インタビュー形式の本 古市憲寿が12の「古典」についてそれぞれの専門家の話をきく、という内容で、まあ専門家の話すことはふつうに勉強になるのだが、巻末の古市の各古典に対する「寸評」があまりにもひどい。 以下のような具合である。 『源氏物語』 光源氏が主人公の、きらびやかな前半が人気少女漫画だとするならば、大塚ひかりさんおすすめの『宇治十帖』はユーロスペースで上映されていそうな方がである。とにかく登場人物が不器用でながされやすい。物語としての強度は前半に負けている気もするが,1000年前に書かれた作品だと思うと、事情は変わってくる。時代が変わっても不変な価値観、当時の死生観など、読みどころは多い。…