「行為遂行的」という意味。
行為遂行的発言と事実確認的(コンスタティブ)発言を区別するJ・L・オースティンの用語。
事実確認的(コンスタティブ)発言は、何等かの事態を陳述する。それは真偽によって判断される。
行為遂行的(パフォーマティブ)な発言は、それを言うことによって行為する。たとえば、「命名する」という言葉は、何等かの事態を確認しているのではなく、その言葉によって現に命名しているのである。またこれらは、状況によって適切・不適切で判断される。
読んだ本 ヘレン・プラックローズ/ジェームズ・リンゼイ『「社会正義」はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』早川書房 (2022) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 第四章「クィア理論」の終わりまで、139項まで読み終えた。 ここまで読むことによって著者が「クィア理論」や「ポストコロニアル理論」に対してどういう感情を抱いているのか理解できた。 これらの理論を俯瞰的に見ているようにみえるなかで「暴言」の類いも時々見受けられた。 これはい…
◼️TCAA2022ー2024受賞記念展 ・津田道子「Life is Delaying 人生はちょっと遅れてくる」 入ってすぐの展示室〈生活の条件〉(2024)では、暗い室内にいくつかの額縁、鏡、そしてスクリーンが懸けられ、その中に時折役者たち...年齢や性別はさまざまで、皆白シャツを着ている...が立ち現れては消える。反射的に映像演劇を連想しまうが、彼らが取り上げるのはより卑近な生活動作だ。情報の絞られた展示室において、ダミーの額縁や鏡の反射、あるいはその場に立つ鑑賞者(や監視員)の肉体の力を借りて役者たちの立体感はいや増し、リズムのよい空間を多声的に成立させている。 〈カメラさん、こんにち…
現在開催中のBankART Life7「UrbanNesting:再び都市に棲む」に、blanClass+神村恵という名義で出張参加しています。会期中は毎週土曜日に「身ひとつで生きる」というタイトルでLive Artツアーを実施中。 4月27日土曜日のLive Artツアーは今井しほか + 大石一貴が登場! 馬車道周辺の街歩きをしながら影送りをします。 今井しほか + 大石一貴は、昨年8月に下高井戸の雑居ビルの屋上にある電気神殿メタコイノンで行われた展覧会 「光を測る」が初出しのアーティストユニット。 その展覧会は出来上がった作品を陳列するといったものではなく、日ごとに更新される謎の実験の経過…
芥川賞受賞作を遡って読んでいるひとこと感想の続きです。70年代の分です。 1980年代:続続続・芥川賞ひとこと感想日記(1989-1980) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) 1990年代:続続・芥川賞ひとこと感想日記(1999-1990) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) 2000年代:続・芥川賞ひとこと感想日記(2009-2000) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) 2010年代以降:芥川賞ひとこと感想日記(2022-2010) - 京都ぬるぬるブログ2.0 (hatenadiary.jp) ■ 森禮…
「植物図鑑」を標榜した中平卓馬とその作品・表現行為が、蛇のごとき滑らかな鱗を持つ爬虫類、時を渡る蛇のように立ち現れたのだった。
信仰告白 - 窪田圭佑の比例中項 私はK大学文学部宗教学専修にて、宗教を「人が人と交わりつつ、本当に自己自身となる過程を歩むこと」と捉え、現代においてその道を歩むためには従来の禅などの伝統に加えて、心理療法と、野口整体の知見を活かすことが有用と考え、研究しました。 ここでは宗教を「人と人が交わりつつ、本当に自己自身となる過程を歩むこと」と捉えたということにしている。これは、元々は西谷啓治の「実在の実在的な自覚」という定義を念頭におきつつ、心理療法に親和的に書いてみたものだ。 実在が自覚する、真実が真実として目覚めるということである。実在というのは本当に存在するもの、確かなもの、宗教の言葉でいえ…
舞台芸術制作者オープンネットワークが主催する、「人と舞台芸術のあり方を見つめ直」すための配信講座シリーズ。アーカイブをテーマに据えた第5回は、社会学者の吉見俊哉氏と、作曲家で「紙カンパニーproject」のメンバーでもある松延耕資氏が講師を務めた。 講義内容について詳述は避けるが、吉見氏の講義はアクロバティックでありながら実践の上での基盤も固める内容でとても面白かった。自分は「アーカイブ」と聞いたときになんとなく公演の記録動画を念頭に置いていたが、当然ながらそこに留まらず網羅的でボーダーレスな保存を可能としている現代のデジタルアーカイブの可能性。「公演」に軸なす水平な時間と垂直な時間、場をもっ…
昨日の『日向坂で会いましょう』を見て感じたことをつらつらと書いてみる。とくに大作の記事というのでもなく、ツイートの延長くらいの感じで。 まず、11thシングルで選抜制が導入されることに関しては、正直なところあまり驚かなかったし、ショックも少なかった。多くの人が言っているように、いずれ来るんだろなと思っていたから。だけど、自分が選抜制の導入を既定路線として受け入れていた(諦めていた)ことにふと違和感を持った。別にこのまま「全員選抜」として28人で表題曲をパフォーマンスすることだって可能じゃないのかと。もちろん、テレビ番組の出演などに関していろいろなハードルがあることもわかるが、テレビ側、「運営側…
読書会で、ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル』竹村和子訳(青土社、1999年)を読むことになった。指定のページを一通り読んでも、読書会当日になったら読んだ内容を忘れそうなので、1章1節ごとにメモしていこうと思う。あと、読書会のたびに本を買いまくっているので、図書館で手に入る本はできるだけ買わずに出費を抑えたい。借りた本は2~3週間で返却しないといけないので、期限までにできるだけ読み進めておくためにも、要点と疑問をメモしておこうと思う。 序文 p.7 反抗したら叱られるといったような、トラブルを起こすとトラブルの状態に陥る構図、トラブルを起こすとトラブルに巻き込まれるぞと脅しを受ける現状…
『春期限定いちごタルト事件』(2004) 春期限定いちごタルト事件 小市民シリーズ (創元推理文庫) 作者:米澤 穂信 東京創元社 Amazon 2024/1/27~28(2日間) ※真相のネタバレ普通にあるので注意 1/27(土) ・プロローグ・羊の着ぐるみ 高校時代がはるか遠くのものになったのだなぁという感慨。発狂しそう。小鳩くんの飄々としてますよ感に胸を掻きむしりたくなるし、小佐内さんとの関係はなんだこれ!?!? 甘ったる過ぎる!!!! うおおおおおお 好きとか嫌いとかでなくて、ひたすら "発狂" するしかねぇ お互いを盾や言い訳に使って小市民たることを目指す、とかごちゃごちゃ言ってるけ…
1.ロックンロール 8歳のとき、ブルーハーツを聴いてた。悩んでたし、ベタに「私のために存在してるバンドだあ!」と素朴な感慨に耽って力をもらっていた。8歳という若さもあって、初期の「やさしさパンク」に打ち震えてた。 「終わらない歌」をよく聴いてた。「キチガイ扱いされた日々!」というフレーズが、キメの前に入る。当時は大好きで、暴力や偏見やからかいから私を放ってくれるように感じてた。でも、このフレーズは、彼自身の歌詞を用いれば「弱いものが夕暮れさらに弱い者を叩」いてる歌詞であり、なんて狡猾なんだろうと思う。人から除け者にされたり軽んじられたりしてきた/いる「僕や君や彼ら」「全てのクズども」が、「まる…
幽霊を弔わないこと、良きニヒリストになること 犠牲にならぬものたちの声を犠牲にならぬままに拾い上げることは可能だろうか? あるいは、犠牲にならぬものたちの声はどうして犠牲にならぬものたちの声として聞かれ得ないのだろうか? 『気遣いの幽霊』というテキストから連ねられた時間のなかで、私が抱いていたのはそんな疑問だ。 佐伯 その時、カチカチカチカチ、って音が聞こえてきて、なんだろうって思ったら木田くんがあの、押しボタン、押してるんだよね。 木田くんは幽霊だ。あるいは幽霊を名乗る男だ。あるとき佐伯という男は、「お召し物をくださいませんでしょうか?」と声をかける木田くんに出会うのだが、木田くんには幽霊ら…
2024.01.06 15:30倉俣史朗のデザイン —記憶の中の小宇宙世田谷美術館 倉俣史朗。インテリアデザイナー。 名前としては知っているけど、どんな作品を作っていたかとかはあまり分からない状態で、 でもなんだか行ったほうがいいような気がして足を運んだ、初春にしては暖かい世田谷美術館。 自転車で家から30分くらい。2024年展覧会初めです。 内井昭蔵が設計した瀟洒な美術館、公園に面した明るく美しい部屋に置かれた、 テーブルと2脚の椅子のセットと、2脚の椅子。 最初の部屋だけは写真撮影が可能とのこと。 ああ、見たことはあるよな、アーティゾンとかにあるよね、確かにきれいだけど。 向かいの部屋には…
2021年設立のダンスミュージックレーベルSPRAYBOXによる初主催イベント。 自分にとってSPRAYBOXは、はじめは今まで知らなかったジャンル音楽の魅力と猥雑かつポップな印象のアートワーク、現場で観てからはパフォーマティブでエネルギーに満ちたステージに惹かれ、加えて自分とタメや少し年下くらいの人たちが見通しをもってレーベルを運営し、実際成果を蓄積している様子が率直に言って眩しかったため、継続的にチェックしている存在であった。ので行った。 clubasiaのメインフロアは相変わらずタッパがあり、頭上高くファンが回る気配が届く。その暗闇に多くの機材が息づく中、ステージ正面では3面のスクリーン…
はじめに 佐々木敦『ニッポンの思想 増補新版』を読んだ。良かった。 なお本記事のタイトルは、AIタイトルアシスト(ソーシャルメディア向けタイトル)に生成してもらった。 ニッポンの思想 増補新版 (ちくま文庫 さ-54-1)作者:佐々木 敦筑摩書房Amazon 本書は2009年7月20日に講談社現代新書として刊行された『ニッポンの思想』に加筆修正を加え、「第九章 ストーリーを続けよう?(On with the Story?)」「第十章 二〇二〇年代の「ニッポンの思想」」を増補して文庫化したものらしい。 以下では増補部分に関して思ったことを述べる。 東浩紀系論者の非文化左翼性 福嶋、濱野、宇野の三…
読んだ本 土佐弘之『ポスト・ヒューマニズムの政治』人文書院 (2020) ジョン・デューイ『民主主義と教育 (上) 』岩波文庫 1975 高島和哉『ベンサムの言語論:功利主義とプラグマティズム』慶應義塾大学出版会 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 午前中は『ポスト・ヒューマニズムの政治』を読んだ。 「環境的不正義」といった表現をたまに本屋でみかける。 SDGsを否定はしないが西欧の押し付けがましさは、未だに印象としては拭えない。 本書では構造的に「マッチポンプ」の様相を呈していると書かれている。 問題を引き起こしている側(先進諸…