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いちょかみん このページをアンテナに追加

2015-11-25

学ぶこと

承前。

この日は聞きたいレクチャーがあって、清滝まで足を伸ばしたのでありました。

尊敬する小林亜里さん企画で、刈谷夏子さんによる「大村はま先生に学ぶ〜学びひたり教えひたろう 優劣のかなたで〜」です。

国語教師として名高い大村はま先生(1906〜2005)(←ちょっと読みにくいかな)が、どのような授業を、と興味をもったのでありました。

刈谷さんは大村先生円熟期の生徒で、長じて晩年の大村先生を助け、「大村はま記念国語教育の会」事務局長として多くの本も著されている方です。そして、小林さんも大村先生の教え子かつ刈谷さんの同級生!で企画実現とのことでした。


まず記したいのは、刈谷さんのお話ぶり。快い声、聞き取りやすい言葉で、お話にぐっと集中してしまいます。

そして、この日の参加者に向けてエピソード中心に展開されたお話はとっつきやすく、私の想像をはるかに超えて素晴らしいものでした。


私は、言葉を知ることは世界を知ることだ、と思っています。

例えば、「うれしい」と「喜ばしい」はどう違うのか、どういう場面で使うのかを知ることが、世界を細やかに見ることに繋がっているのではないかな、と考えています。もちろん、語彙だけで世界がわかるわけではないとも知っているけれど。

だから「言葉を学ぶ」ことに興味があって参加した訳ですが、大村先生は単に国語を教えたわけではなかったのです。学ぶことのおもしろさを教え、学び続けることが生きることなんだということころまで、生徒を引っ張っていく。高所から教えるということではなく、生徒達の先頭に立って未開の地へ分け入っていくその教え方がかっこよくて興奮してしまいました。

教育というのは、これほど人を突き動かすんだ!とドスンと衝撃をもらってしまいました。

沢山の素晴らしいエピソード(←この方が書いてはるのが私も一番心に残った)がありました。

来年もまた刈谷さんのお話を伺える機会があればうれしいです(刈谷さんのご夫君の剛彦先生の朝日書評ファンだった私としては、次回はそんな話も伺いたい!)。

2015-11-24

初めての行楽

■写真はあとで■

秋の行楽に、嵐山のもうちょっと奥、清滝へ。

自宅近くのバス停から一本で行けるのですが、渋滞で混みそう&車に酔いやすい三歳児と二人旅なので、地下鉄・阪急・京都バスというこまめな乗り換えルートを選択。幸い、ピークを外した移動で大過なく往復できたことがまずはなによりでした。

清滝でバスをおり、紅葉を愛でながら川へとくだる。山沿いに張り付くように建つ家々、古くからの道、川との距離の近さを感じる小さな集落です。三歳児は「蛇やら毛虫やら蜂やらが出ない?怖いよう〜」と思わぬ都会っ子ぶり。母は田舎育ちでへっちゃらなので、びっくりしました。実際に毛虫もおいでまして、回れ右をしてすたすたと帰ろうとする三歳児を慌てて追いかけたり。怖くないのに〜。

木々の葉はもう色づいていました。

全体が真っ赤ではなく、黄緑から黄色、赤のグラデーションがとてもきれい。

川の上におおいかぶさるような枝々がずーっと山の上まで続いていて、奥行きある綾錦に思わず溜息をもらしてしまいました。

川沿いの道をぶらぶらしたあと、川を臨む参道みたいなところでお弁当を広げる。おにぎりと卵焼きピクルス程度の簡単なものだけど、外で食べると何故おいしいのじゃろか。

そして清滝のギャラリー・テラさんへ。

つづく。

2015-10-15

ひさびさ読書

「民主主義ってなんだ?」

立ち上がり、デモを行い、国会前で連日活動していた彼ら。

まずは、顔と名前を出して意見を述べるその決意と覚悟に惜しみない賞賛を。大学生だった私は絶対そんなことようせんかった。

そして、とてもよく勉強している。哲学の本、政治の本、たくさん読んでいて、しかも自分と異なる意見に耳を傾け、語りあおうとする姿に打たれる。

それこそが民主主義なのかもしれない。そして、高橋せんせの導きによりだんだんと見えてくる、「民主主義とは決して完成しない状態」ということにもハッとする。

以前、編集した「ユニバーサル・デザイン」という本の「改善への努力を継続する姿勢そのものがユニバーサル・デザイン」という一節にも合致すると思った。強度ある思想はこうやって続いていくんや。

次は大月書店からも本が出るらしいのでこれまた楽しみ。

で、SEALDsといえばかっこいいコールなのですが、ライムスター宇多丸さんラジオのtoggeterがおもしろかった。


「アウシュヴィッツを志願した男ーポーランド軍大尉、ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ」

ポーランドに深く分け入った著者による、葬り去られていた英雄遺族へのヒアリングから成った一冊。

ホロコースト関連書籍を読んでいくと、必ずやポーランドという国のことが見えてくる。強制収容所は元々ポーランドを占領したドイツが、ポ人政治犯を送った場所でもあるから。第二次大戦が終わり、国家よ再びという悲願もむなしくソ連傀儡政権に支配され、囚われて命を落とした男の記録。

国を愛するとはどういうことか、民衆はどう生きるか、政治を動かす勢力と自らの意志が相反したときに、ここまで潔く戦うことができるのか、いや戦う準備をしなくてはならないのか、と今の日本に落として読まざるを得ない。

なお、この本が世にでたのは、去年読んだ「私はホロコーストを見た」ランズマン映画「ショア」によるところが大きいと思われ、表現を世に出すことの力を感じた。


「北沢恒彦とは何者だったか?」

先日の鶴見俊輔勝手に読書会時に、N先輩にお借りした一冊。

表紙の素敵写真の後ろ姿は、愛息にて著者の黒川創さん。

1934年生まれ、高校時代に学生運動で逮捕され、その後京都市職員になり、鶴見さんらと語らい、たくさんの文章を書いて、99年に自死した方。北沢さんのことなんてぜーーーんぜん知りませんでした。京都ならでは地名・人名にいちいち付箋つけたくなる。京都に住んでるのに恥ずかしい限り。

こんなに、勉強好きな人がいたんやーと感嘆しきり。歴史から、生活から、古典から、世界をもっと知ろうとする衝動の強さに憧れる。これほどの方が、自死を選ぶというのがつらくて悲しい。次は、この方の書いたものを読んでみようと思います。

2015-05-17 お手伝いについての親子ワークショップ参加記 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

写真は後日あげるかも?


おしゃれなのに質実剛健な雑貨店Sumaoにて開催された「【家事塾@京都】親子のためのお手伝い塾 おうちで育む自立力」に参加してきました。


親子ワークショップには憧れありつつ、ものづくり系は不器用なためハードル高し・・・むーーん、と思っていたところ、Sumaoさんからご案内をいただきました。お手伝いについて学ぶ2時間。相方も参加可能やし、これは相方&子どもと遊び学べるよき機会なのでは!と申し込んだのであります。参加費は大人1人1000円、子ども1人500円。


親子5組。母4人、父2人、3〜10歳(?)の男の子3人、女の子4人。

開始後わかりましたが、ちゃんと普段からお手伝いさせてはるとこばっかりぽいw。会場のSumaoさんつながりで、町家住まいの方も複数。


自己紹介のあと、大人と子どもに別れて家事についての意見出し。大人は家事の嫌なとこ、気持ちいいとこ。子どもはいつもやるお手伝いなどかな? 講師山本和代先生からそれぞれ意見のまとめ発表。


続いて、子ども達がお掃除実技をやってみます! はたきやほうきの使い方、ぞうきんの絞り方、子ども達はていねいに教えてもらえて楽しそう。うちの三歳児は、おずおずとお兄さん、お姉さんについてく風ながらも、興味もってやってるのがおもしろかったす。ちなみに我が家では、掃除は三歳児ははたき担当です。


再度親子集まって、これからのお手伝い計画を紙に落とし、今日の感想を述べ、修了証書をいただいて2時間が終わりました。


なかなかに濃密な2時間でした。字が書けない子やけど…いう心配も、先生が聴き出して下さったので大丈夫。あと、我が家は夫婦で参加したのですが、夫婦コーチング的な使い方もできてよかったです。夫婦それぞれの家事に対する得手不得手・思いなどを確認することができました。


肝心の子どもの手伝いについてですが、うちはまだ幼いので、「これ、楽しいから一緒にやってみよ〜」と「それじゃ、まかせるから、お願いね!」という段階で、自分でできることが増えていく!という喜びを原資にする方向で進めたいと思いました。「困ってるから、お願い!」は多用すると威力がなくなりそうなので、切羽詰まったときの最後のカードに残しておきます。

自分で家事ができることは自立の一歩、それを身につけさせるということが育児の一つでもあるということは、改めて確認できた大事なことでありました。


Sumaoさん、山本さん、ありがとうございました!

2015-04-27

香里園「八木邸」見学記

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応接間[撮影:西村吉右衛門氏]


 京阪香里園駅すぐそばにある八木邸は、京都大学工学部建築学科初代教授の藤井厚二(1888〜1938年)によって設計された。藤井は、2014年には天皇皇后陛下も訪問された大山崎の聴竹居1928年)の設計者として名高い。実験住宅として設計した聴竹居、その翌々年に完成した注文住宅の八木邸ということで、自らの理想と施主の意向をどのように形にしたのか、わくわくしながら見学させていただいた。


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食堂[撮影:山田有子氏]


 現代の住宅からはずいぶん広く感じられる玄関を入り、目線の高さと空気循環が考えぬかれているとの説明をうけながら、高低差のある各室を拝見する。高い窓から明るい光が差し込む食事室に、広くて清潔感あふれる台所。洋行で学んだ最新の技術を、日本人の住まいに落とし込もうとしているのがよくわかる。長い時間をこの家で過ごしたら、天井高、採光などの魅力をもっと感じられるのではと想像しながらの見学である。もちろん、機能の追求ばかりでなく、階段や食事室の天井などの意匠は凝っており、藤井自らが設計したという家具の数々も、美しい。


 最近、今ある町家を完成形と考え、それをただ守っていくことへの疑問を、町家に住まいながらもつようになった。


 住まいは、その時代の技術、求められる住まい方によって、形を変えていくものだと思う。町家の美しさ、風土を汲んだ合理性を活かしつつ、現代の暮らし・家族に沿うように、町家設計の基本を学んだ作り手(直し手)と住まい手がきちんと考え、構築することで、また次の世代に引き継ぐ町家ができていくのではないだろうか。八木邸での、藤井の挑戦を目の当たりにして、その思いを強くした。


 最後になるが、貴重な邸宅の公開を決断された八木様、丁寧に解説くださったボランティアの岡内様をはじめとする皆様、各地の名作住宅を残すため奔走しておられる竹中工務店の松隈様、そして今回見学の労をとってくださった友の会会員、野澤様に改めて敬意を表し、御礼を申し上げます。


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外観[撮影:西村吉右衛門氏]

追記:当日写真撮影ができなかったので、先輩方に写真をお借りしました。ありがとうございました。

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片木篤他編「近代日本の郊外住宅地」鹿島出版会、2000年

松隈章「聴竹居」(野澤好子編集)平凡社コロナブックス、2015年

八木邸倶楽部(←見学ご希望の方は、こちらへお問い合わせくださいまし)