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安心づくり・安全探しアプローチ(AAA,スリーエー)公式ブログ

2017-05-19

2017年度 9月研修のお知らせ

09:35

今年度のAAA、9月研修の日程とプログラムAAAHPにアップしました。

HPからの研修参加申し込みも開始しました。

以下に、概要をお知らせします。詳細はHPをごらんください。

ご参加をお待ちしています!



日時:9月2日(土)、3日(日)、いずれも10:00〜17:00

場所:立正大学品川キャンパス東京都品川区


2日:セッションA

午前:家庭内虐待防止基礎研修:AAAの理解、タイムシート面接

午後:スペシャルトークAAAの実際(国分寺市

   安心づくり面接            

  

セッションB 

午前、午後:施設内虐待予防研修(管理職/職場リーダー層向け)

      施設虐待実地指導      

       

3日:セッションC 

午前:スペシャルトーク;地域で遭遇する精神保健の問題への対応

   インターエージェンシー・ワークと機関間協働スキル

午後:AAA多機関ケースカンファレンス・シートによるケースカンファレンス



なお、今年度のフォローアップ研修は、11月18日のみです。

6月3日は都合によりキャンセルさせていただきます。

2016-12-11

『人を信じられない病―信頼障害としてのアディクション―』のご紹介

05:23

小林桜児さんの『人を信じられない病―信頼障害としてのアディクション―』(日本評論社2016年)をご紹介します。


アルコール依存症の人たちに対する援助アプローチとして「動機づけ面接」が主流になっているのに、昔の「底つき体験」を進めることが基本、と考えている援助職がまだ少なくない、という話を、先ごろ、PSWの知人から聞きました。


私自身、昔、「障害者・病者と家族関係」とか「アルコール依存症者をめぐる相互作用とラベリング」といった論文を書いていたとき、妻が夫の飲酒に関与せず「妻自身の人生を生きる」ことを支援することで、夫の「底つき体験」をもたらす、ということが効果的な治療法と考えていました。


その後、嗜癖問題の研究と実践から離れ、10年くらい前に、高齢者虐待防止への安心づくり安全探しアプローチ(AAA)を仲間と開発したころ、援助を拒否する人へのアプローチを検討した際、「動機づけ面接」の本に目を通しました。ですが、そのときは解決指向アプローチと似ているなという印象をもっただけで、きちんと読まず、それ以上、理解しようとしませんでした。


ですので、今回の知人の指摘は、私自身にもあてはまりそう、と思い、知人に動機づけ面接を学ぶための本を推薦してほしいと頼みました。アディクション全般について読みやすい本として紹介してもらったのが本書です。


興味深く読みました。アディクションは信頼関係障害、動機づけ面接はソーシャルワークの基本的価値と原則に基づいた面接。この2点について、小林さんの文章を勝手にまとめさせてもらい紹介します。

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覚せい剤や多剤といったハードドラッグ群のアディクト(嗜癖者)たちは、貧困家庭に育った者が多く、15歳までに親による虐待や暴言にさらされた体験、離別や自殺などによる親の喪失体験、怠学や非行経験、いじめられた経験などをもっている者が多い。


彼らは、いくつもの生き辛さのなかで、なんとか生き延びてきたものの、安心感や安全を提供してくれる他者との出会いがないまま孤立していった人たちである。


アルコール向精神薬、危険ドラックなどのソフトドラッグ群のアディクトは、ハードドラッグ群に比べると虐待体験など明白な生き辛さをもっておらず、学校を卒業し、就職してそれなりに社会に適応している者が多い。


だが、親に抑圧、支配されてきた生育歴など、その人なりの生き辛さを抱えている。心理的安心感や満足を犠牲にし、我慢と周囲への過剰適応によって生き延びてきた人たちである。しかし、周囲に自分の感情を受け止めてもらえない無力感と、抑圧された不満や怒りは決して消えていない。


全般的に「明白な生き辛さ」を抱えているハードドラッグ群のアディクトたちも、「暗黙の生き辛さ」を抱えているソフトドラッグ群のアディクトたちも、信頼感が総じて低い。ハードドラック群とソフトドラック群のうちのアルコールのアディクトは、重症な者ほど他者への信頼度が低く、ソフトドラッグのうちの薬物アディクトたちは、自分への信頼度が低い。


どちらにしても、なんらかの生き辛さがあり、それによって、早い段階で家庭や学校に居場所を失うか、居場所があっても我慢と努力(過剰適応)を続けなければ、周囲に見捨てられてしまうとういう不安を抱え、やがて、人よりもアルコールや薬物という「物」の薬理効果に頼り、しがみつくようになっていく。


つまり、アデイクトは「信頼障害」と言える。

こうしたアディクトたちに対する支援の方法としての動機づけ面接の原則は、以下のとおり。


・ 「やめさせたければ、『やめろ』と言わない。」正論を説くという「正したい反射」は、反発心を誘発する。

・ 「上からの目線」を排除し、援助者の価値観で裁かない

・ 患者が関心を寄せる話題を優先する

・ 患者の欠点より長所をみつける

・ 患者の語っている内容から、その本意を援助者が汲み取り、要約して返す

・ 断酒断薬へと踏み出す「変化の言葉」を喚起するような開かれた質問を行っていく

  「現状の何を変えないといけないと思っていますか?」

  「仮に断酒断薬ができたら、何が変わるでしょう?」-----

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この原則、信頼関係(ラポール)の形成を第一に考えるソーシャルワークの援助原則そのものです。また、関係形成が困難な養護者との関係づくりの方法として開発したAAAの基盤とする解決志向アプローチの哲学スキルとも重なっています。


信頼関係障害をもつアディクトに、状況の変化への意欲、動機をもってもらうためにやることは、まず、信頼関係づくり。言われてみれば当然のことですね。

(著者は、他者が信頼できないこと、自分を信頼することができないことを合わせて、「信頼障害」と名付けていますが、私は信頼関係障害と呼ばせてもらいました。)


ただし、著者もきちんと指摘しているように、このアプローチは、断酒断薬の必要性を一切感じていない人には効果があまり期待できないですし、そもそも面接にやってこない人にはどうするか、という問題があります。

また、著者も言及しているように、信頼関係障害仮説がすべてのアディクトに当てはまるわけではないでしょう。


それでも、信頼関係づくりを第一とする面接法は、相手を傷つけるおそれがほとんどない、やってみるべき価値のあるアプローチでしょう。改めて動機づけ面接にかんする本を読み、その基盤となる理論や理解し、高齢者虐待事例への対応法の一つとして考えてみたいと思います。


(副田あけみ)

2016-12-08 文献のご紹介

天田城介『老い衰えゆくことの発見』(角川選書)という本、ご存知ですか?

平成23年だからもう5年も前に出た本なのですが、最近になって読み、実践家のみなさまにご紹介したくなりました。

特に、2章「できなくなっていく家族を介護すること」は、高齢者虐待防止法に基づいて私たちが日ごろ「養護者」と呼んでいる家族介護者を理解し、支援していくうえで、参考になると思います。

たとえば、本書92ページに、つぎのようなことが書かれています(簡略化させてもらっています)。


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長男がとか、嫁が、といった、誰が親の介護をすべきか、という社会規範が崩れ、「介護責任の正当性」が揺らいでしまった現代において、介護を引き受けることになった家族介護者は、「なぜ私が看るのか」という不条理を感じるとともに、「認知症の兆候の長期化」のために、いつまで続くのかという「悲痛の嘆き」を表明することになる。

そして、こうした介護が「日常化」してくるにつれ、安らぎがなくなり、自分の時間や場所を「喪失」したように感じる。

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そのようななかで、「虐待」につながるかもしれない行為が生じ、そのことをマズイな、と介護者も感じて援助職に一言言ってみたけれど、「傾聴」も「共感」もしてもらえなかったという事例をあげています。

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「仕事を辞めて介護することになったから息が詰まってもうほとほと疲れてしまいました。うちのばーちゃんは(中略)、娘だから何の遠慮もなく使えると思っているの。それでこっちも『私は女中じゃないんだ!』って怒鳴って時には叩いてしまうのよ。誰も他にはいない。四六時中一緒で無償に腹立たしくなります。こんなこと、誰に言っても分かってくれないし、ヘルパーさんなんかには、『喧嘩するほど仲がいいって言いますから』で片づけられちゃう」

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天田さんは、「介護する側は自分の時間と自由空間を剥奪されることで自らの自尊心やプライドがズタズタに引き裂かれ、それによって愛情のよって立つ根源そのものがむしばまれる事態へと陥っていくのだ。文字通り『孤独な労働』となるのだ。」と書き、ホームヘルパーに「心の叫びを搾り出すように話したのだろう」が、聴き届けられず、「『こんなこと、誰に言っても分かってくれない』という諦念の思いを口にするのである。」と述べています。


こうなると、介護者のイライラは緩和されるどころか、増幅していくおそれがありますね。時間が限られているなかで、プランに基づいて仕事をこなしていかなければならないヘルパーさんに、「傾聴」や「共感」を求めるのはむずかしい面もあるかもしれません。また、こうしたヘルパーさんが一般的というわけではないでしょう。


ですが、家族と接する機会の多い援助職の方にこそ、家族の心情を理解してほしい、話を傾聴してほしい、改めてそう思います。


ご存知のように、今、EPA経済連携協定)によって来日介護福祉士の資格をとったインドネシア人やフィリピン人、ベトナム人の方々が施設で働いています。今後は、この方々が在宅ケアにも参加してきます。



今後も、この方たちの数は限定的ですが、介護福祉士養成校に留学し介護福祉士を取得する外国人、技能実習制度で来日した外国人の方たちは相当増えてくると予想されます。ただし、技能実習生の方たちが在宅ケアにも進出することになるかどうかはまだわかりません。

いずれにしても、大家族や家父長制が根強い国々からやってきた外国人介護労働者の方たちが、事例の娘さんのような心情を理解できるのかどうか。。。昨今の海外からの介護人材の導入に関する新聞記事等を思い出して、こんな懸念を抱いてしまいました。


しかし、まだ少し先のことです。杞憂に終わるかもしれません。外国人介護労働者の拡大については、日本の文化と社会に適応してもらい、質のよいサービス提供者になってもらうためには何が必要か、といった別のテーマについてもっと議論する必要がありますね。


(副田)

2016-10-15 AAA研修セッションCの感想

過日行いましたAAA研修のうち、9月4日の午後のセッションC:AAA多機関ケースカンファレンス・シートを活用したケースカンファレンス研修のアンケート結果の一部をご紹介させていただきます。


研修後に行いましたアンケートのうちの自由記述欄に記載いただいたものを、文意を変えない程度に短縮加工しています。

***

「今まで何気なくやっていたが、分かり合う工夫を改めて理論で整理でき、有意義だった。シートについてもどのような視点で会議に臨むかということが明確になりよかった。」


虐待事例の対応をカンファレンスする時、どうしても前のめりになる傾向があるが、このシートを活用することで俯瞰できると確信した。仲間の協力を得ながら少しずつためしてみたい。」


「ケースカンファレンスの「フォーマット」があると進めやすいことにとてもおどろいた」


「思い返すと課題ばかりあげている会議だったので「できること」に注目していこうと思った。」

「今までいかに漫然とケースカンファを行っていたかがよくわかった。このシートをそのまま活用できるかどうかはわからないが、考え方は利用し解決に向けて(安全に向けて)取り組んでいきたい。」

「家族の形も年々変わってきている。その年の傾向を事例にし、それを用いて研修してもらうとよい。」

「具体的な事例であったので、イメージしやすかった。カンファレンスでの話し合いによって、それぞれの専門性を理解し出来ているか…と感じた。」

「「安全像」の考え方、とても面白い。しかしあまりにも参加者の像や分類が違った時、収拾をつけられるか不安がある。」


「このシートを用いることには、多様な視点がわかるという意味もあると思うが、そのプロセス自体が家族との信頼関係を築いたり、関係機関同士の理解を深める機会になるのではないか。」

***


総体としてプラスの評価をいただいたように思い、よかったと喜びましたが、アンケートの質問への回答では、このシートを活用してケースカンファレンスをやってみよう、と思われた方はわずかでした。。。


研修の仕方を反省するとともに、とりあえず、「安全像」をもう少しわかりやすくするため、ファシリテーション・ガイドを加筆修正しました。


研修でとりあげる事例を、実際の進行中の事例にしたほうがよいのか、モデル事例でやるのがよいか、ケースカンファレンスを事例検討会のようになりがちだけれどもみんなでやったほうがよいか、何人かでケースカンファレンスのデモンストレーションをやって、参加者にはご覧にただくのがよいのか、、、またしばらく研究会で考えてみたいと思います。

(副田)

2016-10-01 第7回AAA9月研修アンケート結果から

9月3日に行いました研修のセッションAのアンケート(自由記述式)から、参加者のご感想等を一部、紹介させていただきます。

セッションAは、以下の内容でした。

午前:AAA基礎研修:訪問前準備、理解のすり合わせ、タイムシート面接(講師:松本)

午後: AAA基礎研修:実践報告:国分寺市(講師:石坂)、安心づくり面接パート1、パート2(講師:長沼


「今まで虐待ケースにあたると行き詰まりを感じ、精神的に負担を感じていました。悪役を作らず当事者も養護者も支援者も前向きになれるアプローチで学びになりました。」


「ケアマネジャーとなってまだ1か月くらいしか経っていませんが、高齢者の方に接する際、本日学んだコンプリメントを意識して、アセスメントを行っていこうと思います。」


「包括の社会福祉士として勤務していますが、前任者からの引き継ぎや包括内でのマンツーマン指導もなく、AAAのような対応の裏付けがありませんでした。通報や相談に対し事実確認をし、行政と相談して判断する〜といった対応でした。解決志向アプローチや、その後の具体的な支援を学ぶことができ、良かったです。」


「『虐待』という言葉が与える印象がきついので、支援者側がどうしてもビクビクしながら介入をしている気がする。今日教えていただいたアプローチだと 相手にあまり悪い印象を与えずにできるかもと思う。」


虐待と聞くと最初から構えてしまい、問題解決ばかりに目が行き、ストレングス視点がかけていた。そのことに気づいた。事業所に戻り共有したい。また面接技法についても参考になった。国分寺市さんの発表も大変参考になった。」


「1回の研修ではなかなか実践できないこともあるが、知識と実践を繰り返し修得していけたらと思う。包括の実践の話も大変参考になった。組織としてAAAが取り入れられるよう国分寺市さんの実践をまねしながら、包括、市で頑張っていけたらと思う。」


「研修のはじめに、支援者は対応に苦慮しても当然です、との話があり、悩んでいてもいいんだなと安心できました。対象者と面接する際、何を聞けば状況の改善につながるのか どんな話しをすれば拒否なく色々なエピソードを引き出せるのか悩んでいます。今日話のあったタイムシートを活用させていただきたいと思います。」


 アンケートのなかに、1つご質問がありました。この後に、講師であった長沼のほうから回答を記述してもらう予定です。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。