シンプルな情熱 (ハヤカワepi文庫)作者:アニー エルノー早川書房Amazon アニー・エルノーの自伝的な作品。若くして離婚し、パリでひとり暮らす「私」は、かつて東欧の若い外交官A(妻子持ち)と不倫の関係にあった。その当時に感じていた情熱(パッション)について振り返る、という物語。 自身の不倫が題材ではあるけれど、それをまったくセンセーショナルに扱っていないところが特徴的だ。むしろ、多くの人が経験したことがあるであろう感情の揺れ動きを、衒いなく率直に語っているという意味において、非常にストレートで誠実な作品だと言えるだろう。そもそも全編通して、不倫というか倫理にもとることをしているという感じ…