『ゆたか農園』の野菜を食べに行く、またはワインと美食の晩餐会 その2
さて、次に出てきたお料理も驚きでした。
「大隅産うなぎとフォアグラのミルフィーユ仕立て
マスカルポーネのムースにエスプレッソを香らせて」「 マルゴタ
D.Mosse (フランス・白)」
大隅産うなぎとフォアグラのミルフィーユ仕立てまでは判るとして、マスカルポーネ!?
うーん、チーズだし、それはいいとして、エスプレッソ?!
あら、マスカルポーネにエスプレッソといったら、ティラミス!?
「大隅産うなぎとフォアグラのミルフィーユ仕立てティラミス風」なんていったら、最初から唸ってしまうけど、こうして1つづつ繋がりのあるものが判ると、なぜか急にしっくりときてしまいます。
うなぎとフォアグラ、どちらも脂でまったりとしたものが、エスプレッソの香りのせいか、口の中でべたべたに広がらずにいただける不思議な一品でした。
次に出てきたのは
「阿久根産タカエビのベニエ 天つゆの泡を添えて」
「2005 甕仕込み マスカットベリーA
Cha Mars(日本・赤)」
まさに「エビ天を天つゆで食べる」フレンチ版。
天つゆの泡は、天つゆに卵白をいれて泡立ててるものでしょうか。
ベニエをつけて、泡をすくい、口の中にいれると泡が溶けて天つゆの味が広がります。
ここでまた「ゆたか農園」の「シシトウガラシ」が登場。
この「シシトウガラシ」のベニエがことの他美味しく、エビに添えられている1本だけではなく、
もっと沢山食べたくなってしまいました。
耳をすますと、あちこちで「このシシトウ美味しいわね」との声が!
さて、口直しの意味もあるのでしょうが、ここで冷製のスープとなりました。
まずは写真から。
さあ、何のスープでしょう。
遠目には色合いからして、ほうれん草のようにも見えますが、これは
「きゅうりのスープ スイカのアスピックと」
赤いスイカとの色の対比も鮮やかです。
きゅうりのスープは、きゅうり嫌いな人にとっては、おそらく拷問のようにきゅうりそのもの。
青くささがありますが、そこに同じ瓜の仲間の甘いスイカの風味がうまくなだめて納めてくれます。
このあたりまで来ると、お料理にあわせたワインがグラスに注がれるだけではなく、先に飲んでしまったグラスにも、再びおかわりのワインが注がれて「飲めば飲むほど飲める」状態。
さて、どの位いただいたのやら。
(その3へ続く)
『マナーハウス島津重富荘』
26日のディナーは『マナーハウス島津重富荘』にあるフレンチレストランでいただきました。
そのディナーの事はまた後ほど書くとして、この『マナーハウス島津重富荘』ですが、建物とお庭だけでも一見の価値がある素晴らしい場所です。
元々は薩摩藩の島津久光の別邸が、お狩り場にあったものを今の場所に移築、そしてさらにリノベーションして、婚礼・披露宴会場とフレンチレストランとしたものです。
外観では、ファサードとその左手には、旧来の江戸時代の様式をもつ「和」の建物、
そして右手には大人数のパーティーが可能なホールや関連施設となっていますが、中に入るとどこからが和で洋か、一瞬目をきょろきょろさせて探してしまうような自然な繋がりです。
海へとくだる急な斜面をうまく利用した庭園には池に注ぐ、大きな滝まであり、和風建築を配した背後に十分な奥行き感をだしてます。
謁見の間として使われた部屋はかつて畳敷きだった部分をフローリングとしながらも、旧来の畳の入っていた鴨居・敷居はすべてそのまま残し、床の間、棚などもそのまま。
そこにはさりげなくうまく調和させたワインセラー。
プライベートな食事のために、用意された個室は「殿の間」
ちょうど庭に張り出すような位置にあり、最高のロケーションです。
この古い「和」の建物と、そして最新のセンスよいバンケット施設の取り合わせ、どこをみても不自然さがなく、違和感もなく、そして落ち着けるデザイン。
調べてみたら「スーパーポテト」の杉本氏によるインテリアデザインでした。
どうりで!
神前式の結婚式場、そしてチャペルもあるそうです。
もちろんあのお庭ならガーデンウエディングもできますね。
892-0802
鹿児島市清水町31-7
電話 0120-810583(フリーダイヤル))
『ゆたか農園』の野菜を食べに行く、またはワインと美食の晩餐会 その1
今回の鹿児島訪問の目的の1つは、『ゆたか農園』の野菜を食べにいくという事でした。
『ゆたか農園』は以前、浅草の『うどんすき 杉』で御一緒し、そしてグラスの中のお湯割りに「焼酎が入っていない!」とおっしゃった印象深いHさんの会社が運営する、鹿屋市にある農園です。
その野菜作りへのこだわりは話をしていると熱く伝わってきます。
ここで採れた野菜が、『マナーハウス島津重富荘』の中のフレンチレストラン『AUTOMNE(オトヌ)』の大事な食材として使われているというのです。
食べにいかない訳にはいきません。
奇しくもちょうど7月26日には「2007 ワインと美食の晩餐会」があるというのです。
この日に行かない訳にはいきません。
今回はこのHさんの他に、同じ会社の営業管理をしてる才色兼備のKさん、さらに農園の管理責任者をしているUさんの3人と御一緒させていただきました。
このディナー、実は「辰巳琢郎 ワインと美食の晩餐会」という冠があって、美食家やワインソムリエでも知られている俳優の辰巳琢郎氏が来場、食事にあったワインをセレクトし、それが談話とともに提供されるというものでした。
さて、主催者の挨拶などの前に、まずはアミューズグールから。
そして白ワインがテーブルの上にならぶ沢山のグラスの1つに注がれていきます。
いきなり写真を取り忘れ食べてしまいました。
というよりも実際には「写真撮っていいかしら?」と周囲を観察している間に、うっかり食べてしまったという感じです。
「きびなご、黒豚、日向夏」この3つだけでも、東京から来た私には地元を中心とした南九州の食材を使った楽しみに、先制攻撃をされたようです。
お刺身、そして一夜干しで美味しいきびなごは大好物ですが、普段は和のテイストとして日本酒といただくばかり。
さて、フレンチでワインではどのようなものかと、口にいれると、ゴルゴンゾーラのムースの風味が、つかず離れずやってきて、なんとも良い頃合いにまとまります。
黒豚のコンフィは柑橘系の香りがレモンやライムといったきつい香りではなく、あくまでも地元産の黒豚を優しく包む日向夏がほどよく調和していました。
私の右となりには『ゆたか農園』の管理責任者のUさんが座っていらしたのですが、ご自身が大事に育ててきた野菜類が、料理され、そして多くの人達の口に入り、そして「美味しいわね」と笑みがこぼれるのを目の当たりに見ることができるのは、まるで竣工した住宅に施主が住まい、そして「暮らしやすい家ね」と喜んでいただくのと同じ喜びではないかと思います。
さて、そのUさん、お待ちかねのメニューが出てきました。
いかすみのトーフの上に行儀よく並んだ、パプリカグリーン 西洋ごぼう、紫にんじん.....
それを一口、口にいれた時のUさんのお顔です。
解説不要ですね。
いかすみのトーフは、いかすみだけでは独特の味が強いのと、コクを出すことからか、黒ごまが沢山使われていました。
いかすみと黒ごま、この取り合わせも不思議としっくり。
そしてまったりとした口に、冷たいソルベ状のガスパチョ。
交互にいただくと、いつまでも新鮮な感覚でした。
(その2へ続く)