『サスペンス小説の書き方〜パトリシア・ハイスミスの創作講座』を読んだ。原著は1966年に初刊行、1981年には増補改訂版が刊行され、今も読み継がれているという。 序文の一行目に書かれている通り、この本は小説執筆についてのハウ・トゥー本ではない。作家パトリシア・ハイスミス(1921〜1995)による、彼女の創作スタイルをめぐるエッセイ集といった内容だ。そのため作家志望者が読んでも面白いかどうかはわからないが、パトリシア・ハイスミスのファンにとっては、非常に興味深い内容なのはまちがいない。 かくいう私は、ハイスミスの小説は長編を全部、短編集も大部分読んでいる。なので、ハイスミスがプロットを細かく構…