江戸後期の国学者・歌人・読本作者。 大坂の人。本名、東作(藤作)。号、和訳太郎など。俳号、無腸。 紙油商上田茂助の養子。高井几圭に俳諧を学び、八文字屋本の作者として「気質物」を著す。のち、加藤美樹に師事、万葉集や音韻学に通じ、たびたび本居宣長と論争した。
著『雨月物語』『春雨物語』『胆大小心録』『癇癖談』『藤簍冊子』など。
こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、ヨガインストラクターのゆうこです。普段は書籍の編集者として働いています。11月11日、上野桜木にある旧平櫛田中邸で「第2回 琵琶×朗読で味わう日本の名文学」、開催いたしました。この演奏会を頂いたアンケートと一緒にレポートします。 まず琵琶の語りは「羅生門」です。平安時代の武将・渡辺綱と、羅生門に棲むと噂された鬼との対決を描く「羅生門」です。 物語は、源頼光が渡辺綱らと花見の宴をしている優美で穏やかなシーンで始まります。 ここから一転して、生臭い風が吹きわたる羅生門に場面が変わります。 「羅生門のバトルシーン、激アツでした。語りがかっこよかったです」「初めて聞…
雨月物語 1953年 日本大映 あらすじ 「近江の国琵琶湖北岸の村に暮らす貧農の源十郎は、畑の世話をする傍らで焼物を作り町で売っていた。賤ヶ岳の戦いの前に長浜が羽柴秀吉の軍勢により占領され、賑わっていることを知った源十郎は、妻の宮木と子を残し、焼物を載せた大八車を引いて長浜へ向かった。義弟の藤兵衛は、侍になりたいと源十郎に同行する。源十郎は大銭をもって村へ帰ってきた。藤兵衛は市で見かけた侍に家来にするよう頼み込むが、具足と槍を持って来いとあしらわれる。 源十郎は戦が続くうちに、さらに焼物を作り大儲けをしようと、人が変わったように取り組むが、宮木は親子3人が幸せに暮らせればそれで充分なのに、とつ…
京都御苑の東にひっそりと佇む梨木神社は、別名「萩の宮」とも呼ばれ、9月には境内に咲き乱れる萩の花で彩られます。近隣には京都府立医科大学、その付属病院などの関連施設や住宅街があり、とても閑静な一帯です。 訪れてみると、小さいながら心癒されるスポットが沢山ある魅力的な神社であることがわかりました。観光用の大きな案内の看板などもなく、京都市民でも知らない人も多いと思いますので、今回ご紹介したいと思います。 前回は地下鉄丸太町駅から京都御苑を通り抜けて梨木神社へのお散歩コースをご紹介しました。↓ yomurashamroch.hatenablog.com 今回はいよいよ本題の梨木神社を詳しくご紹介しま…
本居宣長(上) (新潮文庫)作者:秀雄, 小林発売日: 1992/05/29メディア: 文庫本居宣長(下) (新潮文庫)作者:秀雄, 小林発売日: 1992/05/29メディア: 文庫上田秋成の文学 (放送大学教材)作者:長島 弘明発売日: 2016/03/01メディア: 単行本 今更ながら、小林秀雄の『本居宣長』を読んだ。小林秀雄の最晩年の大著であるこの本は、しかし、今さら読む方がなにかしらひしひし感じるものがある。 小林秀雄の本は人並みにそこそこは読んだ。しかし、前にも書いたかもしれないけど、『ドストエフスキーの・・・』あたりで冷めてしまった。「あれ?、俺いま何読まされてんだろう?」って感…
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!住職さんは生きているのかな??? ※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。霞亭文庫書誌詳細※画像はクリックすると拡大します。 【くずし字クイズの答え】影のやうなる人の。僧俗ともわからぬまでに髭髪(ひけかみ)もミだれしに。 【原文】[いか]さまにも人の行き来絶(たえ)たると見えて、去年(こぞ)踏み分けし道ぞとも思はれず。 寺に入て見れば、荻(をぎ)尾花の丈(たけ)人よりも高く生(お)ひ茂(しげ)り、露は時雨(しぐれ)めきて降りこぼれた…
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!北見花芽の中の人が、某出版社から出る某書の現代語訳の一部を担当してるらしくて、その締め切りが迫ってるみたいで、中々更新できないらしいよ! ※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。霞亭文庫書誌詳細※画像はクリックすると拡大します。 【くずし字クイズの答え】禿驢(とくろ)(くそぼうず)いづくに隠れけん。こゝもとにこそありつれ[くずし字クイズの補足説明] 【原文】下らんも遥けし。只管(ひたすら)一宿[一夜](ひとよ)を貸し給へ」 主の僧言…
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!快庵禅師はバールのようなもので殴られちゃうのかな? ※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。霞亭文庫書誌詳細※画像はクリックすると拡大します。 【くずし字クイズの答え】年紀(としのころ)五旬(いそじ)にちかき老僧の。 【原文】取りて走り出で、外(と)の方を見るに、年(とし)の紀[頃](ころ)五旬[五十路](いそじ)に近き老僧の、頭(かしら)に紺染(あをぞめ)の巾を被(かづ)き、身に墨衣(すみごろも)の破(やれ)たるを穿[着](き)て…
明治の元勲「三条實萬・實美」父子を祀る神社として有名な「梨木神社」です。 梨木神社の事は、良く知って居ましたが、この地にあるとは知りませんでして、京都御苑に来たついでに、もっと早くお参りをして居れば良かったと思います。 京都紅葉の隠れた名所だそうですが、まだ少し早い様です。 「別格官幣大社」の石碑。 「上田秋成」の歌碑。「ふみよめば 絵を巻きみれば かにかくに 昔の人の しのばるるかな」 広い敷地、参道が続きます。 旧春興殿。 参道を抜けた所で、「碧道会」と云う「能」の会が「秋の稽古会」を行っていました。 手水舎の後ろ茶室。 ご神木の「愛の木」。 葉っぱの形がハート形に見えるエノキでしょうか。…
本日は合気道の水曜日稽古に参加した。両手取りからの各種技の稽古をした。「下実上虚」に加えて「呼吸」を意識した。とくに意識して吐く。吐けば吸うことはできる。合気道は呼吸を止めてはいけない。動きながら常に呼吸をしているのである。有酸素動作が基本であろう。百メートルの短距離走はおそらく呼吸を一度もしないのであろう。二百メートルはどうだろうか?ところが合気道は常に呼吸しながら動く。それが本日の稽古の気ずきであった。 帰宅して夕食のあとで『火の記憶』(松本清張)を読んだ。二作目にして松本清張さんは人の心の闇を描いていた。いや実は処女作の『西郷札』から清張さんは人の心を覗く書き手であったのだ。「人間とはな…
貴志祐介著。角川書店。 失踪した作家・青山黎明が遺した原稿。それは彼を長年悩ませる謎の転移現象の記録だった。転移に抵抗する青山だったが、更なる悪夢に引きずり込まれていく(「フーグ」)。ある呪いを背負った青年の生き地獄、この世のものとは思えないある絶唱の記録など、至高のホラー4編による絶望の連作集。『黒い家』『天使の囀り』『悪の教典』……いくつもの傑作を生み出した鬼才・貴志祐介が10年以上にわたり描き続けた新シリーズが遂にベールを脱ぐ。(紹介文引用) 貴志さんのホラー短編集シリーズ第1弾。 「雨月物語(上田秋成)」をモチーフにして描かれた作品集とのことだが、未読のため関連は理解できず残念。しかし…
-NEXTで、中国時代劇ドラマ『君子盟』(全29話)ついに配信開始〜〜! 華流イケメンオタク?の間では以前から密かに評判になっていた『君子盟』。中国ドラマの場合、撮影が終わってから審査があるので、放送・配信されるまで1年程度期間が空きます。『君子盟』はそれ以上の時間がかかったようで、日本のCS衛星劇場で放映されたのが昨年(2023年)7月、そしてこの度晴れてDVDの発売、動画配信サイトで配信開始となったわけです。 ※竹を割ったような性格で、真実を解明するためには猪突猛進の張屏(左…ソン・ウェイロン)と、熾烈な朝廷の権力闘争に身を置き、冷血漢の仮面を被りながらも、実は魂の清らかさを失わない、まさ…
映画の雨月物語が面白かったので、あらすじくらいしか把握していなかった原文の雨月物語をあらためて読んでみましたところ、日本型ドラマのオリジン感、純粋に面白い部分を抽出して蒸留したような透明感が際立つ面白さでかんたんしました。 「読む能」とでも言いますか。 古典の文章に抵抗がなくて、短編の物語文を読みたい場合は雨月物語めちゃくちゃいいんじゃないでしょうか。江戸時代の文章なので平安期や鎌倉期ほど単語や文法も難しくないですし、この本には質の高い脚注もついているので理解が容易ですし。 有名武将もちらほら登場するので、戦国時代好きの人にもおすすめですよ。 www.iwanami.co.jp 雨そぼふる薄暗…
・ ・ ・ 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。 ・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・ 2024年1月22日 YAHOO!JAPANニュース 歴史人「恐ろしい感染症「天然痘」が日本で流行した“原因”とは? 疫病退治の神と伝わった源頼朝の叔父・源為朝『鎮西八郎為朝」/都立中央図書館蔵 ■疫病が蔓延したのは、蘇我氏が仏法を広めたせい? 世界中に蔓延して猛威を振るう新型コロナウイルス。第二次世界大戦終結後の我が国を襲った、最大の試練といえるかもしれない。 しかし、歴史を振り返ってみれば、感染症との戦いは、1度や2度のことではなかった。それこそ、数え切れないほど疫病に苦しめら…
[0701]祇園祭の山鉾巡行で後祭の6番目を務めるのは【 】である。※後祭復活前は最後尾だった。(2005)(2008)[0702]小町寺とも呼ばれる寺院で、小野小町の老衰像や姿見の井戸などがあるのは【 】である。(2012)[0703]京都御所の建物のうち、大正天皇の即位礼の際に三種の神器の一つ「御鏡」を一時的に皇居から移して奉安したのは【 】である。(2017)[0704]梨木神社には、物理学者の【湯川秀樹】や『雨月物語』を書いた【 】の歌を刻んだ石碑がある。(2011)[0705]雪舟の【天橋立図】にも描かれた丹後国の一の宮で、宮司家の系譜を記した日本最古の系図として国宝に指定された「海…
まえがき 2022年。近代男色文学、もしくは近代少年愛文学が好きな人間にとって画期的な文庫が出た年であった。中公文庫から刊行された『給仕の室-日本近代プレBL短篇選』によって、今まで読むことが困難だった男色小説(中公文庫の言葉を借りるなら近代プレBL)に気軽にアクセスできるようになったのだ。そればかりではない。季刊男色で以前取り上げた綿貫六助の発禁雑誌に掲載された作品群が次々とKindleで刊行され、うれしい悲鳴を上げることに。200円払えば綿貫作品が気軽に読める時代がやってくるなんて!そんな空気に即発されて、もっと近代文学に男色作品があるのではと編んだのがこの本。主にツイッター(現X)のフォ…
こんにちは。薩摩琵琶奏者の中尾掌水、ヨガインストラクターのゆうこです。普段は書籍の編集者として働いています。 2023年最後のブログです。今年一年を振り返って、しっかり自分のことをほめてあげたいと思います。 まずは琵琶。今年もいろいろな演奏会を実施できました。3つの主催演奏会の2・3回目を無事開催。2回目以降を続けるということは、非常に重要なことだと我ながら思っています。 これからも根気強く、自分にとっての定番として定着させていきます! 4月22日@上野・市田邸「第3回 薩摩琵琶を通して味わう日本の美しい言葉」琵琶の後世に伝えていきたい言葉を紹介して、実際の演奏を聴いてもらうという構成の演奏会…
雨月物語 [DVD]京マチ子Amazon 能の謡いをバックにオープニングのクレジットが流れ、本編の舞台になる琵琶湖畔の集落にカメラが移動して行くときも、まだ少し能の謡いの音がかぶっている。この、オープニングから本編へとかぶっていく感じが絶妙で、この「引きずる」感覚がそのまま一気にラストまで引っぱっていってくれる思いがした。 しかしこの100分弱の作品で、物語にまったく澱みもなく、起伏に富んだ展開を一気にみせてくれるのは「まさに映画とはこういうもの」という思いにもとらわれてしまう。素晴らしいのだ。たしかにここには「映画表現の理想的なかたち」があるのではないか、とも思えてしまう。 まずは湖のほとり…
『文明六年本節用集』の伝来については、5月9日付(049)に見たように川瀬一馬『古辭書の研究』に説が示されていた。川瀬氏は『文明六年本節用集』を実見する以前「或は鹿島氏櫻山文庫の藏本なるべし。」との推測を持っていた。――恐らく桜山文庫に現在も所蔵されているはずだが、伝手がないため調査に入れない、よって推測を述べて置いて、調査の切っ掛けを逃すまい、と云う腹積りであったろう。 ところが意外にも昭和22年(1947)、『文明六年本節用集』は古書肆より帝国図書館に収まってしまう。川瀬氏は帝国図書館長岡田温の好意により真っ先に精査の機会を与えられている。そして『古辭書の研究』の(追記)部分に以下のように…
今回の少年の霊を担当した声優の織田碧葉さんってまだ未成年のリアル少年みたいですね。 え、良いのですか?今回のエピソードもかなりエグい物語ですけど、そんな年端もいかない子供に担当させて大丈夫…?だって映像見て声をあてるのだから当然あの画面も見たってことでしょ…?下手したらトラウマになりません…? 「旧I水門 / 無垢の怨念」 卒業生の一体である花魁の霊を回収した夜宵たちは遂に本題となる旧I水門に到着。そこには闍彌巫子(しゃみ・なぎこ)という有名な霊能力者がいたが、彼女は別の心霊スポットで悪霊に「なり代わ」られていた…というのが今回のあらすじ。 前回「なり代わり」という現象について言及があり、今回…
高尾山のお土産 いよいよ刊行間近の『天狗説話考』(久留島元著)の成功祈願に高尾山にお参りに行ってきました。関西なら鞍馬山か愛宕山に行くところなのでしょうね(詳しくは『天狗説話考』第一章天狗像の形成をご覧ください)。 お土産に天狗のお菓子を買ってきました。 右上の「天狗の鼻くそ」はココアコーティングしたピーナツ、左上の「烏天狗のたまご」はチョコを包んだクッキー、中央下の「天狗さまのへそのゴマ」は黒豆の甘納豆です。 いずれも高尾山口のお土産物屋さんで購入しました。 山陰の銘菓「伯耆坊」 下の写真は著者の久留島元さんから陣中見舞いにいただいた山陰の銘菓「伯耆坊」です。 鳥取県の名山・大山に住まう天狗…
『崖の上のポニョ』(2008)監督:宮崎駿(11/4) 実は初見。内容をほぼ知らずに観たんですが、こんな不穏な映画だったの?魚が魔法の力で人間になって好いた男の子と一緒になる、というメルヘンチックなストーリー、可愛らしいキャラクターに絵本のような美術、華麗な動画。にもかかわらず最初から最後まで薄ら怖ええのは一体なぜなのか。ちょっと言語化しにくいですが、現代の日本が舞台でディティールも日常のそれなのに、どことなく浮世離れした雰囲気があり、そのズレがどうにも不穏。特に街が水に浸かった後半から「じつはこれ全員死んでんじゃねえか?」と思うようなあの世感が画面のはしばしからにじみ出ています。ポニョは大変…
癸卯年十月初一。(京都)気温摂氏6.0/11.1度。未明から雨で昼まで(5.0mm)のち晴。とりたゝて用事もない京都での休日。家人の提案で慈照寺銀閣に近い白沙村荘 橋本関雪記念館へ行くことに。月曜日で多くの美術館など休館のなか、こちらは開館。四条高倉から市バスに乗ると混雑してゐてたが観光客の多くは平安神宮にて下車。関雪邸の会館は午前10時会館まで15分程あつたので銀閣寺への坂を歩く。雨のなかそれなりに観光客多し。外国人客の方が修学旅行よりも随分と多い。橋本関雪(1883〜1945)がこの地に邸宅造営は1914年ださうだから関雪31歳のとき。いくら若いときから文展で評価を得たとはいへ3千坪の土地…