「康宗憲さんのお話を聞く会」には会場いっぱいの人が来てくださいました。
詩の朗読の時間を持ったのですが、少しわかりにくかったかもしれません。
反省しています。案内文ももっと内容を詳しくお伝えするべきだったと思います。すみませんでした。
当日のお話の要旨は下部にレジュメの一部を添付しておきます。朗読詩についてはふうらの自由帳で紹介しておきます。
いろんな受け止め方があったと思いますが、日本社会に何が欠落しているか、私はこのことを考えさせられました。そして、過酷な拷問の中で、なぜ康宗憲さんも、そして、ほかの民主人士たちも耐えることができたのか、その疑問が少し解けたように思いました。話しの中で紹介されたことですが、保守的な今の大統領も学生運動に関わり拘束されていたことがあるというから驚きです。「民主」を渇望する人々から詩人が生まれ、詩が伝えられてきました。そして獄中の人々を精神的に支えたのでしょう。
権力が肥大し、野蛮な暴力装置を駆使するようになっては遅い。脆弱に見える日本の「民主」は危ない。あらためておもいます。
これからもスペースふうらの集いを開いていきたいと思います。懲りずにお越しください。
スペースふうらの集い 当日康宗憲さんののレジュメより
（赤字にしてしているところは私が印象に残ったところ、または書き込み
）
朝鮮半島と日本-ある在日韓国人の歩み-
はじめに−韓国併合100年を過ぎて思うこと
・吉田松陰・福沢諭吉の「征韓論」と安重根の「東洋平和論」、安重根はテロリストか？
安重根の死刑執行（1910年3月）、大逆事件の12人に死刑執行（1911年1月）
1939年10月、やらせの和解＝「伊藤博文、安重根を撃つ」
・草の根植民地主義の克服
なぜ、朝鮮学校を無償化の対象から除外するのか？
敗戦後、北朝鮮に設立された日本人学校。北朝鮮人民委員会はどう処遇したのか？
無条件で教育権を補償
在日朝鮮人とはどのような存在か
・過去を反省しないかつての植民地宗主国で、分断国家の海外同胞として生きる人々
民族的なアイデンティティーを確立することが極めて困難
・民族的な目覚め、自己実現の困難な日本社会
高校時代の葛藤、日本の友人・恩師との出会い、韓国への視点（全泰壱の生と死）
ソウル大学での青春−医学の修業と民主化運動−
・ファシズムの体験＝軍事独裁政権下の大学生活、分断状況下の反共・反北意識、71年の大統領選挙
・朴正熙政権の維新体制に立ち向かう民主化運動
73.10.2ソウル大のデモ、74年民青学連、75年4月の人民革命党処刑、金相鎮の生と死
学生運動に参加＝社会変革への意志、より良い世の中への思いを共有
・ソウル大学医学部の学生運動→75年11月、国軍保安司令部に連行され「母国留学生スパイ団事件」
なぜ、独裁権力は拷問を加えるのか？
人間の尊厳を踏みにじり、再び立ち上がれないようにする
獄中の日々
・死刑を求刑した検事の論旨＝反共を国是とする体制下で、生存を許容できない者
死刑囚（囚人のなかで最底辺）になって見えたこと、囚人としての生、人間としての生
手錠からの解放＝無期懲役への減刑
・朴正熙の生と死、ソウルの春と全斗煥・盧泰愚、80年５月の光州
韓国社会の変化：反米意識の拡散、労働運動の高まり、統一問題への関心→民主化運動の深化
87年6月民主抗争：広範な市民の参加による民主化運動→大統領直接選挙制への改憲
・88.12.21、仮釈放という自由。13年間の収監生活で学んだこと
韓国社会と民主化運動への考察
・軍事政権の特徴＝開発独裁＋分断独裁
・民主化運動のエネルギー
歴史的に形成された民衆の抵抗意識＝東学農民運動、抗日独立運動、60.4.19民主化運動…
金泳三政権（文民政権）→金大中政権（選挙による与野党政権交代）→盧武鉉政権（民主政府継承）
より良い社会、人間らしい世の中を、ともに目指す共同体意識
・民主化の伸展が朝鮮半島の平和と統一への道を切り開く→00年、07年の南北首脳会談と共同宣言
・李明博政権下で後退する民主主義と人権、抵抗する市民
ろうそくデモが意味するもの＝市民が直接参加する民主化運動
韓国の若者はどこで民主主義を学ぶのか＝街頭と広場
朝鮮半島と日本
・日本は平和主義の国か？
植民地責任を自覚しない平和憲法体制→憲法9条と同時に、歴史教育の内容で平和主義を検証
日米安保条約と平和憲法第9条が共存する日本社会
＊韓国併合条約と日米安全保障条約のキーワード＝「譲与」「許与」と「承諾」「受諾」
・「北朝鮮の脅威」と「北朝鮮への脅威」
日本の対北独自制裁は有効か？ 北朝鮮の脅威を除去する道→日朝の国交正常化
おわりに−日本の民主主義と人権
・英「エコノミスト」の調査：アジアで最も民主主義指数の高い国は？
韓国：8.11、日本：8.08→日韓の憲法第1条を比較してみると…
・在日する（永住する）「資格」と「権利」と「許可」
平和憲法→人権憲法、国民→市民、住民
在日朝鮮人の民族教育権：朝鮮学校の教育内容ではなく、日本人の人権意識が問われている
