗黙のうちに仮定していますが、実は責任準備金のこのような評価方法自体について議論のあるところです(例えば、s_iwkさんのブログ http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-4688.html 等ご参照)ここでは、「(現在のところ)責任準備金は、予定利率で評価」という整理をします。

peace7peace7 2012/08/22 02:15 勉強になります・・・。

peace7peace7 2012/08/22 02:15 勉強になります・・・。

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2010-10-17 アクチュアリー就職・転職活動としての論文投稿・発表

少し前にTwitterで書いたのですが


もとの質問は次のとおりでした。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1047696260

現在,大学4年で数学科で勉強しています。

来年からは,大学院修士課程で2年間さらに数学を勉強するつもりです。

大学院卒業後は,銀行,証券,保険などの金融関係の仕事に就きたいと思っているのですが,

就職の際に有利になる資格はありますか?

アクチュアリーの資格も考えたのですが,1年や2年で取れる資格ではないので諦めました。

金融商品の開発などに興味があるのですが,何かありますか?


これを見た第一印象は、

これから大学院数学を更に勉強しようとしているのに、その数学を生かすことを第一義としたほうがよりよいと思う

ということでした。


資格についてですが、青木理音(@)さんが、

http://rionaoki.net/2009/11/1317

で、資格を取るメリットとして、

シグナリング

・独占利潤

を挙げられています。

保険アクチュアリーの場合は、「独占利潤」はほぼない*1ので、アクチュアリー」という資格にメリットがあるとすれば「シグナリングという点です。

アクチュアリー試験の場合は、幸か不幸か受験者数、合格者数とも他の資格に比べて少ないので、その点にシグナリング効果があるとも考えられます。


ところが、アクチュアリー(及びそれを目指す方)にとって、アクチュアリー(の科目合格)以上に強力なシグナリング効果のある資格を探すのが容易なことではありません

例えば、損害保険会社に入社すると、損害保険の代理店資格、(子会社や関連会社の)生命保険の募集人資格、証券外務員資格等を取得することになります。また、他にも自己啓発として様々な資格の取得が「推奨」されます。生命保険会社や信託銀行でも同様だと思われます。

したがって、アクチュアリー候補生)を採用する職場に対して

「1年や2年で取れる資格」

ではシグナリング効果は極めて乏しいのではないかと懸念されます。

もっとも、司法試験公認会計士試験、税理士試験等であればアクチュアリー試験と同等以上のシグナリング効果があると思われますが、それらの資格を「1年や2年で取」るのは容易なことではないのではないかと考えられます。


これからアクチュアリー候補生)として就職活動(または転職活動)をされる方はアクチュアリー以外の資格を考えるくらいであれば、

論文を作ってアクチュアリージャーナル・会報への投稿・年次大会での発表

等をお勧めします。


数学では(それ以外でも?)修士課程での研究論文が学術誌(英文)に掲載されることは少ないのではないかと考えますが、アクチュアリージャーナルや会報に(日本語の)論文を掲載することはそれよりはずっとハードルが低いです。(いわゆる査読がありません。)

それでいて、学生さん・院生さんで投稿・発表している人などまずいない*2ので、もし掲載・発表されれば他の方との差別化を図る意味で大いに有効だと考えます。

しかも、(私も今さらながら気付いたのですが、)

アクチュアリージャーナルについては、会員でなくても投稿可能

です。(実際に会員でない方の寄稿が掲載されています。)


会報への論文投稿や年次大会での発表は会員でないと投稿できないですが*3、要項は

http://www.actuaries.jp/info/ronbunboshu_H22.pdf

のとおりです。

(年次大会は11月なので、発表の受け付けはもう締め切られていますが、論文自体は年中募集中です)

アクチュアリージャーナル自体は、会員限定への配布*4なので、原稿の募集要項の転載は見送りますが*5、ご興味のある方は

actuary_math@yahoo.co.jp

に御連絡くだされば、お知らせいたします。

*1保険会社の保険計理人はアクチュアリー正会員であることが必要条件ですが、それは通常ベテランアクチュアリーがなるので、就活等とはほぼ無縁です。年金数理人の場合は、独占業務があるので若干異なると思いますが。

*2:残念ながら各会社に所属する会員の投稿も…

*3:年次大会では会員でないと思われる方が発表者になっていることもあります。会員と共同であれば可能なのかもしれません。

*4ISSNは1343-6554です。国立国会図書館にあることは確認しました。

*5:上記のとおり会員限定配布なので、「会員内外を問わない」という情報を、会員以外の方が目にする機会は極端に少ないですが…

丈太郎丈太郎 2011/08/09 00:52 初めまして。外部から転職を考えている簿記1級持ちです。
気になったので質問させていただきます。

> もっとも、司法試験、公認会計士試験、税理士試験等であればアクチュアリー試験と同等以上のシグナリング効果があると思われます

この場合のシグナリング効果というのは、次のうちどちらを示しているということなんでしょうか?
(1)難関試験に合格できるという能力
(2)資格試験合格によって証明された知識

(2)だったとすると、これらの資格の具体的にどういう知識がアクチュアリーをする上で役に立ち、評価されるんでしょうか?
しかも、同等「以上」ということは、アクチュアリー試験合格よりもむしろこれらの資格のほうが評価される場合もあるということでしょうか?

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2010-10-14 平均・分散の推定(損保数理の問題から)

今日は、読者の方(以下「Aさん」と表記します。)からのいただいた損保数理の問題(平成17年度の損保数理の問題1の(5))に関連し、

平均・分散の推定

というテーマで考えてみます。


問題は次のとおりです。(過去問題集からの引用)

ある保険のポートフォリオが、次のとおり与えられているものとする。

(i)*1被保険者のクレーム件数はポアソン分布に従う。

(ii)被保険者ごとに被保険者のクレーム件数の平均は異なる値をとる。

(iii)1,000人の被保険者を無作為に抽出したところ、各被保険者ごと*2のクレーム件数は下表のとおりであった。

クレーム件数n012345
被保険者数f_n512307123411161,000

(iv)クレーム額の平均は1,500、分散は6,750,000である。

(v)クレーム額とクレーム件数は、互いに独立である。

(vi)95%の確率でクレーム総額が上下5%以内に入る場合に全信頼度を与える。

なお、

¥frac{1}{¥sqrt{2¥pi}}¥int_0^{1.96}¥exp¥left(¥frac{-x^2}{2}¥right)dx=0.475

とする。

このとき、クレーム総額の期待値に全信頼度を与えるために必要な被保険者数を、次の選択肢の中から選ぶとして、そのうちで最も小さいものはどれか。

(A)1,000

(B)3,000

(C)5,000

(D)7,000

(E)9,000

(F)11,000

(G)13,000

(H)15,000


解答では、

クレーム件数をN、クレーム額をX、クレーム総額をSとして、

E(S)=E(N)E(X)=¥frac{0 ¥times 512+1 ¥times 307+ ¥cdots 5 ¥times 6}{1,000} ¥times 1,500=1,125

V(S)=E(N)V(X)+V(N)E(X)^2 *3

=0.75 ¥times 6,750,000+¥left(¥frac{0^2 ¥times 512+1^2 ¥times 307+ ¥cdots 5^2 ¥times 6}{1,000} -0.75 ¥right)¥times 1,500^2=7,158,375

としたあとで、

n ¥ge ¥left( ¥frac{1.96}{0.05}¥right)^2 ¥cdot ¥frac{V(S)}{¥{E(S)¥}^2}=8,691

としています。


Aさんは、次のようなご質問をされました。

ここで私が答えを見ても理解できなかったことがあります。

クレーム件数をN、クレーム額をX、クレーム総額をSとおいています。

E(N)とV(N)を1000人の被保険者を無作為に抽出した標本から求めています。

この無作為に抽出した値は標本平均と標本分散になるのではないですか?

E(N)とV(N)は母平均と母分散でこの問題のクレーム額の母平均、母分散ように与えられるものかまたは、被保険者数を無限大にして近づけるものではないのですか?


Aさんのご質問にはない点ですが、この問題では、

「被保険者のクレーム件数はポアソン分布に従う。」という部分は問題を解くのに直接関係ない

ということに注意しなければなりません。

実際、個別の被保険者のクレーム分布がどうであろうと、そのパラメーターが一定でない(何らかの分布に従う)のであれば、全体のクレーム件数の分布は別の分布になります。

(例えば、パラメーターがガンマ分布に従う場合は、全体の件数の分布は負の二項分布になります。もちろん、パラメーターの分布が与えられていないにで負の二項分布になるという保証もありません。)

もちろん損保(だけではなく生保も年金もそうでしょうが)の実務では、膨大な情報の中から不要な情報を捨て、必要な情報のみを選び取る能力が必要ですが、それを「損保数理」の試験として課することが適当かどうかは議論の余地があると思います。


さて、Aさんのご質問に戻ると、

まず、

(1)クレーム件数の平均と分散であるE(N)とV(N)は、1,000件の抽出データ(標本)からの「推定」値なのですが、問題文では、どのように推定すべきかその方法が明記されていないし、解答では、E(N)やV(N)を推定したという事実が明記されていない

点がポイントだと考えられます。

もっとも推定量の計算方法としては、教科書(平成21年7月改訂版)の0-21ページには

a.モーメント法

b.最尤法

しか明記されておらず、b.最尤法は使えない(Nの分布の情報が与えられていないので)ので、

「当然モーメント法を使うべきだ」

というのが暗黙の前提となっているのかも知れません

次のポイントとして、

(2)モーメント法を使うとして

E(N)の推定値を標本平均とすることは自然としても、

V(N)の推定値は標本分散とするか、標本不偏分散とするか?

という点があります。


例えば、

X_1,X_2, ¥cdots ,X_nが独立に平均¥mu、分散¥sigma^2(共に未知)の正規分布に従うn個の確率変数とするとき、

標本分散

S^2=¥frac{(X_1-M)^2+(X_2-M)^2+ ¥cdots +(X_n-M)^2}{n}

は、分散¥sigma^2最尤推定量ですが、不偏推定量ではありません。

(例えば、

http://actuary.upthx.net/pukiwiki/index.php?1.1.2.2.1.%B3%C6%CA%AC%C9%DB%A4%CE%B4%D8%B7%B8

御参照)


より一般には次のことが言えます。

(命題)

X_1,X_2, ¥cdots ,X_nを平均¥mu、分散¥sigma^2の独立同分布に従うn個の確率変数とする、

このとき、

標本平均

M=¥frac{X_1+X_2+ ¥cdots +X_n}{n}

標本分散

S^2=¥frac{(X_1-M)^2+(X_2-M)^2+ ¥cdots +(X_n-M)^2}{n}

とおくとき、

E(M)=¥mu

E(S^2)=¥frac{(n-1)¥sigma^2}{n}

つまり、

標本不偏分散

U^2=¥frac{(X_1-M)^2+(X_2-M)^2+ ¥cdots +(X_n-M)^2}{n-1}=¥frac{nS^2}{n-1}

¥sigma^2不偏推定量 

(証明は最後にいたします。)


この問題では、V(N)の推定値を標本分散(分母が1,000)をそのまま採用するのか、標本不偏分散(分母が999)を採用するのかがポイントになります。

もっとも、実務上は、標本数が多ければ、標本分散としても標本不偏分散としても結果の数値に大きな変動がなく*4、標本分散を使うことも少なくないのですが*5、解答例のように、

いきなり注釈もつけずに、標本平均・標本分散を元の分布の平均・分散とし、かつ標本不偏分散に言及しないとAさんのような混乱を来す可能性も懸念される

ところではないかとも考えられます。


上記の命題の証明はそれほど難しいものではないですが、それを掲載して本稿を終わることにします。


(証明)

(a)標本平均

E(M)=¥frac{E(X_1)+E(X_2)+ ¥cdots +E(X_n)}{n}=¥frac{n¥mu}{n}=¥mu

(b)標本分散

iに対して、

X’_i=X_i-¥mu

M’=¥frac{X’_1+X’_2+ ¥cdots +X’_n}{n}=M-¥mu

とおくと、

E(X’_i)=E(M’)=0

であり、

また、

E(X’_i^2)=V(X’_i)=V(X_i)=¥sigma^2


X_1-M=X’_1-M’

=¥frac{n-1}{n}X’_1-¥frac{1}{n}X’_2-¥cdots-¥frac{1}{n}X’_n

(X_1-M)^2

=¥frac{(n-1)^2}{n^2}X’_1^2+¥frac{1}{n^2}X’_2^2+¥cdots+¥frac{1}{n^2}X’_n^2+¥sum_{1 ¥le i<j ¥le n}¥alpha_{i,j}X’_iX’_j

(ただし

¥alpha_{1,j}=-¥frac{2(n-1)}{n^2}

¥alpha_{i,j}=¥frac{2}{n^2} ¥, (i>1)

これより、

E¥{(X_1-M)^2¥}

=E¥left(¥frac{(n-1)^2}{n^2}X’_1^2+¥frac{1}{n^2}X’_2^2+¥cdots+¥frac{1}{n^2}X’_n^2¥right)(∵E(X’_iX’_j)=E(X’_i)E(X’_j)=0

=¥left(¥frac{(n-1)^2}{n^2}+¥frac{n-1}{n^2}¥right)¥sigma^2

=¥frac{(n-1)¥sigma^2}{n}

E(S^2)=¥frac{(n-1)¥sigma^2}{n}¥cdot¥frac{n}{n}=¥frac{(n-1)¥sigma^2}{n}…(証明終)

*1:もともとは丸数字だったのですが、機種依存文字のため(i)〜(xi)としました。

*2:原文まま

*3:原文ではV(S)=E(N)V(X)^2+V(N)E(X)^2となっていますが、V(X)^2V(X)の誤植ではないかと考えられます。

*4:本問でも、標本分散だと答えが8,691となるとこころ、標本不偏分散だと8,694であり、もちろん結果の選択肢に影響はしない

*5:例題で学ぶ損保数理(isbn:4320017358)の例題17でモーメント法による推定を行っていますが、ここでは標本分散をもとの分布の分散の推定値として採用しています

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2010-10-11 続:「『災害保険金の話』の話」の話

前回

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20101004

掲載した

「『災害保険金の話』の話」の話

ですが、

アクチュアリーの練習帳」

http://acalax.info/app-def/S-102/wp/?p=323

を書かれているアカラックスの坂本嘉輝さんから次のように

地震免責かどうかはもともとの生保と損保系生保の違いではない

とのご指摘を受けました。

最近の『「『災害保険金の話』の話」の話』面白かったのですが、チョット勇み足かな、と思いますので、ご連絡します。

もともとの生保と損保系生保の違い、という話ですが、正しくは、生保の地震免責の規定に2通りの書き方がある、ということだと思います。

たぶんもともとはactuary_mathさんの、いわゆる損保系生保の地震免責、ただし削減払いするかもしれない、という規定が標準だったのが、その後、一部の会社で地震を免責からはずして削減支払を規定するようになったものと思います。

役所のほうはできれば削減支払の規定が望ましいけれど、必ずしもすぐに地震免責の規定を削減支払の規定に変更しなければならない、というほどでもない、ということかと思います。

損保系生保が地震免責の規定だとすると、損保系生保が免許取得したときにコピーの元としたもともとの生保の約款が地震免責の規定だった、というだけのことだと思います。

actuary_mathさんが例示しているように、日本生命住友生命は削減支払の規定になっていますが、第一生命明治安田生命地震免責の規定だと思います。

この地震免責については損保のほうは知りませんが、生保のほうには伝説があります。かの関東大震災のとき、損保は免責で払わなかったのに生保は払った、というものです。

この地震免責は保険法ができる前の商法の規定で免責となっていたものです。

調べてみると確かに第一生命明治安田生命は、地震免責となっていました。

いわきさんのブログ

http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6c2d.html

の追記にも取り上げてもらったのですが、坂本さんの御指摘どおり勇み足となったことをお詫びいたします。

お詫びとして、生命保険協会加盟各社のWEBサイト上公開されている約款等を見たところ以下のとおりでした。

上記のとおり損保系ではない生保で地震免責となっている会社がある一方で、三井住友海上きらめき生命のような損保系生保でも地震免責でない会社があるようです。*1

「?」や「−」の会社について更に情報が分かればお知らせください。


表の見方

A:地震免責でない(場合により削減払又は不払い)

B:地震免責(場合により全額支払又は削減払)

?:約款が確認できない(災害特約・傷害特約等の存在は確認)

−:災害特約・傷害特約等が存在しない又は存在が確認できない

会社名内容
アイエヌジー生命保険株式会社
あいおい生命保険株式会社
アイリオ生命保険株式会社
アクサ生命保険株式会社
朝日生命保険相互会社
アメリカンファミリー生命保険会社
アリアンツ生命保険株式会社
アリコジャパン
AIGエジソン生命保険株式会社
AIGスター生命保険株式会社
オリックス生命保険株式会社
カーディフ生命保険会社
株式会社かんぽ生命保険
クレディ・アグリコル生命保険株式会社
ジブラルタ生命保険株式会社
住友生命保険相互会社
ソニー生命保険株式会社
ソニーライフ・エイゴン生命保険株式会社
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社
損保ジャパンひまわり生命保険株式会社
第一生命保険株式会社
第一フロンティア生命保険株式会社
大同生命保険株式会社
太陽生命保険株式会社
チューリッヒ・ライフ・インシュアランス・カンパニー・リミテッド
T&Dフィナンシャル生命保険株式会社
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
東京海上日動フィナンシャル生命保険株式会社
日本興亜生命保険株式会社
日本生命保険相互会社
ネクスティア生命保険株式会社
ハートフォード生命保険株式会社
ピーシーエー生命保険株式会社
富国生命保険相互会社
フコクしんらい生命保険株式会社
富士生命保険株式会社
プルデンシャル生命保険株式会社
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社
マスミューチュアル生命保険株式会社
マニュライフ生命保険株式会社
三井生命保険株式会社*2
三井住友海上きらめき生命保険株式会社
三井住友海上メットライフ生命保険株式会社
みどり生命保険株式会社
明治安田生命保険相互会社
メディケア生命保険株式会社
ライフネット生命保険株式会社

2010-10-04 「『災害保険金の話』の話」の話

(2010/10/11 追記:生保の災害保険金が地震免責かどうかは、会社によって違いがあるのは確かですが、損保系生保かどうかではないというご指摘を受けました。

http://d.hatena.ne.jp/actuary_math/20101011

をご覧ください。)

かなり長い間空いてしまいましたが、今日は、災害」を巡る生保と損保の考え方の違いについてなかなか興味深いことが分かったので、それを書いてみたいと思います。

いわき( @ )さんが、

あるFP(フィナンシャルプランナー)氏が著した

地震時には受け取れない?! 「災害」保険金の話

http://trendy.nikkeibp.co.jp/lc/gofun/070110_saigai/

を受けて、

災害保険金の話」の話

http://iwk.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6c2d.html

というのを書かれています。

災害特約」とか「傷害特約」といった商品は約款上、保険金が受け取れないことがあるがそれは「この特約の計算の基礎に影響を及ぼすとき」であり、阪神・淡路大震災でも「計算の基礎に影響を及ぼす」とはいえないので、支払条件を曲解して不安をあおるのはFPとしてどうか

という話です。


ここで、件のFP氏がなぜ「曲解」したのか考えてみました。


FP氏は、「損保・生保の本店業務部門を経て独立系FP」とあり、損保が主なバックグラウンドであることがわかります。(あとでの考察から「生保」とは「損保」の子会社の「生保」だと思われます。)


損保の傷害保険では確かにFP氏のおっしゃるとおり、(割増保険料を払って特約を付帯しない限り)地震に対しては保険金が支払われません

(例えば、東京海上日動火災の傷害保険普通保険約款

http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/pdf/kokunai_yakkan.pdf

のp1

では、

第3条(保険金を支払わない場合−その1)

*1 当会社は、次の各号に掲げる事由のいずれかによって生じた傷害に対しては、保険金を支払いません。

(8)地震もしくは噴火またはこれらによる津波

となっています。

確かにいわきさんの御指摘のとおり、地震による死者が生命保険会社の経営に与える影響は少ないと考えられますが、地震台風等の自然災害の発生は損害保険会社の経営には大きな影響を与えるので、これらのリスクにはセンシティブになり、免責としたのだと考えられます。(傷害保険だけではなく自動車保険等でも免責となっています。)


問題の規定はいわきさんが引用されている「日本生命の新傷害特約(H11)の例」では、

http://www.nissay.co.jp/kojin/shohin/shiori/shushin/pdf/02-193-196.pdf

のp3)

では、

第2条(災害死亡保険金、障害給付金の削減支払)

前条の規定にかかわらず、被保険者がつぎのいずれかにより死亡しまたは身体障害の状態(別表12)に該当した場合で、その原因により死亡しまたは身体障害の状態に該当した被保険者の数の増加がこの特約の計算の基礎に影響を及ぼすときは、会社は、災害死亡保険金もしくは障害給付金を削減して支払うかまたはこれらの保険金もしくは給付金を支払わないことがあります

(1)地震、噴火または津波によるとき

(2)戦争その他の変乱によるとき

(太字引用者)

となっているのですが、損保系生保では、書き方が微妙に異なっているようです。


例えば東京海上日動あんしん生命保険の「5年ごと利差配当付終身保険」の

http://ykn.tmn-anshin.co.jp/affix/yakkan2/nagawari/D79-11660/MCNG9C0_%92%B7%8A%84%82%E8%8FI%90g.pdf

「傷害特約条項(本人型)」(約款105ページ)

では、

第1条(災害死亡保険金・障害給付金の支払)

で、

地震、噴火または津波

支払事由に該当した場合であっても保険金・給付金を支払わない場合(以下「免責事由」といいます。)

とした上で、

第2条(災害死亡保険金・障害給付金の支払に関する補則

(6)被保険者が地震、噴火、津波または戦争その他の変乱により死亡し、または身体障害の状態(別表3)に該当した被保険者の数の増加について、当会社が、この特約の計算の基礎に及ぼす影響が少ないと認めたときは、当会社は、その程度に応じ、災害死亡保険金または障害給付金の全額を支払い、またはその金額を削減して支払います

(太字引用者)

この内容が親会社の損保の傷害保険の影響を色濃く受けていることはいうまでもないでしょう。もちろん、このような内容だからといってその後の中越地震などにおいて、損保系ではない生保と支払内容が違っていたということもないはずです。(もし違っていたら社会問題になります。)

まさかのとき、保険金の請求漏れを防ぐためにも、こうしたコマゴマとした特約について一度チェックしてみましょう。契約時に渡された「契約のしおり」という冊子の「約款」をひも解いてみると、どんなときに保険金が支払われるのかよく理解できていない特約や、自分のイメージしている保障内容と異なっているものが、思った以上にたくさんあることがわかります。

と書くFP氏がまさか約款を読んでいないことはないのではないかと考え調べてみたのですが、生保と損保の違いをまた一つ知ることとなった次第です。

このような違いについてはまた、機会があれば記したいと思います。

*1:原文はいわゆる丸数字の1ですが、機種依存文字のため、ここでは普通の1で表現しています。

siba9791siba9791 2013/04/18 13:53 何事も穏便にすめばいいですね