支持率急落、安倍政権に衝撃=憲法改正・総裁選に暗雲 - 時事ドットコムニュース(2018年3月17日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031601225&g=cyr
http://archive.today/2018.03.17-003954/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031601225&g=cyr

時事通信世論調査内閣支持率が3割台に急落し、安倍政権に衝撃が走った。学校法人「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざんが影響したのは明らかで、政権は危機感を募らせる。しかし、信頼回復への手掛かりは見えず、安倍晋三首相が悲願とする憲法改正論議や秋の自民党総裁選の行方に暗雲が垂れ込めている。

◇「財務省爆弾の威力」
「国民から厳しい目が向けられている。信頼回復に向けて全力で取り組んでいきたい」。菅義偉官房長官は16日の記者会見で支持率下落について問われると、硬い顔つきでこう語った。
3月の内閣支持率は39.3%。前月から9.4ポイント落ち込んだ。調査期間はちょうど前財務省理財局長の佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任した9日から、同省が決裁文書の改ざんを報告した12日までで「改ざんの影響は疑いない」(政府関係者)。
政府関係者の一人は「財務省爆弾の威力はすさまじい」と絶句した。首相周辺は「政権に対する集中砲火の中、よく踏みとどまった」と強がったが、楽観するほどの余裕はない。
文書改ざんをめぐっては、6日の時点で首相にも改ざんの可能性が報告されていたことが判明した。野党は、財務省が改ざんを認めた12日まで首相官邸が伏せていたことを批判。書き換えの「最終責任者は佐川氏」とする政府の説明にも納得しておらず、誰が何の目的で指示したかを徹底追及する方針だ。
世論調査では内閣不支持の理由として、「首相を信頼できない」と答えた人が急増した。支持率急落の背景には個別政策への反発というよりも、「政権の体質」への嫌悪感が広がっていることがあるとみられ、信頼回復は容易でない状況だ。
◇しぼむ改憲機運
支持率急落は首相の求心力低下につながり、改憲論議の行方にも影を落としている。首相は2020年の改正憲法施行を目指す構えを崩していないが、文書改ざんへの世論の厳しい視線を意識する与党内では、年内の改憲発議に向けて党内論議を急ぐ機運が急速にしぼみつつある。
自民党石破茂元幹事長は14日、「党への信頼を回復する方が(改憲より)先だ」と記者団に強調した。15日の党憲法改正推進本部の全体会合では、石破氏に同調する形で憲法9条改正の条文案を執行部に一任する提案に異論が出たため、執行部は意見集約を先送りせざるを得なかった。
冷ややかな空気は公明党にも波及しており、同党の北側一雄中央幹事会長は15日の記者会見で、「改憲原案が出てくるのはまだだいぶ先の話だ」と党内論議を急がない考えを表明。中堅議員は「改憲はもう無理だ」と漏らした。
現状では、「早ければ今国会での改憲発議」という政権の想定は吹き飛んでいる状況で、政府関係者も「改憲どころではない」と認める。

◇楽勝ムード一変
自民党内では、厚い支持基盤を背景に、秋の党総裁選で首相が3選するとの楽勝ムードも一変している。首相の出身派閥である細田派の中堅議員は「首相が当たり前に勝つ雰囲気ではなくなった」と声を落とした。
総裁選での主戦論と首相からの禅譲論が交錯する岸田派内では、「岸田派も首相をライバル視する石破派も活発に動くだろう。展開次第で首相は出馬を諦めるかもしれない」と見る向きもある。
首相は佐川氏の国会招致で問題の幕引きを狙うが、自民党関係者は「佐川氏が自分に責任があると証言すればいいが、そうでなければ怖い」と不安を隠さない。「最後のカード」と目される麻生太郎副総理兼財務相の進退も「内閣総辞職に発展しかねない」と危惧する。
官邸は局面転換をにらみ、日朝首脳会談の可能性も探り始めている。一方、立憲民主党など野党6党は内閣不信任決議案提出も視野に攻勢を強める構えで、政局の行方は不透明感を増している。公明党関係者は「きな臭くなってきた」とうめいた。

内閣支持急落39%=不支持5カ月ぶり逆転−森友文書改ざんが打撃・時事世論調査 - 時事ドットコムニュース(2018年3月16日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031600837&g=pol
http://archive.today/2018.03.17-004349/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018031600837&g=pol


時事通信が9〜12日に実施した3月の世論調査で、安倍内閣の支持率は前月比9.4ポイント減の39.3%と急落した。不支持率は8.5ポイント増の40.4%だった。支持が3割台だったのも、不支持が支持を上回ったのも、昨年10月以来5カ月ぶり。学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題が政権への打撃となったとみられる。

文書改ざんに反発する野党は、麻生太郎副総理兼財務相の辞任を迫るなど攻勢を強めており、政権は当面守勢を強いられることになる。安倍晋三首相が目指す憲法改正の国会論議や、今秋の自民党総裁選での首相の3選戦略に影響が及ぶのは必至だ。
内閣支持率を年代別に見ると、10〜40代で支持が不支持より高い一方、50代以上では不支持が軒並み上回り、高齢層での「安倍離れ」が目立った。男女別では、男性が支持42.1%、不支持40.7%、女性は支持36.3%、不支持40.2%だった。

◇「信頼できない」急増
内閣を支持する理由(複数回答)は多い順に「他に適当な人がいない」19.4%、「首相を信頼する」8.8%、「リーダーシップがある」8.3%。一方、支持しない理由は、「首相を信頼できない」が8.8ポイント増の25.2%と最多で、「期待が持てない」17.3%、「政策が駄目」14.1%などが続いた。
政党支持率は、自民党が3.3ポイント減の25.2%、立憲民主党は1.1ポイント増の5.3%。公明党2.9%、共産党2.6%、民進党1.2%、希望の党0.5%などとなった。支持政党なしは58.3%だった。
財務省文書の改ざん当時に理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官を国会に招致して説明を求めるべきかを聞いたところ、「求めるべきだ」が66.3%で「必要ない」21.7%を大きく上回った。

「なぜ前川氏?」繰り返す 文科省、天下り 出会い系強調 - 東京新聞(2018年3月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031702000127.html
https://megalodon.jp/2018-0317-0951-37/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018031702000127.html


名古屋市立八王子中学校が前川喜平・前文部科学次官を招いた授業の内容について、文科省が学校側に報告を求めた問題で、市教育委員会は十六日、文科省と市教委がやり取りしたメールを公開した。文科省は、前川氏が天下り問題で引責辞任したことや「出会い系バー」を利用していたとの報道に触れ、前川氏を招いた理由を問いただし、「具体的かつ詳細に」報告するよう求めていた。 
文科省と市教委側は二回ずつメールを送り、市教委側は学校長がほとんど回答した。
文科省は一日付のメールで、前川氏について「教育行政の事務の最高責任者としての立場にいましたが、いわゆる国家公務員の天下り問題で辞職し、停職相当とされた経緯があります」と説明。さらに「報道などにより次官在任中にいわゆる出会い系バーの店を利用し、女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしたことが公になっています」として、前川氏を招いた理由をただした。
市教委側は五日付の返信で「天下り問題は、文科省ひいては国家公務員全体の問題」と答え、出会い系バーの出入りも「良心的な目的であったことが報道されています。いずれも講演依頼の障害になるとは考えませんでした」と回答した。
文科省は六日付のメールで再び、「前川氏は天下り問題に直接関与したことが認められ、停職相当とされた」とし、「このような責任を問われた方が、道徳教育を行う学校で授業を行ったことについて見解をご教示ください」と聞いた。出会い系バーの出入りも「疑われるような行動は取るべきではないといった報道も見られます」と記した。
市教委側は七日付の返信で「私(校長)が前川さんにお願いしたのは、私がじかにお会いしてお聞きしたお話や、私が感じた前川さんの人となりから判断したもの」と応じた。
前川氏は、学校法人「加計(かけ)学園」が新設する獣医学部の経緯が不透明と指摘し、会見で「公正、公平であるべき行政のあり方がゆがめられた」と発言。国会にも参考人招致されている。

(筆洗)「不当な支配」とは何か - 東京新聞(2018年3月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018031702000165.html
https://megalodon.jp/2018-0317-0952-46/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018031702000165.html

教育基本法にはかつて、こういう条文があった。<第一〇条教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである>
ここでいう「不当な支配」とは何か。この法が可決された一九四七年三月の国会で文部省の局長は、こう答えた。「従来官僚とか一部の政党とか…によって教育の内容が随分ゆがめられたことのあることは、申し上げるまでもないことであります」
戦前の極度に国家主義的な教育行政で学びの場はゆがめられ、学校は子どもを戦争の道具に仕立て上げた。そういうゆがみを再び生じさせぬための要石として、「不当な支配に服さず」という文言が置かれたのだ。この要石の重みを忘れたのか。文部科学省の官僚が、前川喜平・前文科次官を講師に招いた名古屋市立中学校に対して詳細な報告を求めていたことが明らかになった。
教育基本法は第一次安倍政権下で改められたものの、「不当な支配に服さず」との文言は残り、首相は当時「国家管理を強めることにはならない」と国会で明言していた。だが、官僚が個々の授業にまで口を挟むようなまねは「国家管理の強化」だろう。
前川氏は加計学園の学部新設をめぐり「行政がゆがめられた」と国会で証言していたが、こう言いかえた方がいいかもしれぬ。「行政がゆがめられている」。ゆがみは現在進行形である。

前川氏の授業 国は教育に介入するな - 東京新聞(2018年3月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031702000167.html
https://megalodon.jp/2018-0317-0949-29/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018031702000167.html

国の嫌がらせではないかと思った人もいただろう。前川喜平前文部科学次官が中学校で講演した内容を教育委員会に問いただした問題だ。国が学校の授業に介入したと受け止められても仕方がない。
前川氏は二月、名古屋市立中学校に講師として招かれ、「これからの日本を創るみなさんへのエール」と題して、生涯学びながら生きる力の大切さなどを語った。
講演が行われたことを知った文科省は、その経緯や目的、内容などを細かく尋ね、講演録や録音データの提供を求めるメールを市教委に送っていた。
天下りに関与して辞職し、「出会い系バー」を利用したと報じられた前川氏が講師にふさわしかったのか。そんな問題意識に駆られたようだが、非常事態ではないにもかかわらず、国が個別の学校の授業を調べるのは行き過ぎだ。
戦前の軍国主義教育の反省に立ち、戦後教育の枠組みでは、国の主な役割は全国共通の教育基準を作ったり、教育条件を整えたりすることに限られている。教育内容には踏み込まないのが原則だ。
文科省から市教委への問い合わせについて、林芳正文科相は「法令に基づいた行為だった」と述べたが、外部から講師を招くたびに調査されては、学校現場は萎縮してしまう。国の顔色をうかがいながら授業をする光景は恐ろしい。
学校法人加計学園獣医学部新設計画を巡り、前川氏は「総理のご意向」などと内閣府から文科省に伝えたとする文書の存在を認める証言をしたり、「行政がゆがめられた」と公言したりしていた。
文科省を去ったとはいえ、もしかしたら政権は、いまだに前川氏の振る舞いに警戒心を抱いているのではないか。官僚のみの意思で講演の中身を問いただす行動に出たのか。それとも、政治的な思惑がどこかに潜んでいるのか。
市教委の杉崎正美教育長は、前川氏の講演について「開かれた教育」の一環として、キャリア教育の視点で行われ、問題はなかったと言う。文科省の意図をあらためて確認する意向を示している。
文科省は学校の判断を十分に尊重した上で、誠実かつ丁寧に応える立場にある。問い合わせた初等中等教育局の担当者は「現場にプレッシャーをかけた認識はない」と答えたが、その感覚は国民から懸け離れている。
公教育の中核を担っているのは地域の学校だ。子どもたちの健やかな成長を願い、日々奮闘する現場をもっと信頼せねばならない。

前川講師問題 文科省とのメール公開 名古屋市教委 - 毎日新聞(2018年3月16日


https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/040/121000c
http://archive.today/2018.03.17-005041/https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/040/121000c

文部科学省前川喜平・前事務次官名古屋市立八王子中の授業で講師を務めた経緯の報告と録音データの提供を文科省が市教育委員会に求めた問題で、市教委は16日、文科省とのメールのやりとりを公開し、記者会見して内容を説明した。文科省のメールは、天下り問題で次官を辞した前川氏の経歴などに触れ、講師を頼んだ理由を繰り返し聞くもので、市教委は「講師に適格ではないと文科省が考えている」と受け取れる文面だったと明かした。
文科省からの質問と追加質問、市教委からそれぞれへの返信のメール計4本などA4判22ページが公開された。
市教委によると前川氏は2月16日、八王子中の総合学習の公開授業で講演した。文科省から3月1日に最初のメールが届いた。15項目にわたり、前川氏を招いた経緯や目的、保護者の反応などを尋ね、録音データの提供も求めるものだった。前川氏が次官を辞職した経歴に加え、「いわゆる出会い系バーの店を利用」と言及し、「道徳教育が行われる学校の場」に前川氏を招いた理由を「具体的かつ詳細に」示すよう求めた。
授業の狙いについて、市教委は「前川さんの中学生時代、文科省時代、退官後の生き方をキャリアの参考にしてほしかった」との旨を3月5日夕に返信すると、追加質問が翌朝に届いた。再び経歴などを持ち出し「前川氏が、停職相当となった事実を校長は認識していたのか」と問うた。
八王子中の上井(うわい)靖校長は、前川氏を選んだ理由を再三問われたことから「そこを詳しく知りたいんだと感じた」と会見で述べた。また、「3年ほど前に聞いた前川氏の講演が非常に分かりやすく、聞き手にも考えさせる内容だった」ことから講師に選んだと説明した。
同席した市教委の藤井昌也指導室長によると、個別の授業内容について文科省からの問い合わせは異例。追加質問がすぐに届いたことで「あまりに早くて驚いた。すごい関心を持っている」と感じたという。一方で「我々は多様な観点を大切にしており、人選が間違っていたとは考えていない。今回のことが外部から人を招く障壁にならないように注意していきたい」と述べた。
録音データは前川氏の許諾がなかったため、文科省には渡していないという。
河村たかし市長も16日、報道陣の取材に応じ、「ちょっとやり過ぎだと思う。『国の言うことを聞け』ということでしょう。教育委員会も(文科省に)ちょっとは反発して、対応を議論してもらわんといかん」と文科省を批判した。【三上剛輝、山衛守剛】

文科省が授業内容を調査 教育への不適切な介入だ - 毎日新聞(2018年3月17日)

https://mainichi.jp/articles/20180317/ddm/005/070/105000c
http://archive.today/2018.03.17-005259/https://mainichi.jp/articles/20180317/ddm/005/070/105000c

国による行き過ぎた個別授業への干渉だ。教育への介入と指摘されても仕方がない。
名古屋市の公立中で行われた授業に前川喜平・前文部科学事務次官が講師として出席した。これを知った文科省が内容を詳細に報告するよう求めるメールを市教委に送り、録音データの提供も求めた。
授業は2月中旬、市立中で全校生徒と地域住民が対象の総合学習の時間だった。前川氏と以前から知り合いだった校長が依頼した。
前川氏は、自らの不登校経験や夜間中学のことなどを話したという。
驚くのは、この授業を知った文科省の対応である。
このメールでは、前川氏が天下り問題で引責辞任したことなどを説明し、講師依頼の判断や授業内容を15項目にわたり問いただしている。「授業を行った主たる目的は何だったのか」などと回答を求めている。
学校は授業内容の概略を市教委に報告したが、録音データの提供は拒否したという。当然だろう。
文科省は、学校の個別の授業内容に介入しないことが大原則だ。
文科省の役割は、学習指導要領の策定など全国共通の教育基準作りや教育の条件整備だ。
教育基本法は「教育は不当な支配に服することなく」と定めている。
国が教育内容を統制した戦前の反省からだ。文科省が個別の授業内容を調べれば、現場はそれを圧力と受け止める恐れがある。現場は萎縮し、学校の自主性を損ないかねない。
気になるのは、前川氏が加計学園の問題で安倍政権への批判を強めていたことだ。今回の調査は初等中等教育局長も了解していたという。前川氏の行動を監視していることを、アピールでもしたいのだろうか。
林芳正文科相の対応にも疑問がある。「誤解を招きかねない面があった」と担当局長を注意した。だが「授業の狙いや招いた経緯を確認する必要があった」と調査に問題はないとの認識を示した。
地方教育行政法は、文科省が教委への調査ができると定めている。だが、想定されるのは法令違反やいじめなどの緊急事態だ。今回がそれに当たるとはいえまい。
文科省は改めて経緯を調べ、公表すべきだ。

前川氏の講演 調査は明らかな介入だ - 朝日新聞(2018年3月17日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13406411.html
http://archive.today/2018.03.16-232239/https://www.asahi.com/articles/DA3S13406411.html

前次官の前川喜平氏が名古屋市の中学校で講演したことに対し、文部科学省が市教委に趣旨や内容を問いただしていた。
電子メールを使った質問は、2度にわたって約30項目あり、録音データの提供まで求めた。問い合わせの範囲を明らかに超え、異様というほかない。さらに口頭で、氏を招くのは「慎重な検討が必要だったのではないか」とも伝えたという。
「慎重な検討」をすべきだったのは文科省の方だ。
前川氏の講演は先月、「総合的な学習の時間」の一環で行われた。以前、教員の研究大会などで話を聞き、講師として適任と思った校長が頼んだ。当日、前川氏は夜間中学や不登校について自身の経験も交えて語り、「生涯学ぶ力をつけてほしい」と説いたという。
この教科の目標は、変化の激しい社会に対応して自ら考える「生きる力」を育むことだ。講演は、まさに学習指導要領の趣旨に沿う中身といえる。
ところが文科省の担当者は、前川氏が天下り問題に関与して次官を辞め、懲戒処分相当とされたことや、「出会い系バー利用」が報道されたことを指摘。「この事実をご認識されていたか」「道徳教育が行われる学校の場に、どのような判断で依頼したのか、具体的かつ詳細にご教示下さい」などとただした。
メールの文面には、前川氏の人格を非難する意図がにじむ。文科省は「事実の確認」だと強調するが、そんな生やさしいものとは到底いえない。
今回の講演は不適切なものだったと断じているに等しい。文科省から教育現場への圧力と受け取るのが自然だ。
林芳正文科相は記者会見で、「確認のしかた、表現ぶりはもう少し慎重にやった方がよかった」と述べ、担当局長を注意したと説明した。認識の甘さに驚く。過剰な介入をもっと厳しく戒めるべきだ。
前川氏は加計学園獣医学部新設問題で、「行政がゆがめられた」と政権を批判した。講演者がその前川氏でなければ、文科省もここまで執拗(しつよう)な行動には出なかったのではないか。
これは前川氏とこの中学だけの問題ではない。他の学校や教員を萎縮させる効果は大きい。講師に呼びたい人物や計画している催しが、政府の気に障るものでないか、常に神経をとがらせることになりかねない。
教育の目的にかなう内容であれば、どんな人を招くかは学校の見識と裁量に委ねるべきだ。子どもたちが多彩な大人から学ぶ機会を奪ってはならない。

森友文書改ざん 首相答弁影響、否定せず 太田理財局長 - 毎日新聞(2018年3月16日)

https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/010/209000c
http://archive.today/2018.03.17-005609/https://mainichi.jp/articles/20180317/k00/00m/010/209000c

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題に関し、財務省の太田充・理財局長は16日の参院予算委員会で改ざんの背景を問われ、安倍晋三首相らの答弁の影響を否定しなかった。太田氏は「答弁を主にしていたのは(当時の)理財局長だが、首相や大臣(麻生太郎副総理兼財務相)も答弁がある。政府全体の答弁は気にしていた」と述べた。前任局長の佐川宣寿前国税庁長官の答弁に合わせるための改ざんだったとの財務省の従来の説明から踏み込んだ。

共産党の辰巳孝太郎氏への答弁。首相は昨年2月17日の衆院予算委で「私も妻も一切、認可や払い下げに関係ない。関係していたなら首相も議員もやめるとはっきり申し上げておく」と述べていた。辰巳氏は2月下旬からの改ざんで首相の妻昭恵氏に触れた部分が削除されたと指摘し、「整合性のために消されたのではないか」と質問していた。
太田氏は改ざんの理由について「議論の展開までにらみ、心配して書き換えていたのではないか」と語り、国会での野党の追及への懸念が背景にあったとの認識を示した。佐川氏は昨年の国会で「法令にのっとって適切に処理した」との答弁を繰り返していた。
太田氏は参院予算委で「(職員を)聴取した限りで、佐川氏は(改ざんを)知っていたと認識している」と述べた。昭恵氏や政治家の名前を記していた理由について「近畿財務局が、国会対応する本省の参考になるのではないか、と政治関係も含めて詳しく解説した」と答弁した。衆院財務金融委では「佐川氏の関与の度合いは大きかったのではないか」と指摘した。
麻生氏は参院本会議で佐川氏について「行政官としての能力は全て否定されるものでもない。国税分野における豊富な経験を生かして職務を適切に行ったと考えている」と答弁した。
この日から審議に復帰した野党は「昭恵氏につながる文書を消すための改ざんだとますますはっきりした」(辰巳氏)と批判。「一官僚が軽々にできるとは思えない。首相周辺や麻生氏周辺の圧力があったのではないか」(民進森本真治氏)と主張し、今後も政治家の関与を追及する。
民進、共産両党は16日の参院予算委理事会で、佐川氏の証人喚問を改めて要求。与党は19日に首相が出席して開く集中審議の状況を待つ考えを示した。【野口武則、小田中大】