未来のいつか/hyoshiokの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2017-06-26

偽装死で別の人生を生きる読了、濫読日記風、その12

偽装死で別の人生を生きるを読んだ。

学資ローンでにっちもさっちも行かなくなった著者がある日思いつきで「死亡偽装」をネット検索した。そこから物語がはじまる。ノンフィクション

失踪請負人、偽装摘発請負人、実際に失踪した人、その家族などにインタビューをする。

失踪請負人は、顧客から料金を取って、顧客情報隠蔽撹乱し、そのアイデンティティ現実からデジタル世界から隠蔽する。必ずしも死亡偽装をするのではない。失踪支援する人が失踪請負人だ。

死亡偽装もっともありふれた動機保険金詐欺だ。偽装摘発請負人はそれを摘発する。うまくいくことはまずない。大災害に乗じて捜索願を出すというのはよくある手口だ。実際911では犠牲者数の倍以上の捜索願が出されたという。テロで死んだことにして義援金保険金をだまし取ろうとしたのだ。

偽装摘発請負人は偽装死はうまくいかないと主張する。(まあそうだ)。そのチェックリストがある。(100ページ)

  1. 家族友達に二度と会えなくなることに耐えられる
  2. 健康だ。特別な薬や治療必要としていない(健康保険を使えないから)
  3. 一年生活できるだけの十分な資金がある
  4. 信頼できる共謀者保険金請求をしてくれる
  5. 人名義の社会保障番号運転免許証パスポート、車、クレジットカード、銀行口座を用意してある
  6. 充分に時間をかけて見破られる心配のない別人名義の証明書類を用意した
  7. SNSは決して利用しない
  8. 問題解決のために他のあらゆる方法を試みた、殺人も考えたことがある
  9. 罪悪感がない
  10. ドラッグ依存アルコール依存問題を抱えていない
  11. 習慣と不名誉リスクを冒す覚悟ができている
  12. 高額の保険金契約正当化できる理由がある。つまり自分には高額の保険金に見合うだけの価値が有る
  13. 金を得る方法がほかにない
  14. 自殺を考えたことがある
  15. 2年以内に保険契約を結んでいない
  16. 自分契約している保険会社のコンサルタントがスティーブランバルインタビューした偽装摘発請負人)ではない

保険金詐欺は犯罪だ。犯罪を犯しても偽装死を試みる人がいる。失踪の方が偽装死よりも成功確率は高いと考えられている。借金夜逃げする人は昔からいる。

実際に失踪した人にもインタビューしている。インタビューをしているということは偽装死を試みて結局は失敗しているということだ。

保険金詐欺をしなければ、偽装死に被害者はいないのか。そんなことはない。家族被害者になる。死んだと教えられていた父親が後年まで生きていたと知った娘。詐欺罪で捕まり逃亡する父親から死亡偽装計画を聞かされた男子中学生。実の父親に脅され、保険金詐欺の共犯になった二十代の息子。

著者は最後自分自身の死亡証明書を手に入れる旅に出る。米国と犯人引き渡し協定を結んでいない国に行って、そこで自分の死亡証明書を手に入れる。そんなことは果たして可能なのか。

著者は「あとに残された家族人生がめちゃくちゃにされているのを目の当たりにして以来」本気で死亡偽装しようとは思わなくなっていた(225ページ)

その顛末は本書を読んでいただくとしてエピローグで著者は取材を通じて様々な学びがあったことを記している。

どんな事情があるにせよ、「その場しのぎの解決法を探すのではなく、自分を苦しめているものを受け入れる必要がある。中略。借金から目を背けたところで、それはさらに重大な結果を招くだけだ。一度安易方法を取ってしまうと次々にそれに頼ることになり、あっという間に絶望的な手段を思案するところまで追い詰められてしまう」(265ページ)

そして、著者は借金から目を背けるのではなく、借金を返すことに目を向ける。一生借金から逃れられない運命に落胆して死亡偽装ネット検索した日から、5年になる。そして、これは著者の少し遅めの成長の物語だ(267ページ)

濫読日記

2017-06-08

ゆるゆるゲーデル、エッシャー、バッハ(略してGEB)本、読書会中

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版(略してGEBげぶ)本読書会*1

一体何に関する本なのだという疑問を持ちつつゆるゆる読書会中だ。ゆるゆるゲーデル、エッシャー、バッハGEBげぶ本)読むので、「ゆるげぶ読書会」と呼ぶ。主催者白石さん命名。

第1章はMUパズルというのが紹介されている。それは形式システムである

Wikipedia解説が載っている。https://en.wikipedia.org/wiki/MU_puzzle

Nr. Formal rule Informal explanation Example
1. xI → xIU Add a U to the end of any string ending in I MI to MIU
2. Mx → Mxx Double the string after the M MIU to MIUIU
3. xIIIy → xUy Replace any III with a U MUIIIU to MUUU
4. xUUy → xy Remove any UU MUUU to MU
  1. 最後文字がIであるような文字列を持っているなら、そのあとにUを付け加えてよい。
  2. 文字列Mxを持っている時は、文字列Mxxを持ちものに加えてよい
  3. もし所有しているある文字列の中にIIIが現れるなら、そのIIIをUに置き換えてよい
  4. もし所有する文字列のあるものUUを含むなら、UUを省略してよい(51ページから52ページ)

上記のルールに従って、”MI”という文字列を”MU”にできるかというのが問いである

規則に従って作り出される文字列をここでは「定理」と呼ぶ。規則だけを利用して作られた文字列について、定理証明したという。最初の与えられた「定理」の事を「公理」とよぶ。上記の問題公理からMUという定理証明できるかという問題になる。

人間はあーだこーだと考えて、MIからMUを作ることはできないなあということを知る。IやUは2の倍数分増えるが、Iは3の倍数分しか減らないのでIをゼロにすることは決してできない。厳密な証明ということではないが、直感的に無理そうだということがわかる。

一方で、初期値MIを入れてMUになったら停止するようなプログラムを書くことは難しくない。このパズルが解ければそのプログラムは停止するが、そのプログラムが停止するかどうかをあらかじめ知ることはプログラムではできない。

形式システムの外側に人間がいるというのがポイントになる。

MIUシステムというのは、機械方式(Mechanical mode M方式)、知的方式(Intelligent mode I方式)、もうひとつ方式Un-mode U方式からなる。

定理性を検定する、いつでも有限時間で終わる方法があれば、その方法はその形式システムにおける「決定手続き」と呼ばれる。MIUシステムには残念ながら決定手続きはない。

第1章は叙述ミステリーを読んでいるような気分である。なんだかよく分からないトリックを弄された気分である簡単プログラムできるけど決して解けない(実行が終わることがない)プログラム。それが止まらないことをなぜ我々人間は知ることができるのだろうか。それこそが機械が到達しえない知性なのではないだろうか。そのような示唆を著者が与えているようなきがする。

まだ最初の章を読んだだけなので「げぶ本」のトリックにやられている可能性はあるが、このミステリーゆっくりと楽しんでみたい。読書会すごい。読書会面白いと思った。

2017-06-04

『学術書を書く』、『できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)』読了、濫読日記風、その11

東大駒場リサーチキャンパス公開2017に行った。東大生技術研究所など研究成果を一般公開するイベントだ。中高生なども見学に来ている。最先端技術が展示されていて面白かった。来年は丸一日遊びに行こうと思った。喜連川先生もお元気そうで何よりでした。*1

生協の売店で「学術書を書く」と「できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)」を見つけた。

先日、「理科系の作文技術(中公新書)」を紹介する機会があって、その話のネタに仕事のための作文技術などの書籍をあれやこれやサーベイした。その影響で、未だに作文方法などの書籍に目がいってしまう。

学術書を書く」は、京都大学学術出版会編集長らが、主に大学人(研究者)を対象に専門分野の学術書を記す意義、その具体的な方法などを紹介している。

研究者は成果の公開の手段として印刷物による専門雑誌学会誌)、学術書などを出版するが、そこには幾つかの問題があるという。

すなわち内容が著しく狭域化して、出版されるが誰も読まない状況が出てきた。詳しくは序章に譲るが、米国では学術書の出版研究者の終身在職権の道具として扱われている(3ページ)という状況がある。そのため、博士論文をそのまま出版するなど、読者を極めて限定して、専門家以外全く読まないような出版物が多いという。

また、電子化時代においては、印刷媒体としての学術雑誌学術書が相対化したという(11ページ)

それは、印刷媒体しかなかった時代には、何を書くかということに関して、それなりの敷居の高さがあり、学術ライティングノウハウも蓄積されていて、編集による価値担保もなされていた。しかし、電子化時代においては、そのような読者は誰なのか、「売り」をどう打ち出すかという企画の仕方、あるいはどうしたら可読性が高まるかという点について十分なレベルにない(12ページ)

学術書にまつわる出版事情から学術書の今日役割要件企画と編成、可読性を上げるための本文記述タイトル索引入稿校正作法などなど、内容は網羅的である。

オススメの一冊だ。

「できる研究者論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか」は米国の心理学者いかに多量に論文を書くかというノウハウを記したものだ。

第2章がすごい。言い訳は禁物ー書かないことを正当化しないとして、「書く時間が取れない」「もう少し分析しないと」「文章をたくさん書くなら、新しいコンピュータ必要だ」「気分が乗ってくるのを待っている」などなどの書かない言い訳、書けない言い訳をあっさり粉砕している。

毎日執筆時間を決めて、その時間には執筆に専念しろという。毎日書く。それだけだという。

これは間違いなく正しい。正しいことだけど、作文技術教科書にはおそらく誰も記していなかったことなのではないだろうか。画期的だ。騙されたと思って読んでほしい。すごい本だ。

東大生はこんな本を読みながら研究して論文を多数発表して学術書を書いているのだろうか。それができれば苦労しないという声が聞こえてきそうだが、それができない人は研究者にはなれないのだろうなあとも思った。いやはや身も蓋もない。





濫読日記

2017-06-02

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話と、なっとく! アルゴリズム、共に読了

マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話を読んだ

挿絵(イラスト)が可愛らしくて、専門書の敷居の高さが低いが、内容はしっかりしている。

人工知能の主要なアルゴリズム遺伝的アルゴリズムニューラルネットエキスパートシステムについて解説する。強化学習などもとりあげているが、2000年に発行されたのでディープラーニングという言葉は出てこない。

イラストがかわいい類書としてなっとく! アルゴリズムもあげておく。こちらも良書だ。

目次をコピペしておくと

第1章 あれもこれもアルゴリズム

第2章 並べたり差し込んだり選んだり:ソート

第3章 同じ手順で何度でも:再帰

第4章 ちっちゃくしてから考えよう:クイックソート

第5章 関連付ければ話も早い:ハッシュテーブル

第6章 グラフを作れば見えてくる:幅優先探索

第7章 本からピアノ物々交換作戦:ダイクストラ

第8章 問題は続くよどこまでも:貪欲

第9章 ドロボー計画的に:動的計画法

第10章 分類したら予測して:k近傍

第11章 この先にはなにがあるの?

12章 答え合わせ

2017-06-01

2017-05-28

ノイマン・ゲーデル・チューリング、読了

ノイマン・ゲーデル・チューリング (筑摩選書)を読んだ。

ノイマン(1903/12/28-1957/02/08)、ゲーデル(1906/04/28-1978/01/14)、チューリング(1912/06/23-1954/06/07)の一般向け講演・著作翻訳と解題・解説からなる。

ノイマン数学だけではなく様々な分野で業績を残した巨人であるが、現在の広く利用されているプログラム内蔵式コンピュータ方式(「ノイマンコンピュータ」と言われている)を考案したとされる。

ゲーデル20世紀数学基礎論にとって最も重要といわれている「不完全性定理」を1931年に発表した。

チューリング数学者として第二次世界大戦時にドイツの暗号解読に功績を残したとされる。チューリングマシンとして知られる万能計算機に関する研究コンピュータサイエンスの基礎を作った。

この20世紀代表する3人の天才たちの業績を一般向け講演および著作で紹介したのが本書だ。

20世紀初頭の数学界はクロネッカーブラウワーらの直観主義ラッセルホワイトヘッドらの論理主義ヒルベルトらによる形式主義というものがあったらしい。

ヒルベルト形式主義は、数学の無矛盾性を証明するために、公理と推論方法によって厳密に構成していく。これをヒルベルトプログラムというのだが、ゲーデルはその不完全性定理によって、ヒルベルトプログラムを作ることは不可能である証明してしまう。

チューリングものまねゲーム(チューリングテスト)という概念を平易に解説している。『計算機械と知性』(177ページ)

別室にいるAに質問を投げかけ、それが回答をしているもの機械であるか判定するというものであるチューリングは『もしデジタル計算機ものまねゲームにおいて満足な結果を生み出すことができないと判明したら(これは私の確信に反しているが)、機械は本論の「考える」という定義を満たすものではない』(182ページ)

チューリングは「思考アルゴリズム還元できる。人間は、チューリング・マシンである」(254ページ)という立場を取る。一方ゲーデルは「帰結3 人間精神は、いかなる有限機械をも上回る」(130ページ)、「帰結5 人間精神は、脳の機能還元できない。(反機械論)」(131ページ)ということで、機械人間精神は作れないとしている。

ノイマンゲーデルノイマンチューリングは直接的な交流はあったが、ゲーデルチューリングが会った形跡がない(14ページ)。

20世紀コンピュータ理論的基礎を作った巨人足跡を辿るのは面白い翻訳、解題・解説は読みやすく、おすすめである

2017-05-21

バッタ博士の新著、バッタを倒しにアフリカへ、読了

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)を読んだ。

バッタ研究家の前野ウルド浩太郎著の「孤独バッタが群れる時」は凄い本だ。日記にも書いたし、講演を聞きにも行った。 *1 *2

そして本書は、前著にも劣らぬ熱い本だ。バッタに全身全霊をかけている。著者はバッタと一体になっていると言っても過言ではない。

前著に比べて著者が撮影した(あるいは同僚に撮影してもらった)写真それもカラー写真が増えている。それだけフィールドワークに余裕が出てきたのか?研究力が増してきたのか?よりしたたかになったのか?研究者としての成長が垣間見られる(気がした)。

バッタとは何か、なぜ彼はバッタ研究するのか、その熱い思いを渾身の力を振り絞って記す。その熱量に圧倒される。この男、ただ者ではない。

彼は小学生の頃読んだ科学雑誌記事で、外国で大発生したバッタ見学していた女性観光客バッタの大群に巻き込まれ、緑色の服を喰われてしまったというエピソードを読んで、バッタに恐怖を覚えるとと同時に、その女性を羨ましく思ったと記している。(4ページ)

古くからバッタ大量発生すると農作物に甚大な被害を及ぼし、人々から恐れられていた。

彼はバッタ研究者として、その大量発生メカニズム解明を目標に日夜研究をしている。そしてその研究の場を実験室ではなくて、アフリカのモーリタニアとした。

人類バッタがなぜ大量発生するかをまだ解明できていない。そのため、有効な防除策を持っていない。農業被害を防ぐための唯一の方法農薬による駆除である。しかし農薬の散布は動植物に多大な環境的負荷を与えるので好ましくない。それ以外の方法の開発が望まれる。

現場を見ないことには有効方法は開発できない。バッタ博士がモーリタニアに行くことは必然であった。バッタに喰われることを夢見ていた若き研究者の奮闘記である

金はないが夢はある。

研究費を得てモーリタニアに渡ったバッタ博士を待っていたものは大干ばつであった。干ばつだとバッタが生育しないので大量発生しない。バッタがいないことにはバッタ博士は無力である。単なる蟲好きおにいちゃんである。そこから彼のサバイバルゲームが始まる。

ブログを書く、出版をする、研究費を得るために京都大学白眉プロジェクトに応募する。

第7章「彷徨える博士」に京大総長との面接の場面がある。この場面を読んでバッタ博士応援しないものがいるだろうか。京大総長もすごい。バッタ博士を選ぶ伯楽(審査委員)もすごい。



アフリカでしばしば大発生し、農作物に深刻な被害を及ぼすサバクトビバッタ。防除のために巨額の費用が投じられているが、未だに根本的な解決策は見出されていない。その謎に包まれた生態を調査するため、単身、西アフリカ・モーリタニアに渡った日本人がいる。「愛するものの暴走を止めたい」と語る、野生のサバクトビバッタ研究者、前野ウルド浩太郎、その人である

サバクトビバッタを追って | ドキュメンタリー | K.U.RESEARCH

ともかく熱い。一読をお勧めする。

読め。

第1回 バッタ博士とモーリタニアの砂漠でバッタにまみれる | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

2017-05-09

心・脳・科学、サール著、読了

心・脳・科学 (岩波人文書セレクション)を読んだ。

言っていることはシンプル単純なことなんだけど、理解全然追いついていない。ちんぷんかんぷんだ。

コンピュータと心に関する哲学書だ。

哲学者サールが1984年に行ったリース記念講演を元に記されている。*1

内容は平易でわかり易いはずなのだが、自分には読みこなすリテラシーが足りていないという感覚を味わった。

各章は次のように構成されている。心と脳との関係は何か(第1章)。ディジタルコンピュータは、適切なプログラム、適切な入力、適切な出力があるというだけで心を持つことができるか(第2章)。心のモデルとしてのコンピュータプログラムを考えることはどれほど適切であるのか(第3章)。人間行為構造本質は何か(第4章)。社会科学科学としてどのような地位を持つか(第5章)。そもそもわれわれには自由意志があるという確信は、宇宙物理システムないし相互作用する物理システムの集合であるという宇宙観とどのようにすれば調停できるか(第6章)。(はじめに ix

難しげな本(例えば、専門書)などを読んで理解が追いつかない時は、その用語や専門知識がなくてよく分からないというような感覚を味わうが、本書の解説は平易で何ら難しい言葉を使っていないのに、理解するのに困難を伴う。文としては読みやすい、だけどよく分からない。

十分理解できていないので、内容をざっくり要約することができない。

彼は「強い人工知能」「強いAI」というもの定義している。それは、「脳はディジタルコンピュータそのものであり、心とはすなわちコンピュータプログラムそのものである」という見解だ。それを「強い人工知能AI)」と呼んだ。(28ページ)

そして「このような考え方は、結局、人間の心には本質的生物的な契機は全くないということを意味している」(同ページ)

もちろん人工知能研究者の中には「強い人工知能」を志向するのではなく、人間にとって便利な道具を作るという立場の人も少なからずいて、むしろ昨今のAIブームは、そちらの方が多いような印象すら持つが(私の個人的偏見かもしれないが)、人工知能の究極の目的は「強いAI」だと思う。

その意味で、本書はそのような「強いAI」は原理的に不可能だという立場から議論している(ように読んだのだけど、誤読かもしれない)。というか、哲学書を読むリテラシーが不足しているために自分では簡単に読み解けない。

昨今AIブームなので、「強いAI」とか「弱いAI」とかの用語がよく出てくる。原典はこれだ。いちおう原典にあたってみるのがよろしいかと思ったのだけど、思いの外難物であった。

例えば、「自由意志があるという」こと。一見何の変哲も無い問いではあるが、コンピュータ自由意志を持つことができるのか?そもそも「自由意志」とはどのような概念なのか?そのようなことを論じている。

人間物質でできているので、その物理法則に従っている(決定論)。一方で自由意志というものを持つ。このような立場は両立論と呼ばれているが、それに対してサールは両立論は自由意志存在するというわれわれの日常的な理解整合的な回答を与えることができないという問題を指摘している(136ページ)

自分で言っていても何を言っているのかがよく分からない。

脳みそが汗をかいている感じである哲学書の読み方を誰かに指南して欲しいと思った。一人で読みこなすのはなかなかしんどい。間違いなく良書なのだが読みこなして理解している感じまでたどり着けていない。

*11984年リース記念講演、6回連続放送番組、それぞれがちょうど30分で終わり、かつ各回はそれだけで意味をなすと同時に一つのシリーズ全体に対しても寄与するものでなければならない

2017-05-08

濫読日記風、その10

ブルーバックス2000番記念冊子を本屋で見つけた。ブルーバックス2017年に、創刊から55年目を迎え、刊行点数2000点を達成した。科学技術ブルーバックス2000冊のあゆみという副題を持つ本書はブルーバックスの格好なガイドになっている。

中高生のころブルーバックス読んで物理数学化学生物などなどいわゆる理系科目に興味を持ったので理系に進んだという人もいると思う。

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ベストセラー進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)を書いた、池谷裕二もそんな一人だ。

「この本(進化しすぎた脳)を高校生の頃に読んで、私の研究室に飛び込んできてくれた学生もいるほどです」

ブルーバックスは私の愛読シリーズ本だったのです。そもそも私が研究者の道を志したのは、中高時代図書館で多くのブルーバックスを読み漁ったことがきっかけです。(中略)あの頃の理系学生は、もれなくブルーバックス洗礼を受けていたはずです」

彼の記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)は、今世紀のブルーバックス発行部数第1位だそうだ。彼の本をきっかけに学生研究者を志すという、すごい連鎖がそこにある。

記憶力を強くする、池谷裕二著、読了 http://d.hatena.ne.jp/hyoshiok/20170208/p1


濫読日記

2017-05-05

濫読日記風、その9

数学と仲良くなりたい。数学和解したい。

中学校くらいまでは数学と仲良しだった。それがいつの間にかに苦手になった。それはいつのからなのか。

何度となく取り上げている、「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法である中学生レベルの数学知識で、オイラーの公式理解までという名著である。(読むのに二ヶ月かかったけど)

e^{i¥theta} = cos¥theta + i sin¥theta

e^{i¥pi} = -1

これにたどり着くのに二ヶ月かかったわけであるが、楽しかった。思うに、数学が苦手になったのは、三角関数あたりあたりからで、数学を暗記科目にしてからのような気がする。

知人が、三角関数・複素数がわかる (ファーストブック)を息子さんと読んでいるという話を伺って、図書館から借りてきて読んだ。おいらはオイラーの公式知ってるもんね、余裕余裕怖くないもんね的な感覚で読み始めた。犯人がわかっている叙述ミステリーを読むようである

2章でいろいろな公式が出てくる。数式を追って行けば理解できなくはない。あー、確かにいろいろな公式があったなあ。この公式を暗記することが数学勉強になってしまった。三角関数の各種公式が、苦手意識元凶のような気がする。この公式群は、その後問題を解く以外に出てきたのだろうか?よく覚えていない。なんでこの公式を覚えないといけなかったのだろうか?うーん、よくわからない。3章でドップラー効果などが出てくる。ドップラー効果という現象は知っているが、本書の説明ではなんで周波数が変わるのかがよくわからなかった。

なんだか、自分数学遍歴の中で苦手のきっかけを発見したような気分になった。

本屋数学ガイダンス2017 (数学セミナー増刊)発見したので、早速購入した。

新入生のためのブックガイドがいい。大学教員が新入生向けに数学教科書お勧めしてくれる。ブックガイドを参考に幾つか教科書を独学してみたいと思った。何年かかるのか楽しみである。どんどん深みにはまっていくようで怖いようでもあり楽しみでもある。



おまけ:虚数情緒



濫読日記

2017-05-04

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭、読了

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭を読んだ。

備忘録として記しておく。

資本主義は今、後継を生み出してつつある。それは協同型(コラボレーティブ)コモンズで展開される、共有型経済(シェアリングエコノミー)だ。共有型経済は十九世紀初期に資本主義と社会主義が出現して以来、初めてこの世に登場する新しい経済体制であり、したがって、これは瞠目すべき歴史上の出来事と言える。協同コモンズは所得格差を大幅に縮める可能性を提供し、グローバル経済を民主化し、より生態系に優しい形で持続可能な社会を生み出し、すでに私たちの経済生活のあり方を変え始めている」(9ページ)

情報フリーになりたがっている。フリーソフトウェア運動フリー無償フリーではなく、自由フリーであるが、希少価値のある情報は高価になりたがるが、情報を引き出すコストが常に下がるので、両者の葛藤が起こる。(156ページ)

本書は資本主義時代から協同時代への移行に伴い様々な分野での変化について例示している。限界費用ゼロの社会での、3Dプリンティング、教育(MOOC)などなど。

共有型経済など分かりやすく解説している。

日本社会は、来るべき共有型社会に対応をしているのだろうか。そのようなことを考えるきっかけになる良書である

2017-05-02

濫読日記風、その8

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ソフトウェアエンジニアリング基礎知識体系 ―SWEBOK V3.0―読了

目次と項目にざっと目を通した。訳文が若干こなれていないような印象を持った。原文はIEEE著作権のもとで無償で公開されている。

https://www.computer.org/web/swebok/v3

伝統的なソフトウェアエンジニアリングについてのオーバービューを知るのであれば、本書は網羅的で参考文献も充実している。

アジャイル開発についてはほとんどカバーしていないので、アジャイル方面からのBOK (Book of Knowledge - 知識体系)があるといいと思った。誰か作っていないかな(他力本願

○○○○○○○○殺人事件 (講談社ノベルス)読了

叙述トリックというやつだ。168ページにネタバレがある。

葉桜の季節に君を想うということ 本格ミステリ・マスターズ感想読書メーターで書いたら本書を教えてもらった。

https://bookmeter.com/books/580339

コメントを書いた人は、「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだ人のコメント欄にひたすら投稿して本書を勧めまくっているようだ。うむ、正直うざい。小説の読み方なんか人それぞれだ、ほっといてくれと思ったりしたが、まあ、それはそれである

池上彰、佐藤優僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意にいいことが書いてあった。読書する時間を見つける極意だ。ネット断ち、酒断ちだ。

ゴールデンウィーク読書三昧である

濫読日記

2017-05-01

モモ。読了

森の読書会で紹介されていたのをきっかけにモモ (岩波少年文庫(127))を読んだ。

児童書ということなのだが忙しい大人に読んでほしい一冊だ。というか自分が読んで感銘を受けた。

町はずれの円形劇場あとに住む不思議少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸せ気持ちになる。町に灰色の男たちが来ることによって物語が動き始める。灰色の男たちは人々に「時間貯金」を勧める。無駄時間節約して「貯金」をしよう。彼らは「時間どろぼう」だった。時間どろぼうとモモ孤独な戦いが始まった。

時間節約することによって大切な何かを失っている。それって一体どういうことだろうか。いろいろな読み方ができる。灰色の男たちと取引することによって自分は何をなくしているのだろうか?そんなことを思う。

現代人は忙しい。忙しい忙しい。そんな忙しい自分にとっての貴重な一冊だった。時々読み返してみようと思った。

2017-04-30

濫読日記風、その7

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連休初日に読んだ。

生命、エネルギー、進化読了

生物学の中心には、ブラックホールがある。率直に言って、なぜ生命は今こうなっているのかがわかっていないのだ』本書は生物学のわかっていないことを丁寧に解説している。すごい本だ。

生物学知識を持たない自分が本書を読むのは難しい。例えば本書には「ミトコンドリア」の説明があるが、「すべての真核生物にはミトコンドリアがある」という文をスラスラと読みこなすことには困難を伴う。

自分理解不能な文に出会っても、とりあえずそれは置いておいて前に進むことような読み方をしている。そのような読み方が正しいのかはわからないが専門家ではないので気にしないことにしている。

それはともかく生物学最先端の問いにまつわる物語を知ることは実にエキサイティングだ。本書を理解したとは到底言えないが未解決問題を未解決だと言い切る著者の姿勢科学者の誠実な姿勢を感じた。

生物学に関する入門書を幾つか読んでまた再読したいと思った。

僕らが毎日やっている最強の読み方;新聞・雑誌・ネット・書籍から「知識と教養」を身につける70の極意読了

本の読み方に興味がある。読書法に関する書物古今東西さまざまなものがある。書籍から情報を得る、知識を得るというのは勉強の基本中の基本だ。自分は読解力というのが十分ではない気がして、どうにかそのリテラシーをつけたいと思って、あれやこれや読んでいる。ネット時代にはネット時代に適した読書法があるのではないかと思っていたところ本書を発見した。

新聞雑誌ネット書籍の読みこなす「技法」について書いてある。ジャーナリストの池上彰、作家佐藤優の共著だ。当代一流の知性が著した実用書なので読みやすい、重要ポイントマークしてある。それぞれの極意には番号が振ってある。大学受験学習参考書みたいだ。(よく知らないけどw

著者は職業としてのジャーナリスト作家なので新聞は6頭、電子版・駅売などを含めると10紙とか11紙購読している。いやいやいや、そんなに新聞読まないでしょう。新聞は二紙以上併読するって、フツーの会社員には参考にはならない。知のプロレスを見ているような感じである

雑誌もさまざまな週刊誌月刊誌を購読している。いやーすごいっすね。というわけで知のプロレス面白い

ネットの使い方も出ている。基本的にはネットは玉石混合で、ウィキペディア鵜呑みにしてはいけない。それはそうである特に新しい指摘ではない。

ネットでの情報収集、保存、確認編集、発信・共有などの手法については朝日新聞記者のネット情報活用術 (朝日新書)などが実践的なテクニックを扱っている。

池上彰や佐藤優立ち位置としてはネットはあくまでも補助的な存在ということだろう。おすすめサイトリスト公式サイとがずらり。情報の真偽については確認が取れたものだけを利用するという立場である

まあ、ここまでで本書の2/3である

面白かったのは後半の書籍の読み方、教科書学習参考書の読み方である

世の中を理解するには書籍が基本ツールであるとして、速読多読、精読方法指南している。

古典を読め。古典のいいところは、相手が内容を知らなかったら「読んでいないあなたが悪い」と言えることである(222ページ)。うむ。古典を読んでみたいと思った。実にミーハー的な動機ではあるが一理あると思った。妙に説得力があるのが怖い。別に古典を読んでいなくても人生で困ったことはほとんどないとしても豊かな人生を送るにはちょっとは読んだ方がいいかと思った。

知は「武器」であり、「楽しみ」でもある(5ページ)

後半の1/3くらいが本書のクライマックスでそれを読むだけでも価値がある。前半と後半では全く印象が異なっていたが読んで楽しいおすすめの一冊だ。


アメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書読了

会社の隣に蔦屋家電(二子玉川)がある。お洒落なカフェがついた日用雑貨家電製品もある書店だ。座りごごちの良さそうなソファや電源のついている机もある。マックを利用している人もいる。バギー子供を連れているママもいる。そんな空間だ。

本棚には「食」「美」「住」などのコンセプトでオシャレなレイアウトがされている。デザイン関係の大型本を眺めるにはいいが必要書籍を探すというのには向いていない。少なくとも自分の興味の範囲コンピュータ関係書籍を探すことは不可能に近い。ちょっと苦手なタイプだ。美人だけどとっつきにくい。お近づきになりたいようななりたくないような、本当は気さくでいい人なんだろうけどきっかけが必要だ。

休み図書館マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話を借りたので、どっかソファで読もうとぶらぶらしていた。

図書館で借りた本を本屋で読むというのもどうかと思うが、オシャレなカフェで本を読むと考えればあながち間違いでもないような気がする。そんなこんなでぶらぶらと「旅」、ハワイ・アメリカヨーロッパの棚を眺めていたところ、本書を発見した。

アメリカ大陸を車で横断するというのが自分の夢なのだが、オシャレな蔦屋家電アメリカの棚でアメリカの大学生が学んでいる「伝え方」の教科書というのを発見するのも何かの縁であるジャケ買いした。

The Art of Public Speaking、12版の翻訳である日本語版索引などが付いていないので若干の改変があるのではないかと推測する。

話し手責任」。自分話し手)が言ったことが伝わらないのは話し手責任があるという立場である聞き手に伝わらなければ意味がない。どのようにして相手に伝えるかその技術を本書は丁寧にわかりやすく説明している。

プレゼンをする目的が「情報を伝える」のか「相手を説得する」のか、その目的を踏まえた上でプレゼンを行う方法を丁寧に説明している。例が豊富でわかりやすい。チェックリストを参考にしながらプレゼンを構築したいと思った。


濫読日記

2017-04-28

習って覚えて真似して捨てる、真藤 恒、読了

かつて日本電信電話公社というのがあった。NTT前身である。その最後総裁新生NTT初代社長真藤恒の著である図書館で借りて読んだ。

1910年明治43年)生まれで、石川島播磨重工業(現IHI) では社長を務めた。当時としては画期的手法で数々の船舶を建造した。1981年電電公社総裁になった。

習って覚えて真似して捨てる」は、真藤を囲む「おしゃべり会」を持ち、そこでの内容がまとめられた。読みやすい構成になっている。*1

「脚下照顧」、自分欠点自分で見つける力をもてるように修行せよ、ということらしい。それは真藤の口癖「習って覚えて真似して捨てる」と相通じるらしい。

経営とは先輩から習ったものを、片っ端から捨てていくことの連続であり、現状をどう変えるかがポイントである」(44ページ)

1950年ごろから65年にかけて、船の建造期間が大幅に短縮され、それまでと比べ三分の一ないし四分の一になった。その成功をみて、真っ先にやってきたのが建築関係の人たちであった」(57ページ)

「私は今コンピュータソフトウェアについてやかましくいっているが、これと同じこと(標準化共通部品化)がいえる。このモジュール化、標準化ができて初めて、コンピュータの中で手作業なしでSEシステムエンジニアリング)に沿ったプログラムができるようになるはずである」(65ページ)

本書は日経BPウェブ記事『真藤恒の技術経営を学ぶ』をみて真藤恒に興味を持ったことをきっかけに読んだ。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20110524/220092/?rt=nocnt

真藤はソフト重要性を理解していて、電子交換機の制御ソフトの内製化を命じたそうである。当時のNTTでは電々ファミリーと呼ばれる協力会社に全て外注していた。

1985年NTTの初代社長に就任した真藤氏は、NTTソフト設計・開発力を強化するため、電子交換機用ソフトを内製する方針を打ち出した。電電公社時代ソフトの開発は交換機メーカーに丸投げであった。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20110330/219228/

―― 交換機ソフトを内製せよ、という真藤さんの意図は何だったのでしょう。

 石井 1981年電電公社総裁に着任された真藤さんは、電話だけの商売では電々の先行きは暗い、新たな飯の種を仕込んでおく必要があると直感したようです。間近に迫る21世紀には、社会生活の至るところにマイクロコンピューター(マイコン)が浸透し、これらがネットワークで結ばれ、世の中はソフトによって良くも悪くもコントロールされる。電話マイコンネットワークソフト世界に吸収されてしまう。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20110330/219228/?P=2&mds

世界ソフトでできている。

そのようなパラダイムに我々はいる。30年前に「プロセッサーソフト時代」を予見していたのが真藤である

本書を読んで明治の人がどのような職業観を持っていたか、もっと知りたいと思った。



*1:おしゃべり会のメンバーは川口順子(通産省)、北村節子(読売新聞社)、六角聡子(国連大学ファンド)、上之郷利昭(ノンフィクションライター)、佐藤亘(石川島播磨)、赤木邦夫

2017-04-20

濫読日記風、その6

勉強会には一時期ほどじゃないけど時々行く。セミナー形式の、エライ先生お話ししてそれをありがたがって聴くというのには、それほど魅力を感じない。やっぱり、ワークショップ形式というか、参加者が実際に手を動かす形式の方が楽しいし、印象に残る。実際に何かを作るというほど大げさじゃなくても、参加者同士で少人数のグループを作って、対話したり、アイデアを出し合ったりする、いわゆるアイデアソンみたいなもの面白い

アイデアソンに関する類書というのはほとんど見たことがない。ハッカソンアイデアソンというのは見よう見まねで色々な人が行っていると思うが、言語化すれば、それを元に様々な改良が加えられ、より良くなっていく。その意味で本書は貴重な一冊になっている。

第1部でアイデアソンとは何かを紹介し、第2部でアイデアソンの運営方法などのポイントを紹介している。第3部は様々なアイデアソンの実態運営者にインタビューしている。第4部は様々なアイデアの引き出し方メソッドを紹介したパターン集になっている。

参考文献とウェブサイトリンクがあるので、そこから孫引きするといいと思った。

読了せずに返却

昨今流行りのAI (Artificial Intelligence 人工知能)って一体なんなんだというのがずっと気になっている。第二次ブームと呼ばれている頃に就職したので、その頃と今のブームは何が違って何が違わないのか興味がある。

人工知能と直接的に結びつくかはわからないのだけど、遺伝とか意識とかに関する書籍をあれやこれやなど。

意識とか遺伝にまつわることとか色々知りたくて図書館面白そうな本を借りてきた。

意識はいつ生まれるのかは最新の脳科学の成果から説明している。

生物の社会進化社会生物学という学問分野の解説自然選択遺伝学、性選択などなど。

人間の本性については1979年ピュリッツァー賞受賞作。

野蛮な進化心理学は心の仕組み、記憶などなど解説する。

残念ながらどれも読了するには至らなかった。


濫読日記

2017-04-18

濫読日記風、その5

図書館で「読書」についての本を幾つか借りてきた。小学校などでの読書ワークショップを行うときの手引書などだ。読み方の参考になる。

楽しみで読む小説と何らかの知識を得るために読む実用書や技術書教科書などは読み方が異なる。だけど、正確に著者の意図を汲み取る技術はそれほど違わないと思う。

読書会と言っても、自分で読んできた本を紹介するタイプ、例えばスゴ本オフとかビブリオバトルみたいなものから対象となるテキストをみんなで少しずつ読む、ゼミ形式というか勉強会形式のものまで様々な形態がある。

小説なんかは楽しめばいいので、どのような形式でもいいっちゃいいのであるが、他の人の感想を聞くと、へーそういう読み方があるんだなあとか、自分と違った読み方を発見できて参考になる。自分が気がついていなかった自分の読み方の癖とか限界(?)など知ることができたりする。

数学と仲良くなりたいので、数学の本を読んでいて、よくわからないところに出会ったりすると、それほど悩まずにスルーして先にずんずん進むことが多い。技術書もとりあえず先に進んでみると後ろの方で詳しく説明してたりして、それはそれで書き方というか構成が読みにくいということでもあるのだけれど、疑問が解決することがなくはないので、そんな読み方をすることがある。

人によっては、疑問点でつまずいて、前に進まないという読み方をする人もいる。

読書会をすると、そのような読み方の癖というかパターンみたいなものが見えて面白い

リーディングワークショップ」は授業として読書ワークショップをするときの手引きだ。

「読む力」はこうしてつけるは、読むことを子供に教えるという立場で書かれている。

読書会運営している人などは「読書がさらに楽しくなるブッククラブ」が参考になると思う。実践的なガイドになっている。


読書会読書

170ページまで読んだ。この本はAI人工知能)に関する本なのではないかと思ったり思わなかったり。


2週間に一回のペースで精密に読み解いている。一回10ページ行くか行かないかくらいのペース。現在180ページのあたりを読んでいる。



濫読日記

2017-04-15

濫読日記風、その4

芥川賞作家村田沙耶香消滅世界を読んだ。

殺人出産 (講談社文庫)も怖い小説だったが、本書も同系列である

消滅世界は、子供セックスではなく人工授精で作る近未来を舞台にしている。交尾気持ちの悪いものとして考えられていて、家族の形も変わってくる。

パートナーを選ぶ基準って、収入家事の分担のバランス感覚の一致、信頼できそうな人か、雑談相手に向いているか……それくらいの直感でしょ。」

子供を持って育てるという価値観を揺すぶられる不気味さがある。村田沙耶香という作家は恐ろしい作家だと思った。

濫読日記

2017-04-11

右利きのヘビ仮説、読了

右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化 (フィールドの生物学)を読んだ。

なにこれ面白い

右利き、左利きというのは小さい頃からの習慣でそうなるのか、遺伝的にそのような利き腕が決まっているのか、謎だ。よくわからない。人間だけではなく動物にも利き腕があるのかないのか。本書は生き物の「右と左」に関する進化物語だ。

著者はひょんなことからカタツムリを食べるヘビの話を聞いて、それに興味を持つ。カタツムリは右巻きと左巻きがあって、ニッポンマイマイ族は左巻きが何種類もいるらしい。そして左巻きのカタツムリ進化してきた理由はよくわかっていない。

ここで右向きのカタツムリを捕食する生き物がいれば左向きのカタツムリ進化しやすくなるはずだ。という発想から研究を始めたという物語である

著者はそのような捕食者を求めて西表島にフィールドワークに行く。

そしてイワセキセダカヘビというのがカタツムリを食べるらしい。そしてその頭部の図を見ると下顎の鱗が左右非対称ということがわかった。その情報をもとに歯の形状を調べてみると、予想通り非対称で右向きのカタツムリを捕食しやすい。

ヘビとカタツムリを用いて実験をしていくのだけど、フィールドワークで餌となるカタツムリを探したり捕食者であるヘビを探したり、そして捕まえたヘビに右巻き左巻きのカタツムリを餌として与えたり、言葉にすると簡単だけど、実際やるのは大変だ。読者は、単にすげー、面白いーとお気楽でいい。

適応進化は、変異選択遺伝の三つの条件が揃うと自動的に進行する現象である。(59ページ)

変異というのは、同種の個体間に見られる表現型の変異で、うわべの違い(例えば毛の色や走る速さなど)のこと。この違いが原因となって、生き残る確率や残せる子供の数に違いが生じることがしばしばある。これが選択である。そして、進化する形質は遺伝するものに限られている。例えば足の速さが遺伝して、それによって生き残る確率が高くなると、適応進化する。

セダカヘビの歯の本数が左右で異なる。これには機能的な意味があるはずだ。そして、それが右巻きのカタツムリを食べるための特殊化だと結論するには、行動実験を行って証拠を得る必要がある。

200ページに満たない本なので、すぐに読める。若手生物学者のフィールドワークの実際などもわかって面白い。夜中に亜熱帯の密林に入っていくなんていうのは自分には絶対できないと思った。おすすめである

2017-04-09

濫読日記風、その3

勉強会とか専門書の読書会に行って良いことの一つはその道のエキスパートお勧め書籍を教えてもらうことだ。

「この分野は門外漢なんですが、お勧め入門書はなんですか?」というのが私の定番質問だ。これはどこでも使えるので是非活用してほしい。

先日もenPiT WiTシンポジウム *1 というのに出かけて鳥井さんにお勧め参考書を聞いてみた。

を教えてもらった。図書館で前者2つを借りてパラパラと眺めてみた。

メタプログラミングRubyRubyによるメタプログラミングイロハを平易に解説している。後半はRailsに置いてメタプログラミングがどのように利用されているか解説している。Rails実装を深く理解するための入門書となる。

RubyのしくみはRuby実装について解説した。かつて「Rubyソースコード完全解説」という良書があったがRubyバージョンも古いのでYARVについては全く触れていない。本書は現行バージョン理解するために参考になる。言語処理系について理解したい人には良い入門書だ。

自分が利用している道具の仕組みのついて理解することは道具を上手に使うためには必須知識だ。

ソースコードを読みながら本書を読むと深い理解が得られるのではないかと思った。


濫読日記

2017-04-08

ゲーデル、エッシャー、バッハ始めました

ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 20周年記念版読書中だ。

スゴ本オフを下北沢のB&Bでやった時に本棚の奥に鎮座している本書をゲットした。30年以上前に書かれた本の20周年記念版の翻訳である

20周年記念版には、著者による序文が付いている。本書は何について書かれた本なのか?

評判は昔から聞いていたいのでいつかは読んでみたいと思って今に至るわけであるが、何の本なのだろうか?数学の本かなと予想しつつも読み始めた。Facebookで知人たちは、デザイン、数学Art思考の本だとか何とか。

序文で、著者は1980年に本書(ゲーデル、エッシャー、バッハGEBと略す)がニューヨークタイムズベストセラーリストに載った時(それもすごい話であるが)、タイトルの下の『実在相互につながった組みひものシステムだとする科学者の論考』という要約がついたのだが、それについて全くもってたわごとなので講義したということを記している。

表題がすべてを語っていると多くの人が考えた。数学者と画家と音楽家についての本だと。著者はGEBはこの三人についての本などではまったくないという。ではGEBとは何なのか?何に関する本なのか?

序文の4ページ目(P-4)によると「GEBは、生命のない物質から生命のある存在がどのように生まれるかを述べようとするたいへん個人的な試みだ。自己とは何であり、石や水たまりのように自己をもたないものからいか自己が生まれるのか。(中略)。GEBは、ゆっくりアナロジーを組み立てることによってこうした問題に取り組む」

何に関する本なのか?読み解くことによって徐々に明らかになるのだろうか?自分は本書の謎を読み解けるのだろうか?興味は尽きない。

20周年記念版で追加された序文だけで40ページある。索引も含めると本文は763ページある。鈍器にもなる大著だ。

序論、第1章、第2章(79ページ)まで読んだ。時間はかかるが読み進めるのが楽しみだ。どんな世界が待っているのだろうか。

時々、感想をここで報告するつもりである。かつて「虚数の情緒―中学生からの全方位独学法」の感想を書いたのと同様に。

虚数情緒

2017-04-04

濫読日記風、その2

備忘録的に濫読日記風を続けてみる*1

積読解消に役に立っているのかいないのかがわからない感じがいいね

チェスや碁のような対戦型完全情報ゲームのプログラムについての解説書。人工知能そのものの入門書というよりも対戦型ゲームの発展の歴史を記したものだ。

途中、回帰分析、主成分分析など数式が出てくるが、本書を読むのにあたって、難しかったら読み飛ばしても構わない。

チェッカーの棋譜の読み方など知るわけはないのだけど(88ページ)、127ページに読み方が書いてあるので、頭からずんずん読むタイプだと戸惑ってしまう。

内容は平易に解説されているので、コンピュータによる対戦型完全情報ゲームの実装について知りたい向きにはおすすめである

碁のチャンピオンに勝ったAlphaGoアルゴリズムの概説を知りたい人にもおすすめである

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>LIFE SHIFT(ライフ・シフト)代表される、人生が100歳時代生き方、働き方をどうするかというお話である

さすがに、いまどき、「いい大学を出て、大企業に就職し、結婚し、子供を持って、年功序列出世し、定年退職をして、老後は年金で過ごす」なんていう職業観を持っている人は少ないと思うが、私が大学卒業した1980年代は、そのような価値観マジョリティであった。自分大学時代同級生なども、工学部所属したこともあって、就職先のほとんどは大手メーカーでだった。私は多くの人にとっては馴染みの薄い米国のコンピュータメーカーDECという)の日本法人就職したのだけど、それは例外的就職先だった。

組織から個人とか、先進国から新興国とか、ストックからフローとかのメガトレンドなどは特に目新しい指摘ではないが、自分がその波の中でどのように職業選択し、人生を生きていくのかということを自分ごととして捉えるのは簡単ではない。

寿命が伸びれば、60歳定年というのも人生の通過点だし、一つの会社に定年までいるというのは考えにくくなる。職業についても人生二毛作になれば、常に学び続けることが必須だし、家庭の在り方も随分変わってくることになる。

ワークシフトライフシフト参考書にしつつ本書を読むと理解が深まると思う。問題は知っていることではなくて、行動なのだけど。自分ごととして、どのような人生を生きられるか。そのような問いに答えるのは自分だ。

この本面白い

統計を取っている人にとってはいたって真面目なデータでも、自分にとってはどーでもいいようなことの都道府県ランキングが載っている。

例えば、卵の消費量世帯当たり年間)なんてのを知っていたところで日々の生活には関わらないし、自分仕事にも関係ないし。日本で一番消費量が少ない都道府県はどこでしょうか?答えは下記参照*2

消費量相関関係があるのが、マヨネーズ・マヨネーズ風調味料消費量というのはわかりやすいが、その次に相関関係があるのが信仰祭祀費となっている。卵とどう関係するのか。反比例するのが茶類消費量、その次がセブンイレブン店舗数だ。

眺めるだけで楽しい一冊である

読書

鈍器を読書である。何についての本なのかは読む人によって見解が分かれる。一応数学の本かと思いつつ読み始めた。(よくわかっていない)

20周年記念版の序文を読んだ。結構ちんぷんかんぷんなことが書いてあるが、自分はよくわからないところはよくわからないままずんずん読んでいくので、わかってもわからなくても読むというスタイルは難読書には必要テクニックではないかと思った。そして理解できるところに来ると若干安心する。

そんなこんなで第一章(62ページ)まで到達した。


勢いで買った第5版(日本語訳)を頭から読んでいる。次回の読書会議論するあたりまでは読了したい。





2017-04-03

代替医療解剖、サイモン・シン他を読んだ。おすすめ

代替医療解剖 (新潮文庫)を読んだ。

科学的根拠に基づく医療テーマに、様々な代替医療についてその有効性と危険性について検討している。検討している代替医療は、鍼、ホメオパシーカイロプラクティック、ハーブ療法である付録代替医療便覧として30種類ほどの代替医療有効性について書かれている。

医療祈祷師による経験と勘によるものから科学的な実験観察によって発展してきた歴史を概観する。

医学研究に関わる全ての者にとって、結果を発表しないことは重大な職務怠慢である。なぜなら情報の公開には二つの点で大きな影響があるからだ。第一に、他の研究者に対し、結果の再現に取り組むように促すことになる。第二に、新しく得られた結果を広く知らしめることで、その知識をみんなが利用できるようになる。46ページ」

「《科学的根拠にもとづく医療》は信頼性の高い情報提供することによって医師を助け、最適な治療を受けられる可能性を高めて患者利益を与える。二十一世紀私たちにとって、医療についての決定を下す際、科学的根拠普通ランダム臨床試験で得られる根拠)を用いるのは当然のように思えるかもしれないが、《科学的根拠にもとづく医療》の出現は、医療の歴史における大きな展開点だったのである。50ページ」

サイモン・シン説得力のある記述によって、馴染みのない分野が生き生きと描かれている。

代替医療側の主張に対し、一つ一つ丁寧に反論を加えている。信じるも信じないも読者次第だが、私は筆者の主張には説得力があると感じた。

ネタバレになってしまうのだけど、本書で取り上げた代替医療効果科学的根拠はないと言い切っている。あったとしてもプラセボ効果の域を超えない。

文庫本あとがきに本書刊行後の事件も載っていて興味ふかい。一つは英国カイロプラクティック協会から名誉毀損で訴えられたこと。それをきっかけに様々な運動が始まり、科学的な根拠がないまま治療効果をうたって、子供施術しているカイロプラクターを見つけだし、告発するという摘発キャンペーンなどが行われた。

詳細は本書を読んでいただきたい。オススメの一冊である





2017-03-28

東海道五十三次(その10)。岡部から金谷まで歩いた。大井川を超えたよ。

青春18きっぷを使って、久しぶりに東海道五十三次を歩いた。前回は夏の真っ盛り。熱でやられて3日かけて静岡で旨いものを食っただけの印象しかない。 *1

今回は前々回ご一緒した大学時代の友人と歩いた。 *2

0529 品川発で、横浜0548車内で友人と合流し、沼津乗換で 0830 に静岡に到着する。移動だけで3時間かかる。どんどん移動時間が増えていくので、歩く時間が減っていく。

品川0529発の東海道線は沼津まで直通で乗り換えが一回少ないので(通常はJR東日本とJR東海の境目である熱海乗り換え)、おすすめである

岡部宿までは静岡からバスで移動した。バススイカを使えるので便利だ。丸一日かけて歩いたところをバスだとあっという間だ。安倍川餅屋やとろろ飯屋の前を通過。あーとろろ飯うまかったなあと思い出に浸る。

岡部宿から歩きを再開した。顔ハメ写真を撮って、ひたすら東海道を歩く。

今回の行程のハイライトは大井川越である。川幅広い。てくてく。広い。てくてく。まだ向こう岸につかない。てくてく。江戸時代は関所になっていたので、橋もなければ船もない。増水すれば何日も足止めをされてしまう。難所である

青春18きっぷは経済的でいいのだが、片道3時間以上の移動時間がだんだん重くなってくる。できれば、往復の移動時間節約のため、一泊ないしは二泊して歩く時間を増やしたい。一泊すれば、次の日の開始時間を7時くらいにできるので、2時間程度は前倒しで出発できる。

そろそろ行き帰りは新幹線で楽をするという流れに落ち着きそうである


参考文献

下記の参考文献は今回携帯しなかった。だんだん歩きに慣れてきてガイドブックをあてにしなくなった。ガイドブックを参考にしすぎると歩き方が制約されてしまう。歩きながらガイドブックを見るのが危険なのは歩きスマホ危険なのと一緒だ。

前回、静岡のジュンク堂で見つけて購入した。旅手帳となっているので、メモ書きや歩いたところを塗りつぶすようになっている。鉛筆片手に書き込みながら歩くと面白いそうだと思った。

東海道散歩の友にお勧めである

街道の概略と地図からなっている。地図はそれほど詳しくないが一里塚や宿の位置が記されているので大体の目安になる。

地図に東海道の解説をつけたという形式だ。1万分の1の縮尺はちょっと詳しすぎるかもしれない。歩くには25000分の1の縮尺でいいかもしれない。



風景

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顔ハメ写真を撮った。今回唯一の顔ハメである岡部から金谷まではあまり観光資源として東海道五十三次を売り出そうというような押し付けがましさは感じられなかった。

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藤枝宿

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島田宿

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大井川橋。予想以上に長い。歩行者用の橋は車道の横に後から付けられたかのような印象がある。川面まで距離があるのでちょっと怖い。

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金谷宿川越し場跡。向かって左が江戸方面、右が京都方面。

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金谷宿

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金谷宿一里塚

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金谷駅まで来た。

今回、24キロ強を6時間くらいで歩いた。(スマホの歩数計で3万3千歩ほど)。金谷から静岡まで電車で30分程度だ。鈍行でトコトコ半時間の距離を丸一日かけて歩くという感覚である山手線一周よりははるかに短い。アップダウンもなかったので難易度は低かった。道も単調だった。

東海道五十三次シリーズ

日本橋から金谷まで。

宿場名 現在の住所 日本橋から距離 次の宿場までの距離
江戸(日本橋 東京都中央区 - 2里(7.9km)
品川 東京都品川区 2里(7.9km) 2.5里(9.8km)
川崎 神奈川県川崎川崎 4里18町(17.7km) 2.5里(9.8km)
神奈川 神奈川県横浜市神奈川区 7里(27.5km) 1里9町(4.9km)
程ヶ谷(保土ヶ谷) 神奈川県横浜市保土ヶ谷区 8里9町(32.4km) 2里9町(8.8km)
戸塚 神奈川県横浜市戸塚 10里18町(41.2km) 2里(7.9km)
藤沢 神奈川県藤沢 12里18町(49.1km) 3.5里(13.7km)
平塚 神奈川県平塚市 16里(62.8km) 27町(2.9km)
大磯 神奈川県中郡大磯町 16里27町(65.8km) 4里(15.7km)
小田原 神奈川県小田原市 20里27町(81.5km) 4里8町(16.6km)
箱根 神奈川県足柄下郡箱根町 24里35町(98.1km) 3里28町(14.8km)
三島 静岡県三島市 28里27町(112.9km) 1.5里(5.9km)
沼津 静岡県沼津市 30里9町(118.8km) 1.5里(5.9km)
静岡県沼津市 31里27町(124.7km) 3里22間(11.8km)
吉原 静岡県富士市 34里27町22間(136.5km) 2里30町23間(11.2km)
蒲原 静岡県静岡市清水区 37里21町45間(147.7km) 1里(3.9km)
由比(油井・由井) 静岡県静岡市清水区 38里21町45間(151.6km) 2里12町(9.2km)
興津 静岡県静岡市清水区 40里33町45間(160.8km) 1里2町(4.1km)
江尻 静岡県静岡市清水区 41里35町45間(164.9km) 2里25町(10.6km)
府中 静岡県静岡市葵区 44里24町45間(175.5km) 1里16町(5.7km)
丸子 静岡県静岡市駿河区 46里4町45間(181.2km) 2里(7.9km)
岡部 静岡県藤枝市 48里4町45間(189.0km) 1里26町(6.8km)
藤枝 静岡県藤枝市 49里30町45間(195.8km) 2里8町(8.7km)
島田 静岡県島田 52里2町45間(204.5km) 1里(3.9km)
金谷 静岡県島田 53里2町45間(208.4km) 1里24町(6.5km)

東海道53次距離表 ―350ml.net―より

2017-03-26

濫読日記風

あれやこれや本を買い込んで並行して読んでいると積ん読が増えてくる傾向にある。図書館で借りることが多かったのだけど、色々な読書会に参加する機会も増えてきたので、それをきっかけに購入する本も多くなった。

読んだ本の感想を記しておかないと記憶がどんどん風化していく。読むスピードと書くスピードだと前者の方が早いので書くことを溜めてしまうと書かないうちに記憶が風化してしまう。書くことによって記憶を少しでも定着させたい。

感想を書いた本が必ずしもオススメのすごい本(スゴ本)というわけでもないけど、その玉石混交な感じもまたよろしいかと。

睡眠に関する最新の研究成果に基づいて書かれている。自分は夜眠れないというようなことはあまり(ほとんど?)ないのだけど、そのような人は本書を読むと快眠のヒントをもらえるかもしれない。

眠れない時に羊を数えるというのは、羊 sheep と眠り sleep の語呂が似ているからという豆知識も得られる。

未来予測するな、創造しろ。計画のためではなく、行動のためのツールと言われている。第5章の「準備はいいか?」が刺さった。人口動態調査からもわかるように、私たち人生は長くなっている。人生100歳時代だ。その準備をシナリオプランニングで乗り越えたいと思った。

スゴ本オフで教えてもらった。なにこれ。ひたすら鉄塔写真構成されている小説(?)だ。鉄塔愛に満ちている。環状線一周を歩いて回るマニアに似ている。

ケヴィンケリー講演会資料ベースにまとめたもので、元の本は下記。12の法則について簡潔にまとめた。

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

これからの動向で不可避なことをこれでもかこれでもかと書かれている。講演会資料を眺めながら本書を読むと理解が深まると思う。

インターネットには回答が溢れているが、回答よりも質問価値があるという指摘には共感した。

読み終わらなかったので返却本。

パラパラめくって豆知識を得たいと思ったのだが、読まないうちに期限がきた。残念。

読了せず。返却後また借りたい。

読了せず。返却後また借りたい。

読書

スゴ本オフを下北沢のB&Bでやった時に購入した一冊。昔から読みたいと思っていた憧れの書である。800ページ弱2段組。1キログラムくらいはありそうだ。鈍器である

何についての本なのかは読む人によって見解が分かれるらしい。楽しみだ。

ヘネシー博士大川賞を受賞した記念で来日講演があったので久々に読み返してみたところ、読書会があるということを発見して、勢いで第5版(日本語訳)を購入した。自分が持っていたのは第4版(英語版)で内容も随分変わっているので、読むのが楽しみだ。読書会で読むと疑問点などについてみんなで議論できるので、理解が深まっていい。翻訳誤植誤訳)などにも突っ込みを入れられて楽しい

その他、いくつか読了書籍があるのだけど、それは別途、詳しく紹介したい。


2017-03-08

宇宙創成〈上、下〉 (新潮文庫)、サイモン・シン、読了

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)、 宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)を読んだ。

宇宙誕生について、天動説からまり地動説ニュートン力学を経てアインシュタイン相対性理論、そしてビッグバンとして知られる理論までを丁寧に解説した良書だ。

科学というのは小さな変化(発見)が積み重なって発展していくものだが、時々従来の理論では全く説明がつかない現象が発生する。

クーンは、「しばらく平穏が時期が続いた後、知的な暴力革命が起こるということが繰り返される」とした、それがパラダイムシフトとして知られる現象だ。理論突然変異して自然淘汰されるような進化過程と言ってもいい。(下巻、150ページ)

天動説から地動説ニュートン力学から相対性理論宇宙創成のビッグバンモデル科学理論パラダイムシフトの間隔が近年短くなっている。

IT産業パラダイムシフトも(というほど大袈裟じゃないかもしれないけど)、メインフレーム中心の垂直統合モデルからワークステーションを前提とした水平分散モデル、そしてクラウドへと変化していった。それに適応した企業が旧世代の企業を淘汰していった。

ソフトウェア開発パラダイムウォーターフォールモデルからアジャイルモデル突然変異している。

イノベーションのジレンマはある世代の種が日常的に改良を続けても、突然変異によって新しく登場したそれより劣る種に淘汰されるということを示している。

パラダイムシフトを暴力革命と考えると旧世代とのコンフリクトが生じるのはしょうがないように感じる。

太陽中心モデルは、十八世紀が進むにつれて天文学者に広く受け入れられていった。そうなった理由ひとつは、望遠鏡の精度が高くなるにつれて観測上の証拠が増えたからだが、もうひとつ理由は、モデルの背後にある物理現象説明するための、理論上の進展があったからである。また、それとは別の大きな要因として、上の世代天文学者たちが死んでいったことが挙げられる。死は、科学進歩する大きな要因のひとつなのだ。なぜなら死は、古くて間違った理論を捨てて、新しい正確な理論を取ることをしぶる保守的科学者たちを片付けてくれるからだ。(上巻、117ページ)

本書は宇宙創成をテーマとした科学方法論についての優れた入門書となっている。科学方法とは、従来の理論説明できない現象を、仮説を立て、観測によって検証していく方法だ。パラダイムシフトが起こるためには、多くの科学者を巻き込んだ科学的論争によって旧来の理論を打破していく必要がある。再現可能観測必須である

多くの科学者の支持を得るためには、エビデンスの地道な積み重ねが必要になる。

本書は、そのような方法論について、宇宙創成を題材にして興味深いエピソードを交えて紹介している。

写真というテクノロジーは、観測を正確かつ客観的に記録する上で計り知れない価値を持つことが明らかになったが、天体写真分析するため、明るさや位置特定する、多くの人々を集めた。このデータ操作したり計算を行ったりする人のことを「コンピューター」と呼ぶそうである。(上巻、303ページ)

上下巻なのでちょっと長いけど、オススメの一冊である

2017-02-24

「ルポ トランプ王国」、「階級「断絶」社会アメリカ」読了

ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書)をイッキに読んだ。

この本スゴい。

トランプについて全く知らないし、どんな人がトランプを支持しているかも全く知らない。自分の知り合いにトランプ支持者は多分いないと思う。

大統領選の時の失言放言などが面白おかしく報道されて、究極の泡沫候補と、少なくとも日本でのメディアを見る限りは、思っていた。(自分が)

本書は、新聞記者トランプ支持者が多い地域を歩き回って、そこに住む人にいろいろ話を聞いたものをまとめたものだ。2015年ごろから大統領が決まる頃まで選挙戦を地道に取材していく。

トランプを支持する人はどんな人なのか。どのような人がなぜトランプを支持するのか。それを様々な人に取材してエピソードをすくい上げていく。

記者が歩いた「トランプ王国

多くの日本人はカリフォルニア州とかニューヨーク州を聞いたことがあっても、ウィスコンシン州やオハイオ州がどこにあるのかよく知らない。自分もそんな一人だ。トランプを支持する人がどんな人かなんかは考えたこともなかった。

日本のメディアトランプ放言などを面白おかしく報道することはあっても、どんな人たちがなぜトランプを支持するかはほとんど報じていなかったように思う。少なくとも自分観測範囲ではなかった。究極の泡沫候補としてしか報じていなかったし、そのようなイメージを持っていた。

読書会で本書を紹介されて、面白そうだと早速読んでみた。

かつての米国を支えて製造業、すなわち製鉄所、自動車工場炭鉱などで栄えた地域が、グローバリゼーションの名の下にどんどん工場などが海外移転していく。

そのような場所を「ラストベルト」と呼ぶ。

ラストベルトは50年代70年代の豊かなアメリカを支えた場所だ。

高校卒業し、地元の製造業、工場就職する。車を買って、結婚して、郊外に家を買って、子供を育てる。真面目に働いていれば給料は上がり、休暇で家族旅行をする。そのような典型的アメリカ中流生活がそこにあった。それこそがアメリカンドリームだった。

アメリカンドリームを支えた人々を丹念にインタビューする。

工場が縮小して雇用が失われていく。雇用がないので子供達は町を離れていく。町が寂れていく。

そのような町を著者は訪れてインタビューをする。

かつての栄光アメリカを支えた製造業にいた白人中流階級はなぜトランプを支持するのか、そのヒントが本書にある。

階級「断絶」社会アメリカ が、トランプ王国実像を教えてくれる

アメリカ白人中流階級がどのように崩壊していったか、丁寧にデータから分析したのが階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現である

階級「断絶」社会アメリカを補助線にして、トランプ王国を読むとその背景が深く理解できる。

グローバリゼーションの名の下に、強欲な資本主義が高度に発達して、新上流階級が生まれた。アメリカ世帯所得の上位1%が1990年前後から急速に世帯所得を伸ばすなか、新下層階級形成されていった。

その新下層階級は、従来のコミュニティが持っていた、勤勉、正直、結婚信仰が失われていく。

アメリカの社会が崩壊していく様がこれでもかこれでもかとデータをもとに語られている。本書に米国の問題解決するような処方箋はない。

隣国問題を間接的にでも理解することは、よき関係を保つための最初の一歩だと思う。

シリコンバレーやIT産業栄光だけではない、アメリカの苦悩と実像がそこにある。

ともに強くお勧めする良書だ。



2017-02-23

進化は万能である、読了

進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来を読んだ。

入念な計画成功の鍵だと私たち直感的に考えるが、それは間違っている。

ロシア革命、世界大恐慌、ナチス政権第二次世界大戦2008年の金融危機――

比較的少数の人による、トップダウン意思決定の結果なされたことはことごとく失敗した。

一方、世界所得増加、感染症消滅、食料供給河川大気浄化

富裕な国々の大半における再植林インターネットといった、大きな変化を起こす意図のない

無数の人々によってもたらされた「ボトムアップ」な、偶然で予想外の現象はあまりに多い。

それらの広範な現象共通する原理が「進化」だ。

生物界に限らず、宇宙のなりたちから人間の生み出した文化・経済・制度・イノベーションにいたるまで、

あらゆる物事原動力である進化原理の強力さを説き語る、

  1. プロローグ 一般進化理論
  2. 宇宙進化
  3. 道徳進化
  4. 生物進化
  5. 遺伝子進化
  6. 文化進化
  7. 経済の進化
  8. テクノロジー進化
  9. 心の進化
  10. 人格進化
  11. 教育進化
  12. 人口進化
  13. リーダーシップ進化
  14. 政府の進化
  15. 宗教進化
  16. 通貨の進化
  17. インターネット進化
  18. 未来進化

誰かがデザインして生み出されるという世界観ではなく、それは試行錯誤の末、進化してきたという世界観である生物は「神」によって創造されたのではなく、自然淘汰によって進化してきた。ダーウィン提唱した進化論を本書では特殊進化論と呼び、様々な現象一般進化論とした。進化するのは生物だけはないということを主張している。

進化という文脈では、ケビンケリーテクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?や、〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則がある。

シングラリティを考える上で、「進化は万能である」はお勧めである

進化は万能である



2017-02-18

図書館の使い方

自分図書館が大好きなので、しょっちゅう図書館に行っている。中学時代可愛いこが図書委員をやっていたので、その頃から図書館が好きだ。図書館短大女子合コンをしたこともある(関係ないけど)

通勤の行き帰りに図書館に寄るのがもはや日常と言っても過言ではない。

ネットのおかげで図書館に直接行かなくても本を予約できる。

図書館好きならば誰でも使っている、日本最大の図書館検索サイト・カーリルを使いこなそう。

https://calil.jp/

  1. 面白そうな本を見つける
  2. ネット図書館検索をする
  3. ネットで予約する
  4. 忘れた頃に予約した本が借りられる
  5. 図書館に行って借りる
  6. 図書館でぶらぶらして関係ない本も借りる
  7. 感想ネットに書く
  8. 読んでも読まなくても期限がきたら返却するので積ん読にはならなくてネット感想だけが残る。

予約してすぐ借りられる本もあれば、予約が殺到していて何ヶ月も待つ本がある。すぐに読みたくていてもたってもたまらない場合は、近所の本屋に行くかネットで購入すればいい。

読みたい本、読まなければいけない本が決まっていれば、上記で事足りるが、それだけだとどうしても自分の興味だけになってしまう。

本の出会いを増やさないと、面白そうな本に出会えない。自分選択眼は偏っているので、すごい本を見つけられない。入力大事である

本屋でぶらぶらして、面白そうなものを買うというのもありだが、自分フィルターの壁は越えられない。自分の守備範囲を広げたい場合友達お勧め書評ネットで評判のものあたりで広げる。自分だったら決して手に取らないような本が意外に面白くて掘り出し物を発見した感じが嬉しい。掘り出し物に出会うために本を読んでいるとさえ言える。

本好きが集まる読書会お勧めである。いい本に出会うには多量の本を読む必要がある。多読以外にいい本と出会方法はない。多量に読んだ人の選球眼は、それなりにつまらない本をいっぱい読んでいるので、最低限のラインを超えたものを知っている。その人たちが薦める本は自分にあった本になる確率は高くなる。

本は相性なので、ある人にとってベストでも自分にとってはスカということは当然ある。そのような合う合わないも一度読んだ人のフィルターを通ってくるので、読む前からある程度のあたりがつく。

図書館本屋に比べると、その蔵書の豊富さと古い本の網羅性が高いので、新刊本を今読みたいという状況でない限りは、使い出がある。

良い読書体験を得たいのならば、図書館を使いこなせるようになりたい。

新刊本を多読しまくりたいのであれば本屋積読候補をどんどん買うというのもアリではある。

王様のブランチのブックコーナー(毎週土曜日9時半過ぎ)でお勧めされている本などもよく読むが、一度も読んだことがない作家を知る機会になるので、こちらもお勧めである

本の読解力(識字力)を高めるには多読して読むことの訓練を積む必要がある(残念ながら学校教育ではほとんど誰も教えてくれない)。読書会などで感想を言い合うと、自分が読み取れていないことを発見する機会にもなって、読み方の訓練にもなる。

本を楽しみで読む場合誤読などは、それはそれで面白い実用書に関してはきっちりと理解したいので、識字力を高める訓練はしておく必要がある。

本は自分のできない経験知識を教えてくれるので、人生を豊かにするし、様々な考え方に触れることもできるので、人としての幅も広げてくれる。

図書館を使いこなして豊かな読書ライフを送りたい。

2017-02-08

記憶力を強くする、池谷裕二著、読了

記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)を読んだ。

記憶術とか速読術とかかなり胡散臭いと感じているのだけど、ついつい読んでしまう。斜に構えて読んだのだけど、ごめんなさい。最近脳科学研究成果に基づいた入門書だった。予想といい意味で違った。おすすめである

忘れないうちにメモっておく。68ページ

  1. 短期記憶 30秒から数分以内に消える記憶、7個ほどの小容量
  2. 長期記憶

プライミング記憶という耳慣れない言葉が出てくるが、ここでは無意識記憶ないしは勘違いによる記憶としておく。(詳細は本書を読んでください)

エピソード記憶意味記憶は、「何を」を記憶しているのに対し、手続き記憶は「いかにやるか」を記憶している。後者は、俗に体で覚えるタイプの記憶である

それぞれの記憶には脳の特定の部位が関係していて、例えば短期記憶は脳の海馬というのがそれを司る。海馬機能が衰えてくると短期記憶ができなくなる。しかし、それ以外の機能は正常なので、昔の記憶は覚えているし、日々の生活には特段支障がない。

海馬を損傷した人を研究してみると、記憶をするのには支障があるが、思い出すことはできるということから記憶海馬には保存されていない。ということが研究によってわかってきた。76ページ

記憶」という現象も細分化して観察すれば、単純な化学反応、ないしは巧妙な精密機械によって運営されている。121ページ

その精密機械がどう組織化されているのか。興味は尽きない。

そして本書の真髄が第6章「科学的に記憶力を鍛えよう」である

6章までに、神経細胞シナプス神経伝達物質などの説明があって、ふむふむ、そーやって、脳は記憶しているんだな、考えているんだなというのが素人にもわかるように平易に解説されている。

そして6章で、脳の性質に沿った効率的記憶方法について科学的な見地から検証している。186ページ

加齢とともに記憶力が衰えるという話はよく聞く。自分も実感として最近物忘れがひどいような気がする。そもそも人の顔と名前が一致しなくて失礼なことをしたことが多い。どうにかしたい。だからこのような本を読んでいるわけである

本書は戒める。加齢とともに神経細胞は減っていくが、シナプスはむしろ増えている。つまり神経回路は年齢を重ねるに従って増えていくのである。この事実は、若い頃よりも歳をとった方が記憶の容量が大きくなるということを意味している。187ページ

うわー。そうなんだ。

物覚えが悪いというのは著者から言わせれば単に覚える努力をしていないというだけである学生の頃は一つのことを覚えるのに大変な努力をしたはずである。それが強制的にやらされた勉強であろうとなかろうと覚えるために大変なコストをかけていたわけで、それを忘れて「ただただ老化を嘆くのはとても愚かな行為」だと言う。

しょえー。おっしゃるとおりである。たいして覚える努力もしていないのに、人の顔と名前が一致しなくてとか言い訳するな、そのとおりである。深く反省したい。(とほほ

もの忘れがひどい」というグチをこぼす人もいるが、それもまた、忘れてしまって思い出せないのではなく、単に初めから覚えていないということではないでしょうか。187ページ

おっしゃるとおりである。そもそも覚えていないのだから思い出せるわけがない。

まあとはいものの年齢によって記憶力が全く変わらないということでもないので、記憶には様々な種類があるのでそれに合った記憶方法がある。

例えば、かけ算の九九などは10歳になる前、意味記憶が発達している頃に暗記させることは理にかなっている。中学生になる頃はエピソード記憶が完成され、論理だった記憶力が発達してくる。188ページ

歳をとると、しばしばものごとに対する情熱が薄れてきます。一つのことに熱中できなくなります。感動も薄くなってきます。すると記憶力はてきめんに低下します。実は、歳をとって記憶力が落ちたように錯覚してしまう最大の原因はここにあるのです。感動できない大人になっているのです。191ページ

中略

刺激の多い環境生活することはLTP(脳の記憶のこと)にとって都合が良いというだけではありません。歯状回の顆粒細胞も活発に増殖を始めるのです。つまり記憶必要神経細胞が増加するのです。もちろん、その結果、記憶力は増強されます。そして、記憶力が増強されれば、またさらに多くのことに興味を持つことができます。より好ましい方へ脳が順応していくわけです。つまり、脳は使えば使うほどさらに使えるようになるのです。192ページ

やばい普段から刺激と興奮を求めていないと脳機能が低下する。一度低下してしまった脳機能を元に戻すのには並大抵な努力では無理だ。「好奇心」と「探求力」が記憶にとって大切なビタミンということだ。

夢の効用についても解説している。

夢は記憶を強化するために必要だということである。新しいことを知識技法を身につけるには、覚えたその日に6時間以上眠ることが欠かせないという研究結果がある。212ページ

テスト前夜の徹夜意味がないということだ(ふむふむ)

失敗は恥ずかしいことではなく、恐れることでもない。大切なことは失敗して「後悔」することではなく、失敗して「反省」することだ。失敗を次に活かせることが、曖昧記憶をする人間の脳の素晴らしいところである。214ページ

こうして考えると、物事習得において、最も大切な心得は「努力継続であることがわかります努力を続けて初めて報われるわけです。ですから、なかなか結果が現れないからといって、すぐに諦めてはいけないのです。もちろん、周囲の天才たちを見て躊躇することもいけません。彼らと自分能力を単純に比べることは無意味です。なぜなら、努力と成果は比例関係にあるのではなく、累乗関数関係にあるからです。自分自分。今は差があっても、努力を続けていれば、いつか必ず天才たちの背中が見え、そして彼らを射程距離内に捕らえることができます。こうした成長パターンを示すのが脳の性質なのです。たとえ効果が目に見えなくとも、使えば使った分だけ着実に、能力の基礎が蓄積されていくのです。時に勉強が辛くなったら、この事実を思い出して自分鼓舞してください。いつかきっと効果が表れるからもっと頑張ろうと。

正座して読みたい一冊であった。人生100歳時代にどう生きるか。記憶力そして脳についての理解が深まればより良い人生を生きやすくなる。より幸せ人生を送れるのではないかと思った次第である

2017-02-06

ヒトはどこまで進化するのか、読了

社会生物学ウィルソンヒトはどこまで進化するのか読んだ。

史学は先史学を抜きにしてはほとんど意味をなさず、先史学生物学を抜きにしてはほとんど意味をなさない。先史学生物学知識は急速に増加し、その結果、人類いかにして誕生し、なぜ私たちのような種がこの地球存在するのかに光が当たっている。5ページ

本書は、人間存在する意味、知の統合、アザーワールド、心の偶像人間未来という大項目からなっていて、前半で様々な解くべき問題提示され、後半でそれに対応した著者の見解が示されている。

  1. 人間存在する意味
  2. 知の統合
  3. アザーワールド
  4. 心の偶像
  5. 人間未来

著者は、「人間宇宙特別地位を占めているのだろうか。個人の一生にはどんな意味があるのだろう。こうした問いに検証できる形で答えられるに十分なほど、宇宙私たち自身についての知識は進んだと私は思う。」と生物学者でありながら、従来は哲学者領域と思われているようなものまで踏み込んで議論している。

著者は人類はどこから来て、どこへ行くのか、自然科学の中からいくつかの段階を経て人文科学の分野に分け入り、それから再び、「私たちはどこへ行くのか」という、より難しい問いと、「それはなぜか」という最大の難問に立ち返る。(8ページ)

現在人間の有り様を把握するには、種の生物学進化と、人間先史時代に導いた環境とを合わせる必要がある。人間理解するこの仕事は、人文科学だけに任せるにはあまりにも重要で、あまりにも厄介だ。」(13ページ)

人間本来善だが悪の力によって堕落するのか、それとも逆に、本質的には罪深いけれども善の力で救うことができるのか。(中略)、科学的な証拠によれば、私たちはその両方を併せ持っているらしい。」(23ページ)

神は存在するのか。宗教必要なのか。著者は神の存在否定するが、宗教必要性は認めている。

いろいろと考えるヒントが満載だ。強いAIについて議論するときに役に立つフレームワーク提供されているように思った。オススメの一冊だ。




下記の同じ著者のものだ。合わせて読んでみたいと思った。