◇ ウェブ時代をゆく - 池田信夫 blog
本書は、15分で読了した。何も新しいことが書いてないからだ。おまけに「リーダーシップ」だとか「ロールモデル」だとかいうありきたりな人生論が多く、ほとんど江原啓之化している。
『ウェブ進化論』のころにはまだ目新しかったシリコンバレーの世間話が、「またか」という感じで延々と続く一方、日本の現実への言及がほとんどない。
日本には著者のほめるジョン・ドーアのようなベンチャー・キャピタリストはいないから、新しいビジネスと起こそうとしても担保がないと金を貸してくれない。P2Pのソフトウェアを開発すると警察に逮捕されるし、来年からはYouTubeからクリップをダウンロードしただけで逮捕されることになりそうだ。著者の期待する「1976年世代」の多くは、就職氷河期に遭遇してフリーターになり、「希望は戦争」だと叫ぶ。日本の名目成長率は、1990年代からほぼゼロで、主要先進国の「最貧国」グループに転落した。アメリカの成長の牽引力となったIT産業が壊滅したからだ。
補足 (池田信夫)
2007-11-07 16:26:07
梅田フリークから「バカヤロウ」という類のスパムがたくさん来ると思っていたら、意外にもDankogai氏まで、「内容については同意」してくれたりするので、梅田氏を少し弁護しておくと・・・
私は、彼のいわんとしている「シリコンバレー精神」そのものに反対しているわけではないが、日本の状況はそういう精神論以前の段階なんですよ。たしかに日本にもVCと自称するファンドはあるし、金はある。しかしIT産業そのものが製造業型の多重下請け構造になっていて、ベンチャーなんか起こしても、結局どこかのITゼネコンの下請け(あるいは孫請け)にならないと飯が食えない。
おまけに、技術がPDCやB-CASのような「日の丸標準」に囲い込まれているので、世界のマーケットに出られない。また労働市場が成立していないので、正社員の残業と派遣の使い捨てが需給変動のバッファになっている。こういう資本市場と労働市場の改革をやらないかぎり、いくら「好きを貫こう」としても、転職さえできないのです。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/c3fd47bcbacc477d63e978c9ad7f04ce
さて、そういえば、『フューチャリスト宣言』の共著者である茂木健一郎氏はどうなんでしょうか?
あの、バズワードとジャーゴンの活用ぶりからすると、*1
私には、茂木氏も「ほとんど江原啓之化している」としか思えないのですが。
存在それ自体がDQNアトラクター化(© id:contractioさん)しつつあるというか。。。
http://d.hatena.ne.jp/n-291/20071107#p11