かつての、アメリカのジャズ・エイジの「ニューヨーカー」の全盛期などに、特に流行した、エッセイや短編小説などで、アメリカ伝統の「ほら話」(トール・テール)的な人を食ったユーモア、発想を基点とし、「生真面目で洗練された文体」で、物語がナンセンスに暴走するもの。
あきらかに、前提が間違っているのに、作者がそれに気づかないふりをして、物語が進行していくもの。「物語でない」事物を無理やり物語仕立てにするもの。ナンセンスなハウツー物。などがある。
戦前の「新青年」などにも、盛んに翻訳された。
翻訳家の浅倉久志が、日本で独自に命名した名前で、浅倉は長期に渡りこの種の作品を「ミステリマガジン」に不定期に翻訳、連載し、後に単行本にまとめられた。
主な作家は、ロバート・ベンチリー、スティーヴン・リーコック、フランク・サリヴァン、コーリィ・フォード、ジェイムズ・サーバー、ドナルド・オグデン・ステュアート、リング・ラードナー、アート・バックウォルドなど。
日本では、徳川夢声のユーモア・エッセイや、小林信彦の「パパは神様じゃない」、「笑う哲学者」土屋賢二のエッセイやなどが「ユーモア・スケッチ」的。
ジェローム・K・ジェローム「ボートの三人男」や、カレル・チャペック「園芸家十二ヶ月」などもテイストが近い。
ドナルド・オグデン・ステュアート「ハドック夫妻のパリ見物」(早川文庫 78年刊行)
「ユーモア・スケッチ傑作展」1〜3(早川書房 78年〜83年刊行)
「エンサイクロペディア国の恋」「忘れられたバッハ」(早川文庫 91年刊行) 上記本の文庫化時のセレクション版
「すべてはイブからはじまった―ユーモア・スケッチブック」(早川書房 91年刊行)
コーリィ・フォード「わたしを見かけませんでしたか?」(早川書房 97年刊行 2004年に文庫化)