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2016-08-28

映画 「蟻の兵隊」

蟻の兵隊 [DVD]

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すごい映画だった。

山西省日本軍残留問題についてのドキュメンタリー

恥ずかしながら、私はこの映画を見るまで、この問題について全然知らなかったのだけれど、日本の敗戦後三年以上、中国山西省に上官の命令によって二千六百名以上の日本兵残留し、命令にもとづいて作戦行動を行い、現地の国民党軍に味方して共産党軍と戦っていたそうである。

その結果、五百名以上の日本兵が、日本の終戦後の三年ほどの間に戦死したそうだ。

しかし、それは澄田𧶛四郎陸軍中将国民党の閻錫山との間の密約に基づくもので、澄田は自分だけ部下の将兵を置き去りにして戦後四年後に日本に帰り、この映画に登場する方々は玉砕を命じられ、捕虜になったあと五年間、つまり日本の終戦後九年経ってやっと日本に帰ることができたという。

しかし、日本政府は澄田の証言にもとづき、山西省日本兵たちは命令ではなく自発的傭兵あるいは志願兵として残って戦闘に従事したものとして、一切の賠償や恩給の支払いを拒んできたそうである。

この映画に出てくる人々は訴訟を起こしたが、高裁最高裁も認めてくれず、敗訴した。

主人公の奥村和一さんは、真実を明らかにしたいと山西省を再び訪れ、古文書を調査するが、それと同時に、かつて自分が初年兵としてはじめて人を殺した場所なども訪れ、現地の当時のことを知る人々の話を聞く様子もこの映画にはおさめられている。

その中で、日本軍にひどい目にあった中国人のおばあさんが、奥村さんに対して言う言葉は、胸打たれた。

中国の底辺の民衆の、本当の強さと優しさをそのおばあさんに見た気がした。

それにしても、日本は、かつての軍部も、今の司法も、どうなっているんだと、この映画を見ているとつくづくため息をつかざるを得ない。

義はどこにあるのだろう。


十年前の映画だけれど、多くの人に見て欲しいと思った。

戦争は人を鬼にする、という言葉も忘れてはならない言葉だと思った。

ともかく、このようなことが二度とないために、戦争だけは繰り返してはならないのだと思う。

2016-08-24

映画 「大地」

大地 特別版 [DVD]

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戦前の古い映画だけれど、とても面白い、良い映画だった。

1900年代初頭の中国を舞台にしたパール・バックの長編小説が原作。

主人公の貧しい農民・王龍(ワン・ルン)は、御屋敷につとめていた奴隷の阿藍(オー・ラン)と結婚する。

地道に真面目に働き、少しずつ土地を買い取り、人並みの生活がやっとできるようになる。

しかし、干ばつが原因で大飢饉が起こり、南方に避難する。

そこで散々な目に遭いながら、なんとか生きのび、革命騒ぎにも巻き込まれるが、その時にひょんなことから宝石を一袋手に入れる。

一躍大金持ちとなって故郷に帰り、もともと持っていた土地にプラスして多くの土地を買って、成功者となる。

しかし、王龍は、金持ちになると、若い美しい女性を第二夫人に迎え、息子ともケンカし、長年自分を支えてくれた親友も首にして、糟糠の妻の阿藍にも冷淡になる。

あわや家庭崩壊かという時に、イナゴの大群がやって来て、大飢饉の再来が予測される非常事態になる。

大学で農業を学びイナゴ対策について研究していた長男を中心に、父親と大喧嘩して軍人になると家を飛び出していた二男も帰って来て、王龍に首になっていた親友も戻って来て、王龍の必死の指揮のもと、村人が一丸となって協力して、なんとかイナゴの撃退に成功する。

正気を取り戻した王龍は、贅沢な屋敷を手放し、質素な暮らしに戻り、阿藍や息子たちや親友を再び大切にするようになり、自分自身もよく働くようになる。

息子の結婚式が行われる中、阿藍は王龍に看取られながら、亡くなる。

全編を通じて、寡黙でほとんどしゃべらないけれど、無私の愛を貫き続ける阿藍の人生に、ラストは涙なしには見れなかった。

原作はまだ読んだことがないのだけれど、たぶん映画以上に名作なのだろう。

いつか読んでみたいと思う。

長い人生を一瞬に味わったような、そんな不思議な感覚がするような名作だった。

やっぱり、人間、金持ちになりすぎると大切なものを見失い危険が高まるし、地道にまじめに働くのが一番なんだろうなぁ。

2016-08-22

罪のゆるしと罪のきよめについて

北森嘉蔵の本を読んでいたら、以下のことが書いてあって、なるほどーっと思った。

ロマ書8章の「御霊の最初の実」という言葉を引用して、最初の実があるならば、最後の実もあると論じている。

つまり、十字架の贖いによる罪のゆるしは、御霊の最初の実、聖霊による最初の果実である。

だが、それで終わりではない。

御霊の最後の実・聖霊による最後の果実まで、聖霊によって日々に少しずつ罪が清められていく。

罪のゆるしは信仰の最初に一度あり、罪の清めは一生かけて少しずつ続いていく。

ということであり、なるほどなぁと思った。

つまり、信仰を得て、神の前に生きることができるようになること=罪のゆるしを最初に得たとして、そのあと、繰り返し聖書の言葉を聞いて心を洗い、罪から清められ、徐々に心を深め正し成長していく過程が一生続いていく、ということだと思う。

罪のゆるしは回心において一度、罪のきよめは一生すこしずつかけて続くこと、ということだろう。

これは、蓮如上人においても、非常によく似た構造があり、前者が信心決定や回心と言われることで、無量寿経の第十八願に基づいていることを述べている。

一方、後者については、触光柔軟とか光明摂化という言葉で述べており、無量寿経の第三十三願に基づくことを挙げている。

思うに、どちらも重要であり、たしかに前者なくして後者はありえないが、後者を無視するのも間違いなのではないかと思う。

歴史を見た場合、傾向として、前者の罪のゆるしや信仰義認を重視したのがルター派で、後者の罪のきよめを重視したのはメソジストなどが挙げられるのかもしれない。

前者をあまりに重視すると後者がおろそかになり、後者を重視するとともすれば前者がおろそかになってしまうのかもしれない。

浄土教においては、一般的に浄土真宗は、蓮如の促しにもかかわらず、いったいに前者に偏りがちな気がする。

浄土宗の光明主義は後者を重視したが、その結果としてどうも前者がいまいちよくわからなくなりがちだったような気もする。

バランスよく、罪のゆるしと罪のきよめの両方を的確に把握して実現実践するのが、本当の宗教というものなのだろうなぁと思う。

井上洋治 「キリスト教がよくわかる本」

キリスト教がよくわかる本 (新しい知性 5)

キリスト教がよくわかる本 (新しい知性 5)

良い本だった。

随所に井上洋治さんらしい、深い優しい素晴らしい理解や解釈が散りばめられていた。

アドラー 「天使とわれら」

肉体や物質を持たない、精神的存在である天使。

中世近世哲学において、この天使の存在がなければ、存在の連鎖の階梯的秩序の連なりが完成しないので、天使がいるということが論理的に考察されたことが触れてあって、なかなか説得力があって面白かった。

ちなみに、アクィナスはもちろんとして、ベーコンやロックも天使の存在について肯定的に論じていることが引用されている。

また、「天使主義的誤謬」(Angelistic fallacy)という概念を著者が指摘しているのは面白かった。

つまり、人間を、天使のように肉体を持たない純粋に精神的な存在だと勘違いする誤謬のことであり、この観点から、アナキズムやある種のマルクス主義批判しているのは興味深かった。

西洋の神学哲学の歴史を踏まえた、真剣な天使論と、天使論から現代について言えることを述べている、興味深い一冊だった。

北森嘉蔵 「キリスト教入門」

福音を徹底的に把握すること。

なるほどなぁと思った。

聖書を読むだけでは必ずしも明瞭につかむことが難しい、論理的な把握による再構成がなされていて、とてもためになった。

2016-08-21

むのたけじさんの訃報を聞いて

今日、たまたま、むのさんの本をぱらぱら読んでいるところだった。

またしっかり読んでいきたいと思う。

本当に熱い魂のメッセージの数々だった。

心より感謝。


訃報を聞いて、なんとも寂しい思いを禁じ得ない。

「たいまつ」のタイトルのとおり、たいまつみたいな方だったと思う。

たしか二十年ぐらい前だろうか、たまたまテレビに出ておられて、今は人類の歴史の分水嶺だということをおっしゃっておられて、気宇壮大な方だなあと思った記憶がある。

今の世にめずらしいタイプの人だったと思う。

後世が、「たいまつ」を絶やさないようにしないとなぁ。



「歴史は温かくて優しくて、実に辛抱強い。

人としてやるべきことを必ずやり遂げようと努力し続ける人がおれば、

その人たちが仕事を完了するまで、

いつまでだって待っている。」

むのたけじ『希望は絶望のど真ん中に』より)



むのたけじさん死去 101歳のジャーナリスト

http://www.asahi.com/articles/ASJ8P2DW1J8PUJUB001.html

2016-08-19

「テゼの源泉」

テゼの源泉―これより大きな愛はない

テゼの源泉―これより大きな愛はない

テゼのブラザー・ロジェの本。

わかりやすい簡潔な言葉なのだけれど、繰り返し読んでやっとわかってくるような、不思議な深みのある本である。

静けさの中から伝わってくる福音のかすかな響き、

平和、喜び。

キリスト教の真髄のひとつだと思う。

珠玉の一冊。

また繰り返し読みたいと思う。

高橋三郎 「生命の原点」

生命の原点

生命の原点

四十年以上前の本だけど、とても感動した。

愛、良心、そういった事柄について、無教会主義キリスト教の教育者だった著者が、とてもわかりやすく、熱く語っているいくつかの講演をまとめた本。

とても大事なことを教わる気がする。

またしばらくして折々に大事に思い出し読み直したい内容だった。

「日が照ってなくても」

わたしは 日が照ってなくても

太陽があることを信じます

わたしは 独りぼっちでも

愛があることを信じます

わたしは 神さまが何も答えてくださらなくても

神さまとともにいることを信じます」


(戦時下のドイツユダヤ人が壁に書き残した言葉)

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