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2016-07-29

志賀直哉 ちくま日本文学

志賀直哉 [ちくま日本文学021]

志賀直哉 [ちくま日本文学021]

とても面白かった。

この前、『暗夜行路』を二十年前に買ったのを見つけてやっと読破して、意外にもとても面白く、志賀直哉をもっと読みたくなってこの短編集も読んだのだけれど、すばらしかった。

なんといえばいいのだろうか。

のほほんとしていて、笑えるところもあって、くつろいでいるようで、かつ「仕事に対する意志」がしっかり存在し、わかりやすい平明な言葉なのに、珠玉のような作品にしあがっている。

稀有な小説の数々と思う。

高校の頃は、どうも志賀直哉を読む気がしなかったのだけれど、いま考えてみればもったいないことだったと思う。

もっとも、この味わいがわかるのは、ある程度年をとってからなのかもしれない。

2016-07-28

永倉新八 「新撰組顛末記」

とても面白かった。


新撰組の生き残りの永倉新八が、大正になり、七十代半ばになってから、残した回想録である。

新撰組モノの小説と若干異なる印象を受けるところがいろいろあって面白かった。


たとえば、永倉をはじめとした新撰組隊士の多くは、どうも尊王攘夷のつもりでそもそも新撰組に参加し、ずっとそのつもりでいたようであることである。

それほど幕府に殉じるというつもりがはじめからあったわけでもなかったようである。

そうしたら、いつの間にか、そのつど目の前に任務に一生懸命誠実に取り組んでいるうちに、完全に幕府側ということになり、会津と一体化していって、時勢の変化の中で賊軍ということになってしまったようである。

永倉自身よくわからないまま、漠然とした考えで、なんだかよくわからないが新撰組のために命を張るというつもりで尽しているうちに、ああいう時の流れになったようである。

また、永倉のこの回想録を読んでいてとても興味深かったのは、芹沢鴨のことを高く評価してとても惜しんでいたことである。

だいたい世の新撰組モノの小説では、芹沢は近藤に倒されるなんだか脇役めいた扱いなのだけれど、永倉によれば欠点も含めてなかなか興味深い人物だったようである。

真木和泉や平野國臣についても、新撰組からすれば敵であるのに、その立派な態度に感心しその死を惜しんでいるあたりに、永倉や新撰組隊士たちの懐の広さや純情さを感じた。

ラストの方では、雲井龍雄も登場し、とても興味深かった。


それにしても、結局、大正頃まで生き残った新撰組隊士は、永倉新八斎藤一と尾形俊太郎ぐらいだったのだろうか。

永倉のみまとまった回想を残してくれた点で、本当に貴重な一冊と思う。

生き死にの不思議さを思うのと同時に、永倉の場合最後まで生きることができる限りは生き残ろうとし闘い続けた、その姿勢や意志が、やっぱり長寿の秘訣だったのかもなぁと思われた。

2016-07-22

ふと思い出すドラマのことなど

小さい頃、あるいは長じてから見た、さまざまなドラマやテレビ番組を、しばしば、あるいはたまに、思い出すことがある。

意外と、自分の人生はその大きな影響を受けたことがあるような気がする。

ひとつは、私が小さい頃、『教師びんびん物語』というドラマがあっていた。

田原俊彦が主役の学校モノだった。

もうストーリーも全く覚えていないし、いったいどんなドラマだったかほとんど覚えていないのだけど、ただひとつ、その中のセリフを覚えている。

それは、

「教育とは、愛だ」

というセリフだった。

そのくささに笑いながら見た記憶があるが、しかし、あれから二十数年経ってしばしば、このセリフは真実だなぁと思う。

これは本当に真実と思う。

そして、教育に限らず、人生全般に言えることなのだと思う。

あと、もう一つ。

セリフではなく、生き方や物語として、なんだか自分が大きな影響を受けた気がするのは、やはり小さい頃に見た、年末時代劇『白虎隊』である。

これは、言うまでもなく、幕末会津藩を描いたドラマである。

松平容保以下、愚直なまでに幕府に忠義を尽くし、天皇からも将軍からも最も信頼厚く、京都の市民からも人気があり、尊王攘夷のゴロツキ浪人たちの暴動や放火・窃盗を鎮圧し、治安を維持するために最も努力していた会津新撰組が、いつの間にか逆賊となり、時の流れに翻弄され、次々に多くの人が死んでいき、藩をあげて悲惨な滅亡を遂げて行く様子をよく描いていた作品だった。

それで、どうも、自分は、その後もずっと、このドラマの影響で、薩長中心史観というのは嘘くさく感じるようになった気がする。

薩長中心史観に限らず、勝者の側を中心にした歴史観イデオロギーというのは、総じて信用ならないものと思うようになった気がする。

むしろ、政治的な権謀術数に負けて行った、愚直な側に、共感を覚えるようになった気がする。

このドラマのテーマソングだった、堀内孝雄の「愛しき日々」の歌詞の、「かたくなまでのひとすじの道」という言葉や生き様こそ、真のもののふの道ではないかと思うようになった気がする。

そのためか、どうも、会津が敗れた後の、会津をつぶした明治政府の側がつくりあげてきた、この近代日本というもの自体に、どうもしっくりこないものを感じるようになった気がする。

会津賊軍の側が祀られていない、官軍の戦死者のみが祀ってある靖国神社など、なんだかとても嘘くさいものに思うようになった気がする。

もちろん、幕藩体制そのものは、いずれ必然的に壊れるものだったのかもしれないし、会津新撰組の人々は、巨視的に言えば、時代に逆行する人々だったのかもしれない。

彼らに、近代日本がつくれたかどうかも、かなり疑問ではある。

だが、どうにも自分個人の生き方として、もし薩長会津のどちらかに与するならば、躊躇なく会津に与するような、そういう生き方や決断をしたいと、小さい頃も思ったし、今なお思ったりする。

それで、米沢藩雲井龍雄という人に興味を持って、ずいぶん一時期調べたりもした。

これも、小さい頃見たドラマの影響だったんだろうなぁと思う。

他にも、思い出せば、いろんなドラマやアニメの影響を受けてるんだろうなぁとは思う。

2016-07-06

改憲の国民投票のメリットとデメリットについて

与党が三分の二の議席をとると報道機関が予想していた。

仮にそうなった場合、憲法改正国民投票が行われるのだろうけれど、正直、デメリットはたくさん思い浮かぶが、メリットが思いつかない。


憲法改正国民投票をやる場合、


・約850億円かかる。

・膨大な時間とエネルギーがかかる。

経済社会保障はその間後回し。

・どっちが勝っても負けた側は納得がいかず再投票署名を行うと思われる。

イギリス並の混乱


は間違いなく生じると思われる。


一方、メリットって何があるんだろうか・・・。


自衛隊政府解釈では現憲法下で合憲合法ということになっている。


また、現憲法に明文上は書かれておらず、時代の変化とともに必要になった、いわゆる「新しい人権」については、現憲法十三条の包括的基本権で対応可能であり、包括的基本権を積極的に活用して新しい人権を認めていく判例を積み重ねれば良いだけの話である。


正直、メリットがさっぱり思い浮かばない。

デメリットばかり思い浮かぶ。


にもかかわらず、そんなに憲法改正のための国民投票をみんな行いたいのだろうか。


日本には、改憲ごっこの火遊びを国民投票で行っている暇も余裕もないと思うのだけれど。

2016-07-05

エリ・ヴィーゼル死去

ノーベル平和賞受賞のユダヤ人作家、エリ・ヴィーゼル氏死去

http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/02/elie-wiesel-dead_n_10791576.html


エリ・ヴィーゼルの本は、以前、何冊か読んだ。

『夜』『夜明け』『昼』という三部作で、『夜』はホロコーストの過酷な体験、『夜明け』はイギリスに対して独立するためのテロを行っている独立前のイスラエル過激派の話で、『昼』は晩年をアメリカで過ごしているユダヤ人が交通事故に遭うけれど少しも生きようとしない、その理由は過去の過酷な記憶が原因で、しかし恋人や医師などが一生懸命彼を生かそうと尽力する、という話だった。

どれもあまりに重く、今もって十分受けとめれていないけれど、またいつか読みなおしたいと思う。

あまりにも過酷で残酷なこの二十世紀の歴史と、にもかかわらずなんとか生きようとし、またお互いに理解しようとし愛そうとするささやかな個人の営みを描こうとした作家だったのだと思う。

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