行政刷新会議「提言型政策仕分け(農業)」詳細と結果速報 - 2011年11月20日 日曜日

提言型政策仕分け詳細と結果速報 - 2011年11月20日 日曜日
http://sasshin.go.jp/shiwake/detail/2011-11-20.html

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B1-1 : 農業:地域での政策推進体
■評価結果概要:

【方向性(論点1)】
現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき
【方向性(論点2)】
体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき


■評価結果:
http://sasshin.go.jp/shiwake/document/427c0449-6713-01f5-ac41-4ec8c16f2ce5.pdf
ワーキンググループB
B1−1
農業:地域での政策推進体制
(論点1)事業・制度は現在の実情に即したものとなっているか。見直すべき点はあるか。
(論点2)費用対効果などの点も含め、支援の方法として適当か。


★方向性
☆論点1
○現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき
現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき 8名
現在の事業・制度に大きな問題はないが、効果的に新たな政策課題に対応していくためには、改善が必要である 1名
現在の事業・制度に問題はない 0名
その他 0名
(注:重複あり)
☆論点2
○体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき
体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき 6名
事業の効果等の検証を厳格化すべき 3名
現在の事業の進め方に問題はなく、継続していくべき 1名
その他 1名
(注:重複あり)


★とりまとめ(提言)
☆論点1については、現在の実情が野菜畜産などの強い農業と米の弱い農業が分化していることと、事後チェック方式が規制全般について言われていることを前提に、協同農業普及事業交付金について、もはや必要ない、あるいは弱い農業の方の底上げの方の活動に限定すべき、経営指導を現在の普及指導員が行うことには無理があり金融機関や商社の人材ノウハウを有効活用すべきといった意見が多かった。農地制度実施円滑化事業費補助金については、農業委員会については歴史的使命は終わっている、という意見が主であった。このため、当ワーキンググループの提言としては、「現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき」とする。
☆論点2については、6次産業化の推進は了とするがプランナー、コーディネーターの制度は機能しない、ファンドではなく民間への直接的な支援へ重点化すべき、産学連携は研究開発に重点化すべき、政策・事業の費用対効果分析の徹底が必要で特に成果はインプットではなくアウトプットで評価すべき、公費の投入には総じて慎重でなくてはならない、これらの事業は経産省文科省と重複があるのではないか検証すべきという意見が主だった。このため、当ワーキンググループの提言としては、「体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき」とする。


★評価者の提言内容(評価シートに記載された提言事項)
☆(論点1)事業・制度は現在の実情に即したものとなっているか。見直すべき点はあるか。
● 普及事業はもはや必要ない。
● 畜産、野菜の経営者は普及員より知識がある。
● 米についての技術はもはや、飽和している。
● 6 次産業化も同様、官より民にノウハウがある。
専業農家(第1 種)はわずか。兼業に普及は必要ない。
● 畜産、野菜の経営者は6 次産業化をすでに目指し、行っている。
● 普及指導員は「弱い農家」の底上げのための活動に限定し、「強い農業」は自助努力に委ねるべき。
● 農業委員会は、「強い農業」育成の観点から人員構成を見直すべき。
● 普及事業
(1)普及員の時代的役割は終わっている。(2)技術指導員たる普及員による経営指導には無理
がある。→予算事業としては廃止すべき。
● 農地制度
(1)農業委員会の歴史的使命も終わっている。(2)農地流動化、農地集積は自治体の責任において行うべき。→予算事業としては廃止すべき。
● なぜ、農業だけ公務員の事業者指導が有効だと信じているのだろうか。マーケットに応えるのが経営者であり、「マーケット」のニーズというものを公務員に理解できているのか。
● 「農地法」はそもそも終戦後の社会状況のなかで作られたもの。もう時代は変わっている。
● 六次産業化は、なぜ人材のいない、あるいは人材が育つことを妨げられてきた農業界の中
だけで語るのか。
● 従来の普及指導員の制度は役割を終えている。抜本的な体制改革が必要。能力の低い普及指導員は解任(自治体内で別の部局へ異動)させて、人員を限定すべき。
● 農地制度実施円滑化事業費補助金は、国が農業委員会にどのような政策目標を課すかを明示できないなら、大幅縮減すべき。
● 既に法律に基づく交付金等が出されているのだから、それ以上の補助金を出す意義はほとんどない。農業委員会は、無秩序な農地転用を認めず、新規参入をより容易にすることを求める。
● 議論で取り上げられた「協同農業普及事業交付金」を含め“強い農業”(TPP を見すえ国際競争力のある農業)に向けた政策体系(政策目的、手段・成果目標)の整理、抜本的な見直しが不可欠。
● 例えば、“農地制度実施円滑化事業補助金”のアウトカム(成果目標)は“目標を達成するために活動している農業委員会の数”とあるが、事業目的は“遊休農地の解消等”であるべきではないか。
● “普及指導数”や“農地委員会数”などインプットではなくアウトカムベースで事業評価すべき。そうすれば政策・事業の必要性は自ずから明らかになる。
● “地域の主体性を反映”するならば、“6 次産業化”を含めて、事業自体を都道府県に分権化(財源は包括的交付金化・一般財源化)することも一案。国は基本的ガイドラインの作成に専念するなど国と地方の間での役割分担の見直し、明確化が不可欠。
● 技術指導(相談)のニーズは理解できるが、経営指導を現在の普及指導員が行うことには無理がある。
● 現在の普及事業や円滑化事業で、そのルーツが戦後の農地改革の成果維持、自作農育成といった点にあったというのは事実であり、今後の農業や農政の方向性とは合っていない。この際、抜本的に事業の在り方を見直すべき。
● 経営指導ができる人で全国に7600 人というのは理解不能。今後は、金融機関や商社の人材やノウハウを有効活用すべき。
● 研究開発→開発技術の普及のあり方を抜本的に考え直してみるべきではないか。
● 農地制度のこれまでの改正、再生推進会議提言(平均値20〜30ha への規模拡大)を踏まえて、それを推進する制度構築、新たな政策手法開発と連携したあり方を目指すべき。
☆(論点2)費用対効果などの点も含め、支援の方法として適当か。
● <6 次産業化>
(1)6 次産業課の推進は了とする。(2)但し、プランナー、コーディネーターの制度は機能しない。
(3)ファンド創設も疑問。意思決定システムと出資者の思惑が一致しない。→民間及び農業経営者、法人への直接的な支援へ重点化すべき。<産学連携>
(1) 公務員、同OB がコーディネーターになることは目的達成の妨げとなる。
(2) 地域における産学連携は研究開発に重点化すべき。
● 強い農業を創出するためには、政策に“メリハリ”を持たせるべき。競争力のある農家・経営者に対して支援を重点化。
● 六次産業化プランナーは市場(民間ベース)に委ねても十分に可能ではないか?国が関与することで、プランナー間の競争を阻害しているようにも思われる。
● 政策・事業の費用対効果分析の徹底が必要。特に成果はインプット(申請数・人員数)ではなくアウトカム(創出された付加価値)で評価すべき。公費(国税)の投入には総じて慎重でなくてはならない。
● 国の関与は産学のマッチング(コーディネート)に限る。
●農林漁業育成産業化ファンドは、出資先を厳選して、出資先でより確実に配当やエグジットができるようにする。
● 6 次産業化プランナーの増員は根拠薄弱なので現時点では認めるべきではない。
● 地域における産学連携支援事業はこれ程の予算を投入せずとも実行できる。
● この程度の費用で規模拡大は不可能。
● 規模拡大すると農家の数が激減する。この点を考えているのか。
● 中山間地に取り残された人々の直接補助に利用した方が良い。
● 規模拡大が進むと、おちこぼれる人が増える。農政資金はおちこぼれた人の補助(社会政策)に利用すべき。
● 6 次産業化は重要。しかし、ボトルネックに重点的に予算を投入すべき。基本的には資金供給(融資)に重点化すべき。
● やはり研究開発投資そのものに資金を重点的に投入すればよいのではないか。
● 6 次産業化総合推進対策は経産省と重複がないか。産学連携支援事業は文科省と重複がないか。関係省庁との重複について検証すべき。
● そもそもの農業政策についてのパラダイムチェンジを抜きに個々の問題を問うてもしょうがない。行政の人も含めて本質的な問題を語ろう。
● 政策目的(6 次産業化や産学連携など)には賛同できるが、政策手段(対策や事業)の内容が目的に照らして整合的でない。
● 今後の方向性、目指すべき対策は、論点1-?で記述した内容と同様。
ex.金融機関、商社の人材やノウハウ活用
ex.経営はスキルやアイデアのある農業経営者の独自性に委ねるべき。

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B1-2 : 農業:官民の役割分担
■評価結果概要 : 

【方向性】
国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき


■評価結果:
http://sasshin.go.jp/shiwake/document/de3cee1b-4567-94b8-063b-4ec8c1085da9.pdf
ワーキンググループB
B1−2
農業:官民の役割分担
(論点)飼料備蓄に関する官民の役割分担はどうあるべきか。


★方向性
○国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき
国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき 6名
行政の支援には期限を区切るなど将来的には民間の自立を促していくべき 1名
官民が応分の負担(1:1)をすべき 0名
その他 1名


★とりまとめ(提言)
本論点については、保険的なものは業者が負担すべき、飼料の備蓄は民間の経営努力で十分で国費投入の必要はない、民間備蓄について55万トンを40万トンに減らす必要はないのではないか、現状の物流体制を踏まえ備蓄総量および国の備蓄量は抑制していいのではないのか、といった意見がほとんどであり、当ワーキンググループの提言としては、「国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき」とする。


★評価者の提言内容(評価シートに記載された提言事項)
●保険は業者が負担すべき。税金で保険はおかしい。公平性を考えるべき。
●日本人、人が生きていく為の最低限の備蓄は必要。しかし、大震災の際、肉は断念。おにぎりで食いつなぐ。その肉の飼料の備蓄は民間の経営努力で充分で国費投入の必要はない。毎年25 億投入するのであれば、有事の際には、そのお金を財源として民間から(洋上運航飼料)調達できる。
●時代錯誤。パラダイムチェンジ。
●飼料備蓄自体を否定するものではないが、他の政策(震災等有事への備え)との優先順位を明らかにすべき。限られた予算の有効活用の観点から“有事における食糧確保”の政策体系があるべきで、飼料はその一つ。備蓄に係る管理コストは“保険料”として畜産農家が負担。保険制度を創設することも一案。備蓄を民間に委ねることで、飼料備蓄のリスクマネジメント技術(BCP)の発展を促せるかもしれない。
●配合飼料メーカーは従来55 万t の備蓄コストを負担し、販売価格を通じて酪農農家に転嫁していたはず。55 万t を40 万t に民間備蓄を減らす必要はないのでは。
●現状の物流体制を踏まえて、備蓄水準は抑制してよい。官民の役割分担として、国対民間を1:1とする必要はない。直接的に便益を受けるのは民間の畜産業者であるから、税金を投入するより、民間業者にも直接的に負担を求めるべきである。
●他の分野との公平性を考えれば、いずれかの段階で区切りをつけるべき。その後の対応(船上備蓄、国内生産など)を検討したうえで、対応の実施時期をにらみながらスケジュールを決める。
●利益にかかわる補助金ではない。こうしたリスク(消費者にとって)の負担を誰がやるかは、十分に議論の余地がある。消費者負担型(保険方式で保険料を畜産物に上のせ)か、財政負担型かはどちらが良いか。現状は1:1というのは消費者負担と財政負担とを半々で実現していると理解される。これまでの政策展開は財政負担への移行の流れである。また、もう一つの論点は、食料安全保障の観点から考えることも重要。

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B1-3 : 農業:環境保全への支援
■評価結果概要 :

【方向性】
環境保全の支援は目的に沿った簡素な制度とすべき


■評価結果:
http://sasshin.go.jp/shiwake/document/dea4e3d0-71ae-087a-32df-4ec8c2fae1e6.pdf
ワーキンググループB
B1−3
農業:環境保全への支援
(論点)実質的に経営安定対策になっているということはないか。目的に即した事業内容となっているか。


★方向性
環境保全の支援は目的に沿った簡素な制度とすべき
環境保全の取組は市場によって評価されるべきものであり、行政の支援はなくしていくべき 3名
環境保全の支援は目的に沿った簡素な制度とすべき 6名
対象とする行為はさらに先進的な取組に特化すべき 1名
現行のような事業の内容でよい 0名
その他 2名
(※重複あり)


★とりまとめ(提言)
経営安定対策と環境保全を混然一体として財政支出を行うことはやめるべき、目的が達せられたならば制度は一旦終了すべき、レベルの高い生産者ほど環境保全型であることにもっと注目すべき、目的と政策手段を対応させた政策体系の再構築が必要、民間の自発的努力を促す仕組みの拡充を計るべき、環境保全に有効かどうかのチェックというのは現実には難しいといった意見が主であり、当ワーキンググループの提言としては「環境保全の支援は目的に沿った簡素な制度とすべき」とする。


★評価者の提言内容(評価シートに記載された提言事項)
● 経営安定のための公費投入はやめるべき
● 経営安定対策と環境保全を混然一体として財政支出を行うことはやめるべき。
財政支出を行うことはやめるべき。それぞれの目的の政策手段で対策を講じるべき。
補助金は永続的に支出すべきものではなく、目的が達せられたならばその時点で一旦終了(サンセット化)すべき。
● 農業の環境保全機能について、農業環境負荷について再検討すべき。
● レベルの高い生産者ほど環境保全型であることにもっと注目すべきだ。
● 経営安定政策に絞るべき。但し、上記政策は高いレベルの経済連携の推進を前提とする。
環境政策ならば、肥料のスペックに規制を設けるべきだ。
環境保全と“経営安定化”政策目的が混同している。目的と政策手段を対応させた政策体系の再構築が必要。
環境保全が市場で評価される仕組みが不可欠。たとえば民間の自発的努力を促す仕組み(環境に配慮した農業を実施している農家の“個人ブランド化”等)の拡充を計るべき。
環境保全に対して真摯に取り組むならば、国からの補助金に対して支援事業中の環境負荷基準を最低要件として設けるべきではないか?
環境保全に有効かどうかのチェックが難しい。
● シンプルな事業にすべき。(行政コスト軽減策を考えるべき)
● 他の事業(加工原料乳、チーズ等)も環境保全を条件づけてはどうか?(クロス・コンプライアンスの徹底)
● ディンバーゲンの定理の指摘はもっともです。何を目的とした施策であるかを明確にしてディスインセンティブ政策にするべき。その前提として農酪業の収益性でより高くなるような農政に転換することが前提。

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B1-4 : 農業:農業政策における各種支援総論
■評価結果概要 :

【とりまとめ(提言)】
農業を一律に論じるのではなく、産業としての農業と社会基盤としての農業に分けてそれぞれに必要な政策目的や政策手段を採用していくべきということについて概ね認識の共有がなされた。
その際、産業としての農業には「国は必要以上に関与するべきではない」といった意見や「土地利用型農業に対策を集中し、平均経営面積20〜30haを実現するため、新たな構造改革手法こそが日本農業の存続を図る」といった意見、社会基盤としての農業には「競争力強化には限界があるので条件不利対策の重点化」が必要といった意見があった。
また、本日の議論を通じて、農業政策全体について、「現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき」、「行政の体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき」、「国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき」、「目的に沿った簡素な制度とすべき」といった方向性が示された。
本日の議論で示された以上の方向性を踏まえ、農業政策を根本から検証し、より良い事業・制度、ひいては、より良い農業政策を創り出していただきたい。


■評価結果:
http://sasshin.go.jp/shiwake/document/b1354e7f-ae12-fcfd-194c-4ec8cbb7ee03.pdf
ワーキンググループB
B1−4
農業:農業政策における各種支援総論
★とりまとめ(提言)
農業を一律に論じるのではなく、産業としての農業と社会基盤としての農業に分けてそれぞれに必要な政策目的や政策手段を採用していくべきということについて概ね認識の共有がなされた。
その際、産業としての農業には「国は必要以上に関与するべきではない」といった意見や「土地利用型農業に対策を集中し、平均経営面積20〜30ha を実現するため、新たな構造改革手法こそが日本農業の存続を図る」といった意見、社会基盤としての農業には「競争力強化には限界があるので条件不利対策の重点化」が必要といった意見があった。
また、本日の議論を通じて、農業政策全体について、「現在の実情に即したものとなるよう、事業・制度を見直すべき」、「行政の体制整備ではなく、農家・事業者への直接的な支援へ重点化すべき」、「国の負担割合はできる限り減らし、民間事業者の経営努力を促すべき」、「目的に沿った簡素な制度とすべき」といった方向性が示された。
本日の議論で示された以上の方向性を踏まえ、農業政策を根本から検証し、より良い事業・制度、ひいては、より良い農業政策を創り出していただきたい。


★評価者の提言内容(評価シートに記載された提言事項)
[産業としての農業と社会基盤としての農業との調和をどう図るべきかについて]
●産業としての農業=強い農業(野菜・畜産)→6次産業化、産学連携技術革新→インセンティブ政策
社会基盤としての農業(農民・農村)=弱い農業(コメ)→経営安定→ディスインセンティブ政策、規制、指導
農業を一律に論じるのではなく、強い農業と弱い農業に分けてそれぞれに必要な政策目的(付加価値向上⇔経営安 定)や政策手段(インセンティブ政策⇔ディスインセンティブ政策)を採用すべき。
●競争力を意識し、大規模化、収益性向上を図る部分は産業政策。農業を維持し、景観を守っていく中山間地等の部分は、社会政策、環境政策食糧安保的意味もある)。この2つを分けつつ、農政を抜本改革していくべき。
●産業政策→大規模化→農家人口減少→強い農業(野菜、畜産)
社会政策→中山間地に取り残された人々→保護(コメ中心)
産業政策→経済産業省と連携(畜産、野菜、花木)
社会政策→厚生労働省と連携(コメは社会政策、TPP でも海外に説明しやすい)
●産業政策としての農業→(個別所得補償を除けば)国は必要以上に関与するな。「経営」は自己責任。
●Tax Payer を育成する農政を。永遠のTax Eater を固定すべきではない。
●地域条件別に政策目標を明確にする。それを前提に、
平坦地・・・「再生基本方針」にある政策手段を総動員する。開発し、強力に推進する。唯一とも言える方向性。
中山間地・・・競争力強化には限界があるので、条件不利対策の重点化
●土地利用型農業に対策を集中する。平均経営面積20〜30ha を実現するため、新たな構造改革手法(政策手法)を。これこそが日本農業の存続を図る。
●産業政策(成長産業化)の目的が達成できれば、それ以上の財政支出は不要だから、農林水産省は農業政策から撤退すべき。
農林水産省は市場の失敗の是正に特化してゆくべき。
●我が国の「三農問題」(農業・農民・農村)に対しては、目的と手段をマッチさせた政策体系でもって対処する。農業問題は経済(産業)政策の領域であり市場原理の活用が原則。中山間地域限界集落等農村問題は地域政策として取り組むべき。里山の保護等であれば、観光産業を育成させることも一案。兼業、高齢者等を含む農民問題は別途所得補助など再分配政策の一環であるべき。現行体制は経済政策と社会政策(三農問題)を混同させていることが問題。
●カロリーベース食料自給率向上策の必要性を問う。むしろそれが農業の産業化を阻害している。
●農家という概念(世代の概念)は職業概念ではない。農業政策は何をテーマにするのか。
[その他]
●現在の日本の農業の実情について、客観的かつ冷静に認識することが重要。その際には、結果(現状)と原因(過去の農政)の関係を冷静に分析し、原因となっていた政策手段を改めることが必要。改める点があるとすれば、政策目的と政策手段が整合的でない可能性がある。
●日本の農業は競争力、担い手の2つの面で問題があるが、競争力については、品質は世界トップクラス。ネックとなっているのは価格(コスト)。コストup 要因を解決すれば、担い手も自ずと多様化し、若返りも進む。


<現状> 
1競争力 (価格)× (品質)○
2担い手 ×
ステークホルダー
1生産者
2物流 (JA−独禁法適用除外)
3金融 (系統金融機関)
4企画(役所)(政治) (インセンティブ政策)
●食料安全保障、食料自給率の定義と目的・手段を再構築すべき。特に食料自給率は、カロリーベースである必要はない。国民の中で、日本農業は生産額ベースで世界5位という認識を持っている人は少ない。
●農業支援策も「地域主権時代」の要請に基づき、一括交付金の中で行ない、他の要請(社会保障公共工事、教育等)との競合の中でも、生き残る事業のみに集中させていくべき。
●日本に農業、農村は必要。できる限り、強い、効率的農業を作りあげることが重要。そうした一連の構造改革を踏まえて、EU 型農政の実行(適切なレベルの関税設定)、一定の直接支払により、比較的大規模な生産性の高い農業経営を支援。
●日本農業の構造改革によって、財政投入額を低減・節約するとともに、国民の理解を得る努力を行う。
インセンティブ政策だけでなく、ペナルティーを課す政策も重用して、できるだけ財政支出に依存しないようにすべき。
●予算要求に際し、成長産業化する目的と衰退を食い止める目的とを都合よく使い分けるダブルスタンダードは断じて排すべき。
●カロリーベースの食料自給率は政策目標として用いるべきではない。
●一口で農業といっても実態は多様。競争力のある農業分野から衰退してきた農業(農家・農村)もある。伸ばせる農業を伸ばし、必要であれば速やかな撤退を促す“集中と選択”が不可欠ではないか?
●コメ・兼業農家を軸(標準モデル)とした農政からの転換。国民は農業への通念(弱者)を改めるべき。
●税金を投下するのであれば、客観的指標による成果の評価が必要。国際的競争にさらされた他の産業分野とのバランスも勘案すること。
●消費者、納税者の視点に立った農業政策の再構築。
●地方にもっと委ねても良いのではないか?権限と財政責任を地方に移し試行的政策(実験)を推進する。
●単なる行政批判だけではなく、政治、国民の責任を問うていかなければならない。
●1971 年をピークに国民に1日1人当たりのカロリー摂取量は減っている。欠乏の病理が支配する社会から過剰の病理が支配する社会に変化した。これは、単に経済の変化というより文明の変化というべき。その時、農業政策は根本的な問いをかかえているのではないか?海外マーケット開発を前提とした海外生産(Made in Japan だけでなくMade by Japanese)を農業だけでなく、生産技術開発企業から外食サービス業までが一体となったコンソーシアムとしての世界展開を考えるべきだ。縮小する国内マーケットを考えれば、それは急務である。

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対中コメ輸出拡大に期待、国有企業幹部が来日(読売新聞)


読売新聞 2011年1月27日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110126-OYT1T00930.htm
日本の農産品の中国向け輸出拡大につながる動きが出てきた。


中国の国有企業で食品・流通大手「中国農業発展集団(中農)」の劉身利会長が26日来日し、鹿野農相と会談した。28日には、生産者団体や食品業者向けに、農産品の中国での販売計画を説明する。食味がよく安全な日本の農産品の人気は高く、業界や農林水産省は期待を寄せる。ただ、解決すべき課題も多い。


「日本のコメや牛肉などは中国でもイメージがよい。潜在的な消費者も多い」


劉会長は、鹿野農相との会談で、日本の農産品への期待を強調した。


中農は、従業員8万人を持つ最大手の食品・流通企業で、富裕層向け高級食材の販売網を中国全土に持っている。約13億人の人口を抱える中国のコメ消費量は、日本の約25倍の年間約2億トンとされる。


日本のコメの中国向け輸出は、病害虫の問題で一時停止した後、2007年に再開された。現在では、高級感や安全性が富裕層に受け、贈答用を中心に需要が伸びている。すしなどの日本料理の人気も広がり、都市部の高級百貨店では日本の食品が目立つなど、「日本の農産品人気は、これまで以上に高まる」との見方が多い。

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中国へ農産物輸出 拡大へ協力(NHKニュース 2011年1月27日)
http://www.nhk.or.jp/news/html/20110127/t10013656121000.html
中国の食料事業最大手の国営企業中国農業発展集団」の会長が、26日、鹿野農林水産大臣と会談し、日本のコメや乳製品など農産物の中国への輸出拡大に向けて協力を進めていくことで一致しました。


農林水産省は、先月、「中国農業発展集団」と、日本の農産物の中国への輸出拡大に向けた覚書を交わし、今後の取り引きの進め方などについての協議を進めています。これについて、26日に日本を訪れた劉身利会長は、26日夕方、都内で鹿野農林水産大臣と会談し、この中で、鹿野大臣は「中国は重要なパートナーで、日本の農産物に親しみを持ってもらえれば両国の友好関係はさらに深まるだろう」と述べました。これに対し、劉会長は「中国の消費者は日本のコメや牛肉によいイメージを持っており、日中両国の協力には未来がある」と述べ、日本のコメのほか、果物や乳製品など、幅広い農産物の輸出拡大に向けて協力を進めていくことで一致しました。「中国農業発展集団」は、中国の国務院が直轄する食料事業最大手の国営企業で、アメリカやオーストラリアなどおよそ80の国や地域と取り引きしています。劉会長は29日まで日本に滞在し、新潟県のコメの生産関連施設などを視察するほか、生産者団体や食品企業などを対象にした説明会に出席することにしています。

丸紅と全農 中国でコメ販売(NHKニュース)


NHKニュース 2011年1月17日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110117/k10013452241000.html
大手商社の丸紅と、全農=全国農業協同組合連合会は、日本のコメの輸出拡大に向けて、中国などの富裕層向けに共同でコメを販売していくことになりました。


それによりますと、コメの集荷施設や精米施設などを全国に幅広く持つ全農と、海外に販路を持つ丸紅が提携して、中国などの富裕層向けに共同でコメを販売し、日本のコメの輸出拡大を目指すことにしています。全農は、現在、国内の生産量の40%近いおよそ300万トンのコメを取り扱っていますが、販売力の強化が課題となっています。一方、丸紅にとっては、高い経済成長が続く中国などで日本のコメを販売することで、食料事業をさらに強化するねらいがあります。丸紅の岡田大介常務は、「日本の隣には中国という大きな需要国があり、品質の高い日本のコメは必ず受け入れられる。輸出という大きなところに切り込んでいかないと、今の日本の農業の閉塞感は打破できない」と述べました。コメの輸出では、農林水産省が、先月、中国の食料事業最大手の国営企業と覚書を交わすなど、輸出拡大の動きが活発になっています。

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丸紅と全農、コメの集荷・販売で提携 アジア展開も視野 2011/1/17 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819696E3E5E290E68DE3E5E2E3E0E2E3E38698E3E2E2E2
丸紅と全国農業協同組合連合会(JA全農)は17日、コメの集荷や販売業務で提携すると発表した。全農が集荷、精米したコメを丸紅の流通ルートで販売し、合計の国内精米取扱量を3年後に6割増やす。将来は中国などアジアの富裕層向け輸出にも取り組む考えだ。


コメの国内生産量は現在、約800万トン。全農はうち約300万トンを集荷しているが、販売力が弱いため、自前の拠点で精米し独自ブランドで販売しているのは80万トンにとどまる。ダイエーなど小売り大手に出資する丸紅の販売力を生かし、精米拠点の稼働率向上と販売拡大を狙う。丸紅と合わせた精米取扱量を現在の90万トン強から3年後に150万トンに増やす計画だ。


全農はアジアへのコメの輸出も手掛けるが、量はごくわずか。将来は丸紅の海外販路を活用し、日本米の消費地である中国や欧州、シンガポールに輸出することを検討する。


17日に記者会見した丸紅の岡田大介常務執行役員は「日本のコメは海外でも競争力のある商品。環太平洋経済連携協定(TPP)参加論議が進む中、輸出で販路を広げることで国内農業の生産基盤を強くしたい」と述べた。


本気で農業やりたい人求む パソナが育成事業参加者募る(朝日新聞)


朝日新聞 2010年12月17日
http://mytown.asahi.com/areanews/tochigi/TKY201012160399.html
人材派遣大手のパソナ(東京都千代田区)は来年1月から、芳賀町耕作放棄地を使った就農支援事業「パソナチャレンジファーム」を始めると発表した。「本気でやる気のある人」を条件に、今月末から参加者を選考し、来年1月中旬にも現地で研修を始めるという。


同事業は、耕作放棄地を有効活用しつつ、農家になることを希望する人を育成する。初年度は7〜10人程度を募集する。同社によると、応募資格は特に設定していないが、農家になることや農業関係の企業を立ち上げたい人が対象だという。また「新卒の学生にも、就職先として農業を検討してもらいたい」としている。


参加者は最長で3年間、パソナ契約社員として雇用され、月給として20万円が支給される。会社が借り上げる町内の民家に共同で住みながら、3年後の独立を目指して栽培技術や経営の方法を学ぶ。研修のための農地は芳賀町の農家から借りた耕作放棄地約3ヘクタールを使い、指導は同社が運営する農業ビジネススクールの講師らが担当する。


自治体からの協力も取り付けた。県の「ふるさと雇用再生畑作経営モデル事業」に認定され、人件費として約1900万円の補助を受けた。芳賀町からは、耕作放棄地再生のための交付金を受けることが決まっている。県農政課では「地域には担い手がいない半面、若者が就農しようとしても敷居は高い。参加者にはなんとか地元に根付いてほしい」と期待を込める。福田富一知事も「新たな就農対策として期待を寄せている」とし、県は地元の農業振興事務所を通じて地域と参加者の交流を支援する予定だ。


パソナでは、2003年から農業による雇用拡大を目指して、都市部での地下農園や農業ビジネススクールの運営などを進めてきた。08年には兵庫県の淡路島で初めて「チャレンジファーム」を実施し、7人の参加者枠に約100人が応募したという。


2例目となる今回の参加希望者への説明会は、20、22の両日に東京のパソナ本社で、21日に宇都宮市馬場通り1丁目のパソナ宇都宮で開かれる。申し込みと問い合わせは同社農業プロジェクトチーム(03・6734・1070)へ。(矢吹孝文)

2010年の人気店は?食べログの「レストラン」「ラーメン」「スイーツ」ランキング

はてなブックマークニュース 2010年12月17日
http://b.hatena.ne.jp/articles/201012/2164
投稿型のグルメサイト「食べログ」は12月16日(木)、ユーザーからの口コミや評価をもとに算出した人気店のランキング「ベストレストラン2010」を発表しました。レストランのほか、ラーメンとスイーツのランキングも公開されています。


ベストレストラン2010[食べログ]
http://r.tabelog.com/bestrst/2010/
ベストラーメン2010[食べログ]
http://r.tabelog.com/bestrmn/2010/
ベストスイーツ2010[食べログ]
http://r.tabelog.com/bestswt/2010/


2009年12月から2010年11月までの投稿から、料理や味、サービス、雰囲気、コストパフォーマンスなどを5点満点で評価し都道府県別でランキング化する、食べログの「ベストレストラン」。4回目の実施となる今年は、料理ジャンルや予算など幅広いニーズに合わせて「本当に支持されているレストラン」をエリア毎に厳選。全3508軒のレストラン情報が掲載されています。


昨年に引き続き、全ジャンルの中で特に人気が高い、ラーメンとスイーツのお店も同時発表。「ベストラーメン」では315軒、「ベストスイーツ」では469軒もの人気店が紹介されています。


また、対象期間に訪れ心に残ったレストランについて、各レビュアーが1位から10位までランキング付けした「マイ★ベストレストラン2010」も公開されているので、ぜひこちらもチェックしてみてください。


マイ★ベストレストラン 2010[食べログ]
http://r.tabelog.com/bestrst/2010/rvwr/

漢方米、カラフル野菜… 増える農業女子、吹き込む新風(朝日新聞)


朝日新聞 2010年11月2日
http://mytown.asahi.com/areanews/fukushima/TKY201011010359.html

農の世界に飛び込む若い女性が増えている。農家の嫁ではなく、女性ならではの発想やネットワークを生かして、農作物の生産から加工品の販売まで、ビジネスとして成立する農業を目指す動きも活発化。男性が担い手の中心だった旧来の農業のあり方に風穴を開けようと、農業女子たちが奮闘している。


天日干しされた稲が連なる田んぼに、赤やオレンジ、黄色などカラフルな作業着姿の女性たちがいた。山形県村山市の「山形ガールズ農場」のメンバーだ。


「女子から始める農業革命」を掲げ、昨年4月に誕生。今年2期生4人を迎え、社員は20代の女性7人になった。社長の高橋菜穂子さん(29)以外は県外出身者で、入社後、農作業を一から覚えた。


農家の三女の高橋さんは横浜国大を卒業後の6年前に就農。父親のもとで米や野菜作りを習った。「就職するなら農業」との決心は家族に反対されても揺らがなかったが、月給は5万円、周囲の農家に同世代がいないことも想像以上につらかったという。


東京で野菜レストランなどを展開する「国立(くにたち)ファーム」を経営する高橋がなりさん(51)の講演を聴いたことが転機になった。「女性の視点を武器に、自分らしいスタイルで食べていける農業ができるかもしれない」と国立ファームの生産組織として再出発した。


「乙女心をくすぐる農作物」を意識。主力商品は「安全で美容にも良い」と農薬代わりに漢方薬を使ったコシヒカリの「漢方ミスト米」。色とりどりの野菜を「カラフル野菜ボックス」としてネット販売したり、サクランボをハート形の箱に詰めたりして、女性消費者にアピールしている。


女性の就農を後押しする活動にも精力を注ぐ。その一つが女子大生に農業体験をしてもらう「女子大生プロジェクト」。これまで県内外の60人が田んぼで汗を流した。


■広がるネットワーク
独自のネットワーク作りも広がっている。


青森県弘前市のリンゴ農家坂本司子さん(30)は今年2月、「東北ガールズ・ファーマーズマーケット(TGF)」を結成した。


坂本さんは6年前に専業農家になった。ただ、「1人でやるには時間も知恵も足りない」と限界を感じたという。商品を改良しようとしても、相談相手がいなかった。周りの男性や年配者とは発想が違いすぎたからだ。また、加工品の販路もなかなか広がらなかった。各地の自治体が開く産地直売会には地元農家しか出店できない。


そんな考えから、以前から交流があった岩手県西和賀町の酪農家藤田春恵さん(30)とTGFを結成。藤田さんの地元、岩手県奥州市で2月に開かれた即売会には坂本さんも参加した。


インターネットを活用する動きも。秋田県八郎潟町の小玉美花子さん(22)は今年6月、農業に携わる若い女性たちのグループ「農ing娘。」をネット上で結成した。略称は「農娘(ノームス)」。自分の将来や恋愛、出産や育児など女性ならではの悩みも話せる場にしたいという。


当初は各都道府県に1人ずつ仲間ができればと47人を募集。「AKB48よりは1人少ないけれど、農業に対する思いは負けない!」とネットに書き込んだ。すると予想を上回る応募があり、各県に支部を置くことにした。


12月1日には仙台市で「農ing娘。第1回ミーツ」と銘打った集会を開く。(川原千夏子)


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〈東北の新規就農、増加傾向〉
東北6県の農業人口は高齢化・後継者不足などで減っているが、新規就農者は2006年以降増えている。東北農政局によると、女性の就農者も増えており、昨年は男女別の統計がない青森を除く5県で99人。66人だった06年の1.5倍だ。農村への女性進出に詳しい福島大学の岩崎由美子教授は「きめ細やかな女性の視点に対する期待が高まっている。就農する女性もそうしたことに魅力を感じているのではないか」とみる。