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『ウツボラ』最後の謎:入れ替わる二人と曖昧なモノローグ

【今回の記事は結末部分に触れるので、ネタバレを避けたい方はご注意ください。】


先月中旬、中村明日美子さんの『ウツボラ』2巻(完結巻)が発売されました。


ウツボラ(1) (F×COMICS)

ウツボラ(1) (F×COMICS)

ウツボラ(2)(完) (エフコミック) (エフコミックス)

ウツボラ(2)(完) (エフコミック) (エフコミックス)


この物語は、とある女性の投身自殺から幕を開けます。
身元を示すものは何も無い。頭から落ちたため顔の損傷も激しく、判別は不可能。唯一の手掛かりは、携帯電話に残されていた、たった2件の登録先のみ。
そのうちの1件は、小説家・溝呂木舜。耽美的な作風で知られる彼は、久し振りの新作となる『ウツボラ』の連載を開始している。溝呂木のモノローグから、携帯電話の持ち主の名前は「朱(あき)」であることが判る。
警察からの連絡で、遺体が収容されたK病院へと向かう溝呂木。そしてそこには、自殺した筈の朱と同じ顔の女性がいた。彼女は自分は朱の双子の妹・三木桜だと名乗る。
桜としばらく話をした後帰宅し、書斎へ向かう溝呂木。机には、「藤乃朱」名義で書かれた『ウツボラ』の原稿用紙が隠されていた・・・。


・・・と、このような導入から始まるサイコ・サスペンス『ウツボラ』。
三木桜はほんとうに藤野朱の妹なのか?顔が判別できない遺体は、ほんとうに藤野朱なのか?溝呂木に接近していく桜の真意は?目的は?様々な謎と、溝呂木による盗作問題、その他様々な登場人物の心情・思惑・過去が交錯しつつ、物語は結末へと雪崩れ込んでいきます。


その結末は、是非とも実際に読んで確かめて戴きたいところですが、今回取り上げる箇所はその結末部分になります。可能な限り触れないようには書きますが、ネタバレを回避したい方はこの先を読むのは避けたほうがよろしいかと思います。
記事の収納もしておきます。

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