星のつぶやき このページをアンテナに追加 RSSフィード


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2017-01-08

[]HDD更新 20:29 HDD更新を含むブックマーク

天体写真をはじめ、手元のデータは現在、PCの4TB HDD*1にオリジナルを、NAS上の4TB HDD*2×2(RAID 1)にそのバックアップを取る形で運用しています。

しかし、天体写真のRAWファイル、16bit FITSファイルや惑星を撮影した無圧縮動画ファイルなど、容量を食うファイルが激増した結果、あっという間に残り容量が心もとなくなってきました。年末の段階で、PC側、NAS側ともに使用率が95%に達しようとしています。

NAS履歴を追ってみると、わずかここ1年で1.2TBを食いつぶしている計算。明らかに失敗の動画や写真を捨てれば少しは容量が空くとは思うのですが、選別が面倒なうえ、こんな勢いでデータが増えるのでは、早晩またいっぱいになるのは目に見えています。


そこでこの連休中に、HDDを大容量のものに更新することにしました*3。狙いは8TBクラスのもの。6TBは価格的に魅力がありますが、上記のような勢いでデータが増えるのでは1年半もすればまた買い直しということになりそうですし、10TBはまだちょっと高すぎます。

本音としては、円がもう少し高くなるなりして値段が下がってから買いたいところですが、今の円安傾向では今すぐ値段が下がることは考えにくいですし、むしろ年末の仕入れ価格のまま変動がストップしているこの連休中の方が有利かもしれません*4

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というわけで、土曜日に秋葉原に行って買ってきました。「WD Red 8TB WD80EFZX」3台で、しめて税込11万400円。ほぼ最安値で買っているはずですが、消費税だけで8000円以上取られています。財布にやさしくない……orz

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WD80EFZXは、HDD内部にヘリウムを充填してプラッタなどの空気抵抗を減らし、発熱や消費電力、騒音の低減をはかる「HelioSeal」技術を採用しています。このヘリウムが漏れないよう、WD80EFZXでは外装にネジ留めではなくレーザー溶接を用いています。HDDの外見が、普通のHDDと比べて全体的にノッペリした感じに見えるのは、この関係があるのだろうと思います。

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ただ、これが見た目だけの問題ならいいのですが、おそらく同原因でHDD底面のネジ穴の位置が変更になっています(側面のネジ穴は従来通り)。これで困るのが底面からHDDを固定するタイプの機器。実はウチのNAS、PCともにドンピシャで、結局、トレイにネジ2本だけで固定せざるをえませんでした。

PCの方は別途アダプタ経由で5インチベイに設置することも考えたのですが、ケーブルを引き回し直すのが面倒だったのと、エアフローが明らかに悪くなるので見送りました。まぁ、激しい動きや振動が加わるわけではないですから、おそらく大丈夫でしょう。


音や性能に関しては、今のところ可もなく不可もなく。少なくとも、ヘリウム充填技術を採用したからといって、体感レベルで劇的に何かが変わる、というものではないようです。


【2017.1.12 追記】

ちょっと訂正。本格的に使い始めてみると、音は明らかにWD Red 4TBよりうるさいです。アクセス音はガリガリとかなり派手に鳴りますし、回転音についても(NASの筐体と共振している可能性はあるけど)唸るような低音が気になります。とはいえ、巷のレビューを見ているとSeagateのものよりはマシなようですし、他に代わるものもないので、こういうものだと諦めるしかないようです。


ともあれ、これで容量にだいぶ余裕ができました。おそらく2〜3年は大丈夫でしょう。しかし、これで容量が足りなくなったら次はどうしましょうかね?昔ほど飛躍的にHDDの容量が増えるという感じではないですし……。NASの方もいよいよ4ベイかなぁ( ̄w ̄;ゞ

[]予定外の出費 20:29 予定外の出費を含むブックマーク

HDDを買いに土曜は秋葉原をうろついていたわけですが、無事HDDを買い終えたところで、せっかく秋葉原に来たのだからとスターベースやシュミットを冷やかしに…………ハッ!!

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……おかしい、なぜこんなものが手元にあるのだ?(笑)


というわけで、OPTOLONGのCLS-CCDフィルター(CLS-CCD for EOS APS-C)をつい買ってしまいました(^^; CLS-CCDはいわゆる「光害カットフィルター」に属するフィルターです(CLSは"City Light Suppression"の意)。LPS-P2フィルターがあるのになぜ?と思われるかもしれませんが、この両者、かなり性格が異なります。

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上はLPS-P2、下はCLS-CCDの透過特性のグラフ*5 *6です。これを見ると、LPS-P2は光害成分である水銀ナトリウム由来の輝線はカットしますが、他の波長は極力通すようになっています。一方、CLS-CCDはむしろ逆に、天体由来のOIII(496nm, 500nm)、Hβ(486nm)、 NII(654nm, 658nm)、 Hα(656nm)、 SII(672nm)のみを通し、それ以外は積極的にカットするような設計になっています。

つまり、CLS-CCDは輝線を発する天体専用と言っていいでしょう。具体的には惑星状星雲や超新星残骸、もっぱらHαで輝く散光星雲など。逆に、系外銀河のような連続光で輝く天体には向きません。「光害カットフィルター」というよりはむしろ「複数のナローバンドフィルターを組み合わせて1枚にしたようなもの」と理解すべきかと思います。


これで、網状星雲のような天体や暗めの散光星雲を撮るのが少しは楽になるといいのですが……。

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一応、LPS-P2-FFとCLS-CCDの外見を比べてみます。写真だとやや分かりにくいですが、CLS-CCDの方が多くの波長をカットするということで、透過してくる光は暗く感じます。

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裏側はこんな感じ。LPS-P2-FFは開口部とほぼ同サイズのガラスを使っているのに対し、CLS-CCDでは円形のガラスの上下をマスクするような構造になっています。前者は全面をフルに使うため、わずかな蒸着の瑕疵も許されませんが、後者の場合、たとえ多少蒸着不良の箇所があっても、マスク部分に回すことができれば良品として出荷できます。ガラスを円形に切ると無駄が出るとか、逆にコストアップになりそうな部分もありますが、そのあたりは歩留りとの兼ね合い。おそらく、いろいろ考えられたうえでこの構造になっているのでしょう。


開口部は、縦方向のサイズが両者ほぼ同一である一方、横方向についてはLPS-P2-FFが枠ギリギリまで四角く開いており、円形のCLS-CCDに比べコーナーの分だけ広くなっています(最大幅はどちらも同程度)。ただ、どちらもセンサーサイズからすれば十分に開口しているといっていいと思います。本当に問題がないかどうかは、試写してみないと何とも言えませんが。

CLS-CCDの方で特徴的なのは、フィルター下部の「爪」の部分。LPS-P2-FFの方も似たような作りになっていますが、爪はCLS-CCDの方がずっと長くなっています。マウント内にフィルターを取り付けたとき、この「爪」がバネの働きをして内壁に突っ張り、フィルターが固定されるのですが、CLS-CCDは爪が長い分、この「突っ張り力」が強く、かなり強固にマウントに食いつきます。撮影中に外れる心配がないのはいいのですが、結果として付け外しが非常に固く、やりにくいものになってしまっています。もっとも、Astronomikの同様のフィルターを見ると、構造は違えど爪の長さは似たようなもの。こっちが世界標準なんでしょうか……(^^;

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あと、両フィルターを光に透かして見ると、CLS-CCDはほぼ全面にわたって均一な一方、LPS-P2-FFはフィルター枠に近いところに明確な「蒸着ムラ」のようなものが見られます。上で書いた、開口部とほぼ同サイズのガラスを使うことの欠点が出た感じです。

実際に画質に影響しているかどうかは不明ですが、これまでも画像の四辺に沿って青っぽくカブる現象がしばしば見られたので、もしかするとこれが原因かもしれません。CLS-CCDでこの現象解決するようなら、このLPS-P2-FFを何か別のフィルターに入れ替えることも考えないといけないかもしれません。

*1WD Green WD40EZRX

*2WD Red WD40EFRX

*3:「増設」はデータ管理が面倒になるのと、トータルのHDDの故障率が上がるので却下。

*4:実際問題としては、残り容量的にもはやためらってる時間的余裕はなかったりするのだけど。

*5:両図とも各メーカーのサイトより

*6:横軸が異なることに注意

オヤジオヤジ 2017/01/15 06:22 記憶媒体への投資凄いですね。!(汗)
昔、テープストレージが安く成った時期がありましたけと、今、テープのドライブが30万とかで無理。
ハードディスクを、重ねる事になるんですかね。
ブルーレイは、チェクしてませでした。

HIROPONHIROPON 2017/01/15 13:38 自分で作成したオリジナルデータは失ったら取り返しがつかないので、保護するための投資は惜しみなく……
と言いたいところですが、正直これ以上は勘弁してほしいですね。

本文にも書いたように古いデータは捨てればいいんですが、改めて処理し直すと技術の進歩や
自分のテクニックの向上なんかもあって、なまじ救えるデータがあるのが困ったところ。
使い終わったダークフレームやフラットフレームくらいかなぁ、ためらいなく捨てられるのは……(^^;

Blu-rayは一応、BD-R DL対応のドライブを持ってはいるんですが、それでも高々50GBですからねぇ。
一晩分の動画ファイルすら入らないんだから、とんでもない時代になったものです。

2017-01-03

[]新年初撮り 23:43 新年初撮りを含むブックマーク

この年末年始は月齢の周りがいい上に天候にも恵まれ、昨年の天候不順の鬱憤を晴らすかのように出撃しまくっています。昨日は風が穏やかで長焦点鏡を使っても大丈夫そうだったので、EdgeHD800を引っ張り出していつもの公園へ。これで12月28日、30日、1月2日とほとんど1日おきに出撃していることになります。

こういう時、遠征せずに自宅周辺で撮るスタイルは便利です(^^; *1


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日没と前後して公園に到着。夕空には月と金星が並んで実に美しい光景です。その上には火星も。

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撮影用のEdgeHD800とは別に、観望用として持ってきていたミニボーグ60EDの接眼部にコンデジPowerShot S120)を押し当て「手持ちコリメート」でパチリ。地球照とのコントラストが印象的です。とはいえ輝度差が大きすぎて、写真では肉眼で見たときの美しさに到底かないません。人間の目は優秀だなぁとつくづく……。


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さて、日没を待って機材を展開します。今回の目的は、先日動作確認したオフアキシスガイダーの本格稼働。実は12月中旬に、同じ目的でペルセウス座惑星状星雲「小あれい状星雲」ことM76の撮影を試みていたのですが、その日は薄雲が空から取れず、結局未遂に終わっていました。

今回はそのリベンジです。

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M76が天の川の近くにあることもあってか、ガイド星はすんなり見つかりました。今回はガイド精度がどの程度出るか全く分からなかったので、露出時間は10分に抑えましたが、ガイド状況を見る限り、ズレは±1秒以内で極めて安定しており、これならより長時間の露出をかけても大丈夫そうです*2


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M76を撮り終わった後は、向きを変えて「かに星雲」ことM1を。M1もM76も以前も撮ったことがありますが*3ガイド鏡ガイドで長時間露出が難しかったこともあり、かなり荒い写りでした。このあたりが改善できれば……というところです。


ところでこの時、ちょっとしたトラブルに見舞われています。M76からM1にターゲットを移してガイドを再開したところ、ガイド星が暴走気味にどんどん外れていくのです。

一瞬、赤道儀の不具合やケーブルの断線を疑いかけましたが、気づけば答えは簡単な話。M76→M1の移動で望遠鏡の姿勢が東西入れ替わっているので、オートガイダーからの指令と動作方向の対応も逆にしなければいけないのですが、キャリブレーションのやり直しをサボっていたため、これがされていなかったのです。

一応、PHD2には望遠鏡のフリップに伴い動作方向を逆転させるためのオプションがあるのでこれを利用すればいい*4のですが、撮影中でない限り、フリップ後は横着せずにキャリブレーションをやり直した方が確実でしょう。


そんなこんなでどうにか予定枚数を撮り終え、翌日まとめて画像処理。で、出てきた結果がこちら。

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2017年1月2日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO100, 露出600秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイ

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

まずはM76です。見かけの大きさが小さく、明るさも10等程度とメシエ天体の中では最も暗い部類ですが、それでも角柱状に見える中心部の両側に、蝶の羽のように淡いガスが広がっているのが分かります。

以前撮ったときは、この「羽」の部分がよく見えなかったのですが、今回どうにか捉えることができました。


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2017年1月2日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO100, 露出600秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイ

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

続いてM1。こちらも、前回よりフィラメントがハッキリと写ってくれました。気持ち的にはフィラメントのシャープさがもう一息欲しいところですが、このあたりはシーイングの問題も大きいのだろうと思います。長波長側の光はシーイングの影響を相対的に受けづらいので、Hαのナローバンド画像でもブレンドでもすればもう少しマシになりそうな気はしますが、今の手持ちの機材だとまずはこんなところでしょう。


しかし、今回撮ってみて思ったのは、EdgeHD800の「F10」というのはやっぱり暗いということ。12月28日に使用した「ミニボーグ60ED+レデューサー0.85×DG」の組み合わせ(F5)と比べると面積当たりの光量は1/4しかありませんから、露出不足気味にもなろうというもの。

幸い、オフアキが実用できることがハッキリしましたので、可能な限り長時間露出する方向で運用していきたいと思います。

*1:空はダメだが役に立つ(ぉ

*2:PoleMasterで精密に極軸を合わせている効果もあるでしょう。

*3:しかも、奇しくも2015年12月5日にM76とM1を同時に撮っています。冬に長焦点鏡で狙う小天体というと同じようなチョイスになるようです。

*4赤道儀のASCOMドライバによっては、PHD2側で逆転を指示しなくても、姿勢を検知して自動的に動作を逆転させてくれるものもあります。

th2546th2546 2017/01/05 17:53 何時も素晴らしいですね。私も今度根性入れて撮ってみたいです。

HIROPONHIROPON 2017/01/05 21:31 気合い入れて撮っているうちに、過去に比べて1コマあたりの露出時間がどんどん長く……。
この調子だと、そのうち一晩に一天体とか、数晩に一天体とかなってしまいそうで怖いです(^^;

上杉蒼太上杉蒼太 2017/01/07 08:15 お疲れ様です。M1よく写ってますね〜。オフアキの効果は凄いですね。自分の場合VC200Lを使用した時の露出時間は3分が限界なので羨ましい限りです。空は暗いのに活かしきれていないですね(でも往復5時間をかけて遠征するのは体力的にもお財布的にも厳しいですけどね)。

HIROPONHIROPON 2017/01/07 22:06 おかげさまで、ようやくある程度納得のいく写りになりました。
もっとも、改造カメラだからもう少しHαが写るかと思ったんですが、案外そうでもないですね。
本文にも書きましたが、これ以上は冷却カメラの領分でしょう(ということにしておきます(^^;)

オフアキは、ガイド星さえ見つかってしまえばあとは何も考えなくていいので精神的に楽です。
自分もガイド鏡ガイドでは、あちこち強化した割にはあまり長時間の露出ができなかったので、
この安心感は大きいです。

とはいえ、私も時々お世話になっている「ステラガレージ」のエニョールさんのように
ガイド鏡ガイドで成果を上げている方もいらっしゃいますので、「腕」なんでしょうねぇ…(^^;
http://sky.geocities.jp/enyoou/index2.html

KENKEN 2017/01/07 22:32 こんばんは!
いや〜、前の投稿の馬頭&M33と言い、今回のM1と言い、もう言葉がありません(笑)
ココでこれらの写真を見てしまうと、お金と時間を掛け遠征に出掛けている自分は何なのかと(泣)
いずれ「荒川の土手から」シリーズを始めたら、HIROPONさんに詳細をご教授いただかなければ

HIROPONHIROPON 2017/01/07 23:30 ありがとうございます。
とりあえず「化粧」の技術だけは、必要に迫られて上達しつつありますが……(^^;

もっとも、ここでは小さいサイズでしか出してないのでアラが目立ちませんが、
実は結構あちこち破綻寸前だったりします。やっぱり基本はいい元画像。
くそぅ、足さえあればなぁ (T^T)q:

2017-01-01

[]年末の後始末 21:33 年末の後始末を含むブックマーク

みなさま、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


さて、昨日のエントリで12月30日にも出撃したことに触れましたが、大晦日から元旦にかけて、その時に撮影したものの画像処理をやっていました。

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30日は、28日とほぼ同時刻に公園に機材を展開し、19時ごろから撮影開始。ターゲットはさんかく座の渦巻星雲M33です。これも以前撮ったことのある対象ですが、カタログの数値(5.5等)の割に淡く「証拠写真」以上のものにはなりませんでした。これを、もう少し見栄えがするよう撮り直そうと思ったのです。

しかし、この日は28日に比べて空の透明度が悪く、そのせいで光害の影響も顕著。しかも年末とはいえ早い時間帯なので、元々光害は激しくなりがちです。果たしてこの状態で淡いM33がまともに写るかどうか……。とはいえ、いまさら機材を組み替えてターゲットを変更するわけにもいかないので、なんとかなると信じて強行します。

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えぇと……ゴクウツリワルクネ?


その場の「撮って出し」では中心部がごくうっすらと確認できるだけ。覚悟していたこととはいえ、なかなか厳しいことになりそうです。


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22時前からはもう1つのターゲット、オリオン座の馬頭星雲を狙います。こちらも2013年の年末以来。当時は写ったこと自体で喜んでいた記憶がありますが、それから3年。さすがにもう少しきれいに撮りたいものです。

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こちらはさすがに「撮って出し」の状態でも対象が確認できます。これだけ見えていれば、あとはどうにでもなるでしょう*1


今回は先のものも含め、ISO100、15分の設定で撮影していますが、深夜に近づくに従って光害の程度は軽くなって、バックグラウンドは明らかに暗くなっていきました。もし深夜から撮り始めたなら、20分まで露出時間を延ばしても行けそうでしたが……この日も28日同様、日付が変わるころから雲が湧き出して空を覆い始めましたので、結果的には欲張らずに正解でした。

長時間露出を行うやり方は、こういう突発的な天気の変化などに弱いので、このあたりはバランスですね。


そして、撮ってきたデータを大晦日から元旦にかけて処理。まずは組しやすいと思われた馬頭星雲から。

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2016年12月30日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

3年前とは比べ物になりません。馬のシルエットの背景となっている散光星雲IC434の周辺に広がる淡いガスも見えますし、暗黒星雲の濃淡もある程度わかります。最微等級3等前後の東京都心からの撮影でこれなら、自分で言うのもなんですが上出来ではないでしょうか。

一見、背景が色ムラっぽく見えますが、この領域は星間ガスが大量にあって散光星雲、反射星雲、暗黒星雲が入り乱れているので、本当にこういうもののようです。一部、フラットが合ってない可能性もありますが、全体にわたってカラフルすぎて、正直判断がつきません。その意味で、空の暗いところで分子雲とか狙っている人たちは本当にすごいと思います。


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2016年12月30日 ミニボーグ60ED+マルチフラットナー 1.08×DG(D60mm, f378mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

お次はM33。こちらは案の定、光害カブリがひどいうえ、散光星雲と違って「色を手掛かりに星雲を抽出、強調する」といったことができないので、処理には非常に苦労させられました。それでも、ひとまず腕がしっかり見える程度にはなったので、とりあえず満足すべきなのでしょう。2015年当時のものよりは確実によくなっています。なお、今回は、清涼感を出すために腕の部分がやや青っぽくなるよう調整をしてみました。よく見かける処理ですが、多少は雰囲気が出たでしょうか?

しかしそれでも、そもそもが淡くてメリハリに乏しい星雲なので、絵としてはインパクトに欠ける印象です。あとはナローバンド撮影などを併用して、腕の中のHα領域を目立たせることができれば、また印象は違ってくるのだろうとは思います。

[]前年の積み残し 00:26 前年の積み残しを含むブックマーク

実は11月に「アンドロメダ大星雲」ことM31を撮っていたのですが、光害カブリのあまりのひどさに処理を諦めて放置していました。

しかし今回、M33がなんとかなったということで、その余勢をかってこれも処理してしまうことに。そうして出てきた結果がこちら。

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2016年11月5日 ミニボーグ60ED+レデューサー 0.85×DG(D60mm, f298mm) SXP赤道儀

Canon EOS Kiss X5, ISO200, 露出480秒×16コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用

ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド

ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

どうにかこうにか、周縁部の淡い腕まで抽出することができました。ちゃんと画像処理できれば都心からでも存在感は抜群です。とりあえず、過去2回(こちらこちら)よりはよく写ったかと思います。

ただ、M33もそうですが、やはり都心からだと系外銀河はなかなかの難物です。先にも書いたように「色を手掛かりに強調処理を行う」ということができないので、素の状態での画像の良しあしが最終的な画像の出来栄えを左右する感じです。

*1:この時点で、すでに判断基準が普通の人から乖離しているような気はしますが、気にしたら負け。

オヤジオヤジ 2017/01/02 09:23 昨年中、色々、技術的なご指導感謝しております。
今年も、よろしくお願いいたします。
生画像と画像処理後、お見事ですね。特に、馬頭星雲、本当に素晴らしいです。
都内の公園の生画像は納得ですが、画像処理はマジックに思えますよ。(笑)
今年は、ダークとかダークフラットとか、一度もやったことないので、トライしてみたい2017年にしたいと思います。

HIROPONHIROPON 2017/01/02 13:21 今回の馬頭星雲は、今の自分が持つ「小手先テクニック」をありったけブチ込んだので、
そう言っていただけると嬉しいです。まぁ、本当はそんな処理が必要ないような所に
行ければいいんですけどね……orz

> ダークとかダークフラットとか
面倒事も多いけど、フラットはぜひに。完璧を目指すと悩みが増えるし苦しいしで大変ですが、
たとえフラットを合わせきれなかったとしても、センサーからの読み出しに伴うパターンノイズなどを
キャンセルできるだけでも効果は大きいです。

上の写真みたいな強烈な画像処理を施すならなおさら。

ASI1600だとチップ面積が小さくて周辺減光や光害カブリの影響が出にくい上に、系外銀河など
見かけの小さい天体を狙っている分には「フラットエイド」である程度対応できてしまうので、
比較的必要性が薄いのは確かですが……。

上杉蒼太上杉蒼太 2017/01/03 08:35 あけましておめでとうございます。
昨年は大変役に立つ記事や情報を多数掲載していただいて、本当にありがとうございました。
都心からの撮影は本当に大変かと思いますが、馬頭星雲の写真は私が撮ったものよりよく写っていると思います。光害のある時はISOを下げたほうが良いのは間違い無さそうです。今度写す時試してみます。

HIROPONHIROPON 2017/01/03 23:53 こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

カメラの各種データを見る限り、感度設定を下げるとダイナミックレンジが広がるなど、飽和を防ぐ以外にも
利点がありそうです。ただ、デジカメは内部処理が完全にブラックボックスなので、常に理屈通りにいくとは
限らないのが厄介なところ。いろいろと実験してみてください(^^;

そうそう、そちらに触発されて撮ったM1、おかげさまで以前よりはだいぶマシな感じの写りになりました(^^)