今年のCDアルバム

 私にとって、今年は昨年に比べて不作の年となりました。とはいえ、これぞ!というアルバムも発表されました。今回は、そのうちの私が今年印象に残った作品をピックアップしてみたいと思います。

  • 「ヒップホップ・イズ・デッド(Nas)」

 昨年年末に発表された作品。日本語版にもかかわらず訳が付いていません。現状のヒップホップに対する痛烈な批判と、それでもヒップホップの可能性を信じるという強いメッセージがこめられた作品となっています。

  • 「+44(+44)」

 ブリンク・182のメンバーであるマーク・ホッパスとトラヴィス・バーカーが立ち上げたバンドです。ブリンク・182が活動停止状態となった様子を具体的に歌った、「No, It Isn't」がいいです。

リバティーンズのメンバー。ピーター・ドハーティが引きいるバンド、ベイビーシャンブルズのセカンドアルバムです。前作から一気に完成度がよい作品となっています。

今年、私が聞いた中ではもっとも印象に残った作品です。現状の米国におけるラジオ局の多様性の欠如を批判する「Radio Nowhere」など、全曲ともすばらしい内容となっています。

 昨年発売された作品です。アイドルから脱皮し、これからこの路線でやっていくんだ!という強い意志をこめて作られた作品です。

  • 「エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス(Foo Fighters)」

前作の2枚組みの大作から約2年ぶりの新作アルバムです。前作の路線を継承し、従来なら激しいリズムで演奏される曲もアコースティック調に演奏されていたりと、Foo Fightersとして新たな段階に入った作品となっています。

カニエウエスト待望の新作ですが、今回はよりグラミー賞を意識し、より「売る」ということにこだわった内容になっているように感じます。その中でも、「ストロンガー」は抜群のものであり、「すごい!」というほかないです。

  • 「honeycreeper(PUFFY)」

オリジナルアルバムとなっている近作は、私としては「これぞ邦楽」といえる作品であると思います。


こうやって見てみると、なんだ色々あるやん!ってことになりました(笑)。

今年の本

 CDに引き続き、本をリストアップしてみました。

  • 「大仏破壊―ビンラディン、9・11へのプレリュード 高木 徹 (著) 」

 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品の本書。当時のアフガニスタンで何が起こっており、その後の世界史においてどのような影響を与え、また、与え続けているのかについてわかりやすく読むことができます。

  • 「ニセモノはなぜ、人を騙すのか? 中島 誠之助 (著) 」

 鑑定士としてTVで出演されている中島 誠之助さんの本です。これが面白い。常に「本物」を見ることによって「ニセモノ」を見極めることができるんですね。

  • 若冲になったアメリカ人 ジョー・D・プライス物語 ジョー・プライス (著), 山下 裕二 (著)」

 江戸時代の画家、伊藤若冲の収集家として有名なジョー・D・プライス氏の半生を描いたインタビュー本です。「ニセモノはなぜ、人を騙すのか?」にても触れられていますが、絵画なんかを見る場合は、できるだけ当時の環境に近づけて見ることによって、まったく見た印象が変わってくるという話は感心しました。蛍光灯の元で見る絵画は当時と見た目が変わってしまっているわけですね。

  • 「リアル・リーダーシップ―成功のための五原則 ピーター・ジョージェスク (著)」

 本書は、ビジネスハウツー本ではなく、今もこれからも、ビジネスだけではなく人間として何が求められているか?を明確に示した本です。あわせて、「真相―イラク報道とBBC グレッグ ダイク (著)」を読むと、よりいっそう本書の内容に説得力が増します。まさに、原点に戻るべきときにきているんでしょう。

 鈴木宗雄事件で共犯として逮捕された佐藤 優氏の当時の拘置所における取調べと事件の背景を描いた自身の著作です。故ロシア語通訳者の米原万理さん(非常に辛口で有名でした)が新聞の書評欄で珍しく褒めていたので興味を持っていた本で、今年文庫化されたのにあわせて読みました。どう思うかは読者にゆだねられるとおもいますが、何年か後には真実が見えてくるんでしょう。

  • 「自壊する帝国 佐藤 優 (著)」

 大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品となった本書は、筆者がロシアに赴任していたときにソ連が崩壊していく様をリアルタイムに描いています。

 今年の新書を代表する作品でしょう。太っている人には太るための「努力」をしている。これを自らコントロールできるようにしましょうという内容ですね。

  • 「「長寿食」世界探検記 家森 幸男 (著) 」

 NHKで放映された「長寿の謎を解く」で知った元京都大学名誉教授の家森 幸男さんの本です。家森さんは、世界保健機関(WHO)から委託研究というかたちで世界中の人の健康調査を行った結果、ある結論が提示されています。自らの健康を自ら守るためいかにすべきなのか?普段からの食事の改善こそ第一歩であると実感させられます。「長命」ではなく、「長寿」こそが大切なんですね。

  • 「遺品整理屋は見た! 吉田 太一 (著) 」

 NHKでドキュメントが放映されていたのがTV放映できる範囲であるとすれば、本書は実際の現場における実態が赤裸々に描かれています(つまり、あまりにも生々しい内容ということですね)。死んだら人間バイバイではなく、後に残されたものがその後片付けを負担するということを考えておかなければなりません。本書にはこれから増えていくであろう事例が紹介されており、いずれ、社会的にサポートする必要が出てくると思います。

  • 「顔のない男―東ドイツ最強スパイの栄光と挫折 熊谷 徹 (著) 」

 東ドイツにおける秘密警察シュタージの対外諜報部門の責任者ヴォルフに焦点を当てた本書。国民を信頼しないところを出発点とし、西ドイツのみならず、米国のCIAやNSAなどの世界中の諜報機関にスパイを送り込むことに成功したシュタージを擁した東ドイツがなぜ最終的に消滅したのか?考えさせられる本です。今年の食品偽装事件などと背景が共通する部分が多くあり、一国させも消滅してしまうという重い事実は現在の日本においても警鐘をならすものであると思います。

  • 「普通の家族がいちばん怖い―徹底調査!破滅する日本の食卓 岩村 暢子 (著) 」

 正直、どのように調査したのか?いまいちよくわからない部分が多いので半信半疑な本ですが、まぁ、こんな家族も存在するという事実だけは覚えておく必要があると思います。

 経済学の古典です。しかし、今読んでもなんら古びていないことに驚くと同時に、これをかいたシュンペータがまだ20代だったというのにも驚かされます。しかし、これを読むと、現在の日本では新結合は起こっていないというのが感想ですね。

以上、今年は本についてもリストにしてみました。こうやってみてみると、ネットだけではなかなか見えない情報源が本にはあるというのがよくわかります。やっぱり、本を読むことは大切ですね。