軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

75歳以下はジュニア!

 月刊誌「WiLL」2月号に、97歳の日野原重明氏と86歳の小野田寛郎氏が、「75歳以下はジュニア」「75歳になってシニア」とお元気な対談をしている。
 佐賀での講演で私もそれを痛感したが、私なんぞジュニアの仲間に入れてもらえないのでは?と思う。それくらい「後期高齢者」の方々はお元気で実に頼もしかった。元気の秘密が小城羊羹か嬉野茶、或いはまるぼーろにあるのか知らないが、いつまでも元気に国のために気を吐いていただきたいものである。

 さて今日は「天皇誕生日」、早速国旗を掲げたが、相変わらず我が家だけである。私よりも高齢者が多いのに、ここでは「国旗掲揚」では私がリードしている!

 コメントに佐賀の会場が「ジェンダーフリー」支援で建設された「女性センター」であるとあったが、こんな施設は何も佐賀だけに限らない。この手の地方自治体の「高級施設」の大半は、そんな名目で建設され、彼らとその一派が勝手気ままに使っているのだが、我々もどんどん使えばいいのである。

 当日もロビーに明らかにそれと分かる“若者達”がたむろしていたから注意していたが、やはり私の講演にも最後列の右端に陣取っていて“熱心に?”聞いていた。
 何か質問してくれれば良かったのだが、さすがにそれはしなかった。彼らが言う“右翼”たちの熱気溢れる質問に気が引けたのかもしれない。会場を去るときに、彼らはロビーで「原爆展」を開催していた。
 
 以前、チャンネル桜の「討論・・・」で、過去の有名な闘士の方々と討論したが、今では私より「後期高齢者」に近いのに、お気の毒にも「過去の柵から」抜け出せずに自問自答?している様に見えた。人生80年、どの道を進むかは自分の責任だが、その一番大切な時期に「誰に遭い」「どんな指導や影響を受けるか」で、道が決まるとすれば、やはり初等教育は大切である。それを履き違えているのが文部省であり、日教組だ、というのが定説だが、案外「教育委員会」の構造がおかしいのではないか?PTAとは戦後米国から押し付けられた教育会の「組織」だが、日本人には馴染まないのではないかと思う。労働組合も同じだが・・・。名にし負う過去の“闘士たち”も、出会いに恵まれていたら、きっとこの国に別の意味で貢献する「大物」になり、充実した人生を送っていたかもしれない。


 さて、今日の産経一面下に「制服組の権限強化」「防衛省組織改革・内局に統合整備部門」とある。「部隊運用(作戦)を内局の所掌事務から外し、自衛官中心の統合幕僚監部が行う」というが、今頃漸く〜と「感無量」である! 鉄砲も撃ったことのない事務官が、高度な武器とそれを使った作戦行動に立場を意識してか「意見」を言うのは土台無理があったから、それを制服組が解説するだけで時間が浪費されたものであった。

 私が防衛幕僚だったころ、ヘリコプターを更新する時期だったが、内局との折衝時に、私服高官は「陸海空で別々に買うから高くつく。一緒の機種に統一しろ!」と言った。私のような若手幕僚は「何を言うか!」と内心思ったが、カウンターパートのわが制服高官は「ご尤もです」と言ったからあきれた。
 陸海空、それぞれ使用条件が異なるから作戦に適合した機種を選定する。それさえ分からないのである。しかもそれに迎合する制服高官!
 勿論幕僚監部に戻ってからその高官はつるし上げられたのだが、昇任がかかっていたのだから気の毒ではあった。

 中には私がパイロットだというので呼びつけ、「F-15よりも、16や18のほうが強いんだろう?」と聞いた。強いというのはどういう意味か聞くと、要するに「15よりも16、18の方が番号が新しいから、それだけ最新式だろう」というのである。
 これまた「制空戦闘機」「戦闘爆撃機」などの機種に関する説明と、F-16、17、18に関する「軽量戦闘機開発計画」、「ハイ・ロー・ミックス」などを解説しなければならなかったのだが、要は「防衛力整備構想」という防衛講話を部外でするためのネタ確認だったのである。こんな講話を聞かされた部外の「有識者」達がどなたか知らないが、あの時あの高官が「部外講話」の申請を、事務次官に提出して「許可」をもらっていたとは聞いていない。予算折衝も陸海空のシェアの関係という名目で内局に行い、次に大蔵省に行っていたから、その人的エネルギーの消耗は大きかった。まず内局折衝で8掛け、大蔵折衝で8掛けだから、結局6掛けくらいに減るだろうという予測を立てた防衛計画と陰口をたたいていたものである。しかしこれはある意味で「シビリアンコントロール」の一部を担っていたとはいえよう。
 創設以来50年余、やっと「作戦部門」が専門家の手になるのだから、それらしくなったといえるのだろうが、法案提出は22年だというから気が長い話ではある。


 ところで以前も報じられてはいたが、4面の「産経志塾」は実に示唆に富んでいる。今回は元外交官の宮家邦彦氏による「外交ゲーム」をめぐる内容だが、自衛隊では「図上演習」といい、限りなく実情に近い状況を想定して、それを「司令官」「幕僚長」「担当幕僚」「部隊指揮官」などに振り分け、その立場になって判断行動させるのだが、立命館大客員教授を務める宮家氏はこれを外交ゲームとして実施し成果を挙げている。
 宮家氏は55歳だから「ジュニア」の最たるものだが、バックには作家の上坂冬子女史(昭和5年生まれ)や、元財務相塩川正十郎氏(大正10年生まれ)という錚々たる「シニア」がついているところが面白い。宮家氏には大いに実力を発揮して欲しいと思っている。

 さて、話は戻って今日の産経抄子は、三浦雄一郎さんのエベレスト登頂を例に「現役で活躍している“老人”も少なくない筈だ。それでも、陛下の『激務』は突出しているのではないか」「宮内庁によれば、陛下が国事行為として書類に捺印された件数は、一年間で1000を越える。陛下が執り行われる宮中祭祀も数多い。・・・陛下のご健康こそ、国民の何よりの願いであることを、改めて訴えたい」と天皇陛下の激務を心配したコラムを書いている。今日、75歳の誕生日を迎えられた陛下は、体調を崩され記者会見に代わって「ご感想」を文書で公表された。
「天変地異を心配され、五輪での選手の活躍、3名の博士のノーベル賞受賞を喜ばれ、新潟地震の復興を心強く思われる」という感想の後、天皇家の健康問題について異例なご心境を語られた。そして世界的金融危機、経済悪化、失業問題で心を曇らせ、「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます。これまで様々な苦難を克服してきた国民の英知を結集し、又、互いに絆を大切にして助け合うことにより、皆で、この度の困難を乗り越えることを切に願っています」と結ばれている。
 この「メッセージ」を、国政を預かる総理以下政府関係者、国会議員、経済界の重鎮達はどう受け止めたか? 昔ならば一片の「ご感想」とは畏れ多く、「朕思ふに、汝臣民〜」と重臣たちへの詔勅にも匹敵する、決して軽くはないお言葉だと私は思う。
 永田町に住む「ジュニア達」が、これを重く受け止めて真剣に「国難を乗り来る」努力を開始して欲しいと思う。

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正論 2009年 01月号 [雑誌]

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