書誌情報:祥伝社新書(496),242頁,本体価格800円,2017年2月10日
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漱石の蔵書に『資本論』第1巻英語版があったことはよく知られている。本書はここを出発点にしながら新しい知見が披露されているわけではない。漱石『明暗』中の「経済学の独逸(ドイツ)書」には触れておらず漱石論としては評者には不満が残る。
社会主義に共鳴していた漱石とその彼が理解できなかった『資本論』が交差することなくそれぞれ概説されているだけである。
「暴力的革命を煽る『共産党宣言』」(43ページ),「現在邦訳本としてもっとも普及しているのが,1969(昭和44)年刊行の向坂逸郎の訳本(岩波文庫)」(158ページ),「(左翼政党で)『資本論』の内容を生かしたのは,政党ではなく総評本部」(163ページ)は著者の思い入れが強いのだろう。
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