「けいおん!」第四話(含ネタバレ)

昨日夜に書き始めたのだが、途中で寝てしまって結局今までかかってしまった。
第三話あたりで何やらレビューになってしまったので、まぁここから先は気力と体力の続く限りレビュー形式でいこうかなと。


なお、過去の放映回についてはこちら。

1〜2話については、漠然とした感想の体をとっています。

アバンタイトル

唯「夏だー!」
律「海だー!!」

ビーチに駆け出す軽音楽部4名。

…てなわけで、今回は合宿の話。ある意味サービス回ではあるが、原作にあった漠然とした合宿のイメージにしっかり動機を持たせているあたり、相変わらず脚色の腕が冴え渡っている。


てなわけで、進行を追ってみようかと。

冒頭:夏の学校

アバンタイトルより時間はさかのぼって、ある夏の日の学校。グラウンドでは運動部が練習に勤しみ、校舎内ではおそらく吹奏楽部と思われる管楽器の音が聞こえる。


いつもの音楽室で何やらカメラを構えて写真を撮っている澪さん。ふと棚の上に置かれたダンボール箱に気付く。箱には「軽音部」の文字が。それはおそらく前年度までの部員が全員卒業してしまう前の軽音部の備品あるいは資材と思われた。少なくとも彼女らが持ち込んだものでなければ、そういうことになる。


箱の中には会ったことすら無い前年度までの先輩方が残したと思われる諸々。その中の一番上に、一本のカセットテープが。


…さて、カセットテープですよ、「カセットテープ」。
正式には「コンパクトカセット」。Philips によって1962年に開発され、かつてはコンピュータの記録メディアとしても使われた実績もある、あのカセットテープですよw


この軽音部メンバーの世代って、原作だと2007年当時に高校入学なので、原作基準では1992年度生まれ、アニメ基準なら1994年度生まれという計算になるわけだが、彼女らが小学校に入学する頃(原作1998/アニメ2000年)には既に絶滅危惧種だったメディア。アニメを基準とすれば、小学校入学の翌年には第一世代 iPod が発売されるぐらいの世代。
彼女らの世代で、実際にカセットテープ使ったことあるんかなぁという気はせんでもない。でもまぁギリギリかもしれない。


そして、そのカセットテープのラベルには…

澪「…桜高祭…?」

かつて文化祭で行われたライブを録音したものである模様。そしてサブタイトルコール。


まぁ、第一話からサブタイトルコールとアイキャッチにカセットテープのイメージが使われているので、今更カセットテープについて云々するのもどうかとは思うけど。

前回コードを忘れた唯さんは…

何やら恐る恐る慎重に何かをやっている唯さんのアップ。弦に指が中途半端に触れて生じるノイズが鳴っているあたりがリアル。画面は転じて、彼女の愛器レスポールスタンダードのネックが、ヘッドのトラスロッドカバーからナットおよび1〜4フレット、5フレット目のパールインレイまでのアップで映し出され…


…唯さん、人差し指で第一フレットをセーハして、中指で3弦2フレットを押さえながら、薬指と小指をわなわなと震わせ所定のポジションにもっていこうと…


…出ました! 彼女、Fを押さえようとしています!!


試験期間中に結構覚えたはずのコードを追試の勉強であらかた忘れてしまった唯さん、おそらく一度はクリアしたはずの「Fの壁」に、今再び直面している模様。第三話放映後、各所で「バレーコードでつまづかかないように」とか、本blog前回レビューも含めて「Fの壁ネタが無い」とか書かれていたが、さすがは京アニ。その辺で抜かりは無いようで、原作ではスルーされていた「Fネタ」がここで登場。この薬指と小指が4弦および5弦の3フレットを押さえれば完成なのだが…


【参考: Fコードの押さえ方】

…前回の写真の使いまわしでスマンorz

唯「うぅ…え…っと…」
…グキッ
唯「うぁっ!?ぁぅ…ゆ、指ぃぃぃ」

…どうやら途中で指がつってうまくいかなかった模様。薬指が変な方向に反り返っているw


入門者がFをはじめとするバレーコードで躓く根本的な理由は、人差し指によるセーハがうまくいかないこと。人差し指の当て方がまずいために、関節の部分で弦がミュート状態(指が触れてはいるがフレットに固定されていない状態)になって、いくつかの弦の音が綺麗に出ない。このために人差し指を無理にでも強く指板に押し付けようとして変な力が入り、他の指まで痛くなるし、力みすぎているのでコードチェンジもスムースにいかない、というのが典型的な躓き方。


ここで唯さんの薬指が変な方向に曲がる、という誇張された表現をされている指の痛みは、多くの場合人差し指での押さえ方がまずいために変な力が入っているのが原因。根本的にクリアするためには、人差し指の押さえ方を変えること。指の腹ではなく親指のある側の側面を利用し、指自体にはそれほど力を入れずに、手首をひねる力で1〜6弦すべてをきっちり押さえるやり方を身につけること。そうすれば無用な力が抜け、他の指が痛くなることも無くなる。
けいおん!」でギター始めた人や、長らくFで躓いている人はご参考まで。このポイントさえ意識して集中的に練習すれば、多分一両日中に「Fの壁」など壁ではなくなります。

【参考】http://www.araiguitar.com/sub04-2.htm#kyousoku


それからギターを弾く前には、ある程度指をストレッチし、指や手首の関節をほぐしてから臨むことをお勧め。スポーツの前には準備運動をする、というのと似た感覚。

律「…ホントに忘れたんだな…」
唯「おばあちゃんに褒められたんだ。
 『唯は一つ覚えると、他のことは全部忘れちゃう』って」
律「…それ、多分ちがうぞー」

…褒めてねぇ!!


合宿宣言

コードを忘れてFの壁に再挑戦している唯さんを、律ちゃんが呆れて見ているところに、バタンと大きな音を立てながら扉を開け、入ってきた澪さん。早足でいつもお茶会に使っているテーブルに歩み寄り、振り返って宣言する。

澪「…合宿をします!!」(ビシッと指をさす)

効果線まで入る、澪による突然の合宿宣言。
しかし、宣言された側の律ちゃんはすっかり「合宿 = 遊びにいく」つもりになっているw

澪「遊びに行くんじゃありません!バンドの強化合宿!
 朝から晩まで、みっちり練習するの!」

しかし、唯さんや律ちゃんはもうすっかり遊びに行くつもりになっていて、澪さんの話など聞いちゃいねぇ。

澪「夏休みが終わったらもうすぐ学園祭でしょ!?
律「学園祭…」
澪「そう! 桜高祭での軽音部のライブっていえば、昔は結構有名だったんだぞ?
 それなの…に…?」

律ちゃんに聞こえたのは「学園祭」というキーワードだけだった模様。律ちゃんはメイド喫茶、唯さんはおばけ屋敷がやりたいなどと言い出す始末。挙句、澪さんの鉄拳が炸裂…律ちゃんだけにw

澪「私たちは軽音部! ライブやるの!」

そこに遅れてきたムギちゃん。

紬「ごめんなさい、遅れちゃって…??」
律「うぅ…ぅうぅ…」
紬「…マドレーヌ…食べる?」

音楽室を支配する異様な空気に気付いて、いつもと違う調子でお菓子を薦めてみる。

強化合宿計画

澪「ムギはどう思う? いくら慌てずやっていこうって言っても、
 もう三ヶ月にもなるのに、一度も合わせたことないなんて…」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ…」
唯「…6回」

このあたりは、第二話の交通量調査のバイトを踏まえたネタか。


合宿のアイデアに顔を輝かせるムギちゃん。お嬢様の彼女には「友達と一緒に外泊する」という経験が無く、そうしたイベントに憧れていた模様。そして律ちゃんは相変わらず遊びに行くつもり。そこに唯さん、現実的な問題を突きつける。

唯「あ…でも、いくらぐらいかかるのかな?」
律「そうだぞ? きつくないか?」
澪「そ、それは…」

遠出するにも宿泊するにも予算は必要。彼女らはまだ高校生で、自分で使えるお金などたかが知れている。特に唯は、第二話でギターを買うために、母親から小遣いを5万円分(=10ヶ月分)前借している身。次のお小遣いが出る日はまだ果てしなく遠いw


澪さん、あせる気持ちから強化合宿を思いついたはいいが、そういう現実的な問題まで考えが及んでいなかった模様。苦し紛れにムギちゃんに話を振ってみる。

澪「む、ムギ?」
紬「はい?」
澪「別荘…とか…」
紬「ありますよ?」
(間)
唯/澪/律「…あるんかい!」

こともなげに答えるムギちゃん。いったい家業がどんな商売をしているのか気になるw
少なくとも事業内容に楽器類の販売/修理が含まれているのは間違いないようだが…ひょっとして、最強を謳われるあの企業みたいな商売なのか!?

【参考】
http://d.hatena.ne.jp/settu/20071202/p2
http://kojii.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_c030.html

合宿開始

合宿のその日。まだ起きない唯さんを、妹の憂ちゃんが起こしに来るが、なかなか起きる様子がない。部屋の隅にまとめてある旅行用の荷物とギグバッグに気がつく憂ちゃん。ひょっとして今日は合宿に出発する日なんじゃ…

唯「(飛び起きて)…今何時!?」
憂「え…えっと…」

寝癖がえらいことになっていますwさながら「バオー来訪者」の橋沢育郎のように(古い)。
そこで鳴り出す唯さんの携帯電話。着信音は黒電話のようなベルの音。発信者は「澪ちゃん」と表示されている。ベッドの上に正座し、電話に出る唯さん。

唯「…もしもし」
澪『おはよう…』
唯「…おはようございます」

正座したまま、深々と電話の向こうの澪に頭を下げる唯さん。変な緊張感。予測は出来た展開とはいえ、見事に寝坊した模様。



そして。


緑に囲まれた景色を走る三両編成。ちなみに俺は鉄ではないので、車種とか路線とか推測できん。この方面の趣味の中で、どうにも鉄道だけは身に付かなかった人間なので。


「俺にだって…わからないジャンルぐらい…ある!」(キバヤシ風に)


…いや、まぁわからんジャンルだらけなんだがw


カメラは車内に。二人がけの椅子が向き合った升席に座る軽音部一行。

唯「ふぅ…何とか間に合ったぁ」
律「あれだけ寝坊しないように言ったのに…」

どうやら、寝坊はしたが何とか電車には間に合った模様。

唯「へへ…ごめん。ワクワクしてうまく眠れなくて」
律「たく…小学生か!」
唯「えへへ」
澪「いや…そうでもないみたい」

前日、楽しみで眠れなかったのは唯だけではなかった模様。ムギちゃんは澪さんの隣で寝息を立てていました。まぁ、友達との外泊が初めてという彼女のこと。これまでに無い体験に、そんな感じなのもわからんでもない。


そのムギちゃん、謎の寝言を口走ります。

紬「うふ…うふふふふふ…ゲル状がいいの…」
澪「ゲル!?」
唯「どんな夢見てるんだろう?」

俺も知りたい。諸々の意味でw
なお、ゲルとは分散系の一種。Wikipedia ではゲルの一例としてこんにゃくが挙げられている(→ゲル - Wikipedia)


居眠りしているムギちゃんの寝顔を写真に撮ろうとする律ちゃん。唯さんは口では止めるようなことを言っていますが、口調からまるで止めるつもりが感じられない。むしろ一緒になって楽しんでいる模様。

律ちゃんのカメラのフラッシュで目が覚めたムギちゃん。律ちゃんに訊かれて答えます。

律「それよりも、そろそろ教えてよ。別荘ってどこにあるんだ?」
紬「あぁ! えぇと…」
(列車、トンネルに入る)
紬「もうすぐ!」

そして列車はトンネルを抜け──真っ青な美しい海沿いの線路を走る。ウミネコが空を舞う、真っ青な海。律ちゃんと唯さんが開けた車窓から、走る列車に舞い込む潮風。


遊びに来たわけではないと釘を刺す澪さんの言葉など聴いちゃいない二人は、既に全力で遊ぶ気になっている模様w


渋い顔の澪、ほほえましく見守る紬。輝く海での遊びに思いを馳せる律と唯。4人それぞれの、合宿への思惑が浮かぶ表情が特徴的。


「一番小さい」別荘

律「…でっけぇ!」
唯「ほぉ〜」
紬「…本当は、もっと広いところに泊まりたかったんだけど…
 一番小さいところしか借りられなかったの」
律「…一番小さい…?」
唯「…これで?」

今回の合宿の舞台となる、琴吹家の別荘に到着。やたら大きな敷地を持つ別荘だが、ムギちゃん曰く「別荘の中で一番小さい」とのこと。やはりアレか!? 琴吹家の家業は某最強伝説企業並みなのか!?


別荘は中も広く、調度類も豪華なもの。テーブルの中央に置かれた果物や、天蓋つきのベッド。冷蔵庫の中の巨大な肉があったりなど。どうも画面には出てこない使用人と思われる方々が「お嬢様の合宿」のために色々準備してくれていたようで。もっとも、当のムギちゃんはそうした「庶民感覚から外れた特別扱い」がお気に召さない様子。


そして、ムギちゃんは澪を別荘のスタジオに案内する。
備え付けのドラムセット、ギターアンプにベースアンプ。据え置きの必要な機材は一通りそろっている模様。別荘にこうした設備があるなんて、家業ゆえなのか、それともムギちゃんの家系はこうした道楽が好きなのか。軽音部の合宿をするにはうってつけの設備に目を輝かせる澪さんをよそに、律と唯はいつのまにか離脱。何やってんだw


澪さんは自分の鞄から、小さなラジカセを一台取り出す。「ラジカセ」ですよ(またかい)。
今では懐かしい感があるなぁ、こうしたガジェット。

紬「…なぁに?」
澪「あぁ、これ?」

澪が再生ボタンを押す。それは澪が見つけたダンボールから発掘された一本のテープ。顔も知らない、卒業してしまった軽音部の先輩たちによる学園祭でのライブの音。

澪「昔の軽音部の学園祭でのライブ。この前部室で見つけたんだ…」
紬「上手…」
澪「私達より、相当上手い…」
紬「うん…」
澪「なんか、聴いてたら、『負けたくないな』って…」
紬「それで合宿、って言い出したのね?」
澪「…うん」

この遣り取り、しびれますね。
原作では「ダラダラとした軽音部の日常の一部」として淡白に描かれていた合宿が、アニメでは澪さんの強い意志による明確な動機を伴ったものとして描かれた。原作と同じような時系列進行で話が進んで、原作と同じ出来事を内包する、同じ「合宿」というイベントも、原作とは異なる意味をもって描かれているあたりに京アニの本気が垣間見える。


巷じゃ「音楽をやりたくなる要素は皆無」とかいう論調も目にするが、なんかこの調子でいくと学園祭でのライブをやる回で大化けする可能性が大きくなってきたように思う。


…ところで、「ふわふわ時間(タイム)」とか本当にやるんか?w


しかし、澪さんは自分たちの行く末に横たわる不安を隠せない様子。

澪「でも…」
紬「負けないと思う」
澪「あ…」
紬「私達なら」
澪「ムギ…」

…と、そこに良い感じの青春ドラマをぶち壊すタイミングで乱入してくるお調子者二人。既に水着に着替えており、えらいテンションで、もはや遊ぶ以外のことを考えていない模様w

澪「…これでも…?」
紬「え、えぇ…まぁ…」

歯切れ悪く返事するムギちゃん。そりゃそうだw
なんだかんだいって、ムギちゃんも二人と一緒に遊びに行ってしまい、その様子をしばし眺めていた澪さんはついに…

澪「…私もいく〜」(鞄の中から水着を探し始める)

結局遊びに行くのだった…と。原作どおりだけどw
戸口で目を光らせる他の三人が良い感じ。

なんか忘れてる。

ここからBパート。ここまでの内容をAパートに収める手腕には恐れ入る。

唯「無人島にたどり着いて、かれこれもう二週間か…」
律「流されたときは、どうなることかと思ったけどな…」
唯「でも、なんかこれはこれで楽しいよね」

…何やら、Aパートとの繋がりが見えないが、会話が一々説明的で白々しい。そして…

律「ふふ…おぉ、大物発見」
(大きな昆布を拾う)
律「助かった…」
唯「ごっつぁんで…」
澪「何勝手な設定作ってるんだ?」

澪さんに突っ込まれる、と。
つまり「無人島漂着ごっこ」…って、どんな遊びだw


ネタに突っ込むために現れた水着姿の澪さん。そのきょぬーぶりに、律と唯の動きが止まる。

律「くらえー!!」

全力で、澪さんの顔面にビーチボールを投げつける律ちゃん。そんなに悔しいのかw


そしてビーチでそれぞれ遊び倒す4人。
ムギちゃんが砂でえらいもんを作ってたり、
澪さんが岩場のフジツボに、「ひざの皿にフジツボがびっしり」の都市伝説を思い出しパニックになったり、
澪さんがスイカ割りのスイカを持ち出し…

澪「まだまだ! せっかく海に来たんだから思う存分遊ばないと、ここまで来た意味が…」

持ち出したところで、何か忘れているような?

澪「あぁっ! 練習!」
律「忘れてたのかよ!」
澪「ま まったくぅ りつが あそぼうとか いうからだぞぅ」(棒読み)
律「一番楽しそうに遊んでたのは誰だ」

練習開始…のはずだが…

食事が終わり、練習を始める段になっても、律と唯はやる気なく、ひんやりした床の上にごろごろと転がっている。澪さんの号令にも、ムギちゃんの呼びかけにも二人はゴロゴロするばかり。

澪「ムギ、ちょっとどいてて」

二人が寝ているすぐ傍の至近距離にベースアンプを置き、大音量の重低音一発で二人をたたき起こす澪さん。

ちなみにこのベースアンプ、PEAVEY MAX158という機種。細かいデティールまでよく描けていると思います。

【参考】PEAVEY MAX158

オンライン楽器店「サウンドハウス」でのお値段は、衝撃特価9,800円(2009年04月25現在)。


これまで作中に登場した機材としては、意外にリーズナブル。まぁ、第二話に出たギターアンプのMarshall MG15CDRとかも実売価格12,800円とかだったけど。この作品、楽器はやたら高価だが、アンプにはあまりお金をかけていない様子w


さて、澪さんのベース一発で起きたはいいが、まだ二人のやる気は足りない様子。そんな律ちゃんを、澪さんは「ドラム叩いてないから太ったんじゃないか」と炊き付けて練習させますw
しかしもう一人、唯さんのほうは…

唯「もう、ギター持てない…」
澪「えぇ!?」
唯「だってこのギター重いんだもん」
澪「だから軽いやつにしておけって言ったのに」
唯「誰だーこのギター買うって言ったのー!」
澪「お前だ!」

えーと、本家 Gibson Les Paul に限らず、そのコピーモデルも含めて全般的によく言われるわけです。「レスポールは重い」とw
ボディ材が分厚い上に密度が高いので重くなるわけだな。うちにある一周年記念ギターもレスポールシェイプの一本だけど、これまた重い。


…そして二人は再び床をゴロゴロと。「学園祭をどうするんだ」という澪の言葉にも、「だからメイド喫茶にしよう」などと言って練習に入る気配もなく。そして再び澪の鉄拳が炸裂。

気分だけはギターヒーロー

どうにもやる気の出ない二人の希望かどうかは知らないが、場面は屋外に。
何をやるつもりなんだろう。

澪「(スイカを食べながら)終わったら本当に練習するからな?」
律「わかってるって」

坂道を登る誰かの足元。それはギターを持った唯。
坂道を登り終わり、定位置につく──と同時に、その唯の背後で同時に吹き上がる多数の花火。海辺をステージに見立てた花火による演出。その閃光をバックに浮かび上がる、レスポールを携えた唯のシルエット。


夏の夜の花火が放つ逆光の中、満面の笑顔で髪を振り乱し、オーバーアクション気味のコードストロークとステージパフォーマンス。気分だけはもう大観衆を前にしてステージに立つギターヒーローの唯。


その唯の姿を見つめる他の三人。いつか「ごっこ遊び」ではなく、本当のステージで、私達がこんな風になれたら──そんなことを考えているようにも見える。そして…


花火は終わる。

唯「あれ? もう終わり?」
律「予算がなぁ…」
紬「いつかまた…」
律「そうだな。武道館公演で派手にバババババンッ…っと…」

刹那の時間、四人で重ねた夢について語り合う。「また同じ夢を見よう」と約束するかのように。


余韻に浸る三人の遣り取りを静かに聞いていた澪さん、あのラジカセを取り出し、例のテープを流し始める。

澪「武道館目指すなら、まずこれくらいは出来るようにならないとな」
律「へぇ…うまいなぁ」
唯「…あれ?でもこの曲…」
(間)
テープの声『お前らが来るのを待っていたァ!』
(シャウトとオートリバース音)

…なんですか? 卒業した先輩方はヤングアニマル方面のあの人たちみたいなメタルの人だったわけですか?www
つーか、「オートリバース」なんて言葉を久々に使った気がする。


入っていた声に余計な想像力を発揮して怯えパニックに陥る澪さんに追い討ちをかけ、さらにパニックを大きくする律ちゃん。何やってんだw


…ところで、シールドとアンプが見えなかったんだが、唯のギターのディストーションサウンドはどこから出ていたんだろう? まぁ、細かいことは気にするなってことかw

そして練習再開

四人は再びスタジオに戻り練習再開。
しかし澪さんは、律ちゃんの追い討ちにまだ拗ねている。
ムギちゃんと唯さんは練習に復帰した模様。

紬「唯ちゃん…でも、本当にさっきの曲…」
唯「あっ! 見てて? えーと…」

唯は、さっき澪さんが流したテープに収録されていたソロパートをその場でコピーしてのける。若干たどたどしいのと、特定のテクニックを要するポイントを除き、ほぼ完璧なコピー。


…って、軽音部発足から合宿決定まで、作中時間で三ヶ月。ってことは唯のギター暦は三ヶ月足らず。その段階でこのフレーズ弾けたら大したもんだ。てか、これだけでもなんか、トリルとかポジション移動とかスウィープとか使ってるぞ? 追試勉強でコードの押さえ方をあらかた忘れてリセットされ、まだペンタトニックスケールでのソロとか練習した気配もない人間が、事前の練習も無しに弾けるフレーズじゃないぞこれ!

紬「(拍手しながら)すごい、完璧!」
唯「えへへ…でも、『みょーん』てところがわからなくて…」
律「『みょーん』?」
澪「…多分、それチョーキングのことじゃないか?」

(律、唯にチョークスリーパーをかける)
律「…チョーキング?」
唯(ギブアップのサイン)
澪「違う」

なお、第三話に引き続き律のチョークスリーパーが出たのは二回目。


そして澪さんが唯のギターを構え、チョーキングを実演する…はて、澪さん、あなたはレフティではなかったか? 右用のギターも使えるんか? ちなみに原作では、自分のベースを使用して解説していた。まぁいいや。


澪さんがここでチョーキングの実演に使った音は、2弦15フレットによる全音チョーキングの音。ところで、澪さんの手元を見ていると、最初にストロークを一回かましてからチョーキングしているんだが、チョーキングの直前に対象の弦をピッキングしている様子がない。あの「強いアタックを伴うチョーキングの音」は、「ピッキング直後にチョーキング」しないと出ないと思うんだが。


その直後、唯さんが実践しているわけだが、そのときの絵ではポジションマークから察するに4弦9フレットでのチョーキング。しかし、鳴っている音は同じ2弦15フレットのもの。この辺は絵と音が合っていないな。


その後、チョーキングの音がツボに入って笑い出す唯さんが面白半分に連続チョーキングかますわけだが、このとき4弦を掴むように「下に」引き下げている。最初の一回目は4弦を指先で「上に」押し上げていたが、4弦以降の低音弦をチョーキングする場合は、この連続チョーキングのように掴んで引き下げるほうが力がいらない。でもやっぱり絵は4弦9フレットで、音は2弦15フレットで合ってないw

練習後の露天風呂

原作どおり、デコ娘律ちゃんの前髪は実は長い。
風呂の中で澪さんにフィンガリングのレクチャーを受ける唯さんだが、相変わらず不得手な運指がある模様。


唯さんの台詞からすると、あの後合わせてみたようだが、合わせているシーンは割愛されている。これは「楽しみは学園祭までとっておけ」ということか。

合宿が終わった日常

合宿の写真が出来、澪さんの家に持ってきた律ちゃん。
二枚目の写真に自分の寝姿が写っていることに焦る澪さんを前に、楽しげにトークを続ける律ちゃん。そして…


律ちゃんを怒りのネックハンギングの顎に捕らえる澪さん。というか、技に入るまでのカット割にスピード感がありすぎるw

律ちゃんを中空で締め上げながら、澪さんは恫喝する。

澪「…ネガを渡しなさい」
律「デ…デジタルカメラだから…ネガ…は…」

そして落とされる。
どうもこの二名は締め技系を得意とする模様…って格闘アニメじゃねぇw


ある日の放課後、発足時に律ちゃんがホワイトボードに大きく書いた「めざせ 武道館!!」の文字。その片隅に、澪さんが書き加える「by 軽音部!」の文字。これは、単なる「仲の良い集まり」から、一体感を持った「バンド」への転身を象徴するものと解釈すれば良いんだろうな。

次回予告

いよいよ、さわちゃんが顧問になる日が。
ついに化けの皮が剥がされることに…

感想

今回の話は、三ヶ月もの間、放課後にダラダラしているようなものだった4人が、「バンドになる」話だったと解釈すればいいんだろうな、と。それは良いんだが、唯がバレーコードが押さえられないほど退行してもスウィープやトリルを使ったソロが弾ける「天才」という解釈はまぁ良いとしても、チョーキングの演出に関しては、せめて押弦位置やピッキングのタイミングと出る音を合わせて欲しかった気もする。


ところで、22日の段階でOP/EDそれぞれについてCDが発売されたわけだが。

Cagayake!GIRLS(初回限定盤)

Cagayake!GIRLS(初回限定盤)

Don’t say“lazy”(初回限定盤)

Don’t say“lazy”(初回限定盤)

Cagayake!GIRLS」の間奏部分を聴いていると、ギターがバッキングとソロの2パートあるわけで。生演奏だと原則二人ギタリストが必要になるんだが、これは「『彼女』が出るまでやります」ってことなのか? それとも BOSS RC-2 みたいな機材を使っている、という設定なのか? …みたいなことを深読みしてみた。

参考:Roland - JP

「Cagayake!GIRLS」「Don't say "lazy"」感想

上の記事の追記の形で書いていたんだが、やっぱり別記事で分けたほうがいいかと思ったので、エントリを分けて見る。


表題の二枚を聴いてみた上で、上の記事の「感想」に書いたおまけ仮説について、あらためて聴きなおしてみた。おまけ仮説とは、

Cagayake!GIRLS」の間奏部分を聴いていると、ギターがバッキングとソロの2パートあるわけで。生演奏だと原則二人ギタリストが必要になるんだが、これは「『彼女』が出るまでやります」ってことなのか?

の部分のこと。で、聴きなおしてみたわけだが…


…Bメロでもギターが2パートあるな。つーか全体通して。生演奏というシチュエーションの元では、RC-2 では無理っぽい。要ギタリスト二名。左右に一人ずつ。

Bメロは特にわかりやすく、左がカッティングでコード弾いてて、右がミュートしながらフレーズ弾いてる。これが単なる別録りなどではなく、第二のギターが参加しているとして、そのもう一本のギターが Fender Mustang ならほぼ決まりなんだが…


んで、「Don't say "lazy"」のほうを聴いていてちょいと気付いた点。
もともと上のエントリの「追記の追記」という形だったんだが、一緒にこちらの記事に移してみる。


「Don't say "lazy"」のc/w曲「Sweet Bitter Beauty Song」の、2:09〜2:10あたり。

ピッキングハーモニクス+アーミング」の音かこれ?

アーミング? トレモロのない Les Paul Standard で? それは無理だ物理的に。
もう一本、トレモロのついたギターが使われていれば別だが。


トレモロのついたギターとしては、レスポールと並ぶ双璧であるストラトがあるのは勿論だが、この作品の楽曲で使用される可能性が高いギターとしてはやはりアレなのか…?