前回の記事で芥川龍之介「歯車」を取り上げたのは、村上春樹「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」という短編を再読してみたかったからでもあります。 この短編は村上春樹の現最新短編集『一人称単数』(2020)に所収されていて、8つの短編の中でも一番分量があり作品の重みからも中核的部分を担っていると考えられます。 その短編内でキーとして登場する小説が「歯車」です。 今日はそれらを踏まえた上で「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」を再読し、気づいたことを書き記してみたいと思います。 ⒈ 『一人称単数』全体に共通する視点 ⒉ 『ウィズ・ザ・ビートルズ』のLPを抱…