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じゅじゅるさん。

注意!アニメ・ドラマ・本などのネタバレあります

2016-10-22

[]映画君の名は。感想 もうひとつの「君の名は。

ちょっと鑑賞から時間が経ちましたが「君の名は。感想です。ネタバレありです。



新海誠監督がこれまで描いてきたこと。

それは、青春の全てを投じた恋愛がやがて後方に追いやられようと、「それでも人生は続いて行く」ということ。

彼・彼女が結ばれようが結ばれまいが「あの頃」は二度と訪れず、ラッシュアワーに揉まれ改札をくぐる日々に戻っていく。

そのはかない恋物語が時として永遠の別れで終わろうとも、彼・彼女人生という物語は続いていくのだ。

そして、「君の名は。」もそうした物語であった。

瀧と三葉はお互いを忘れても、その痛みだけは抱えながら今という時を賢明に生き続けた。

それは何も二人の間にだけあったわけではない。そのことについて記そうと思う。


海監督の新作映画君の名は。」は、出会ったことのない「君」と出会うまでに少年少女が日々を駆け抜けるさまを描く。

その結末は大団円と呼ぶにふさわしい堂々としたものだ。

過去作に比べれば爽快な後味となっているが、新海誠監督らしさは色あせていなかった。

君の名は。」にはいくつかの出会いと別れが描かれていた。たとえば、三葉と奥寺先輩だ。


瀧は三葉との入れ替わりによって、憧れの奥寺先輩と急接近することになる。奥寺先輩がのちに「好きだったんだ、私」と述懐するように、彼女は瀧に恋をしていた。

その「瀧」とは、三葉と入れ替わった状態の瀧を指している。

やぶれたスカートにかわいい刺繍を施したり、一緒におしゃれなカフェを巡ったり、ついにはデート約束にまでこぎ着けた「瀧と入れ替わった三葉」に恋をした。


しかし、奥寺先輩に「瀧」と「瀧ではない誰か(三葉)」を区別する術はない。なんとなく、ざっくりと「あの頃の瀧くん」としか言えないであろう。

鑑賞した我々が映像*1をつぶさに観察すれば「何月何日と何月何日、もしくは何月何日の瀧くん(つまり三葉)が好き」と指摘できるのかも知れない。

しかしそれはあまり意味のある行為ではないのかも知れない。「瀧と入れ替わった三葉」を呼び水として、普段の「本当の瀧くん」に目を向ける時間もあっただろう。

そこはもう時間感情が溶け合っていて、もはや判別のしようがない。瀧から三葉は去った。「あの頃の瀧くん」には二度と会えない。

未来において、瀧の仲介を経て奥寺先輩と三葉が出会可能性も、なくはないだろう。

瀧と三葉の、お互いについての記憶が消えたのち、瀧がテッシー名前を聞いて一瞬反応したように、奥寺先輩の名を聞いて三葉がなんらかのひらめきを得ることはありえるのかも知れない。

しかし、奥寺先輩が「三葉」の名前を聞いても、何のひらめきも訪れない。なぜなら、彼女にとって「あの頃の瀧くん」も、瀧には違いないからだ。別人と接していたという認識がない。仮に会えたとして、それは恐らく奥寺先輩の望む「あの頃の瀧くん」とは別人だ。

奥寺先輩が三葉の名を問うことは未来永劫、過去永劫においてありえない。出会ったことのない名前から、何も起きない。その恋心は永遠に閉ざされる。例えば、宇宙地球に引き裂かれた恋のように。

奥寺先輩と三葉の出会いは「世界秘密」として閉ざされた。しかし、奥寺先輩は次の恋を見つけ、新たな自分物語を紡ぐ。永遠と呼べる別れを経てもだ。

その在り方は新海監督がこれまで描き続けてきた主人公たちの姿を彷彿とさせる。


もう二度と、いや一度も君の名を問わずしかしそれでも自分物語を紡ぎ続ける。そういう有り様に、新海監督はこだわり続けた。その想いのひとつの結実が「君の名は。」にあるのだろう。

*1スマホ日記アプリの日付など

2016-08-21

[]マイベストエピソード5選

物理的領域の因果的閉包性のぎけん(@c_x)さんの企画「マイベストエピソード」にふたたび参加します

ルールはこちら。


劇場版を除くすべてのアニメ作品の中から選出(配信系・OVA18禁など)

・ 選ぶ話数は5〜10個(最低5個、上限10個)

・ 1作品につき1話だけ

順位はつけない

自身ブログ更新OK(あとでこのブログコピペさせていただきます

画像の有無は問わない

・ 締め切りは8月末まで


「何度も繰り返し見ている、自分にとって大切なエピソード」をコンセプトに選んでみました。

学びやひらめきを得、今も勇気をもらい続けている大切なマイベストエピソード達です。



戦姫絶唱シンフォギア EPISODE 12 『シンフォギア

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自分間抜けお話をしますと。

僕、当時、シンフォギアは全12話だと勘違いしてて。だから最終回の気分でこのエピソードに臨んだわけです。

満身創痍になりながら自分役割を果たし倒れていく仲間達。

響はぼろぼろになって立ち上がる。

お前が纏っているものはなんだ。心は確かに折り砕いたはず。

いったい、なんなのだ

勝っているはずのフィーネが戦慄する。矢継早に、饒舌に疑問が飛ぶ。

それに対する響の応えに、僕は身震いしました。

「シンフォギアアアアアアアアアア!!!

それはとてもシンプルで、とても腑に落ちる答えでした。

響が傷つき、這いずり回りながら習得したもの。その力、その心。それはシンフォギア

それ以外の言葉必要ありません。

そしてエンドロールとともに高らかに鳴り響く「Synchrogazer」。

僕は思いました、これは完璧最終回だと。

倒すべき相手はまだ健在です。しかし、僕は答えを得たのです。これでいいのだと納得できました。

から、あと1話あると知ってびっくりしましたし本来最終回も素晴らしいものでしたが、それでも僕の中でこのエピソード特別ものとしてずっと胸に残り続けました。

言葉創造し、力を与えるという行為について、僕はこの作品からひとつ学びました。

で、また改めて今日視聴したのですけど、クリスちゃんと翼さんが散って響が倒れ、場に絶望感が漂う中、足音が響いてくるんですね。

この足音で僕、落涙してしまって。そこで泣いたのは今までなかったことです。その足音の数々は響が戦う理由なんです。そして紡がれるみんなのメロディが、巡り巡って響を後押しする。

何度も視聴したのに、まだまだ作品の魅力を見つけられる、こんなに嬉しいことはないですね。

あのシンフォニーは今も、僕の胸で響き続けています



君に届け 2ND SEASON episode.0 『片想い

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くるみ視点から描かれる、くるみの恋の一幕。アニメオリジナルエピソードで第二期は幕を開けます

一期の総集編プラス新作という構成なんですが、主人公・爽子の恋のライバルくるみが振り返るという変則構成になっていて、くるみから見た爽子・風早が描かれていて新鮮な気持ちで視聴できます

僕は本当にくるみが好きで。

くるみ名前コンプレックスがあるからなのはあるけど、はじめから爽子をちゃんと下の名前で「爽子ちゃん」って呼ぶの、彼女だけなんですね。

から傷つけられた者同士だけど、それによってハリネズミになったくるみにとって、傷つけられても、諦めかけても人と正面から向き合うことをやめなかった爽子がまぶしい。

からくるみが振り返る思い出もね、風早より爽子との交流の部分が多いんじゃないかというくらい。

くるみは爽子を恋のライバルから嫌っているけど、爽子との会話やその時のくるみの心境を彼女視点で追って行くと、これはそういう関係じゃなかったら最初から友達になれていたんでは?って思えてくるんですね。

でも、どうかな。もしもはないんですよね。対立たからこそ、今の彼女の心境に至ったのだろうし。

雪振る夜の北海道をひとり彷徨くるみには妙な落ち着きがあります

気持ちよく振られて、納得感を得られたからかも知れない。

それでも、想いは消えたわけじゃない。もうすぐバレンタイン

街の灯りがほのかくるみの恋心をデコレートします

街に降る雪がこんなに優しく映って見えるの、不思議ですよね。

光の当て方を返ることで物語がまた別の色付きをし始める。

アニメスタッフ原作へのリスペクトを強く感じるエピソードでした。



◆エクスメイデン 『居酒屋たまき 第一話 〜ほっけの塩焼き〜』

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ネット配信アニメが苦手でした。

(期間内なら)いつでも見ていいスタイルが馴染みませんでして。それまで僕はテレビアニメの習慣で曜日アニメって紐づけられていたんですね。

「週の初めを告げるアニメ」とか「土日らしいアニメ」とか。

そんなある日、エクスメイデンに出会いました。すでに3本ほど公開されておりました。

そのうちのひとつ、「居酒屋たまき ほっけの塩焼き」と名付けられたエピソードは、ネット配信スタイルの豊かさを僕に教えてくれました。

タイトル通り、居酒屋のような緩やかさ。

声優さん達の地が出たような、気の抜けたビールのようなやり取り。

芝居の組み立てがかなり声優さん任せ(のように聞こえる)で自然体に近い。

まさに居酒屋で隣りの客の会話に耳を立てているような感覚に陥ります

いつでも来ていい。ネットアクセスすれば、たまきさんと長官に会える。新しいアニメとの出会いスタイルでした。

配信開始は2014年ですが、今も全話ニコニコ動画にて視聴できます

僕は今もときおり、居酒屋たまきに立ち寄ります

あのひとのあのひとことを聞くために。

「ひさしぶり。いつもの席、空いてるよ」



星方武侠アウトロースター #8 『腕ずくの発進』

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アウトロースターをひとことで要約すると、「片田舎チンピラがチャカ手に入れてやんちゃしすぎてホンモノに目を付けられる話」です。

宇宙勢力を揺るがす謎のグラップラーシップを手に入れたジーン一行の前に現れる数々の刺客

達人VSロボット管制の協力を得ず、力づくで発進するアウトロースター号。はじめてのグラップラー戦闘に挑む一行。

本郷みつる監督コンテによる、見所山盛りの贅沢仕様。どれかひとつの要素でも1エピソードが成り立つのに、それをぎゅうぎゅうに詰め込んでいます

俺様なジーンが皆を引っ張り、ジムがサポートし、メルフィナがジーンを支え、鈴鹿は体を張って敵を足止めする。

アウトロースター号の基本戦法がここに確立。打ち合わせなしの突発的な発進に、誰の指示もなくそれぞれが自分役割をこなす。

寄せ集めが戦いの中で一致団結して行くさまって、やっぱり好きだな。

あと、発進シークエンスっていつも僕をワクワクさせてくれる。「サブイーサドライブ」などのその世界特有独自用語が混じるとさらに盛り上がる。中華圏の影響が強い世界観なので、モニター表記もかなり独特です。

男心をくすぐるさまざまなギミックが散りばめられ、宇宙船近接格闘するオリジナリティの強い高速戦闘を彩っています

気分を盛り上げたい時に、長い間繰り返し見てるエピソードです。「あんたも、魅せてくれよ!」ってジーンに発破をかけてもらうために。



シスター・プリンセス RePure キャラクターズ 12咲耶

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幼い咲耶の「今日は良く晴れた土曜日」という明るいモノローグとは裏腹に、分厚い雲に覆われる灰色の街。

幼少期の彼女と、現在彼女休日の街を一人でさまよう様子が描かれます

空の高い夏の日をゆくワンピース少女と、かさついた冬の街を特徴的な赤いマフラーでさまよう咲耶

すべてから祝福されたような幼いあの頃と比べ、うつむく彼女は何かの罪を背負ったかのよう。

シスタープリンセスシリーズの二期にあたる本作は十二人の姉妹達が総登場するストーリーズと姉妹ひとりひとりにスポットをあてたキャラクターズの二部構成になっており、キャラクターズ最終回を飾るのが、姉妹では年長グループの咲耶

キャラクターズは各話それぞれ異なる演出家を招いたオムニバスになっており、ゆえに非常に作家性の強い作品が揃いました。

咲耶回は長濱博史さんが演出絵コンテ作画監督を務めています

基本的に明るい調子で兄への愛情を素直に表現する他の姉妹に対し、咲耶はある「気付き」に達している点が大きく異なります

それは、「兄を想う事は妹には許されない行為である」ということ。

教会で祝福される新婦に憧れてハンカチベールを掲げる幼い咲耶。いつか訪れるその日を信じて疑わない。しかし今は何故頬を涙が伝うのか。

アニメシスプリで描かれるラストエピソードが「兄に恋する事の罪」であることに、当時驚きました。

それはひとつの成長でもあり、キャラクターが変質していく事でもある。作品お約束を超えていく事でもある。

色の沈んだ街にひるがえる赤いマフラーが印象的です。フルカラーの思い出とモノクロ現在を同じモノローグで交互に映す演出も時の残酷さを物語っています

ED最後に綴られるメッセージ「Thinking of you in this specialday.」は制作から視聴者へのメッセージか、誰に贈られることのない咲耶独白か。(放送当日はクリスマスなのです)

映像で、シナリオで。最終回視聴者のやわらかいところに踏み込んできたこのエピソードは今も僕の刺になっています