知っておきたい地震に伴う税制 株式会社リベロ 谷口代司夫


今年5月に中国四川省で起きた大震災での家屋の倒壊21万6千件、家屋の損壊415万件(いずれも7月の中国当局の発表に基づく数字)。 地震大国である日本に住む私達も最低限知っておきたい地震に関する税制を紹介します。

地震保険料控除
自己又は生計を一にしている配偶者その他の親族が所有している居住用家屋や家財を補償する地震災害専用の保険で、納税者が地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。
また、以前損害保険会社へ支払った損害保険料に対し、一定額まで損害保険料控除を受ける事ができましたが、平成18年の税制改正で、平成19年分より損害保険料控除が廃止されました。しかし、経過措置として以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができます。

(1)平成18年12月31日までに締結した契約
(2)満期保険金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約
(3) 平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの


地震保険料控除額一覧表


耐震改修後の所得税の税額控除
 昭和56年5月31日以降に建築された居住用の家屋において、一定の耐震改修工事を行った場合、その年分の所得税の額から、耐震改修費用額の10%の金額(最高20万円)を控除します。 但し、平成20年12月31日までに耐震改修工事をし、地方自治体の長等が証明したものに限られます。


これ以外にも、地震発生後の損害に対する控除や、納税猶予や申告期限延長などの税制がありますが、まずは地震が発生する前の知識として、上記2点ぐらいは押さえておきましょう!

オンライン申請と欠損補填 司法書士 垣木絹子

オンライン申請に係る登録免許税の税額控除
平成20年1月から2年間の時限措置として、オンラインにより、所有権保存登記・所有権移転登記・(根)抵当権設定登記(以上不動産)及び会社設立登記を申請する場合、登録免許税の10%(上限5000円)が減税されることとなりました。
5千円値引きされるからという理由で会社設立の決断をされる社長はいらっしゃらないと思いますが、せっかくの制度です。これから設立等をお考えの方は、是非メリットを享受してください。
オンラインで登記事項証明書を請求すると700円に減額されるようになったのが昨年でした。法務省はオンライン普及の為に必死ですが、我々司法書士も必死です。


欠損填補と資本金・資本準備金の額の減少
欠損填補の為に減資手続きをしたい」という話をたまにいただきます。
登記事項証明書だけをみると、資本金の額の欄が「1200万」から「1000万」に変わる、たったこれだけのことなのですが、資本金の額を減少するには、債権者保護手続を行う必要があります。
要約しますと、官報に資本金の額を減少する旨及び異議がある債権者は申し出てくださいという内容の公告をし、かつ会社が把握している債権者には個別に公告と同趣旨の通知を出します。もし、この会社が決算公告をしていない会社であれば、この手続きに先立ち、もしくは同時に決算公告をする必要があります。
この一連の手続きをするだけでもちょっとした出費になり、それを聞いて手続きを取らない選択をされる会社さんもいらっしゃいます。
それでは、この方法はどうでしょうか?欠損填補をするために、資本金の額を減らすのではなく、準備金の額を減少する方法です。

  1. 定時株主総会において、準備金の額を減少する決議をする
  2. 準備金の額の減少を行った後も分配可能額が0以下である

この2つの要件を満たす場合は、債権者保護手続は不要です。
そして、この手続の場合は、なんと!と言いますか、もちろん!と言いますか、登記手続も不要ですので、登記する際の登録免許税も不要です。理由は、と言いますと、準備金の額は登記事項ではないですね。
欠損填補だけをお考えの会社さんは是非ご検討下さい。(準備金が無い場合や資本金の額を減らす必要がある別の目的がある場合は使えません。)

営業許可をナメると怖いことに? 行政書士 富之浩


わが国は、行政による護送船団方式で戦後の高度経済成長を成し遂げました。つまり、行政による規制を用いて経済産業の発展や国民の安全を守ってきたわけです。
しかし、バブル経済の崩壊以降、不況を脱するために規制緩和策をとることで、独立開業や新規参入をしやすい、また産業の移行(例えば製造業からサービス業へ)をしやすい社会体制を整備してきました。
しかし、これは規制緩和をするかわりに、違法業者には厳しく罰則を与えることが抱き合わせとなっていることを忘れてはなりません。つまり護送船団方式から「事後チェック型社会体制」へ移行してきているということです
そこで、行政書士からみた立場で事後チェック型社会の怖い事例をご紹介しておきたいと思いますので、参考にしていただきたいと思います。

1.建設業における事例
「建設業法」に基づく許可が必要です。(一定規模の工事を請け負う場合)
住宅リフォーム詐欺が多発した影響を受けて、悪徳業者を摘発する際に業法違反を問われるケースがあります。
具体的には、無許可営業、欠格事由(必要な資格者が不在)、虚偽申請を理由に罰則を受ける場合があります。このような違反行為には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(業法第47条)」と定められています。

2.産業廃棄物処理業における事例
廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく許可が必要です。
地球の環境問題が深刻化していることを受けて、産業廃棄物の不法投棄については大変罪が重く、法人の違反の場合「1億円以下の罰金(業法第32条第1項第1号)」と定められています。しかも、罰則を受けるのは、不法投棄をした業者だけでなく、産業廃棄物を出した排出事業者も罰則の対象となっています。マニュフェストの管理はしっかり確実に行なうことが重要です。
3.風俗営業における事例
風俗営業の規則及び業務の適正化に関する法律」に基づく許可が必要です。
風俗といっても性風俗に限らず、キャバレー、クラブ、パチンコ、麻雀、ゲームセンターもこの業法に基づく営業許可が必要です。
特にクラブやスナックにおいては、お客様に対しての接待行為の有無で許可が必要かどうか判断しますが、この判断は、管轄の警察署生活安全課又は行政書士に相談されることをおすすめします。
無許可営業に対する罰則は、「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(業法第49条第1項)」と定められています。
風俗営業では、営業時間が規制されており、地域の条例によっては多少の差がありますので、知らずのうちに業法違反をして罰則を受けることがないよう注意が必要です。
4.労働者派遣事業における事例
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律」に基づく許可が必要です。
許可を取得するには、零細企業にとっては比較的厳しい財産的要件が定めらており、許可を取得できない業者が無許可営業を行なって罰則を受けるケースがあります。
具体的には、実態としては派遣業をしているにもかかわらず、契約書などの形式を請負業務や委託業務としている場合が問題となります。これを偽装請負といいます。
無許可営業に対する罰則は、「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処する(業法第51条第1項)」と定められています。
また、許可を取得しても派遣業種や派遣期間の規制を守らない場合も罰則の対象となりますので注意が必要です。

5.建築士事務所における事例
耐震偽装問題が社会問題化してから建築士等に対する業務の適正化及び罰則の強化が図られています。
平成19年5月から国土交通省の定めた「一級建築士の懲戒処分の基準」が施行されており、違反の内容ごとにランク付けされ、悪質性についても過重軽減ランク表が定められており、監督官庁の処分がこれに従って行なわれるようになりました。
ちなみに耐震基準などの重大な実体規定違反については、法人の場合「1億円以下の罰金(建築基準法第104条)」となっています。
また、建築士建築士事務所の名貸し、建築士による構造安全性の虚偽証明については、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(建築士法第38条第1項)」となっています。



以上のように、営業許可を取得して事業を行なっているだけでは、安心できる時代ではありません。自社の営業許可の根拠となる業法を知らないと思わぬところで罰則を受けるかも知れません。
重要なことは、許可を取得した後、その業法に適した運営をすることがポイントです。そのためには、行政書士を有効に活用されることをお勧めします。

資産運用における投資信託活用のメリット 株式会社リベロ 谷口代司夫


1.少額から始められるので、まとまったお金がなくても大丈夫です。
投資信託は最低購入金額が1万円から始められる点で、最も身軽な投資手段と言えます。 もともと投資信託は一人一人の拠出金額が少額でも、多くの人々から資金を集めれば大きな資金を作る事が出来るという発想から生まれた為、そこから得られる利益は、拠出資金の割合に応じて分配されます。 資金の大小に関わらず同じ割合の恩恵を得ることが出来ます。

2.投資のリスク低減が期待される『分散投資』ができます。
投資信託の運用原則の一つに『分散投資』があります。 資金を分散して投資することで将来の見通し予想との乖離を抑えることができます。 しかし、一方で分散投資を個人レベルで実現する為には、相当額の資金が必要になりますので、一般的な個人投資家が実現するのは不可能です。 その点、投資信託は少額の資金を集め大きな資金にしたうえで分散投資を行なうシステムなので、個人が拠出できる少額の資金であっても分散投資のメリットを享受することができます。
投資のリスクを減らす3つの分散

  1. 資産の分散・・高収益を期待できる株式や安定的な債権などに分散。
  2. 国際分散・・・日本の他に、米国、ヨーロッパ、アジア、などグローバルに分散
  3. 時間分散・・・短期的な価格変動のリスクを抑える、投資のタイミングの分散

3.運用のプロが扱うので、過去に投資の経験がない初心者でも始められます。
投資信託ファンドマネージャーと呼ばれる投資のノウハウ・経験・理論を兼ね添えたプロが運用する上、投資信託会社は世界レベルのネットワークを持っています。 少額でもプロの力を借りることができるのが、大きな魅力です。

ご参考として、運用利回りの効果『72の法則』
72÷運用利回り(%)=資産を2倍にするのに必要な年数
上記数式に当てはめてみますと。。。
例、某銀行定期預金5年 0.6%の商品なら120年
  個人向け国債固定5年 1.5%の商品なら48年
  某投資ファンド直近1年間の騰落率 13.4%あったとすれば5.37年
従いまして、利回りの効果が資産運用に及ぼす影響は非常に大きいと言えます。

 『労働時間』 社会保険労務士 中家延子

4回目は「労働時間」について取り上げたいと思います。
近頃新聞やテレビニュースでよく目や耳にする労働問題に、割増賃金の不払い(サービス残業)や長時間労働が原因となる健康障害があります。自分の職場は大丈夫だと過信せず、今一度基本に立ち返って職場の労働時間を見直してみてはいかがでしょうか。

【労働時間の原則】
 労働時間とは、労働者が使用者の指揮監督下にある時間のことです。労働時基準法では1週40時間・1日8時間までを法定労働時間と定めています(常時9人以下の労働者を使用する事業場で、商業・映画・演劇業・保健衛生業・接客娯楽業などの特例措置対象事業は1週44時間・1週8時間)。

【労働時間と休憩時間】
 休憩時間は原則として全ての労働者に一斉に与え(例外あり)、自由に利用できるようにしなければなりません。労働基準法では、労働時間が6時間を超えたら45分、8時間を超えたら1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。

【労働時間と休日】
 休日とは、労働の義務がない日のことで、原則として暦日(午前0時から午後12時までの24時間)で与え、1週間に少なくとも1日、或いは4週間に4日以上の休日が必要です。

【時間外労働・休日労働
 先述のように労働時間・休憩時間・休日が労働基準法で定められているにもかかわらず、所定の労働時間内に仕事が終わらない場合、残業や深夜労働・休日に労働しなければならないことがあります。このような時は労働基準法第36条に定める「時間外及び休日労働に関する協定届」(36協定)を所轄の労働基準監督署へ届け出なければなりません。

【労働時間の多様な制度】
 業種や職種によっては様々な勤務形態があり、それに見合う労働時間が労働基準法で設けられ、以下のような制度があります。
1)1ヶ月単位の変形労働時間制
例えば月末月初が忙しいため所定労働時間を長くするかわりに比較的暇な月の中旬に所定労働時間を短くし、その1ヶ月の期間を平均したときに1週間の労働時間が40時間以内となるよう、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度。就業規則の変更や労使協定の締結・届出が必要。
2)1年単位の変形労働時間制
1年を通じて特定の月や特定の季節が忙しい場合、その閑散に合わせて所定労働時間を変更し、1年以内の期間を平均したときに1週間の労働時間が40時間以内となるよう、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度。就業規則の変更や労使協定の締結・届出が必要。
3)フレックスタイム制
1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業・終業時刻を選択して働くことができる制度。定められた一定期間の労働時間が1週間平均で法定労働時間を超えなければ時間外労働にはならない。就業規則に制度を設けることを規定し、労使協定を締結することが必要。
4)事業場外のみなし労働時間制
事業場の外で業務を行い、指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な場合でも所定の労働時間労働したものとみなす制度。
5)裁量労働制
専門的業務や事業運営の企画・立案・調査・分析などの業務についてその性質上、使用者が具体的に指示をせず、労働者自身の裁量に委ねる制度。

【労働時間の管理】
 時間管理には使用者が現認し、タイムカードなどで客観的な記録をとることがまず必要です。時間管理ができていないと時間外や休日に労働した分に見合うだけの割増賃金が適正に支払われなかったり、働きすぎによる健康障害の防止対策を的確に講じることもできません。時間管理ができれば、残業が多すぎる場合の原因究明、業務の偏りがないかなどの問題点を検討し、改善策につながります。
 業務の多様化により時間管理はますます重要な業務となりました。変形労働時間制の導入や年次有給休暇の有効な取得、無駄な残業・残業の慢性化をなくすなど、労使双方が健康的に労働できる職場環境作りに目を向けましょう。

うわべだけの情報セキュリティになっていませんか? システムアナリスト 杉浦司

 インターネットにはウイルス感染を広げるための悪意の通信データが飛び交っています。「Blaster」や「Welchia」などが送出する攻撃パケットは、ピーク時に30秒に1回の割合で飛んでくると言われています。また、セキュリティー対策をしていないパソコンは、インターネットに6分半つなぐと不正利用されかねないとも言われています。

 情報セキュリティが必要なのは個人情報を取り扱う企業だけではありません。得意先や調達ルート、設備や製造方法など、営業機密に関わる情報が漏えいしたら、信用失墜だけでは済みません。恐ろしいのは、もし情報漏えいが発生していたとしても、情報を不正取得した者は、気づかれないように利用し続けているかもしれないということです。

 ウイルスチェックやファイヤーウォールのソフトを入れているだけで安心していませんか。うわべだけの情報セキュリティではスパイ天国になってしまう危険があります。
 ログイン認証の前提条件となるパスワードはきちんと管理されているでしょうか。推測容易なパスワードが設定されていたり、パスワードが長期未更新であったり、パスワードメモが端末に貼付されていたり、パスワ−ドをグループで共有していないでしょうか。
 ルータやファイヤーフォールの設定情報が長期間放置されていたり、ウイルスチェックソフトのディスクスキャニングがいつも停止されていたり、ルータのアクセスログやサーバのイベントログが一度も見られることがないといったことはないでしょうか。
 パスワードなどで保護された添付ファイルはそのままではウイルスチェックされないことはご存じでしょうか。

 何の根拠もなく信頼する−信じて頼る−ことは危険です。明確な判断基準をもった上で信用する−信じて用いる−ことが必要です。
 ネクタイをしているから紳士、情報セキュリティツールは正義では危なすぎるのです。SSLsshのような暗号化通信を利用したリモートメンテナンスやEDIこそ、悪意があれば情報漏えいのためのバックドアになってしまいます。

 あなたは性善説でしょうか。性悪説でしょうか。実は、人の本質は性弱説にたって考える必要があるのです。いい人だから大丈夫、悪い奴だから危険というのではなく、誰もが弱いから守ってあげるために監視する必要があるのです。情報が漏えいするのは、情報を買う輩がいるからだことをお忘れなく。

 それと、もう一つ、気をつけたいことがあります。ウイニーなどによる情報漏えいが恐ろしいのは、「情報の漏えい」が起きる前に「権限の漏えい」が起きているからです。酒の席で機密情報を外部の人間しゃべってしまうのもりっぱな「権限の漏えい」です。管理が行き届かないところで起きる権限逸脱こそ恐ろしいのです。

 情報セキュリティの必要性を理解するためには、恐いこと、恐ろしいことについて、肌で感じ取れるまで徹底的に「わかる」ことが一番大切です。何を守らないといけないのか、何から守らないといけないのかを知らずに、うわべだけの情報セキュリティをすることは、壊れた警報装置に安心している家に、どろぼうが悠々と盗みを続けているという状況と同じことなのです。

 「投機」と「投資」は違います!! FP 伊東秀志


退職金や余裕資金の資産運用を考える時に、まず押さえておきたいことは「投機」と「投資」の違いです。

「投機」とは、「機会」(チャンス)に投ずるという意味です。
タイミングを計って安い価格のときに買って、高値で売るのが勝負というものです。

感覚的には、ギャンブルに似ています。
デイトレーダーが株式の短期売買を繰り返して利益を上げるのが、その一例です。
しかし、相場は専門家でも勝ち続けるのが、不可能なものです。

個人にとっては、節度を守って、楽しむ程度がいいと思います。

それに対して「投資」とは、しっかりした計画に基づいて、自分が許容できる範囲内で、リスクをコントロールしながら、中長期の視点で、安定的に資産を運用する事をいいます。

リスクのコントロールの仕方が重要になります。

具体的には「分散投資」と「長期運用」になると思います。

分散投資」については資産配分(アセットアロケーション)ができているかがポイントです。
日本株式・日本債券・外国株式・外国債券などの配分の割合で運用成果がほぼ決まってしまいます。

「長期運用」で短期の変動リスクを回避します。

特に退職金などの老後資金を運用する場合、失敗が許されませんので、「投機」と「投資」の違いを区別する事が大事だと思います。