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2018-12-16

自分が「四神」を知るきっかけとなった、謎と幻の漫画を文字で再現します。誰かご存知の人いる?

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最近、話題になったまとめ。

あなた四神はどこから?」と聞いてみたらレアケースがたくさんあったのでまとめてみました - Togetter https://togetter.com/li/1298230

実はこの話題、何度もネットでは関心を集めている。

2017年のまとめ(やや重複あり)

あなた朱雀とか白虎とか四神を覚えたキッカケは何?」という質問に対し世代がバレそうになる人々→「幽白」「古墳」「ナビルナ」 - Togetter https://togetter.com/li/1081258

  

青龍朱雀白虎玄武を何で知ったか」という質問の答えで年代がバレる - Togetter https://togetter.com/li/1132157

実はこのとき、自分も答えたかったが、実はこれから語るような経緯があり、誰にも伝わらないだろうということで、控えておりました。

しかし今回、ふたたびのチャンスが出たことと、こんどの話題は「マイナーな例を集めた」なので、書こうと思い立ちました。

というか、調べてみたけど天下のインターネッツといえど、これに関する資料はおそらく全く存在しない。これを機会に、どこかの誰かが同じように覚えていたり、調べてみたりするかもしれない。それを期待しつつ

簡単な、この作品についての情報

・まとめにある「あなた四神を知ったきっかけは?」ということでは間違いなく私にとってそういうきっかけの作品です

 

・どこに掲載されたか?それは分からない。というのは行きつけの床屋にあったんです。

 

・おそらく分厚さから言って「月刊少年ジャンプ」(多分最有力)か「月刊少年マガジン」だと思います。

 

・その床屋は何年でも雑誌をおきっぱなしにするところで、たぶん何回も何回も読んだんだと思う。だから台詞まわしやストーリー展開は、かなり具体的で正確な記憶だと思います。

 

・作者ははっきり言える。チャンピオンで「レース鳩0777」を、コロコロコミックで「これから動物園」を連載していた人…調べると、飯森広一という方だ!(故人)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%AF%E6%A3%AE%E5%BA%83%E4%B8%80

掲載年は恐らく70年代末から80年代初頭にかけて。

 

自分にとっては、今思い起こせば諸星大二郎「マッドメン」(これもその床屋で読んだ)と並んで「民俗学神話学への興味、というかそういう概念があるという把握」をするきっかけとなった作品かもしれない


では、「四神」を正面からテーマにしたこの、今はなぞの、幻のマンガネット上で「文字再現」したいと思います。なにか情報があるならお寄せ下さい。


飯森広一まぼろしマンガ文字再現


舞台は、始皇帝が天下を統一してまもない秦。あの有名な「徐福」が呼ばれる。

子供心には、固有名詞の意味はわからず、「王様と部下」としか認識していなかった。あとから「ああ!あの二人は…」と合点がいったのだった。



秦の始皇帝徐福よ…。そのほうは四神を知っておるか?」

徐福

「ははっ。申し上げます。東西南北それぞれを守る守護神だと聞いております。同時に地形の象徴でもあり、優れた都はそれにそうする地形があるとのこと。

すなわち

東は青龍、川がある

西は白虎、大きな道がある

北は玄武、山岳がある

南は朱雀、窪地がある

そういったものの象徴であるとか」


始皇帝「ふむ、さすが詳しいの。そこでじゃ、わしは四神の実物を手に入れたいのじゃ」

徐福??? 恐れながら陛下四神想像上の動物かと…」

始皇帝「それはわしも分かっておるわ、じゃがのう、モデルがあるじゃろモデルが。そのモデル動物を飼いたいのじゃ。では頼んだぞ」

徐福「ファァッ?」


徐福の部下「四神モデル? それならトカゲとかカメとか鳥とかを持っていけば」

徐福「そんなもん持っていったら即座に首を刎ねられるわ。実物は無理にしても、珍しいものを持っていくしかないのう…西へ旅に出よう」

そしてインドに到達する徐福インド王様始皇帝のむちゃぶりを相談すると

「ほほほ、そんなことでしたが…その四神なるもの、全てインドにはございますぞ」

そして自分動物園コレクションを見せる

朱雀品種改良した、超巨大な孔雀

白虎アルビノのトラ

玄武は巨大なリクガメだったかウミガメと、ニシキヘビを絡み合わせればいいんじゃね?と提案される

「素晴らしい!これはまさしく四神です。で最後の青龍は…」

「龍か…これはちと難しいが…インドの龍はこれを手本にしたと言われておる」

そこで巨大なワニを見せてくれるインド王様

インド王様「これでいかがですか?」

徐福「うむ確かに、ありがたく…い、いや、やはりこれではだめだ。我が中国の龍は、悠々と空を飛び舞う生き物。ワニは完全に地を這うような形…これでは皇帝陛下はお怒りになるだろう」


ということで、三つの神を手に入れつつ、徐福はさらに西へ東へと旅を続ける…


ここで、ナレーションによる豆知識が入る

「龍という想像上の動物世界中存在しているが、シルクロード東西に進んでいくとき、形状がかわってくる。多神教東洋では崇められ天をゆうゆうと飛んでいくが、キリスト教など一神教地域では悪魔の使いとなり地を這うような形になっていった」

そして徐福シルクロードを進んでいき、まさに東と西の中間のような竜が描かれている遺跡や、これもまた龍の象徴である「竜巻」などを見る。見ているうちに「そもそも皇帝の言うことが理不尽なんじゃね?」とブラック企業への怒りが沸き起こる徐福は、旅を切り上げて中国に帰還する。



始皇帝「おお、徐福か。確かに三神は受け取ったぞ、お手柄じゃ…最後の竜はどこに?」

徐福そもそも龍は、多くの動物の特徴を組み合わせたもの。それを持ってくるというのは不可能でございました」

みるみる不機嫌になる始皇帝。しかし徐福

「されど!私は竜をついに見つけました!!実は龍は…皇帝陛下自身にございます!龍とはまさに支配者であり神!皇帝陛下こそ龍なのです」

始皇帝「ふむ…世辞をもって実物の代わりとするか。まあそれもよかろう」

おべっかと分かりつつも悪い気持ちはしない始皇帝

その機を見計らって……からの〜

徐福「そこでお詫び方々、このような情報をつかんできました。ここより東の国に不老不死の妙薬があるとか」

始皇帝「な、なんと!」

徐福「もしお許しをいただければ、その薬を探す旅に出たいと思います。…もっとも、船の規模も費用も、膨大なものになるでしょうが」

始皇帝「よし許す許す!! もしその薬を持ち帰れば、終生わしはお前を崇め奉るぞ」



場面変わって、巨大な船に乗って海に出る徐福


徐福「わはは、やったやった!!…馬鹿め、不老不死の薬なんかあるものか。うまくやって、俺はあの国から逃げ出すことができたんだ!」

徐福の部下「徐福様、これからどこへ行きますか」

徐福「そうだな…東にある倭の国にでも行ってみるか」



ナレーション「その後、日本の国に徐福はたどり着いたのかもしれない。辿り着かなかったかもしれない。そしてこの数年後、始皇帝崩御し、まもなく秦は滅んだ」


以上が、自分が「四神」をしるきっかけとなった、思い出の中の漫画作品です。…この広い世界には「俺も読んだことある!」「覚えてる!」という人がいるんじゃないか、とは思うのだが

2018-12-15

1日遅れの【恒例投稿】12月14日、恒例で三波春夫「俵星玄蕃」と、赤穂浪士の色々

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まいとしの再投稿です。(ことしは1日遅れだが…)


D

時に元禄十五年十二月十四日江戸の夜風をふるわせて、

響くは山鹿流儀陣太鼓

しかも一打ち二打ち三流れ、思わずハッと立ち上がり、

耳を澄ませて太鼓を数え

「おう、正しく赤穂浪士の討ち入りじゃ」

太刀するは此の時ぞ、

もしやその中にひるま別れたあのそば屋が

居りあわせぬか、名前はなんと今一度、

逢うて別れが告げたいものと、けいこ襦袢に身を固めて、

小倉の袴、股立ち高く取り上げし、

白綾たたんで後ろ鉢巻眼のつる如く、なげしにかかるは先祖伝来

俵弾正鍛えたる九尺の手槍を右の手に、

切戸を開けて一足表に出せば、

天は幽暗地は凱々たる白雪を蹴立てて行手は松阪町…


ここからは関係記事や、再紹介をば。

2016年制作したtogetterです

忠臣蔵赤穂浪士)」についてのあれこれまとめ - Togetterまとめ http://togetter.com/li/1058174


恒例「プロレススーパースター列伝風 忠臣蔵

http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1163236875/l50

295 :愛蔵版名無しさん2006/12/14(木) 05:03:55 ID:kanBpBk4

12/14にふさわしいネタ

吉良上野介「ギャアアーーーーッ!!

      なッなんでおれ一人を全員がマークしてきやがるんだあ!?

      さ さては内蔵助の野郎 こいつら全員にいいふくめ

      おれを47対1で全殺しにするワナを仕組んだな!!

 

296 :便乗タン :2006/12/14(木) 05:18:49 ID:???

浅野内匠頭「あ〜ッ!いった いった ミーが一番トサカにくることを〜〜!!」

 

297 :愛蔵版名無しさん2006/12/14(木) 05:36:23 ID:???

大石内蔵助「い……

        いま、おれは吉良をブッころしても

        当然のケース!」

 

298 :愛蔵版名無しさん2006/12/14(木) 06:03:58 ID:???

むしろ時代劇の悪役ほど、いったん領内に帰ると

名君、いいやつがおおい!!

逆に、名前はあげぬが時代劇正義の味方ぶる殿様に、

じつは殿中で刃傷沙汰をおこして家臣を路頭に迷わせるような

バカ殿がすくなくない!

時代劇フアンの夢をこわしたくはないが…………


そもそも俵星って、ラノベやら少年ジャンプの「味方側のおいしい『師匠役』の元祖」論。

過去記事から

また在る意味、ストーリーテリングの妙というのは時代を超えて共通

物語の中盤、主人公のチームを鍛えた儲け役の「老師」「鬼コーチ」役が主人公ラスボスクライマックスでちょっと登場。

 

「おお、ついにやったな、お前ら!!俺も助太刀するぜ」

「いいえ! この敵だけは、僕たちが自分の力で倒さなきゃいけないんです!!」

「フッ・・・相変わらず馬鹿な奴だな。分かった、邪魔する雑魚のほうは引き受けるぜ、はやく魔王を倒して来やがれ!!」

 

これジャンプでしょ、少年ジャンプ(笑)


忠臣蔵の前半で、とある「脇役」が活躍した経緯、という話。「記録者が 自分を盛れば 無敵なり」

忠臣蔵異聞〜「歴史の脇役」(多門伝八郎)がちょっとだけ自分をかっこ良く記録に残したら、大成功した話。(佐藤孔亮氏の著作から) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141214/p6


江戸の「赤穂浪士論争」とは

ことしは新資料を紹介(PDF

http://repository.seikei.ac.jp/dspace/bitstream/10928/115/1/kokubun-44_52-62.pdf

この浪士への幕府裁定は、次のように理解することが出来る。?主人の仇と唱えて、?徒党を組んで、?飛び道具などを持参して吉良邸へ押し込み、義央を討ち取ったことは、公儀を恐れない極めて不届きな行為である。?では、浪士が仇討ちと唱えたことは認めているが、討ち入り自体仇討ちとは認めない。?と?は当然、禁止されている行為で、これは一種のテロ行為とも考えられるものである。では本当に、浪士の行為仇討ちとはいえず、彼らを「義士」と認めることは出来ないのであろうか。これ以降、(略)この問題をどう解釈するかは、諸家により繰り返し論じられることになる。これが「赤穂事件論争」である。

  ◆ ◆ 

佐藤直方は『佐藤直方四十六人之筆記』において、長矩の刃傷を、時と場所を無視した大法に背く公法違反と考える。本当に長矩にやむを得ない遺恨があったのなら、勅使接待役の職務を全うしてから刃傷に及ぶべきであったとする。そして、重要な儀礼の場での刃傷は武士らしからぬ腰抜けの行為であり、しかも、相手を討ち漏らしたのは「無勇無才」の嘲笑すべき人物と長矩を評し、切腹領地召し上げは当然のことと断じる。また、この刃傷は「当座の喧嘩」などではなく、実際は義央は長矩に背後から斬られたのであるから、義央は浪士の仇とは見なせず、復讐すべき相手にはなり得ないとも指摘する。さらには、手向かいせずに討たれた上野介も、 「死タルニ劣リ、恥キコト也」と難じている。

少々余計なミステリー風味のつけたしはあるが

忠臣蔵 元禄十五年の反逆 (新潮文庫)

忠臣蔵 元禄十五年の反逆 (新潮文庫)

は、基本的にこの「忠義論争」プラス丸谷才一の論考などをいろいろに絡めた面白い歴史考察でありました。


赤穂浪士が「あっぱれ忠義の士よ。それを罪人扱いのXX藩は、武士の風上にも…」となったんで、桜田門外の刺客は下にも置かぬもてなしになった、つー話。

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風雲児たち最新刊補遺忠臣蔵以来の、江戸の<実戦>が生んだ悲喜劇。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121212/p2

風雲児たち 幕末編 21 (SPコミックス)

風雲児たち 幕末編 21 (SPコミックス)

杉浦日向子「吉良供養」(「ゑひもせす」収録)

竹熊健太郎氏の追悼文より

http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/07/post_86f5.html

・・・同世代では極めつきの才女であっただけに、気にはなっていた。この人の『吉良供養』(『ゑひもせす』所収)は大傑作だ。マンガ家としての才能と、時代考証家としての知識が、ここまで高度な融合を遂げた例を、俺は知らない。読めば「忠臣蔵」に対する見方が180度変わる。シミュレーション漫画とでもいうのか、あるいはルポルタージュ漫画とでもいうべきなのか、吉良邸討ち入りの様子を可能な限りの史料を駆使して完全再現していて、その律儀さにも驚いたが、同時にマンガとしての面白さにも驚いた。ここでは正確無比な「考証作業」が、そのままエンターティンメントになっているのだ。いかに赤穂浪士極悪非道卑怯な・・・・

ゑひもせす (ちくま文庫)

ゑひもせす (ちくま文庫)

ゑひもせす―杉浦日向子作品集 (アクションコミックス)

ゑひもせす―杉浦日向子作品集 (アクションコミックス)



赤穂浪士の話が自分にとっては「最後の勝者は『物語』である」というテーゼに行き着く。

歴史とは 語りし者が 勝者なり」の実例堤清二氏とか、赤穂浪士とか(やや再論) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140918/p2

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上の画像引用した「仁義なき忠臣蔵」を収録した、「冗談新撰組」が、12/16付で「復刊ドットコム」にて増補の上、刊行…、と。

新選組」×「忠臣蔵

時代劇鉄板ネタ豪華2本立て!

『風雲戦国伝』『挑戦者たち』に続く、復刊ドットコム風雲児たち外伝」シリーズ第3弾!! 歴史大作『風雲児たち』で注目を集める、みなもと太郎。その著者が2003年刊行した作品集に、新たに短編2本を加えた増補改訂版が、復刊決定です!

▼収録内容

◇「冗談新選組

◇「仁義なき忠臣蔵

みなもと太郎三谷幸喜との対談を完全再録

ボーナストラック:「徳川慶喜」「チャカポンくん」短編2本

新規語り下ろしの「あとがき

新選組」と「忠臣蔵」、日本人なら誰もが知っている時代劇鉄板ネタ漫画化した異色作品集

「冗談新選組」は、みなもと太郎にとって初の時代劇漫画。「仁義なき忠臣蔵」は、「歴史読本」で連載され、独自の忠臣蔵考察話題になった問題作劇作家三谷幸喜が「冗談新選組」の大ファンだったことが縁で、2004年NHK大河ドラマ新選組! 」の連携企画として行われた、みなもと太郎三谷幸喜との対談も完全再録しています。 また、ボーナストラックとして、「徳川慶喜」「チャカポンくん」短編2本を収録。さらには、あとがき新規語り下ろしで収録。カバーは『風雲児たち』の表紙でおなじみの工藤陵のイラストを使用。

※本作品は、2003年イースト・プレスから刊行された『冗談新選組』を底本に、短編2本と新規語り下ろしあとがきを加えた増補改訂版です。

著者について

▼著者プロフィール

みなもと太郎(みなもと たろう)

1947年京都市北区生まれ。1967年「兄貴かんぱい」でデビュー1970年から「週間少年マガジン」で連載された「ホモホモ7」は、パロディを中心としたギャグマンがとして新境地を開拓2004年、第8回手塚治虫文化賞・特別賞を受賞。2010年には『風雲児たち幕末編』で第14回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を受賞。

2018-12-13

「涼宮ハルヒ」シリーズって「学園お騒がせ集団のリーダーが女性」な点が斬新だったのでは?(めちゃくちゃ初歩的なところから語る)

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はてなブログの人気の書き手が、これまたとあるブログに刺激されて「涼宮ハルヒ」 シリーズについて長文を書き、またそれに刺激されて書かれた匿名ダイアリーが人気を読んだりしています。

再考・『涼宮ハルヒの憂鬱』のどこが新しかったのか - シロクマの屑籠 https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20181211/1544515200

 

アニメ涼宮ハルヒの憂鬱』の流行を振り返る https://anond.hatelabo.jp/20181212171225


※その大本には、さらに http://moegirls4ever.hatenablog.com/entry/2018/11/30/220328(現在削除) https://togetter.com/li/1295732というのがあるらしい。

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

自分はこの作品を一応は読んだり見たりしているけれども、非常に浅い読者、視聴者であります。何しろ、皆に言われて(格闘技観戦記ひとすじのid:lutalivreさんにすら薦められたのは、今となっては自慢だ(笑))ようやく2011年に見たのだもの。ただ今回の話題は同作品が「どの点で画期的だったのか?」が議論の中心となっています。

創作物の系譜起源、そのパターン化を辿るのは、このブログの過去記事にも多数あるように自分は大好きだった。(この記事もつけた、タグの「創作論」をたどってもらえると多くは見られる)

こんなまとめも作っては現在も更新してるしね

【追加可能元祖系譜お約束などに関する「まとめのまとめ」&関連リンク 『初出・系譜ポータル』 - Togetter https://togetter.com/li/902024


だから元々、「涼宮ハルヒ」を見る動機もその確認という意味が大きくあったんですよね。だから偉そうにいうなら、ある意味で、先行して考えていた、と言ってもいいかもしれない。

ゆえに、ぜひこの機会に、自分としての過去の「筋読み」を披露させていただき、広くご批判ご指摘をいただきたいと思うのです。

と、いっても

実に自分の感想は凡庸、平凡でね… ほかのブログは、それを既に大前提としている可能性も大いにあるんだけど。

簡単に箇条書きします

涼宮ハルヒ」の画期的なところは

・既にあった「学園変人もの(お騒がせ集団もの)」で

 

・「学園を大騒動に巻き込む、お騒がせ人間」のリーダー女性

 

・それに戸惑いながらもつきあう、巻き込まれ方の語り手が男性

だったことが、何より画期的だったんじゃないか?と思うのですけど。



「学園お騒がせ集団」については、その裏になる「生徒会」のほうを一度しらべて、まとめたことがありました。

強大な権力を持ち、主人公ライバルになる『非実在生徒会』の歴史元祖は?【創作系譜論】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150118/p3

 

非実在生徒会」の歴史や特徴について、頂いた情報をまとめます【創作系譜論】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150119/p2


そこの一覧の中で、「学園名物のお騒がせグループ」的に物語で語られていた(主人公の周りに人が集まり、徐々にグループ化していくものも含む)のは1、2の三四郎(1978) 3年奇面組(1980)コータローまかりとおる!(1982)究極超人あ〜る(1985)…などかと思うし、グループとも言い難いけど、「マカロニほうれん荘」なんかも、自分イメージとしてはこの中に入る(観測範囲バイアスがあることは認める!!)。

「学園お騒がせ集団もの」としての涼宮ハルヒは、見立てとして以前から「要はSOS団光画部で、ハルヒ鳥坂センパイなんだ」とずっと言い続けてきました。何しろちゃん作品を読む前から(笑)読んだ後も、その見立ては変わらない…というか自信を深めました。そういう過去記事がこちら。

今月WOWOW放送した「涼宮ハルヒ」シリーズをほんのちょっとだけ見た感想 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110527/p3

  

評論家浅羽通明が「涼宮ハルヒの憂鬱」を論じたよ(メールマガジン流行神」) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101009/p3

 

弊衣破帽のバンカラ→「むわーかして!」→「ただの人間に…」の系譜 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090116#p4

 

世の中の漫画ライトノベルには「学園変人もの」というジャンルがある。 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091105/p4

 

■「学園お騒がせ集団vs生徒会」のシチュエーションの源流をたどるとどこへ行く? http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101125/p4

 

■<ヤクザが○○をしたら・・・>ものの系譜 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100303/p2

 

考察・「あ〜る」の光画部スクールカーストの上位?下位?外? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151021/p1

f:id:gryphon:20100104061540j:image

ただ、こういうお騒がせ集団のイケイケどんどんな暴走リーダー主人公女性(まあ「美少女」なんだろうけど)であることは、やはり画期的だったのではないでしょうか。

それはジェンダー的、フェミニズム的な意味においても。

といいつつも、自分は「これまで男のキャラクターだった『学園名物、お騒がせ集団リーダー』が女性になった」ということを、ジェンダーフェミニズム的にいいことと手放しで評価できるかといえば、「単純なパターン破り」とか「どうせならこの役、女の子にしたほうが受ける(いわゆる「性的消費」?も含めて)よね」ということもあるだろうから、留保はしたいと思います。そのへんは、以下に書いた通り。

キャラクターの「パターンを破る」のと「偏見の打破」の関係について(再論)〜「進撃の巨人」を例に - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160603/p1

高度に発達した「テンプレ破り」は、ポリコレ区別がつかない(俺は)。女性民族キャラクターなどを例に…… - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160508/p3

シン・ゴジラ女性性を強調しない登場人物(尾頭課長補佐)が人気に見えるのは、ポリコレ的に大変いいこと…なのかしら? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160810/p2

だけれども、やはりこういう感じのステロタイプの打破に、意識してか無意識的にかは分からないが、なっていたと思うのです。

理系学習マンガは誰を先生役にし、誰を生徒役にしてきたか。−NHKキズナアイ騒動をうけて

http://adenoi-today.hatenablog.com/entry/20181009/1539098342

 

もう一つの「性別役割分担」と偏見〜『昔の学習漫画って男の子がバカ役、女の子がお利口役が定番だったよね?』 - Togetter

https://togetter.com/li/1275743

「学園もの」で、別に女性陣がそんなにお飾り的だったわけではない。マカロニほうれん荘時代から、お騒がせがわのやることに、 女性陣はツッコミ役として大活躍し、ついでに言うとそのツッコミは、一部でどんどん暴力的にもなっていきました(笑)。※先鋭的なギャグマンガが多かったから、ツッコミ表現も非現実的暴力制裁みたいな描写結果的に多くなった。

また少女漫画だと、たぶん「あんみつ姫」や「はいからさんが通る」のような「おてんば娘」の物語も多数あったはずで、このへんが主人公パートナーとどういうふうな関係があったかも本来は追ってかなければいけないだろうけど、力不足につき略す。(おてんば娘の相手役は、キョン君的に振り回されるのでなく、おてんば娘よりさらに一枚上手で、包容力を持って見守ってくれる…みたいなパターンもあるし。)

ただまあ、80年代なのかなあ…、上に書いたようにフェミニズムジェンダーというよりは「どうせならこの役も、可愛い女の子にやってもらった方がいいよね」という発想でどんどん女性活躍が広がり、主人公女性にやってもらうような作品まで生まれました。

また観測範囲バイアスたっぷりなんだけど、 女性人の主人公が「暴走するおっちょこちょい」、冷静な男性がそれをハラハラしながらサポートしていく、ということでは藤子 F 不二雄「エスパー魔美」(1977年)「機動警察パトレイバー」(1988年)などがあるわけでしょ。

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機動警察パトレイバー(1) (少年サンデーコミックス)

機動警察パトレイバー(1) (少年サンデーコミックス)

そしてなんだ、「スレイヤーズ」が1990年、「GS美神 極楽大作戦」が1991年か。(これらは主人公とは別方向に補佐役がバカ

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2003年の「涼宮ハルヒ」は、こういう流れを受け継いで「学園もの」に持ってきたことが画期的だったんじゃないかと、すっごく浅いレベルで仮説を立ててるんですが、いかがでしょう?


お知らせ

一つ前のエントリで「2018年マンガ10本」を選定しているので、よければどうぞ

【完成】「2018年マンガ10傑」(第3回「内山安二賞」も)を選定します。 - ) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20181210/p1




追記 コメント欄で宮澤英夫氏からこういう指摘を頂きました

コメント欄だから下を見ればそのままあるんですが(笑)検索などもできるようになるので本文に転載します

宮澤英夫 (https://twitter.com/miyazawa_hideo)2018/12/14 03:13

私も確かにメジャーシーンでは、非実在強大生徒会の源流は「究極超人あ〜る」で間違いないと思います。

しかしそれは「あ〜る」とハルヒとの比較のみにて立証するものではなく、ゆうきまさみ先生の過去作『時をかける学園(ねらわれた少女)』と、その元ネタになったドラマ版『ねらわれた学園』の存在が大きいと考えるのです。

ねらわれた学園 (1982年のテレビドラマ)

1982年原田知世版『ねらわれた学園』で主人公グループと敵対する生徒会長高見沢みちる(伊藤かずえ)は超能力生徒会を我がものにし、学園を支配しようとします。

これまでの弁舌のみを武器とする生徒会と違い、インテリ層にありるながらも物理を超える超能力教師の影響力を無化し、同じく超能力を持つ楠本和美(原田知世)や関耕児一派と対決します。

そして高見沢みちるの背後には未来から来た京極がおり、ドラマの展開はギャグが加算されつつ原作通りでありながらも、そのラストは今の若者が見ても度肝を抜く超展開でした。


これと映画時をかける少女』に感化されまくったゆうきまさみ先生は、二つの原田知世主演ドラマを元に『時をかける学園』を月刊OUT内で二次創作マンガとして発表します。

この漫画では「時をかける少女」と「ねらわれた学園」が混ぜこぜになった構成を採っていますが、大筋は「ねらわれた学園」で原田知世絡みのオチとラストは「時をかける少女」に沿います。

ここでも伊藤かずみに似せた超能力生徒会長が出てきますが、会長や京極、ケン・ソゴルや関耕児ら戦ってる連中がボケ倒すので、原田知世まんまの楠本和美は突っ込み役に回り、収拾の付かないままケン・ソゴルのラベンダーで眠らされ、その面影を追って天国にいちばん近い島に行くというメタオチで閉めます。この『時をかける学園(ねらわれた少女)』が更にベースとなって『究極超人あ〜る』が産み出されるのです。


一方、ドラマ版『ねらわれた学園』に影響を受け『ヤヌスの鏡』などの実写ドラマ大映ドラマが強権生徒会を描くようになり、生徒vs教師陣という教育問題に到る大枠対決を発生させなくてよいという利便性から、漫画アニメ生徒会を対抗勢力として描く事を取り入れるようになります。その背後には『究極超人あ〜る』が挟撃文脈を補完した影響がかなり大きいように見えます。


実はドラマ版『ねらわれた学園』には新人の頃の伊藤和典先生が各話担当で参加しており、後にゆうき先生と組んで『起動警察パトレイバー』を企画したり、『究極超人あ〜る』でも文芸部長・伊東としてキャラ化されています。この時期に伊藤・ゆうきらパラクリ一派(他にとりみき・河森正治先生等)がSFマガジンやSFアドベンチャー(徳間書店)などでギャグテイストのSSや中編を発表、これが後にライトノベルの先駆けとなった作家陣に影響を与えることとなります。

つまり現在に至る非実在生徒会の源流はドラマ版『ねらわれた学園』にあり、ゆうき・伊藤先生らのフィルターを通して女性生徒会長イメージ漫画アニメに浸透した、というのが私の見方です。


追記

その後、ブクマで浮上したハルヒ論。正直、このへんの感覚は「世代の差」と「リアルタイムで見てない」、そして「当方の思い入れが浅い」ことで、実感を持って共感するというのとは違うのですが、面白く読みました

当時16歳の私から見た『涼宮ハルヒの憂鬱https://anond.hatelabo.jp/20181213160908

 

ハルヒ個人的には海外オタクとの緩やかな交流を挙げる https://anond.hatelabo.jp/20181213232336

togetterでの関連まとめ 実にありがたく参考になります。あらかじめ上で書いてますけど、少女漫画方面の先行例などは特に不案内なので。

まとめ者はhttp://d.hatena.ne.jp/mizunotori/、現在はtwitterに主戦場を移して https://twitter.com/mizunotori のかた。

涼宮ハルヒの「お騒がせ集団女性リーダー」像は斬新だったか? - Togetter https://togetter.com/li/1297996

宮澤英夫宮澤英夫 2018/12/14 03:13 私も確かにメジャーシーンでは、非実在強大生徒会の源流は「究極超人あ〜る」で間違いないと思います。しかしそれは「あ〜る」とハルヒとの比較のみにて立証するものではなく、ゆうきまさみ先生の過去作『時をかける学園(ねらわれた少女)』と、その元ネタになったドラマ版『ねらわれた学園』の存在が大きいと考えるのです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AD%E3%82%89%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%AD%A6%E5%9C%92_(1982%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)
1982年の原田知世版『ねらわれた学園』で主人公グループと敵対する生徒会長・高見沢みちる(伊藤かずえ)は超能力で生徒会を我がものにし、学園を支配しようとします。これまでの弁舌のみを武器とする生徒会と違い、インテリ層にありるながらも物理を超える超能力で教師の影響力を無化し、同じく超能力を持つ楠本和美(原田知世)や関耕児一派と対決します。そして高見沢みちるの背後には未来から来た京極がおり、ドラマの展開はギャグが加算されつつ原作通りでありながらも、そのラストは今の若者が見ても度肝を抜く超展開でした。これと映画『時をかける少女』に感化されまくったゆうきまさみ先生は、二つの原田知世主演ドラマを元に『時をかける学園』を月刊OUT内で二次創作マンガとして発表します。
https://twitter.com/masyuuki/status/729931088320073728
この漫画では「時をかける少女」と「ねらわれた学園」が混ぜこぜになった構成を採っていますが、大筋は「ねらわれた学園」で原田知世絡みのオチとラストは「時をかける少女」に沿います。ここでも伊藤かずみに似せた超能力生徒会長が出てきますが、会長や京極、ケン・ソゴルや関耕児ら戦ってる連中がボケ倒すので、原田知世まんまの楠本和美は突っ込み役に回り、収拾の付かないままケン・ソゴルのラベンダーで眠らされ、その面影を追って天国にいちばん近い島に行くというメタオチで閉めます。この『時をかける学園(ねらわれた少女)』が更にベースとなって『究極超人あ〜る』が産み出されるのです。
一方、ドラマ版『ねらわれた学園』に影響を受け『ヤヌスの鏡』などの実写ドラマ、大映ドラマが強権生徒会を描くようになり、生徒vs教師陣という教育問題に到る大枠対決を発生させなくてよいという利便性から、漫画やアニメも生徒会を対抗勢力として描く事を取り入れるようになります。その背後には『究極超人あ〜る』が挟撃し文脈を補完した影響がかなり大きいように見えます。
実はドラマ版『ねらわれた学園』には新人の頃の伊藤和典先生が各話担当で参加しており、後にゆうき先生と組んで『起動警察パトレイバー』を企画したり、『究極超人あ〜る』でも文芸部長・伊東としてキャラ化されています。この時期に伊藤・ゆうきらパラクリ一派(他にとりみき・河森正治先生等)がSFマガジンやSFアドベンチャー(徳間書店)などでギャグテイストのSSや中編を発表、これが後にライトノベルの先駆けとなった作家陣に影響を与えることとなります。
つまり現在に至る非実在生徒会の源流はドラマ版『ねらわれた学園』にあり、ゆうき・伊藤先生らのフィルターを通して女性生徒会長のイメージが漫画・アニメに浸透した、というのが私の見方です。

gryphongryphon 2018/12/14 03:25 ありがとうございます。
段落やリンクの形式を巣孤影変えたうえで、この記事とhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150119 の記事の本文の中に転載させていただきます。

2018-12-10

【完成】「2018年マンガ10傑」(第3回「内山安二賞」も)を選定します。

| 【完成】「2018年マンガ10傑」(第3回「内山安二賞」も)を選定します。を含むブックマーク 【完成】「2018年マンガ10傑」(第3回「内山安二賞」も)を選定します。のブックマークコメント

ぱち

ぱち

ぱち、と。

このマンガがすごい!はたしか11日発売。その前に、ちょっとだけでも先行して発表しようと思います。ただ、時間がかかるので何回かに分けてUPします。お手数ですが、何度かご来訪してください。(現在は完成)


それでは・・・・・「2018年漫画10傑」をば。その前に恒例、この賞の特徴、注意点について。

【重要な注意点】

「10傑」は1−10位の順位付けをしているわけではありません。

うちの賞の基準として、、『一度選んだものはことしは自分が実際に面白いな、すごいな、と思っても優先しない』ようにしています(多少の例外はある)。

「なんであれ入ってないの?」と思うものは、これが理由なことも多いと思います。

※この記事の末尾に、過去の賞へのリンクがあります。

同時に、2017年から、それを補う特別枠も作りました


それではいってみよーー

まず、ここに、一覧を掲載

まず先行して、紹介記事かいたものを一覧化します。これも、徐々に追加していきます。

 

作品名作者表紙
10傑かまどのありがちシリーズ(仮題)かまどf:id:gryphon:20181210040754j:image単行本なし。「オモコロ」参照
10傑はしっこアンサンブル木尾士目
はしっこアンサンブル(1) (アフタヌーンKC)

はしっこアンサンブル(1) (アフタヌーンKC)

10傑ゴールデンカムイ野田サトル
10傑ハコヅメ〜交番女子の逆襲秦三子
10傑レキアイ
レキアイ! 歴史と愛 1 (星海社COMICS)

レキアイ! 歴史と愛 1 (星海社COMICS)

ここからも読めます
10傑彼方のアストラ篠原健太
10傑邦キチ! 映子さん服部昇大
10傑じけんじゃけん!安田剛助
10傑へんなものみっけ!早良朋
へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)

へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)

10傑諸星大二郎劇場諸星大二郎
10傑+1寄生獣リバーシ太田モアレ
寄生獣リバーシ(1) (アフタヌーンKC)

寄生獣リバーシ(1) (アフタヌーンKC)

※このあと「特別賞」をUPします


■「2018年マンガ10傑」(その他特別賞)



かまどのありがちシリーズ(仮題)/かまど

いきなり変化球ですかね(笑)

でもこれを漫画10傑に選ぶのは、奇をてらった訳でもなんでもなく、公平に判断してのことです。

思えば漫画をはじめとする創作物が世に溢れていくにしたがって、その物語の構造を研究する、キャラクターを分類する、設定を考察する…そんなふうな「遊び」が、マニアから一般に広がっていきました。それが「あるある」や「お約束」というような形で広い範囲に可視化され、ネタとなっていきます。

一部は深夜ラジオ、あるいはファンロードやOUT になり、いけば本格的な研究になり、そしてその中の最良の蓄積が「メタな笑いを武器にした漫画作品」として結実しました。

誰の目にも分かるのが、竹熊健太郎相原コージのコンビによる金字塔「サルでも描けるまんが教室」ですが、その後も久米田康治の「かってに改蔵」「さよなら絶望先生」「かくしごと」などはこういうキャラクターや物語のお約束を笑いの材料にして人気を博したわけです。それがメインというわけではないが篠原健太「SKET DANCE」や、麻生周一斉木楠雄のサイ難」などでもサブキャラにこの笑いを取りに行くキャラクターをはいしました。

そして、「オモコロ」で掲載されてきた「かまど」さんによる

 

かまどのありがちシリーズ

https://omocoro.jp/matome/134179/


は、正しく「サルまん」「かってに改蔵」「さよなら絶望先生」の系譜に位置付けられる、物語(漫画)のお約束をシンプルな研究でも、単純なツッコミでもない、物語の中での笑いとして活用し切った大傑作なのではないか、と思うのですよ。

不肖わたくしも、このブログ内、あるいは更新がつづく https://togetter.com/li/902024 などで、物語やキャラクターパターン、お約束については興味を持ち続けてきたほうだと思う。そこから見ても、「よくできている!」とうならざるを得ない珠玉の作品ぞろいです。



サムネイルの一部分を紹介しましょう。

f:id:gryphon:20181210031658j:image:w640

「どこにでもいるごく普通の高校生」検査

【性格別】「悪の組織」によくいる敵とその裏切り方11パターン

【わしの修行は厳しいぞ】漫画の師匠にありがちなキャラ10選

ラスボスにありがちなキャラとその動機11選

男子が選ぶ!下ネタを振られた時の女子のリアクション11選

漫画にありがちな「顔の傷跡パターン」厳選10!



こいつ、何を描いてるん(パァン)  だ(笑)…といいたくなるぐらい、ツボをついている。

f:id:gryphon:20181210031732j:image:w640

ふつうの漫画読者はゲラゲラ笑い、漫画マニアはううむとうなり、創作者の側は「一見(いちげん)さんお断りじゃなくて、百見さん(詳しすぎてこっちの出方を先回りする連中)はお断りだ!」と叫びたくなる…そんな珠玉の作品ばかり。

あえて一言文句をつけるなら「HUNTER×HUNTER幽遊白書好きすぎだろ」ということぐらいだね(笑)

しかしあの作品に、演出上の画期がこんなにあることを、初めて氏の作品で気づいたという面もある。

今後の新作をますます期待します。

そしてこのかまど作品集が、なぜに紙の単行本になっていないのか???誠に解せない話です。出版社が争奪戦を行ってもいいぐらいなのに。…あ、「お約束」を潰しすぎて、漫画業界のお尋ね者になってるのかもしれない(笑)



はしっこアンサンブル木尾士目

はしっこアンサンブル(1) (アフタヌーンKC)

はしっこアンサンブル(1) (アフタヌーンKC)

げんしけん』の木尾士目が新たに描く工業高校×合唱の青春物語! 声にコンプレックスを抱える藤吉晃。声変わりから極端に低い声になった彼は、「声を使わない仕事に就けるかも」という理由もあって工業高校に進学した。しかしそこで、合唱部を作ろうと意気込む同級生・木村仁と出会う。木村は藤吉の声に魅力を感じ、「一緒に合唱やろう!!」と誘ってきた! リアルな工業高校の日常と、歌で人の心が繋がってゆく青春模様です!

げんしけん」で、まったり文化部もの、「ファン漫画」の一代エポックメーキングを作り出した作者は、いくつか他の作品をまたいで、げんしけんの「続編」を描きこれまたヒットさせた。

元々、げんしけんで知られる前はむしろハードでドロドロした「人間関係」に焦点を当てた作品で知られている人であったし、この後、どの路線に進んでいくのかは少しばかり注目されていたような気がしたが、 「非主流の王道」と言うべき作品での勝負となりましたな。

「非主流の王道」というのは

・それほど、これまで扱われてはいなかった部活動

・その分野のディティール、うんちくにこだわって描写する

・そのマイナーな分野の部活動に、メンバーが集まるところからドラマを展開する

f:id:gryphon:20181210042014j:image:w640

……といったものです。これは扱う分野が マイナーだからその時点で始めから王道じゃないんだけれども(笑)、それでも一ジャンルとして、すでに成立している分野であることも間違いない。と言うか、 この前出版された河合克敏の研究ムック本で作者の木尾士目さんは河合氏へのリスペクトを表明し「はしっこアンサンブルは取材に基づいて描いてるけど、書けば書くほど『とめはねっ!』はすごいなあと感心させられる(大意)」みたいなこと書いてるからね(笑)。

※この本な

そういう、ブルーオーシャンからレッドオーシャンになりつつあるような「パープルオーシャン」と言ってもいい分野だと思う。

ただ、これも1ジャンルである「主人公はちょっと受け身の常識人、その人たちから見たマイナー部活動の奇人たち」という描写は、作者の質を反映して主人公の内面の磨き方が流石だと思わせるものがあります。

そしてまあ、 主人公から見ての観察対象となっている「行動的な奇人」は…今はアスペルガー障害という概念が出ているから、 逆に「そっちなんじゃないかな?」と思ってしまいややセンシティブになるんだけど(そういうの僕だけ?)、基本的に「空気を読まないキャラクター」。その空気の読まなさが、逆に功を奏して、これまで周囲の誰もが敬遠していた、暴力的な不良キャラクターを籠絡し、メンバーに加える…というところまでお話が展開しています。

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ここから、高校合唱部の競う場である「MHK合唱コンクール」 も登場するようです。ここからどのように展開していくのか。作者がリスペクトする「とめはねっ!」とも対比させつつ、追っていきたいと思います。



ゴールデンカムイ野田サトル

 『不死身の杉元』日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的の為に大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手掛かりが!? 立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そして、アイヌの少女、エゾ狼との出逢い。『黄金を巡る生存競争』開幕ッ!!!!

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これ、当ブログの「過去に十傑にランクインした作品は、再ランクインはかなり厳しくする」という規定に入ってると思ったんだが、入ってなかったんだよな。まあ、今更の大ヒット作品、どこがすごいって書いても陳腐な指摘になってしまうだろうね。アイヌワイルドな食材や料理法は確かに面白い。

f:id:gryphon:20181210033535j:image:w640


一方で作者自身が「変態が大好き」と書いているような猟奇性や、一周回って現代的なようでやっぱりオールドスタイルな「男をあえてお色気っぽく描写すると、それだけで笑いになるでしょ?」的なくすぐりは個人的には特にウケない。

あと「狩人・狩猟民への、好意的(ここ重要)オリエンタリズム」とここで命名したいような部分もあって、これはいい方向に作用していると思う(あとで系譜を調べつつ書きたい)

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ただ、自分が10傑に入れたい一番大きい部分は「三つ巴、四つ巴ものはやっぱり面白い」ということ…に尽きるわ。杉元やアシリパさんのグループと、鶴見中尉の第七師団、そこに「(※函館五稜郭の「蝦夷共和国」に続き)もう一度国が作れる気がするだろう?」とうそぶく、函館戦争を実は生き抜いていた土方歳三一派・・・と、そして自分は史実と虚構がうまく入れ子になっているものが好きなので、やはり三つ目が「土方歳三」なのは大きいです。

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どこで話したっけかな、あまりに面白いから、もともと西部劇っぽいこれをもういちど、アメリカを舞台に翻案してアイヌアメリカ先住民、土方歳三→旧南軍(リー将軍にしますかね・・・)みたいに翻案すればハリウッドいけるんじゃないですかね。





ハコヅメ〜交番女子の逆襲/秦三子

ハコヅメ~交番女子の逆襲~(4) (モーニング KC)

ハコヅメ~交番女子の逆襲~(4) (モーニング KC)

「もう辞めてやる!」辞表を握りしめた新米女性警察官・川合の交番に、なぜか刑事課から超美人の藤部長が配属されてきた。「岡島県警(の男性陣)を絶望におとしいれるコンビの誕生である。某県警に勤めること10年、隠そうとしても漏れ出てくる作者の本音がヤバい! 理不尽のち愚痴、時々がんばる、誰も見たことのない警察漫画。※労働基準法は警察官に「一部」適用外です。

 

著者について

泰 三子

某県警に10年勤務。2017年、担当編集者の制止も聞かず、公務員の安定を捨て専業漫画家に転身する。短編『交番女子』が掲載され話題になっていた「モーニング」誌上で、2017年11月より『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』の週刊連載がスタート!


警察が持つひとつの特徴は、日常的な運営にはいわゆる体育会的、あるいはもっと悪い言い方をするならブラック企業的な体質(超過勤務なども)を持つ一方で、官僚の中の官僚、といっていいほど形式や順法にこだわる官僚的体質も持っていることだ。(旧日本軍にも似ている部分はある)

刑事ドラマでは、そのへんは逆に無視しないと話が作りづらいが、逆にこの「ハコヅメ」は、ふつうの警察ドラマでは切り捨てられるそのへんの体質や、細かい運営上の規則に焦点を当てて、そこから笑いをとろうという「反転させた」部分が面白いっす。

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ただ、その種の理不尽さがもっとも「暗黙の了解」だった相撲界でもアウトになるご時勢。ほんの数十センチでも道をそれれば真っ逆さまに落ちてしまう(シャレにならないだろ、笑えないだとと言われる)。実はそのギリギリさが、少なくとも今までのところは笑いに転嫁されているように思います。(たとえばその種の理不尽な行為を、むりやり形式上はコンプライアンスぎりぎりに収めるようにする糊塗のしかたとかね)

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そしてそれでも「やっぱり警察はがんばってるお!!」というところに収斂させていくのも、やはりそれはそれで安心感のある読み物となっております。

そして作者のこのかた、本当に某県警に10年勤務したというから、日本漫画界の層の厚さたるや…そして、いろんな界隈の闇の深さたるや…

参考

日本中に散らばる「漫画が描ける中間層」が、自分の得意分野の啓蒙を漫画でしまくって知が集積し過ぎる。こういうののアンソロジーをつくれ。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160704/p1



レキアイ/亀

レキアイ! 歴史と愛 1 (星海社COMICS)

レキアイ! 歴史と愛 1 (星海社COMICS)

内容紹介

世界史に名を残す天才たちは、愛のカタチも規格外!

ゲーテ ナイチンゲール ダーウィン

マリー・アントワネット ダンテ ルター

マリ・キュリー オデゥッセウスとペネロペ

管仲と鮑叔 ヴェートーヴェン サド

チャイコフスキー ゴッホ 武則天

の歴史と愛が登場します!

世界史に名を残す天才たちは、愛のカタチも規格外!ゲーテ ナイチンゲール ダーウィンマリー・アントワネット ダンテ ルターマリ・キュリー オデゥッセウスとペネロペ管仲と鮑叔 ヴェートーヴェン サドチャイコフスキー ゴッホ 武則天の歴史と愛が登場します!

著者について

漫画家

世界史の漫画サイト「歴史系倉庫」を運営。

著作に『世界史の問題児たち』(PHP研究所)。

Twitterアカウント:@rekisikei

 基本的に雑誌を追う古いタイプの読者なので、ネット上で定期公開される系の作品は1、2本を除いてつい見逃してしまうのだが、この作品は発表されれば楽しく読んでいる。歴史実話、偉人かつ変人の面白エピソードをショート漫画として発表するというのは、やろうと思えば多くの人がいろんな切り口でできるんじゃないか、とは思うのだけど(「決してマネしないでください」が物語内挿話としてやってましたね)現在、継続的にやってくれているのはこの作品なのだから、まずはこの作品をほめたい。

レキアイという題は「愛」で、偉人の恋愛話、結婚話を中心に描いているのだけど、作者さんが本当にそこに一番興味あるかは読んでいると疑わしい(笑)。

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ただ、自分も別に偉人の恋愛にはそれほどの興味ないので、それを「隠れ蓑」にして一般向けにアピールしつつ、いろんな奇人伝を描きたいとおぼしき作者さんの姿勢に好感が持てるのです。

ネットが最初の発表媒体で、今見る限りはずっと掲載が続いている同作品、紙書籍の意味は低いかもしれないが、一応紙書籍出ている。(自分も買った)



彼方のアストラ篠原健太

宇宙への往来が当たり前になった近未来高校生のカナタ、アリエスら9名は“惑星キャンプ”に旅立つ。未体験の宇宙旅行に胸を躍らせながら惑星に降り立った彼らを待ち受ける、予想外の事態とは!? 近未来SFサバイバルストーリー、始動!!

それでも町は廻っている」の石黒正数らを筆頭に、「とにかく構成力があるよな」「伏線とかをきっちり張っているよな」という「巧い系」の漫画家さんというのがいて、篠原健太先生がその系譜にいることはたぶん間違いないと思う。ジャンプで必要な才能か不必要な才能かはわからん(笑)

これも元はネット、それもジャンプ系のサイトで発表していたので、まったく存在を知らず、一時期は「篠原先生はSKET DANCEで十分稼いだから、もう引退して悠々自適で暮らしているのだろう。残念ではあるが、それもひとつの人生かもしれない…」みたいなことを公言してたからな、まったく失礼であった。ただ、当初はあんまり目立たなかった、ともいえるとは思う。

少年少女のグループが事故ではぐれてしまい、自分たちだけで生き残っていかねばならない、という「十五少年漂流記」からの偉大な設定は、やはり何度でも書き継がれていくものだろうし、漫画でも漂流教室、自殺島、などがあった。宇宙空間がサバイバルの舞台なのは、古典SF「月は地獄だ!」以来かな?アポロ13とか、オデッセイとか映画であったね。少年+宇宙もの+サバイバルは、篠原氏が尊敬する藤子・F・不二雄氏が「宇宙船製造法」で描いた。

(このへんの例示はガバガバなので、詳しい人ならもっと系譜を挙げられるかと思います、バイファムとか…)

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面白いのは、宇宙船を、子供たちは一応動かせるので、星々で補給をするための「サバイバル」と、故郷に戻るための「航海」を両方やっていく。そして星のひとつ一つに個性があり、そこごとに違う種類の冒険やドラマを描けるという…ぜいたくな作りですね。

そしてさらに、そこに「仲間の中に、実は別の目的を持った裏切り者がいる!それは誰なんだ‥‥?」というサスペンス

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そしてさらに、そこから名作映画「XのXX」や星新一のとある短編をほうふつとさせるような大掛かりなSF的設定構築のどんでん返しも仕込んでいる(正直、この設定にはやや甘さや粗が目立つとも思うが、そこの精密さよりもあっと驚く奇想を取ったのだろう。)

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正々堂々、横綱相撲の「SF漫画」が少なくなって久しいこの時代に、横綱相撲を取り切った。高い評価を完結後大いに受けたのも当然かと思います。

twitterフォロワーがとても多い有名人、「たられば」さんの推薦。(ひとつ埋め込みにして、後をコピーします)

見事に、本当に見事に、最高の意味で「その思い込み」は裏切られました。もし同じように考えてらっしゃる方がいらしたら、断言します。その「心地よいイメージ」は完全に上位互換されるでしょう。いいから読め。篠原先生の「いいところ」が全部出てて、それでいてまったく違う作品に巡り会えるなんて。


全5巻完結(スピンアウト作品希望!)。読後感の爽やかさといったら、見える空の色が変わるくらいです。久しぶりに「あぁぁぁ、読み終わってしまう、この幸せな時間が終わる。嫌だ、、でも止まらない…」とページをめくり続けました。SFです。コメディです。そして「行きて帰りし物語」です。


序盤から複雑に張り巡らされた伏線が華麗に畳まれてゆく「展開力」が魅力の作品なので、ここでは内容には触れませんが、壮大なストーリーと(篠原先生らしい)魅力的なキャラクター、丁寧な構成は、何回でも読み返せる味わい深さにあふれています。いやーすばらしい。お薦めありがとうございました!


そんなわけで作品リンク置いておきます。気をつけろ! あっという間に引きずりこまれるぞ!! 私は朝方まで読みふけって今朝めっちゃ寝不足です!! 篠原健太先生、眠いです! ありがとうございます!!! 生きててよかった! あと何度こういうすばらしい出会いがあるだろう!


うへへ。広まってる広まってるぞ。。好きな作品は広まることにも喜びを感じるよね。うへへ。なお全部読み終えてから全5巻の表紙を順に見直すと泣きたくなるし、『SKET DANCE』好きはボッスンやヒメコ、スイッチが『彼方のアストラ』のキャラの中に息づいてることを感じられてさらに泣きたくなります。


今日の月は舟みたいだ。暗い夜空を、星をまたいで漕ぎ行く月の舟。上等なSF作品を味わうと、見上げる夜空から受け取る物語がよりいっそう素敵に感じられますよねー。



「邦キチ! 映子さん」/服部昇大

天然系女子高生が放つ、邦画プレゼンという名の暴力──!!

邦画が好きで好きで、人に薦めずにはいられない!! そんな少々ハタ迷惑な性分の女子高生・邦キチこと邦吉映子が、この度「映画について語る若人の部」に晴れて入部!! 唯一の部員として部長の洋一を相手に、少々マニアックな邦画(一部例外アリ)をひたすらにプレゼン! プレゼン!! プレゼン!!! その視点、その愛情、その圧力。全てにおいて規格外!! 本邦初の邦画プレゼン漫画、誕生!!

「ファン漫画」というジャンルについて過去に語ったりまとめてきました。

それは(1)何かが好きなファンたちの生態、とんでもない言動をを面白おかしく描写する、 ということと(2)ファンが自分の好きなものに関してある時は真面目に、ある時は極端に振り切っておもしろおかしく「プレゼン」するという2種類があるようです。

映画秘宝とか、何よりテレビアメトーーク!」で「〇〇芸人」をやって完全に一般化したけれど、どっちが先とかでなく、手に手をとって進化し続けてきました。




これに関しては、すっげー詳しくここで研究してますのでご一読を。

「ファン漫画」の歴史を年表化してたどってみる【創作系譜論】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151004/p2


この中でも映画に関する漫画は「木根さんの1人でキネマ」「テレキネシス」など、このジャンルでの先頭を走っている感があったのですが・・・、

今年の夏、こんなはてな匿名ダイアリーが話題になりましたね

映画語り漫画で面白いものがまだ一作もない事実 https://anond.hatelabo.jp/20180823115109

この内容には別に賛同しないのだけど、 そもそもこんなふうに「映画語り漫画」が1ジャンルとして成立するほど増えたことに感動した次第だ。この時知った新作の漫画作品がたくさんあるんだが、そのうちの一つがこの 『邦キチ! 映子さん』でした。

f:id:gryphon:20181211020909j:image:w640

同作品はここに掲載されていて、同サイトは

珠玉の女性向け漫画WEBサイトを 名乗っているのだが、この作品に関しては「どこがだ」としか言いようがない(笑)

http://comip.jp/spinel/

しょーもない作品を、そのしょうもなさを誇張しつつツッコミつつ語る、と。これもまた「非主流の王道」といえば言えるわけだけど、そこで十分に面白いのは作者の腕ですね。

いちおう「女性向け」に関する最低限の言い訳部分と言うべきか、ボケる女性主人公と突っ込む男性副主人公は、昔昔昔のレトロな少女漫画の雰囲気を持っている。

(最新版の「日ペンの美子ちゃん」書いてる人だからまあね…)

6代目 日ペンの美子ちゃん

6代目 日ペンの美子ちゃん

…のだけど、もちろん「だからどうなんだ」としか言いようがない暴走っぷりであります。

あとひとつ、ここで題材にされるようなツッコミどころ満載の邦画が作られている、その現場にも乾杯!!!


「じけんじゃけん!」/安田剛助

部室で密室トリック!?学食で毒盛り!?離島の洋館に夏合宿!?ミステリ好きのちょっと変わった美人先輩と過ごす、事件だらけのスクールライフ♪ミステリファンもそうでない方も楽しめる、新感覚のミステリ×日常コメディ

上の『邦キチ! 映子さん』と同様に、「ファン漫画」の一つ、ミステリーのファン漫画として位置づけられる作品なんですが、なかなかにミステリーとファン漫画は、やってみると相性がいいんだな、これが。

なぜかを箇条書き的に考えてみると

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ミステリーというのは確かに熱狂的ファンが事実として存在している。

・その一方であくまでも「お遊び」でなければならない(そうじゃなかったらマジで殺人や盗難が発生していることになるもの!)

・部活動と言う枠組みがあるので、その中で様々なドラマが展開できる(ここは「邦キチ」ではあえてやってないところである)。

・また「学校を舞台にした日常ミステリー」は先行作品がたくさんあるので、それに近いような話もできるし、それを前提としたパロディもできる…

・様々な古典ミステリーへのオマージュ、無理があると言われている動機やトリックへのツッコミなども活用できる


そういう部分が大きいんじゃないかと思っております。

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部活動が舞台で、ノリノリの暴走美少女に、常識人の範疇である男の主人公がツッコミ役を兼ねながら振り回される…という点では「涼宮ハルヒ」シリーズの系譜を受け継いでいる、と言ってもいいのかもしれません。

絵柄は決してへたというわけではないのだが…何かしら「硬さ」「不慣れな感じ」が感じられたりするんだけれども、それは徐々に解消されてはいる。

あ、そうだ。高く評価するのはシャーロックホームズが、結構作品内で引き合いに出されたりする点で、それをやると俺は個人的にかなり高いボーナス点を追加するので、 この作品が「10傑」に入るのは、微妙にアンフェアなところがあるかもしれない(笑)

そして最後に耳寄り情報

「じけんじゃけん!」はソク読みサイトで、1巻がすべてネット無料公開されている。そんなら紹介文読むより直接作品読んだほうが早い(俺も書いた後で知ったんだよ!)

https://sokuyomi.jp/product/zikenjaken_001/CO/1/



へんなものみっけ!/早良朋

へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)

へんなものみっけ! (1) (ビッグコミックス)

動物好き必見!命と向き合うお仕事。

知ってましたか?博物館のウラ側はとってもアクティブ!

市役所から、博物館に出向になった薄井 透は、

そこで鳥類研究者の清棲あかりと衝撃的な出会いを果たす。

知られざる博物館の裏側、そして100年後に届く仕事とは…?

動物好き、博物館好きにはたまらないミュージアムコメディー!



博物館はお堅い展示をしてるだけの地味な場所?

いえいえ、実は生命の神秘に迫る熱い研究者たちが、

海へ、山へ、世界の果てまで『へんなもの』を集めに行ってるんです!

南極の氷、フクロウの巣立ち、深海魚調査、花を愛するおじさま研究者

博物館は毎日どこかで大さわぎ!

【編集担当からのおすすめ情報】

動物たちがたっくさん出てきて、海へ、山へ挑む研究者たちは、まさに現代の冒険家です。

徹底的な取材と体験で、生き生きとした動物たち、熱い人間ドラマを、新人作家・早良朋さんが描きます!

読めば博物館イメージがひっくり返ることまちがいなしです!

詳細は、すでに書いているこちらをご覧ください(手抜きではなく、本来はこのように先に詳細を書いておいてリンクを張るだけが理想だった。今回は逆にこれしかできなかったが…)

早良朋「へんなものみっけ!」〜 暴走知的奇人(女性)と、困惑しつつサポートする常識人(男性)が博物館を駆ける!(ホームズ/ワトソンもの) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180710/p1

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最新刊が間もなく発売

へんなものみっけ! (3) (ビッグコミックス)

へんなものみっけ! (3) (ビッグコミックス)



諸星大二郎劇場/諸星大二郎

不思議で奇怪な新作、満載。

怪異な世界と通じる祭り。

日常に潜む不気味な出来事。

今、最も身近な怪獣の物語。

意志を持ってしまった影……

鬼才・諸星大二郎が描く、

コミックス初収録の奇怪譚、満載。

あなたはきっと

まだ見ぬ不思議に遭遇する。

編集者からのおすすめ情報 〉

ビッグコミック増刊号』にて好評連載中の「諸星大二郎劇場」で掲載された読み切り作品を中心に、人気の短編シリーズや、傑作読みきりを収録。

その全てが諸星大二郎短編集に初収録されるものばかり。必見です!!

これももう、「諸星大二郎の、あの作風です。その最新刊です」というプレゼンですべて言い尽くせるな(笑)。

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にしても、(1949年生まれで、間もなく70になろうという年配の作家が、まだ旺盛な創作意欲を持っていることに感謝感謝だ。

ただ、画像を紹介した作品は、実に直球の…異世界と現実社会を「民俗学」的なものでつないだ作品だが、映画の世界と日常がつながる、コミカルかつ論理的説明をやや抜きにして展開する作品…藤子不二雄A的というか…そんな作品も、最近は描かれていて、肩の力を抜いたそっちも楽しめますね。それはこの単行本に載ってたかな?一本だけそういうのがあったかな(ゴジラ映画の話)


11になっちゃうけど、ちょっと無理やり入れる枠 「寄生獣リバーシ

寄生獣リバーシ(1) (アフタヌーンKC)

寄生獣リバーシ(1) (アフタヌーンKC)

人類とパラサイト生存競争は、終わる事無く世界中で続いている。新一とミギー、伝説の陰で繰り広げられた、もう一つの生存競争がここに明かされる。大量バラバラ殺人を捜査するベテラン刑事・深見。彼は、通報者の高校生・タツキの冷静さに、違和感を覚える。その違和感の源は、タツキの家族に在った…。不朽の名作「寄生獣」、その裏側を描く物語がここに開幕!

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これについては、回をあらためて論じる。「スピンオフ」「二次創作」全体についてを語りたい




以下、「10傑」+1選定を終え、特別賞の発表につづく。


【第3回内山安二賞】へんなものみっけ!/早良朋  「はたらく細胞」シリーズ/清水茜

へんなものみっけ! (3) (ビッグコミックス)

へんなものみっけ! (3) (ビッグコミックス)

はたらく細胞(1) (シリウスコミックス)

はたらく細胞(1) (シリウスコミックス)

肺炎球菌

肺炎球菌

※大前提である「内山安二賞」とは何か?こういうことなのでご了解ください(笑)↓ 啓蒙、情報の面において優れた漫画を選ぶものです

知の巨人内山安二氏賛歌。そして第1回「内山安二賞」受賞作が決定!(※俺の心の中で) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160706/p1

リンク先に書いてあるようにこの内山安二賞」は、知の巨人内山先生を記念し、優れた学習漫画…と言うか広く啓蒙、知識の伝達に功績のあった漫画を表彰するものです。もちろん亡くなった内山先生の遺族や出版社の許可も何も取っていません(笑)。俺の心の中にある賞です(笑)


この賞は10傑との同時受賞が許されたかな?と思ったけど、許されるも何も俺がルールを作ってたのだった。いま、同時受賞OKにします(笑)

へんなものみっけ!は博物館とのコラボなどもあり、この後も親しまれていくと思う次第。


はたらく細胞!はこの賞のスタートから最有力候補だったが、なんか「これは後に温存しておこう」と思ってるうちにアニメ化までされて「いまさら賞とかあげてもね…」という、手塚治虫状態になってしまったわけだが、そんな心配が必要な賞でもなかった(笑)そういうわけであらためて差し上げる。

アニメ化反響を見てわかったんだけど、あれなんだよな、台湾とか、海外でも人気なんだ。イギリスかどっかの専門の医学者がyoutubeで解説したりしてたし(笑)

よく考えたら、からだの仕組みは世界共通だから、普遍性は十分にあるんだ。海外でも売れる!!かどうかは、雑菌を白血球やT細胞が駆除するシーンが放送コードにひっかかるかどうかによる(笑)

D



 【連載山場賞】ナポレオン覇道進撃(ロシア遠征篇) / 長谷川哲也   ※「連載山場賞」とは、或る程度連載が続いているものを対象に、全体ではなく「その年に盛り上がりを見せた」作品を表彰するものです。過去に10傑に選んだ作品を、主に対象とします(そうでないなら普通に10傑入りするので)

栄華を謳歌するかに見えたナポレオン時代にもいよいよ陰りが…遂にロシア戦役に突入!それぞれの思惑と政治が錯綜する読むだけで歴史が学べる1冊!

ナポレオンが栄光の絶頂から、スペインでの「ゲリラ戦争」勃発と対イギリスの大陸封鎖令の不徹底で消耗し、その打破のためにロシア遠征に乗り出していくさまを描いている。それは面白くならないわけがないんでな。

これまでの戦争についても作品は描いていたけど、別にナポレオンの勝利は必然ではないし、ロシア遠征失敗もまた必然とは言いがたい。勝敗はほんのちょっとの差、たとえば「AとBの道がある。相手を避けるためにはどちらに向かうか?」

という、どっちにも根拠があるような判断などで決まる。しかし絶頂期のナポレオンのそういう丁半の判断、多くは正しく、また没落期の多くははずれくじをひく(結果として正しかったから絶頂期に至り、結果としてはずれたから没落した、といえばそれまでだけど)



【特別功労賞】ばらかもんヨシノサツキ   鮫島、最後の十五日佐藤タカヒロ  ※特別功労賞は、連載をその年に終了した作品が主な対象となります

さよなら、ばらかもん

半田が島に来てから1年が経とうとしている。

ヒロシは東京へ旅立ち、美和たちは進路を悩む中学3年生に、そしてなるたちは小学2年生になる。

みんなに、大きく小さく、いろんな変化が訪れていた。

去年と同じことなんて、きっと一つもない。

2008年から10年に渡って繰り広げられたハートヒートアイランドコメディばらかもん」、ここに完結。

当初は「よつばと!」・・・それから中学生らのキャラ的には「+あずまんが大王」を離島でやるとこんなふうになるかもしれない、と思ったりもした(笑)

、自然豊かな田舎で、都会の人間が人間性を回復するーーーというコンセプトだとしたら月並みだったが、離島の住民たちが「純朴」でも、その逆の「小狡さ、しがらみに拘泥する田舎くささ」でもなく、なんと「アナーキー」な存在であるという方向性で描写されたことが面白かった。また都会住民たるはんだ先生も、元から十二分におひとよしの善人だったため、この舞台装置で予想されるお決まりのパターンからややストライクゾーンを離れたボールを投げ込み続けた。



過去の一覧です 以前一度受賞した作品は、今すごく面白くても外してること多いです(例外はある)

■「2017年マンガ10傑」を選定します。第2回「内山安二賞」なども併せて授与。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20171202/p1


■「2016年マンガ10傑」を選定します。「特別功労賞」もあの作品に - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161208/p1


■ひとあし早く、当ブログの「2015年/2014年マンガ10傑」を選定 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151120/p1

 

■(番外)「知の巨人内山安二氏賛歌。そして第1回「内山安二賞」受賞作が決定!(※俺の心の中で) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160706/p1


■「見えない道場本舗」選定・2013年度漫画10傑 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140702/p2

 

■「見えない道場本舗」選定・2012年度漫画10傑 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130331/p2

 

■「見えない道場本舗・2011年度漫画10傑」(※ここから順位なしの10選に) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120402/p1

 

2010年度漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110327/p1

 

2009年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091210/p2

 

2008年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081231#p4

 

2007年は「06年とほぼ同じなので休み」となっていた)

2006年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061230#p2






このマンガがすごい!

んで、このマンガがすごい!2019は

むかしは表紙でネタバレしてたが(笑)、いまは当日になって伏せておいた表紙画像が見られるようになるという寸法…いや、画像切り替わらないかも。

もうニュースとして発表になった

このマンガがすごい!2019』 オトコ編1位『天国大魔境』、オンナ編1位『メタモルフォーゼの縁側』|ORICON NEWS|Web東奥 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/125880

2018-12-08

【拡散希望】12/26まで公開「宗像教授異考録」の「百足と竜」エピソードが、超傑作なので是非読んでほしいねん

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宗像教授異考録 第1集 (ビッグコミックススペシャル)

宗像教授異考録 第1集 (ビッグコミックススペシャル)

無料公開。

一度このURLに行った後、ふつうに検索してもなっかなか見つからなくて、探すのに時間がかかっちゃったよ…

https://www.ebigcomic4.jp/

内の

https://www.ebigcomic4.jp/title/122455

での配信だ。最初に言っておくけど、これ、ふつうに「宗像教授」とかで探しても出てこないぞ。 てか イーブックジャパンってところの独自の企画か

ただまあ、どこが無料配信勧進元であろうが、そんなことはどうでもいいのだ。

とにかく、「宗像教授異考録」シリーズは、その前シリーズ「宗像教授伝奇考」も併せて、いうまでもなくイイ!のである。

しかし、ぼくは当然、雑誌連載でも単行本でも読んだ。いまさらの話だが……しかしそれでも、百の説法も「無料公開」には勝てないのである。いや、逆に言うと「無料公開」の時に便乗して説法をすれば、その効果は通常の二倍三倍…どころじゃない。通常のベアークローが2つで2倍、いつもの二倍ジャンプして4倍、そこに通常の3倍のひねりを加えて12倍になるぐらいの効果だ。

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※この画像の話、http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20180223/p1 でもしています



で、……特に個人的に、ほとんどが傑作の宗像教授シリーズでも、特に印象深いのがこの「百足と竜」の回なのだ。


お話は、無料公開なのだから読んでもらえばいいので、あらすじを述べる要もあるまい。

しかし、印象的すぎるシーンを抜粋させてもらおう。

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ね、もうなんというかね……伝奇ものというか、偽史ものというか、伝説ものというか、そういうものが好きな人は、上の紹介したコマだけで心躍らんかね???


藤原英郷のムカデ退治伝説

日光山赤城山の蛇とムカデの合戦伝説日光には、この舞台になったと世に伝わる「戦場ヶ原」という地名もある)

・金堀り衆のムカデ崇拝

・そういう金の採掘集団が、武田軍の軍事面でも貢献した(らしい)

山本勘助の異形伝説


……こういったものをだね……いや、作者の星野之宣氏ははっきり公言している。「宗像教授」で描いていることは、ほとんどが想像力こじつけのたぐいで、本気で主張しているような仮説はあまりない、と。

しかし、なんてすごい、すばらしいこじつけだろう!!

伝説神話は、人間想像力というものがやっぱり世界どこでも五十歩百歩なこともあって、一致点も多い。人間ストーリーテリングに携わる限りはそうなるものだ。

だから、それを「コレとアレは共通している!!そこには、何かの繋がりが…」とやれば、まれに本当に繋がりがあったことも、人の移動があったこともあれば、偶然の一致ってこともあっただろう。


しかし、それを「敢えてつなげて、へんてこな創作仮説を作る」…これの楽しくも難しいことよ。自分星野之宣、そして同時代に天が遣わした、敢えて対比させるかのような作品を描く諸星大二郎……

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彼方より (諸星大二郎自選短編集) (集英社文庫(コミック版))

彼方より (諸星大二郎自選短編集) (集英社文庫(コミック版))

このふたつの「星」が好きすぎて、パロディ創作をしたりしてきたからよくわかる。

(俺が書いたパロディは例えばこれ↓)

テンプレラノベ伝奇考」、或いは「フィールド・ノート」…着替え・遅刻遭遇説話の伝播を探る - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160130/p4


本当に、各種の伝説神話民俗学知識を集めて、それを自由自在に配置し、そこから一本のお話をつくる…そこは非常に特異な才能が必要だし、この二人は、超絶的なレベルでそれを競っている、ということなんだ。

いま、くしくも両者の名前に、ともに「星」が入っていることに気づいたけど、そこからアドリブで考えれば、本来はランダムに、意味もなく天空に配置している星を、意識的意図的に繋げて図形を作り、それを物語に当てはめていく「星座」を紡いでいく営みに近いのではないか。あっ、こういうこじつけだよ!!それを諸星氏も、星野氏もやっているんだよ!!


まあまあ、とにもかくにも話を戻すなら、諸星氏の名作の電子無料公開も今後期待するとして、まずとりあえずはこの星野之宣氏の「百足と竜」をご堪能いただきたい。

これは「宗像教授」シリーズがコミックトム連載の「伝奇考」からビッグコミック系の「異考録」に移籍再開する際の初期作品としてかなり気合を入れて描いたらしいエピソードで、続きものとして最終的には50ページを超える作品になっている。分量的にも、さまざまなドラマや謎解きが重層的に重なっており、実にどうにも、読みごたえと余韻のある好作品であります。


なお、この百足と竜に関しては、冒頭でひとつのピースとなっている、ムカデ退治伝説藤原秀郷に関連して

http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/exhibition/kikaku/181027fujiwara/index.html

栃木県立博物館第122回企画展藤原秀郷−源平と並ぶ名門武士団の成立−」の開催について

藤原秀郷−源平と並ぶ名門武士団の成立−」と題して、栃木県立博物館第122回企画展を開催します。

企画展の内容等

 平安時代の中ごろに活躍した下野武将で、中世東国武士の祖とされている「藤原秀郷(ひでさと)」は、平将門の乱を鎮圧したことをきっかけに、歴史の表舞台に登場しました。武芸と軍略に優れる秀郷は、朝廷から将門討伐の最高殊勲者に認められ、武門の頂点として東北支配にあたる鎮守府将軍に任命されており、のちに源頼朝をはじめとする鎌倉武士から武芸開祖として仰がれています。

 今回の企画展は、藤原秀郷の足跡と、今に語り継がれる大ムカデ退治で有名な「俵藤太(たわらのとうた)伝説」を通してその実像に迫るとともに、全国に広がった秀郷流武士団について紹介します。

 また、国宝重要文化財17点を含む歴史資料美術資料を中心に約130点を展示します。

 なお、本企画展は、文化庁との共催です。

開催日程

 平成30(2018)年10月27日(土曜)〜12月9日(日曜)

という催しが北関東で、・・・・あれ?きょうと明日まで??? 12月9日まで開催されているようだし(すべりこみだ)


いつかは一寸やってみたいなと思わないでもない、「FGO」というゲームにも、彼の別名として知られる「俵藤太」が最近登場した。



そして何より、金堀衆と武田軍団ムカデ信仰については

森秀樹ムカデ戦旗」という、

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ムカデ戦旗(1) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(1) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(2) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(2) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(3) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(3) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(4) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(4) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(5) (ビッグコミックス)

ムカデ戦旗(5) (ビッグコミックス)

そのものずばりの、これまた大傑作があることをお伝えしておきます。

(試し読みでもけっこうページは読める https://csbs.shogakukan.co.jp/book?book_group_id=9044

MM 2018/12/11 08:42 オバQでしたかな。
「俵藤太はムカデ」「ウルトラキュー!」という、史上に残るナンセンス一コマがありましたな。

gryphongryphon 2018/12/11 08:48 叫び声ギャグというジャンルがあるんだよなあ