古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

長倉洋海


 1冊読了。


 105冊目『マスードの戦い長倉洋海〈ながくら・ひろみ〉(河出文庫、1992年)/『峡谷の獅子 司令官マスードとアフガンの戦士たち』(朝日新聞社1984年)に一部加筆した作品。長倉洋海はフォト・ジャーナリストである。『マスード 愛しの大地アフガン』(河出書房新社、2001年)で第12回土門拳賞を受賞している。アフマド・マスードを私は初めて知った。端正な顔つきで、ホセ・マルティを精悍にしたような風貌だ。旧ソ連アフガニスタンを侵攻した際には反ソ連軍ゲリラの指揮を執り、ソ連軍を退けた。人はマスードを「パンジシールの獅子」と呼んだ。本書はさほど面白くはない。それでも、私はマスードに魅了されてやまない。チェ・ゲバラ以上にシンパシーを感じる。マスードは、9.11テロの二日前に暗殺された。享年48歳。アフガンの大地が生んだ英雄の魂は継承されるのであろうか――。

ノーム・チョムスキー

 いまでは、チョムスキーの提起したさまざまな問題を研究する学者の数が、何千人にも達している。チョムスキーは、人文科学分野でしばしばその言が引用される人物トップテンに(ヘーゲルキケロを抜き、マルクスレーニンシェークスピア、聖書、アリストテレスプラトンフロイトに次ぐ8位)入っている。しかも、トップテンでただ一人、存命中だ。


【『言語を生みだす本能』スティーブン・ピンカー/椋田直子〈むくだ・なおこ〉訳(NKKブックス、1995年)】