パパの関わり方 仕事の場面に置き換えて 5/25

 どう子どもに接したらいいのか自信が持てず、ついママに任せがちなパパは少なくないでしょう。子どもと過ごす時間が少ないのも悩み。そんなお父さんにできる関わり方とは? 2人のパパに聞きました。

 「あなたの理想のパパは誰ですか?」

 神奈川県逗子市で17日あった市主催のパパスクール。講師の会社員内山恵介さん(43)が冒頭、そう問いかけると、多くの参加者が思案顔になった。「そう、あまり考えたことがないと思います。パパ業にはロールモデルがないんです」

 内山さんは、元損保会社の人事マン。社内ベンチャーに手を挙げて保育園を立ち上げ、園長を務めた経験がある。私生活では、大学生の長男と高校生の長女の父親だ。子どもとの接し方がいま一つわからない新米パパらに、仕事になぞらえながら子育てのアドバイスをしている。

 例えば、ほめ方のコツは、成果ではなく行動をほめること。「営業成績が良い部下を『この数字、よくやった』とほめてばかりいると、悪い時は報告しにくくなる。過程や頑張りを認めてあげれば、自己肯定感が高まるものです」

 このほかにも、「指示(伝えたいこと)は具体的に」「脅し文句は逆効果」「言い分を受け止めてから対案を」など、仕事の場面に置き換えた助言が様々ある。講座に参加するパパたちには「わかりやすい」と好評だ。内山さんは「人と人の関係の基本的な部分は一緒。父親は、言葉数が少なすぎるダメ上司型ではなく、コミュニケーション上手にならなければ」と話す。

 ■忙しい日も「濃い3分」

 働く父親の多くが抱える悩みは、子どもとふれあう時間の少なさだ。限られた時間の中で、どうすればいいのか。

 小学生の子ども2人がいる育児・教育ジャーナリストのおおたとしまささん(40)は、「忙しくて接する時間が短いからこそ、子どもの意外な一面に気付ける面もある。パパは量より質で関わって」と話す。

 平日は3分間だけでも子どもと過ごすようにしてみては、というのがおおたさんの提案だ。絵本の読み聞かせでも、ワンフレーズの言葉がけでもいい。父親と過ごした時間が印象に残るようふれあうのがコツだという=図。

 ママがお世話のプロの場合は、パパは遊びのプロたれ、とも言う。

 「遊びは自発性と想像力を磨くのにいい機会。休日は、ママ抜きで積極的に出かけてみましょう」

 どうしても時間がないときでも、工夫はできる。

 交換日記をしたり、部屋の中に一言メッセージを隠しておいて「お宝」探しを楽しませたりして、意識的に子どもと関わる場面を作るといいという。

 「ママの目にはおいしいとこ取りに映るかもしれない。パパは、ちょっとだけしか関わっていないという自覚を忘れてはダメ。1日1回、ママの苦労にも思いをはせましょう」

 (兼田徳幸)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11154195.html

野菜が食べられない 自分で料理、興味持たせて 6/1

 子育て中の親を悩ます子どもの偏食。とりわけ野菜は、苦手な子が少なくありません。工夫しても食べてくれず、親が疲弊してしまうケースも。記者の息子も「筋金入り」の野菜嫌い。どうすればいいのか探りました。

 4歳になる息子は、妻に言わせれば「炭水化物でできている」。食べるのはおにぎりとうどんばかりで、キャベツやホウレンソウなど「青もの」にはプイと顔をそむける。

 評判のレシピ本から妻が30メニューほど試してみたが、かたくなに野菜を拒む。一生懸命だからこそ妻のイライラは募り、食卓は日々、気まずい雰囲気に。私も八方ふさがりの心境だった。

 子どもの食に約40年かかわる料理研究家坂本廣子さんを訪ねると、シンプルな答えが返ってきた。「食べない食材には、負のイメージがついていることが多い。イメージの『結びつけ直し』をすると抵抗感がなくなりますよ」

 自分で調理すれば苦手意識の軽減につながる、と坂本さん。主宰する料理教室「キッズキッチン」を息子とのぞいてみることにした。

 4月中旬、神戸市東灘区の教室には2〜4歳の子どもが10人。献立は、いわしの煮付けにインゲンのごまあえ、ご飯、大根のみそ汁だ。

 まずは坂本さんが食材を丁寧に説明し、調理して見せた。「素材を認識した上で、どんな筋道で食べ物が出来上がるのか感じてもらうことが大切。作ることで五感が刺激され、『食べなくては』から『食べてみたい』に変化を促すのです」

 いざ、実践。すり鉢でゴマをすり、怪しい手つきでイワシのはらわたを取り出す。決して口にしないインゲンを切る息子に、坂本さんは「すごいすごい、長さがそろっているね」と声をかけた。

 自分の器に、食べきれるだけの量を盛りつけるのも子どもたち自身。インゲンをスプーンに3杯盛った息子に目を疑った。

 いよいよ食事。息子は、ごはんとみそ汁を食べた後、天敵の一つ、ネギをじっと見つめてから口に入れた。「いまネギを食べた?」と聞くと、「おいしかった」とニヤリ。インゲンも半分食べた。

 翌日、息子は姉とインゲンのごまあえを作った。食べはしなかったが、料理教室で自分から食べる姿を目の当たりにした記者には「食べるまで待ってみよう」という気持ちのゆとりが生まれていた。

 1カ月後。ホウレンソウのスープを初めて完食。翌日も食べた。息子の心の中に、変化が生まれつつあるようだ。

 (田中章博

 ■手伝い・味見、五感刺激

 国立総合児童センター「こどもの城」(東京)の管理栄養士、太田百合子さんに、野菜との付き合い方を聞いた。

     ◇

 野菜や肉・魚、山草、海藻と食材豊かな日本は、子どもがなじむのに時間がかかる食べものが多い。中でも野菜は食感と味の両面で、子どもにとってハードルが高い食材です。3歳ごろまでは奥歯がないためペラペラしたレタスやワカメ、トマトの皮はすりつぶせないし、バラバラになるブロッコリーはうまくかめない。野菜の苦みやえぐみ、ドレッシングの酸っぱさは本能的に拒否してしまいがちです。

 食べやすくするには、ニンジンなら軟らかく煮る、ゴボウやレンコンなら薄切りにする。カレー粉やバター、しょうゆで味に変化をつけるほか、油炒めや素揚げも有効です。

 五感を刺激するのも重要。大人がおいしく食べている姿は記憶に残りますし、料理の手伝いや買い物での野菜選びも、食への関心につながります。料理中に味見をさせて「甘い方がいい」「濃い味がいい」という言葉を引き出すと、選んだ実感がわき、食べる意欲を高めます。

 細かく刻んだりすりつぶしたりして、食材が入っていることがわからないようにする方法は、苦手意識の克服にはつながりにくい。「食べてみたら意外とおいしい」という体験を重ねることが大切です。

 無理強いや否定は禁物。親も疲れてしまわないよう、無理のない形で食卓に並べ続け、時々声かけをしながら、長い目で見てあげて下さい。

 ■子どもが作れる野菜克服レシピ(坂本廣子さんによる)

 ◇ステップ1★ピーマンのスープ

<主な材料・4人分> ピーマン7個(200グラム)、タマネギ中半個(120グラム)、牛乳300cc、クリームチーズ50グラム

<作り方>

(1)ピーマンは縦に4分の1に切り、タマネギはくし切りに。

(2)フライパンにサラダ油小さじ2をひき、ピーマンを炒め、焦げ目がついてしんなりしたら水1カップとタマネギを加え、ふたをしてしばらく蒸し焼きに。

(3)野菜が軟らかく煮えたらミキサーに入れ、牛乳、クリームチーズ、塩小さじ半分を加える。お好みでこしょう少々を入れ、とろりとするまで混ぜる。

 ◇ステップ2★ナスのカレー

<主な材料・4人分> ナス4本(450グラム)、タマネギ大1個(300グラム)、トマト2個(320グラム)、枝豆40粒、牛ひき肉200グラム、しょうがうす切り1枚、にんにく1かけ、米粉大さじ1

調味料A(カレー粉大さじ1、しょうゆ大さじ2、ウスターソース大さじ2、ケチャップ大さじ1、酒大さじ1)

<作り方>

(1)ナスは厚さ約1センチの輪切りにし、四つに切る。

(2)タマネギはみじん切りに、トマトはザク切りに。にんにくはつぶす。枝豆はゆでておく。

(3)鍋にサラダ油大さじ1をひき、しょうが、にんにくを入れて炒め、ひき肉、塩小さじ半分を加えて炒める。タマネギを入れ透き通るまで炒めてからナスを加え、子どもが調理する場合はこげつかないよう水1カップを入れる。

(4)調味料Aをすべて入れてふたをし、15分程度で全体に火を通し、トマトを加え5分ほど煮て、お好みで米粉を混ぜとろみをつける。盛りつけの際に枝豆を散らす。

 ◇ステップ3★ニンジンのたらこあえ

<材料・2人分> ニンジン中半本(100グラム)、たらこ20グラム、サヤエンドウ4枚、ごま油大さじ半分

<作り方>

(1)ニンジンは皮をむき、ピーラーでリボン状に薄く切り、長さ5センチに切る。サヤエンドウは、すじをとって千切りにする。

(2)フライパンを温めごま油をひき、ニンジンを中火で炒める。薄く透き通ってきたら、水大さじ1を何回かに分けて入れながら火を通し、サヤエンドウを入れ炒める。

(3)ざく切りにしたたらこを入れてよくまぜ、全体に火を通す。

引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11167069.html

誤飲、防止と対処法は シール・紙…危うく窒息 6/8

 一歩間違えば大事になりかねない子どもの誤飲。シールやティッシュペーパーなど思いもよらないものが原因になることも。未然に防ぐ方法と万が一の対処法を探ります。

 横浜市の主婦(35)は2年前、当時1歳5カ月の息子の誤飲に遭遇した。居間で1人で遊ばせていたら突然、せきが聞こえ始めた。

 駆け寄ると、息子が自分の指を口に突っ込んでいる。「どうしたの!」。背中をたたいてのどに詰まったものを吐き出させた。出てきたのは、長さ2センチ、幅1センチほどの短冊形のシールだった。

 「まさかシールで窒息しかけるなんて。気づくのが遅れていたらどうなっていたか」と主婦は言う。

 東京消防庁によると、管内では、誤飲や窒息で救急搬送される0〜5歳の乳幼児が毎年約1千人いる。1日におよそ3人のペースで、うち約94%の事故が家庭で起きている。命にかかわる例はまれだが、一つ間違うと取り返しのつかないことになる。

 鈴の木こどもクリニック(東京都品川区)の鈴木博院長は「子どもの誤飲は、日常で使う紙やシール、ポリ袋の切れ端が多い」と話す。紙やシールをのみ込んでも、食道を通って胃に入れば、いずれ便として排出される。問題はのどに詰まったり気管に入ったりしたときで、鈴木院長は「呼吸困難で危険な状態になることもある」。

 東京都の調査によると、子どもが「誤飲しそうになった」または「誤飲した」もので最も多いのはティッシュや新聞紙などの紙類、次にシールの順だった=グラフ。

 紙やシールの誤飲は、特に0歳から1歳の子どもに多い。中毒性のあるたばこなどと比べると危険性が低いと思われがちだが、油断はできない。米国では、ベビーベッドで寝転がっていた生後3カ月の乳児が、そばにあったティッシュペーパーを口に含んで窒息死した例もある。

 都の調査では、親の体験談も紹介されている。「1人で遊んでいるので放っておいたら、突然『おえっ』と声。口いっぱいに新聞紙をほおばっていた」(0歳、女児)

 シールには様々な種類がある。「子どものズボンに虫よけシールをつけた。気づくと口の中にシールが入っていた」(0歳、男児)。ペットボトルのふたについているシールや、手帳用のシールなどでも同様の事例がある。

 また、新しい誤飲も報告されている。都は2012年、子どものいたずらを防ぐためコンセントに差すキャップに、誤飲の危険性があると注意を促した。保護者へのアンケートで、キャップを使用したことのある経験者614人中77人が、「子どもが自分でキャップを外し、口に入れたり、入れそうになったりした」と回答したという。

 ■危険物、届かぬ場所に

 子どもの誤飲はどう防いだらいいのか。

 京都市子ども保健医療相談・事故防止センター(京〈みやこ〉あんしんこども館)には、京都第二赤十字病院などで実際に処置した「誤飲例」が展示されている。1歳児の胃にあったホチキスの針、5歳児の気管に入ったクリップ。同センターの看護師中辻浩美さんは「子どもは何が危険なのかわからない。それを前提に家の環境を整えて」と話す。

 子どもの手が届く場所に誤飲しそうなものを置かない。床が散らかったらこまめに片付ける。薬や化粧品の入った引き出しは、鍵やストッパーで簡単に開けられないようにする。

 それでも万が一、口の中に入れてしまったらどうするか。まだのみ込んでいない状態なら落ち着いて対処する。大声で注意するのは禁物だ。子どもが驚いて息を吸い、口の中にあるものを飲んでしまう危険性がある。

 のどに詰まらせたりのみ込んだりしてしまった時は、「まず吐かせることが原則です」と京都府立医科大学名誉教授の澤田淳(ただし)・同センター長。舌の奥を指やスプーンで下へ押すと吐きやすくなる。

 絶対に吐かせてはいけない場合もある。マニキュアの除光液や灯油など揮発性のものは、吐いたものが気管に入って肺炎を起こす可能性がある。漂白剤など強酸・強アルカリの製品やとがったものも吐かせない。意識障害やけいれんなどが起きた場合と同様、すぐに救急車を呼ぶ。病院では「いつ、何を、どれくらい飲んだ」かを詳しく伝える。

 1グラム未満、1ミリリットル未満の誤飲であれば、体への影響はほとんどないとされるものもある。せっけんやクレヨン、食用油やシャンプーなどだ。子どもの様子が落ち着いているなら、まず近くの医療機関などに電話をして対処法を聞くのも手だ。澤田さんは「子どもの誤飲は、周囲が防ぐしかない。誤飲する前に整理整頓などで予防に努めてください」。(坂井浩和)

 <誤飲> 日用雑貨などを間違ってのみ込むこと。異物が食道に入ることを誤飲、気管に入ることを誤嚥(ごえん)というが、今回は、これらを区別せずに「誤飲」としている。

 ■子どもが紙やシールを誤飲した時は

(1)呼吸を確認する。呼吸できていなければ、すぐに救急車を呼ぶ。

(2)口を開けさせて、よく見る。手で取れそうなら素早くつまみ取る。

(3)手で取れないなら、子どもをうつぶせにして頭を下げた状態にし(乳児は親の手で固定、少し大きい子は親の立てひざで固定)、背中の中央を平手で4〜5回、少し強めにたたいて吐き出させる。

 ※呼吸が苦しくなる可能性があるため、何も飲ませないほうがいい。

 (鈴の木こどもクリニック・鈴木博院長による)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11179425.html

水に顔をつけられない 大人が楽しむ姿、見せて 7/27

 プールで海で、水遊びの機会が増える季節。でも中には、水滴が顔にかかることすら嫌がる子もいます。そんな子どもが、顔を水につけられるようになるにはどうしたらいいのでしょうか? コツを探りに、「水のプロフェッショナル」を訪ねました。

 斉藤結菜(ゆな)ちゃん(4)は、水しぶきが顔にかかるのが苦手だった。幼稚園のプールも嫌がっていた。「プールは初めてだったから、緊張していたみたい」と母の直子さん(28)は話す。

 ところが今年3月から週1回、スイミングスクールに行き始めて変わった。今では水を怖がらずに、楽しそうに通う。どんな「魔法」を使ったのか、イトマンスイミングスクール新百合ケ丘校(川崎市)の斎藤美紀コーチ(46)に聞いた。

 1984年のロサンゼルス五輪に自由形リレーの選手として出場した斎藤さんは、25年以上、幼児クラスを担当している「水のプロ」だ。

 斎藤さんによると、水が苦手な子どもは、過って浴槽に落ちるなどの経験から水に恐怖心を持っていたり、新しいことに慎重な性格だったりといったケースが多いという。「お母さんたちが無理にさせようとしても、まずしません」

 では、どうすればいいのか。コツを探ろうと、斎藤さんが担当するジュニアクラスを見学した。主に4歳ぐらいの子が参加するクラスだ。

 「雨が降ってきましたよー」。そう言いながら、斎藤さんがプールの中で子どもたちに水をかける。子どもたちも互いに水をかけあう。

 「台風が来たー」。かける水の量が増えた。顔に水がたくさんかかるが、どの子も楽しそうだ。

 斎藤さんが大事にしているのは、まずは見本を見せながら一緒にやるということ。しかも、「楽しそうに大げさに」。子どもは大人の楽しそうな姿を見て安心し、「これは楽しいことなんだ」と理解するようになるという。

 普段の遊びと関連づけることも大切だ。

 例えばスクールでは、プールサイドから水深50センチくらいに緩やかなすべり台を設置し、子どもたちに滑らせる。子どもにとってすべり台は、公園などで日頃から慣れ親しんでいる「楽しい遊び」。滑ると自然に顔に水がかかり、徐々に水は怖くないと感じるようになるという。「顔に水をかけることを目的化しない。遊びのついでにできるようにするのがコツです」

 とは言え、シャワーが顔にかかることすら嫌がる子もいる。「水がかかるのは一切いや、という子だったんです」と言うのは、片山藍ちゃん(4)の母、蘭さん(33)だ。以前は顔を洗うのも嫌がり、ガーゼで拭いていた。

 そんな子どもに斎藤さんは、「顔を下向きにしてあげましょう」とアドバイスする。

 顔を下向きにした状態で後頭部からシャワーをかけると、水は鼻にかからず、流れていく。「子どもは水がかかった時に、どう呼吸をすればいいかわからない。きちんと呼吸できるように、鼻を確保した上で水をかければ、徐々に慣れていきます」と話す。

 ■シャワーで雨 風呂でかくれんぼ

 家庭でできる練習法には、どんなものがあるだろう。

 イトマンの教材が最初に挙げているのが、お風呂場で頭からシャワーを浴びたり、顔を洗ったりすることだ。

 「そのときも遊びながらしましょう」と斎藤さん。例えばシャワーのヘッド部分を浴槽に沈め、水面から少しだけ出した状態でお湯をひねり、噴水のようにふき出させ、雨のように降らせる。あるいは「いないいないばあ」をして、子どもが両手で顔を覆ったら少量の水をかける。遊びながらだと、不意に水がかかっても喜んで続ける子が多いという。

 ある程度できるようになったら、浴槽におもちゃを浮かべて、口や鼻からふーっと吐く息で動かしてみよう。息を吐くと水が顔にかかる。また、鼻から吐く息でおもちゃを動かそうとすると、口が水の中に入るので、息を止める方法も自然に身につけられる。

 ここまでできれば、あと少し。洗面器に張った水の中で目を開けてみよう。1人で挑戦するのが難しければ、浴槽につかり、親子で遊びながらやってみるのも手だ。「かくれんぼするよ」と言いながら、抱っこして一緒に潜る。お父さん、お母さんの姿を見つけるために、子どもは水中で目を開けようとする。

 斎藤さんは「苦手を克服させたいという気持ちは抑え、ひたすら子どもと遊ぶようにしましょう」と話している。

 (有近隆史)引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11267538.html

自転車に乗りたい ペダル外しバランス磨く 8/3

自転車に乗れるようになる3ステップ

 自転車の補助輪をなかなか外せずに、しょんぼりしている子どもはいませんか? 「何でできないの」などと責めてはいけません。苦手な子が集まる教室で、とっておきの練習法を聞きました。

 堺市大仙公園で開かれている無料の自転車教室は、2カ月先まで予約が埋まっている。園内にある自転車博物館サイクルセンターが主催し、市内の自転車部品メーカー「シマノ」のOBらが指導する。

 6月の週末、約30人の子どもたちが集まり、「自転車と仲良しになろうね」という指導員の声かけで教室が始まった。

 特徴は、ペダルを外して練習する点だ。指導員の徳田勇さん(67)は「この方が自転車に早く慣れ、バランス感覚を身につけやすいのです」と説明する。

 まずペダルを外した自転車を押して歩く。次に自転車にまたがり、両足で同時に地面をけりながら、緩やかな坂道を何度も下る。慣れると、足を上げていられる距離が長くなる。

 指導員らは大声で、「今のはよかった」「この調子」と拍手しながら子どもたちをほめ続けた。時折、「ゆっくりすぎると転びやすいから、もうちょっとスピードを出そう」「下を見ずに、前を見て進もう」などと助言していた。

 徳田さんによると、この方法でバランス感覚が身についたら、「乗れたも同然」。自転車にペダルをつけ、こいで進む練習をする。3時間後には、ほとんどの子どもが、ペダルをこぐ練習に移っていた。

 大阪市内の小学2年生、馬石菜央ちゃん(7)は教室を嫌がり、泣きながら参加した。誕生日に自転車を買ってもらい、練習で手応えをつかみかけていたが、冬場に中断したら全く乗れなくなってしまった。「自転車を怖がるようになった」と母親の典子さん(40)。

 この日、乗り方をマスターした菜央ちゃんは、「友達と自転車で遊びにいきたい」と笑顔で話した。

 ■ブレーキ練習も大切

 家庭で教える時は、どんな点に注意したらいいのか。サイクルセンター事務局長の長谷部雅幸さん(63)にコツを聞いた。

 バランスがとれるようになるには、「まずは公園などの広場でまっすぐ前を向き、地面を両足で5回蹴って足を上げる。少しずつ、足を上げたままでいられる距離を伸ばしてください」。最初のうちは大人が子どもの肩や腰、自転車の荷台やサドル後部などを持って支えるといいという。

 また、ブレーキをかける練習も、安全上、重要だと長谷部さんは言う。「足で止めるのではなくブレーキで止める」ことが身につけば、自転車を自分でコントロールでき、止まらない怖さがなくなる。

 練習する時の服装は、けがをしにくいよう長袖と長ズボンで。夏場は通気性のいい素材を選ぶ。ヘルメットと手袋も身につけよう。

 自転車ジャーナリストの遠藤まさ子さんによると、教える側のお助けグッズになりそうなのは手押し棒。後輪の軸に固定する。腰をかがめずに楽な姿勢で走行を補助できる。「疲れにくく、長く練習につきあえるので上達しやすい」。2千円前後で購入できる。

 また、ペダルを外して練習したい場合は、街の自転車店に相談すると、取り外しや取り付けをしてもらえるという。

 「とにかく焦らず根気よく、怒らないことが大切です。励ましたり褒めたりして楽しく練習してください」と長谷部さん。それでも乗れない時は、教室に足を運ぶようすすめる。

 堺市の教室への問い合わせは(072・243・3196)へ。財団法人日本サイクリング協会(03・5793・3190)が運営する東京都新宿区の神宮外苑サイクリングコースや、財団法人自転車センターが運営する大阪府河内長野市の関西サイクルスポーツセンター(0721・54・3101)なども教室を開いている。

 (北村有樹子)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11280867.html

組み立てるおもちゃ 文字が変身、驚きと学び 9/14

 漢字の形をしたブロックが動物に変身――。2千万個近くが売られている玩具付き菓子「もじバケる」シリーズ。そのヒットの秘密を探りました。組み立てたり積み上げたりするおもちゃを使った学びについても考えます。

 漢字の「犬」の形に組み立てられたブロックは、子どもの手のひらに収まるくらいの大きさだ。説明書を見ながらパーツを組み替えると、動物のイヌの姿に様変わりした。

 バンダイが2010年に発売を開始した「超変換!! もじバケる」。漢字の形をしたブロックを組み替え、動物の姿に変身させる。

 最初は「犬」「虎」「魚」「馬」「鳥」「竜」の6種類でスタート。その後は、架空の生き物やロボットに変形するシリーズや、カタカナから動物に変形するシリーズも登場した。

 モチーフとなった文字は計101種類。価格は100〜200円(税別)で、今年3月までの累計出荷数は計1901万個に上る。

 主なターゲット層は小学生の男児。パーツは八角形と球形の2種類の「ジョイント」でつながる。ジョイントはどのブロックも共通で、「ウマに鳥の翼をつける」なんて遊びもできる。12種類の「もじバケる」を持っている東京都の小学3年の男児は言う。「見たことがなくてかっこいい動物をつくるのも楽しい」

 漢字から動物へ、というアイデアはどう生まれたのか。

 商品開発に携わるバンダイキャンディ事業部玩具菓子チームの中西謙悟さんは、同社のイベントに参加していた男児の「『龍』の漢字ってかっこいい」という言葉がきっかけだったと振り返る。そこから、漢字をモチーフにしたおもちゃの開発が始まった。

 同社では80年代、卵から動物などに形を変える「タマゴラス」がヒット。こうした商品で培った、パーツを組み替えて別のものに変形させるノウハウをいかした。「龍」も10年に商品化されている。

 ロングヒットの理由は三つ考えられるという。1点目は組み替えた時の驚き。「鷹(たか)」の変形などは劇的だ=図。脚の多い昆虫などパーツが多い生き物は、漢字から置き換えるのが特に困難で、何度も試作を重ねるという。そのデザイン性が評価され、11年にはニューヨーク近代美術館の永久収蔵品にも認定された。

 2点目は価格の安さ。子どもがおこづかいで買える価格帯に抑えた。3点目は「玩具付き菓子」にしたこと。コンビニやスーパーの菓子コーナーに陳列されるため、「玩具店にあるよりも、親子連れの目に触れる機会が多い」と中西さんはいう。

 一種の「知育玩具」ととらえる親もいるようだ。小学生の息子と一緒に遊ぶという父親(42)は「遊びながら漢字を学べるのがいい。『隼(はやぶさ)』なんて、本にもなかなか出てこない」。

 ■親の関わり方も大切

 ブロックや積み木など、組み立てたり積み上げたりするおもちゃの良さは? また、遊ばせる時は、どんな点に気をつけたらいいのだろう。

 幼児教育に詳しい立教女学院短期大学鈴木隆教授は「積み木は遊び方の自由度が高く、子どものいろいろな面を育てられる」と話す。

 個人差はあるが、2〜3歳なら、積んで崩すのを繰り返して楽しむのが一般的だ。その後、様々な形を作ることに関心を持ち、協同作業でより大きなものを作りたがる。その中で指先の感覚が育ち、発想力や社会性も培われる。

 親の関わり方は大切だという。子どもが積み木を積んだら「すごいね」「高く積めたね」と反応する。「一人遊びは必ずしも悪いことではないが、『良いおもちゃを与えれば子は育つ』と放っておくのは避けた方がいい」

 玉川大学脳科学研究所の岡田浩之教授は「月齢、年齢に合わせた適切な刺激がある」と指摘する。大きなブロックで楽しんでいた子も、次第に細かく複雑なブロックに関心を持つ。発達時期に合わせたおもちゃに触れることで、好奇心はより高まるという。「何歳にはこの玩具がいい」とは言い切れない。岡田さんは「幼いうちはよく観察し、物足りない様子が見えてきたら、新しい遊びや別のおもちゃを提供する。それも親の役割です」と話す。(坂井浩和)

 ■仕組みに気づく

 デンマークに本社を置くレゴ社の教育部門レゴエデュケーションは、国内16教室で主に3歳から小学5年生を対象にレゴスクールを開く。教材はレゴブロックだ。東京都内のスクールでは5日、小学2年生6人がブロックや歯車を組み合わせ、風力で動く車を作っていた。組み合わせ方が多様で目標通りいかないことも多いが、スクールの渡邊くみ子さんは「何度も組み直し、物の仕組みや原理に自分で気づくことが大切」。

 〈ブロックや積み木の良さ〉

●発想次第でいろいろな形が作れる

●遊び方を変えて好奇心を喚起できる

●積み方や組み方のルールを学べる

●「失敗」を経験できる

●コミュニケーションを学べる

引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11350222.html

子連れでの買い物 目の高さ合わせ諭して 9/21

ベビーカーから降りたがったり、お菓子がほしいと駄々をこねたり。小さな子どもを連れての買い物は大変です。少しでも負担を減らすにはどうしたらいいのでしょうか。

 「追いかけて、捕まえての繰り返しでした」。東京都品川区の主婦(31)は先月、1歳半すぎの息子を連れて買い物に行った。普段はベビーカーに乗せるが、だいぶ足取りもしっかりしてきたので、試しに歩かせてみることにした。

 すると、自分の思い通りに歩き回りたいと、床につっぷして泣き始めてしまった。周りの目も気になり、仕方なく店内の「散歩」に付き合うことに。いつもは15分程度で済む買い物が、30〜40分もかかってしまった。

 「つないだ手を急に振り払って方向転換することもある。どこへ行くにも、周囲に迷惑かなと思ってしまいます」と話す。

 子どもにとって、ママやパパと一緒のお出かけはうれしいこと。子育て支援NPO法人ハートフレンド」(大阪市東住吉区)の徳谷章子代表理事は「興奮し、おとなしくできないのは自然なことです」と話す。

 おとなしくできない理由はさまざまだ=表。赤ちゃんのころは「眠い」「おなかがすいた」など生理的な理由が中心。歩けるようになるとベビーカーから降りたがったり、商品を触りたがったり。幼児期では、オモチャを買ってほしいと駄々をこねるなどが典型的なケースだという。

 では、どのような工夫をすればいいのだろう。

 特に難しいのは、自己主張が激しくなる一方で、まだ状況を察するのが苦手な2歳前後。床にのけぞったり、泣き叫んだりしてしまうことが多いのもこの年代だ。

 それでも徳谷さんは「どうせ言っても分からないと思わずに、真剣に言い聞かせて」とアドバイスする。完全に理解できなくても、雰囲気は伝わるからだ。コツは目の高さを合わせて話すこと。ただし、「ダメ」という言葉は子どもがかえって興奮してしまうので逆効果。「お店のものだから触らないよ」などと明確に諭す方がいいという。

 事前のシミュレーションもおすすめだ。買い物に行く前に、家でオモチャを商品に見立ててかごに入れたり、レジでお金を払ったりするまねをし、何が起きるのかを理解させる。見通しが立たない不安が減り、安心して行けるようになるという。

 「それでも買い物中に泣いてしまったら、一度外に出て、気持ちを落ち着けてみて」と徳谷さんは言う。

 一方、乳幼児の一時預かり事業などを手がけるNPO法人「ふれあいの家―おばちゃんち」(東京都品川区)代表理事の幾島博子さんは「赤ちゃんのうちは、生活リズムに合わせる方がいい」と言う。十分に授乳した後や、買い物中にベビーカーや抱っこ・おんぶで寝てくれる時間帯を選ぶと負担も少ない。

 ただ、公共のルールを理解できない乳児期は、パートナーに見てもらえる時間帯に買い物するなど、場合によっては連れて行かない選択も考えよう。また、3歳前後になれば少しずつ「お約束」ができるようになる。「お菓子は買わない」「店内では歩く」など、守らせたいルールを事前にはっきり伝えておくとよいという。

 幾島さんは「生活経験として買い物に連れて行くことも大切。子どもの年齢や性格に合った工夫を探してみましょう」と話す。

 ■周囲の人も声かけを

 とはいえ、やはり泣いたり騒いだりすることもある。親としては、周囲の目が気になるだろう。

 子育てと社会の関係に詳しい恵泉女学園大の大日向雅美教授(発達心理学)は、迷惑をかけないような親側の努力は必要だとしたうえで、「冷たい視線ばかりが気になるかもしれないが、子連れへの優しいまなざしも多い。気にしすぎない方がいい」と言う。

 お菓子をほしがって騒いでも要求のまま買い与えない、という毅然(きぜん)とした態度が必要なこともある。NPO法人「せたがや子育てネット」の松田妙子代表理事も「周囲を気にする気持ちはわかるが、頑張っている自分に自信を持って」とエールを送る。

 一方、泣いたり騒いだりしている子どもを見かけた場合、周囲にいる人は、できるだけ声をかけてあげてほしいという。

 「子どもも引っ込みがつかなくなっているときは、第三者が入ることで収まる場合も多い」と松田さん。大日向教授は「周囲の視線に敏感になるあまり、親側に親切を受け入れる余裕がない場合も。『余計なおせっかい』などと思わずに、みんながこの子を守ろうとしてくれていると考えて」と話す。(小林未来)

 ■買い物の工夫例

・土日にまとめ買い

・店がすいている開店直後に行く

・お菓子はパパと一緒の時だけと決めている

・買った物を自宅に配達してもらうサービスの利用

・ほしがるものの会計を先に済ませ、手に持たせる

・買い物リストを事前に作り、素早く終わらせる

・行きがけに公園などで遊ばせ、歩きたい欲求を満たしておく

・周囲に「すみません」「ご迷惑をおかけします」と声をかける

・歩きたがったらベビーカーを一緒に押させる

 (乳幼児がいる都内の母親10人への取材から)
引用http://digital.asahi.com/articles/DA3S11361297.html