2013年 第1回定例会 一般質問

 まず市長の政治姿勢について、3点ほど伺います。第1点目は、「国の2012年度補正予算地方自治についてであります。

 去る2月26日参議院で可決、成立した国の2012年度補正予算は、政府の説明によれば、「日本経済再生に向けた経済対策」の財源を裏付けるための予算である、とのことであります。中身を見ていくと、基礎年金の国庫負担部分約2.6兆円を除く、緊急経済対策に係る補正予算の規模は約10.3兆円。3つの重点分野から構成され、復興防災対策に約3兆8000億円、成長による富の創出に約3兆1000億円、暮らしの安心・地域活性化に約3兆1000億円が計上されております。
 一方、その財源を見て参りますと、建設国債が約5兆2000億円、年金特例公債が約2兆6000億円と約75%が国債依存、すなわち新たな借金となっております。前政権が編成した2012年度予算に盛り込めるだけ借金を上乗せしておいて、新年度予算については「当初予算では4年ぶりに税収が国債発行高を上まわった」と胸を張られても、率直に言っていかがなものかと思わざるを得ません。

 今回政権に復帰した自民党は、昨年2月の野党当時に発表した「平成24年度予算政府案の問題点とわが党の考え方」において、こう述べられておりました。「我々は平成23年度第4次補正予算において、本来24年度当初予算に計上すべき項目が含まれている点を指摘したが、補正予算にまわすことにより、当初予算の規模を表向き小さく見せようとしている。見せかけだけの粉飾予算である」と。まったくおっしゃっている通りなのですが、今度はそれと全く同じことを政権に復帰された自民党が行っているわけですから、通常こういうことは「自家撞着」、すなわち「言行が前と後で矛盾していること」と呼ばれるものであります。

 この他にも、東日本大震災からの復興加速と銘打って約1兆6000億円が計上されているものの、被災地のインフラ整備や原発災害対策などの経費はそのうちわずか2割、約3200億円ほどで、残りの8割約1兆7000億円は、復興債の償還財源、借金返済に回していること。また、あれほど「笹子トンネル事故を教訓として」と喧伝していたにもかかわらず、道路などの老朽化対策には、わずか2000億円しか計上されていないことなど、言行不一致の予算配分は随所に見られますが、その政治的評価はともかく、今回の質問では地方関連事業について議論を進めて参りたいと思います。

 財務省が公表している「平成24年補正予算の概要」によると、被災地を除く地方関連事業では、事前防災・減災等として防災・安全交付金(社会資本整備交付金)が5500億円、地方の資金調達への配慮と緊急経済対策の迅速な実施ということで、地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)が1兆3980億円が計上されております。

 本市では、この国の補正予算の関係事業として2012年度度補正(第7号)において芹沢公園用地取得事業費2億2130万円が、2013年度当初予算では地域の元気臨時交付金(地域経済・雇用創出臨時交付金)1億346万円が計上され、小中学校施設整備事業費など4事業に充当されております。

 国土交通省は防災・安全交付金について「防災・暮らしの安心に資する交付金を一括化して、地方にとって使い勝手の良い防災・安全交付金を創設した」としておりますが、対象事業の詳細が未だ明らかではないとはいえ、その使途は制限されており、地方自治体には事業選択の裁量権はありません。先日企画財政部長は「使い勝手が悪い」と率直な感想を述べられておられましたが、確かにそのようです。
 また、地域の元気臨時交付金は、国の2012年度補正予算に係る公共事業の地方負担分に応じて算定(最高90%)されるということのようですが、充当事業は「地方債を財源とすることができる経費に限る」と限定されております。

 要は、国の補正予算のメニューに沿った公共事業をやれば、その地方負担分をみてあげましょう。しかし、その地方負担分の補てんは、新たな公共事業に使いなさい。しかも、その公共事業は、地方が借金をして行う公共事業に限りますよ。ということであります。

 結局のところ、今回の国の補正予算は、霞が関の中央官庁の「縛り」が極めて強い性格のものであり、地方自治体の自立性、裁量性の拡大という地方分権の流れに逆行するものであると言わざるを得ません。

 私は、国の補正予算という性格や「緊急経済対策」という政策目標からすれば、大胆に使途の制限をつけない地方の一般財源として交付し、その政策目的の妥当性の検証は、地方議会や市民の目で検証するといった、いわば「分権的緊急経済対策」こそが求められていたと思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。その所見をお聞きするものであります。

 次に、市長の政治姿勢の第2点目として、生活保護生活扶助費の削減について市長のお考えをお聞きして参ります。

 政府は、2013年8月から生活扶助費を平均6.5%、最大で10%引き下げ、3年間で総額670億円削減するとしております。引き下げ率は、過去最高で、直近の引き下げでは2004年がマイナス0.4%、2003年がマイナス0.9%ですから、今回の下げ幅がいかに大きいかということがわかります。今回の改定によって、およそ生活保護世帯の96%が削減となるとのことであります。

 この生活扶助費の削減について厚生労働省は、その理由として2点あげております。一つは社会福祉審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえて、年齢、世帯人員、地域差による影響を調整した結果約90億円の削減、2つ目は、物価動向による削減、すなわち、デフレで物価が下がっているのだから物価に合わせて削減するというもので、これによって総額580億円が削減されるとのことであります。

 厚生労働省の2013年度予算の説明資料によると、「平成20年以降の物価下落を勘案して見直す」としか記述がありませんので、物価スライドの算定根拠は不明ですが、突然の基準変更としか言いようがありません。というのは、これまで厚生労働省生活保護基準を定めるにあたって、毎年度の政府経済見通しによる民間最終消費支出の伸びを基礎とする「水準均衡方式」をとってきており(ちなみに2013年度の民間最終消費支出の伸びはプラス1.6%)、物価動向に基準にするのは初めてであり、社会福祉審議会生活保護基準部会でも物価動向による引き下げは一切検討されておりません。
 突如、物価動向論、デフレ論が生活保護基準に突然採用されたかのような状況ですが、一方で田村厚生労働大臣は記者会見において、記者から「アベノミクスで物価が上がった場合は引き上げるのか?」という質問に対し、「機械的にそういうことではない」と答えておりますので、この物価動向が生活保護基準を定める際のほんとうの基準なのか、今回、とにかく下げるために持ち出してきた方便なのか、率直言って理解に苦しむところであります。

 とはいえ、ご承知のとおり生活保護事業は国からの法定受託事務でありますので、生活保護基準についての地方自治体の裁量権はありません。しかし、生活保護基準は、例えば地方税の非課税基準(地方税法、施行規則)や小中学校の児童・生徒に対する就学援助など、生活保護世帯以外の低所得者である準要保護世帯の基準となっており、生活保護世帯のみならず、それ以外の低所得者に対する施策に影響が出てくることになります。

 そこで、市長にお聞きするものでありますが、今回の生活保護、生活扶助費の削減について、その妥当性・合理性について、どのような所見をお持ちなのでしょうか。お聞きするものであります。また、生活保護基準の引き下げによって、影響する本市の制度について、具体的に明らかにしていただきたいと思います。

 次に、一般質問の大きな2番目として、2013年度予算について議論を進めて参ります。私は現在、残念ながら予算に関する総括質疑ができない立場ということになっておりますので、限られた時間ではありますが、提案されております予算案について、何点かに絞ってお聞きして参りたいと思いますし、議員の皆様におかれましては、予算審査の論点設定の一助になれば幸いであります。

 まず、市税等のコンビニ収納についてお聞きします。本市では、2014年度より、市税、固定資産税、軽自動車税国民健康保険税介護保険料、後期高齢者医療制度保険料について、コンビニ収納を可能とするため準備が進んでいるようでおります。先日の総括質疑において当局は、コンビニ収納によって発生するコンビニへの手数料について、市税等の納付の50%となった場合の試算として、手数料2150万円と答弁されておりましたが、コンビニ収納に係る経費はこれだけではありません。システム改修等初期経費が発生することと思いますが、初期経費の総額は一体いくらぐらいになるのか、お示しいただきたいと思います。また、コンビニ収納は収納率の向上につながるのか、見解をお聞きするものであります。

 次に、国民健康保険事業特別会計について、お聞きして参ります。本市では、昨年12月に2013年度から2015年度を計画年度とした座間市国民健康保険事業財政健全化計画を策定しております。同計画では「国民健康保険は、極めて厳しい財政運営を強いられている」として、「歳出に対する歳入の財源不足を補うことを目的とした法定外繰入金が、このまま継続的に増加することについては大きな課題となっている」という認識のもと、財政健全化に向けた重点取組事項として 1)国民健康保険税の適正な賦課と収納率の向上、2)医療費の適正化、3)保健事業の推進の三つを掲げております。そして、この財政健全化計画をもとに、本定例会には税率改定すなわち、国民健康保険税の値上げを定めた条例改正並びに国民健康保険事業特別会計予算が提案されているわけであります。

 まず、市長に基本的な認識を伺います。これまでの国民健康保険税の税率について、財政健全化計画では「本市の国民健康保険税の税率は、低迷する社会経済情勢や国民健康保険制度が抱える構造的問題を理由に、これ以上被保険者に税負担の増を求めることは困難であるとの判断から、平成12年度以降、税率を据え置いてきた」と述べられております。財政健全化計画でも示されておりますが、本市の国民健康保険被保険者の所得状況並びに所得分布は年々低所得化が進行おります。さらに、デフレ下にあってもその他の租税負担、水光熱費などの公共料金は上がり続けており、今後も消費税増税をはじめ国民負担率は上がることが予想されます。こうした状況の中で、「税負担の増」を求めることは適切なのか、まずは市長の見解を伺うものであります。

 次に、一般会計からの法定外繰入金についてお聞きして参ります。国民健康保険事業では、法定外繰入金については特に定めはありません。市長は先日の総括質疑の答弁において「法定外繰入金は、原則としては本来あってはならないもの」という趣旨の答弁をされておりますが、法定外繰入金をゼロにして収支の均衡を図ろうとするならば、税負担の飛躍的強化となり、制度上成り立ちえなくなる実情があります。では、この法定外繰出金の現状における「適正な額」をどう考えるかということになります。国民健康保険法第72条の3によれば、「国民健康保険の財政の状況その他の事情を勘案して」ということになろうかと思いますが、当局の所見を求めるものであります。

 次に、法定外繰入金の問題と関連してくることですが、財政収支の均衡に関する見解を伺って参ります。財政健全化計画の第2章、4目標のまとめ、(3)収支では、「目標:国民健康保険事業特別会計収支の均衡を保持します」とありますが、この場合の「収支の均衡を保持する」とは、具体的にはどういうことを意味しているのでしょうか、説明を求めるものであります。

 次に、今回提案されております税率改定をもし行わなかった場合、向こう3年間の法定外繰入金はどのように推移すると見ておられるのでしょうか、お示しいただきたいと思います。

 次に、財政健全化計画に示されている向こう3年間の財政収支見通し並びに今定例会に提案されております国民健康保険税改定の基礎となっている向こう3年間の財政計画の前提条件の数値についてお聞きして参ります。
 具体的に申しますと、歳入では財政健全化計画は、国庫支出金の伸びを3.0%とみておりますが、財政計画では2.3%。療養給付費交付金については、6.0%と2.3%、前期高齢者交付金では8.0%と5.0%、共同事業交付金では4.0%と2.0と、少なからぬ違いがあります。また、歳出でも保険給付費が4.0%と2.3%、共同事業拠出金が4.0%と2.0%とこちらも、少なからぬ違いがあります。「少なからぬ」と申しましたのは、これらの費目の額は数十億円にのぼるわけですから、1%の違いで数千万円の違いとなります。ですから、前提条件の数値をどう設定するのかということは非常に重要なことでありますが、なぜ、財政健全化計画と財政計画とでは、前提条件の数値が違っているのか、説明を求めるものであります。

 次に、収納率についてお聞きします。2012年度の現状までの収納率は、現年課税分が87.5%で1.5ポイントの上昇、滞納繰越分が15.0%程度で4.2ポイント程度の上昇が見込まれているようですが、今回の収納率の向上によって、国民健康保険税の税収増はどのくらいとなったのか、お示しいただきたいと思います。

 次に、日産座間カレスト地区再開発計画について、お聞きしてして参ります。本市の2013年度当初予算では、当該再開発計画に関係する事業として南東部地区総合交通対策事業費の中で、市道38号線の道路鑑定手数料が計上されておりますが、今回の質問では、当該再開発計画に伴う周辺交通への影響についてを中心にして議論を進めて参りたいと思います。
 日産自動車株式会社が2012年10月に提出した都市計画提案書では、現況交通量の調査及び解析、地区計画に伴う発生集中交通量の推計と周辺交通への影響、負荷の検証、交通負荷に対する対策案などが記載されておりますが、交通量調査や周辺交通への影響評価、交通負荷への対案等は、県道座間大和線2か所、市道13号線1か所の計3か所だけとなっております。なぜ、この3か所だけなのか、説明を求めるものであります。

 次に、再開発提案書の現況交通量調査の結果によると、3つの交差点の最大渋滞長は1カレスト座間入り口西側交差点が、平日180m、休日480m。市道13号線と県道座間大和線との交差点では、平日140m、休日70m。市道13号線市道11号線との交差点では、平日260m、休日40mと示されているものの、大規模商業施設開業後の交通量の増加に対して、「信号現示を調整することによってすべての車線において車線混雑度は1.0を下回り、交通処理可能となる」と記述されております。要は、信号の表示時間を調整すれば、スムーズな交通となるということのようですが、なぜそうなるのか、当局側の認識についてお聞きするものであります。

 次に、当該再開発計画に伴って本市が整備するものとされている市道38号線の道路整備についてお聞きします。日産自動車が作成した都市計画提案書では、市道38号線について「座間市の道路整備計画の中で最優先路線に位置付けられている」と記述されておりますが、この道路整備計画とは一体何を指すのでしょうか。残念ながら私は、「座間市道路整備計画」というものを目にした覚えがありませんので、念のために説明を求めるものであります。

 次に、市道38号線の整備対象区間について、先日の総括質疑における答弁では「市道11号線から市道9号線まで」と答えられておられましたが、これで正しいのでしょうか。私としては「市道11号線から事業者が整備する再開発地域内の接続道路まで」と認識しておりましたが、改めて確認をするものであります。

 次に、この市道38号線整備事業の事業費総額は、どのくらいと見込んでいるのか、また、財源構成はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

 次に、座間市の都市計画マスタープランに示されている土地利用計画との関係で、お聞きします。同マスタープランでは、工業専用地域である同地域などの工業地については、「地区計画や特別用途地域などの活用により、工業地としての機能の維持・向上を図るとともに、産業構造の変化に対応した新たな企業立地の誘導を図ります」とありますが、今回の再開発計画は、この土地利用方針に照らして、どうか、当局の所見を求めるものであります。

 次に、事業者との事前協議についてお聞きします。本市では2010年度に第4次総合計画と座間市都市マスタープランを策定しておりますが、これら計画の策定時に今回の再開発計画に関する事前協議や相談等は行われていたのかどうか、事前協議の経過も含めて説明を求めるものであります。

 最後に、公共下水道事業特別会計についてお聞きします。当初予算案において、本市では初めての資本費平準化債が起債されております。資本費平準化債の内容等については、すでに総括質疑でおこなわれておりますので、ここでは一点だけお聞きいたします。この資本費平準化債の起債額の半分は、基準財政需要額から差し引かれるとのことですが、今回の起債に際して、地方交付税の減額分はどのくらいとなるのか。また、起債しない場合、一般会計から下水道事業特別会計への繰出金はどのくらい増えるのか、お示しいただきたいと思います。

 以上で、一回目の質問とし、一旦降壇いたします。