あまがつむ 歎《なげ》きの中に しほたれて 何時《いつ》まで 須磨の浦に眺《なが》めん 源氏は六条御息所に手紙を書いた。 返事を得る喜びに自分を慰めているのであった🪷 〜海人が積み重ねる投げ木(嘆き)の中に 涙に濡れて いつまで須磨の浦にさすらっていることでしょうか。 【第12帖 須磨 すま】 こうした運命に出逢う日を予知していましたなら、 どこよりも私はあなたとごいっしょの旅に 出てしまうべきだったなどと、 つれづれさから 癖になりました物思いの中にはそれがよく思われます。 心細いのです。 伊勢人の 波の上漕ぐ 小船《をぶね》にも うきめは刈らで 乗らましものを あまがつむ 歎《なげ》きの中…