ギルバート・キース・チェスタトン Gilbert Keith Chesterton
1874年5月29日ロンドン生まれ、1936年6月14日バッキンガムシャー州ビーコンズフィールドにて死去、享年62歳。 美術学校に進んだ後1895年から政治評論や文芸批評、随筆、詩などを発表し始める。1911年に有名な「ブラウン神父の童心」を出版。 当時のイギリスの批評界の潮流として、カソリックに改宗した、代表的な知識人としても知られる。 ちなみにE.C.ベントリーと親友。
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 今回は、ブラウン神父の短編集の第3弾『ブラウン神父の不信』から、評価の高い2作品を紹介します。 本当は、前回・前々回のように、BBCドラマ「ブラウン神父」と比較する形で紹介したかったのですが、 books-toraji.com books-toraji.com 残念ながら、今回取り上げる2編を原作にした回がみつからず。なぜー? 今後みつけられたら、別途紹介するかもしれません。 (なんだかぐだぐだですみません 笑) ■目次■ 「ブラウン神父」シリーズ第3弾「ブラウン神父の不信」 「犬のお告げ」 「犬のお告げ」あらすじ 「犬のお告げ」感想 「…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 前回に続き、BBCのドラマ「ブラウン神父」を原作小説と比較します。 books-toraji.com 今回取り上げるのは、シーズン3の第3話「The Invisible Man」(小説原題と同じ) 原作小説については、以前紹介したこちら ↓ をどうぞ。 books-toraji.com (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.scripts[c…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 「ブラウン神父」、実は人気ドラマシリーズでした 大変だー! 先日、ブラウン神父の小説の記事を書いたあと、 あれこれ調べていて知ったのですが! ブラウン神父シリーズって、かなり前からBBCでドラマやってたんですね!(情報が! 遅い!)(すみません!) 最新話のシーズン11は、すでにこの春ミステリーチャンネルで放送済みだとか。 続くシーズン12は、来年(2025年)イギリスで放送予定。 さらにシーズン13も、制作が決まっているそう。 人気あるんですねえ。 そして、シーズン1から10まで、現在Amazonプライムで配信中です。 (※え、プライム…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 前回 ↓ に続き、短編集『ブラウン神父の童心』第5話、『見えない男』を紹介します。 知人から脅迫を受けていたスマイスが、家事用ロボットだらけの自宅マンションで姿を消し、部屋には血痕が残された。現場付近にいた人たちは、怪しい人物は部屋に入っていないと口を揃えたが――。短編集『ブラウン神父の童心』第5話。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.s…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 大胆で多彩なトリックと、ちょっと皮肉でユーモアのある文章。コナン・ドイル(シャーロック・ホームズシリーズの作者)の作品と並び、後世の作家たちに影響を与えたとされる、名探偵ブラウン神父シリーズの第一作。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q||[]).push…
「チェスタトンのフェンス」、インターネットで遭遇したことのある言葉だが、「なぜそのフェンスが建てられたかわかるまでは、そのフェンスを撤去するべきではない」の出典となるエッセイを翻訳してみました。 意訳的なところも多いと思います。記憶が確かなら、どこかの書籍の中で翻訳はすでにあったような気がしますが、それは参照していません。翻訳の正しさを保証することはできません。趣味で訳しました。出典さえ明記してもらえれば無断転載可能です。 個人的な意見ですが、現代日本でも同じような問題意識はあるように感じます。「無限のリソースなど本当はないのに、無限のリソースがあるかのような問題解決の方法が提案される」という…
ちかごろ短編集ばっか読んでる気が。 「火星年代記」レイ・ブラッドベリ(ハヤカワ文庫) 初読。火星への探検を始めた地球人、そしてやってきた地球人に対峙する火星人。火星に入植し定着してゆく人類と全面戦争で滅びる地球、という物語を26の短編と断章で綴った年代記。…とまとめるとハードなSFの香りがしますが、視点はその時々を生きる市井の人々とその生活にあり、筆致は詩のように静かで柔らかく、時として物悲しく、時として寂寞で、たまにドタバタ笑劇も入ってたりしてますが、読後はそこはかとないうら寂しさ、無常感に包まれます。一方で近代の科学文明やアメリカの文化風習に対する風刺や批評性があり、また一方で奔放な想像力…
お題「写真で一言」 このイラストはチェスタトン『奇商クラブ』第一話より(イラスト初出1904年6月)。チェスタトン自身が描いています。もちろんこんなセリフの場面じゃありません。でもこのイラスト、なんかヘンテコな印象を受けるんですよ… 奇商クラブ (創元推理文庫) 作者:G・K・チェスタトン 東京創元社 Amazon ※ 同じ場面のイラスト(1935年英国出版、Ernest Wallcousins画) こっちの方が、小説で読んだ時の印象に非常に近い。チェスタトンの脳内イメージって、かなり普通人とは違ってるのかも…
シミルボン投稿日 2021.09.03 アポロンの眼 (バベルの図書館 1) 作者:ギルバ−ト・キ−ス・チェスタトン 国書刊行会 Amazon ↑旧版(1988)は変形本 新編バベルの図書館〈2〉イギリス編(1) 国書刊行会 Amazon 『バベルの図書館』(以下の引用は旧版1988から)の第一巻、チェスタトン集「アポロンの眼」の序文にボルヘスは探偵小説について、こう書いている。 ポーの発明になる探偵小説というジャンルは、それがあらゆる文学ジャンルのうちで最も人工的なものであり、最も遊びに似たものであるからには、いずれ消滅する時期がやってくると予想される。そもそもチェスタトンは書いていた、小説…
シミルボン投稿日 2020.10.08 ↑旧版の表紙 誤配書簡 (扶桑社BOOKS) 作者:ウォルター・S・マスターマン 扶桑社 Amazon (本項はシミルボンのお題「私が見つけた、隠れた名作」によるもの) いやあ、楽しい読書でした。全然この小説のことを知らなかったので、ちょっとびっくりしています。特に良いのがチェスタトンの序文。翻訳は苦戦してて意味が通りにくいところがあります(序文のみ。本文の翻訳はリズムが良く会話がスムーズで非常に快調です)が、これチェスタトンの探偵小説エッセイ(あるいは探偵小説の書評に関するエッセイ)のなかでも屈指の出来ではないかと思いました(この序文は全文をkindl…
筆者はこれまでのブログ記事で、「1940年前後以降、アガサ・クリスティーは、ミス・ディレクションと手がかりを(解明部以前においては)判別不可能とするような叙述を展開していった」という仮説を述べてきた。 しかしそもそも探偵小説において、ミス・ディレクションは事件の手がかりのように見せかけられるのであるから、「解明部以前でミス・ディレクションと手がかりが判別できないのは、そもそも当たり前では?」といった疑問が出てくるであろう。 この記事ではこの問いに答えたい。先に述べておけば、その答えは「当たり前ではない」である。 1. 当たり前では? 2. クリスティーの場合 3. 強度:クイーンとの対比 4.…
13・67 作者:陳 浩基 文藝春秋 Amazon 華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸! 現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミステリー。どの作品も結末に意外性があり、犯人との論戦やアクションもスピーディで迫力満点。本格ミステリーとしても傑作だが、雨傘革命(14年)を経た今、67年の左派勢力(中国側)による反英暴動から中国返還など、香港社会の節目ごとに物語を配する構成により、市民と権力のあいだで揺れ動く香港警察のアイ…
先日、佐藤春夫の『田園の憂鬱』を久しぶりで再読した。『田園の憂鬱』は文庫版を二冊もっている。一冊は『田園の憂鬱』(新潮文庫1951*1)、もう一冊は『田園の憂鬱』(岩波文庫2022年*2)で、後者は佐藤の生誕130年(そして今年は歿後60年に当る)を記念して新版で刊行されたものだ。しかし岩波文庫版の校訂には、細かいところで一寸疑義もあって、たとえば新潮文庫版に、 快活な蜻蛉は流れと微風とに逆行して、水の面とすれすれに身輕く滑走し、時々その尾を水にしたして卵を其處に産みつけて居た。(p.9) とあるところ、岩波文庫版では、 快活な蜻蛉(とんぼ)は流れと微風とに逆行して、水の面とすれすれに身軽く滑…
・マラソンでこの前初めて、ハーフマラソンに挑戦しました。 此れがもう大変大変……!! めちゃくちゃえらかった。 15㎞地点でもう走るのを止めて、残りの7㎞くらい?は歩いて完走しました。 (歩いて完走するという表現がちょっとおかしいけれど) 今迄10㎞のマラソンは出場することがあったので、その時の感覚として12㎞は恐らく走れるだろうという目算がありました。が22㎞は無理でした。 途中で歩こうと思ったのですが自分の身体の限界を超えているので歩こうとしても脚が慣性で走り続けようとします。今までになったことのない感覚で少し怖かったです。 ゴールまでの距離を計算しながら走っていましたが、どう考えても此の…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています 前回に続き、「シャーロック・ホームズ」シリーズを取りあげます。 今回も長くなったので、下 ↓ の目次から読みたい項目に飛んでくださいね。 ■目次■ 「シャーロック・ホームズ」作者ドイルのミステリー界への影響(ざっくり) コナン・ドイル略歴 作ってみた・へっぽこミステリー年表 「シャーロック・ホームズ」文庫で読むならどの出版社がおすすめ? 6社で文体とか比べてみた:「シャーロック・ホームズの冒険」第1話タイトルと冒頭 現代風:光文社文庫≧河出文庫>創元推理文庫 あえての古風:新潮文庫 ライト:角川文庫 子ども向け:講談社青い鳥文庫(文体比較…
Why Does Japan Love Columbo? An Investigationby Sean Aitchison, Dec 4th 2023 刑事コロンボはここ数年、現代的ルネッサンスを迎えている。効果的なフォーミュラ、ピーター・フォークの時代を超越した演技、そして現代的なレンズを通してのその持続性によって、新たな人気が生まれたのだ。クィアコミュニティは彼の非伝統的な男らしさに魅力を感じ、神経多様性を持つ人々は彼の欠点や功績に自分自身を見いだし、左翼は彼の法執行記録が本物の警官とは最もかけ離れていると考えている。彼は銃を憎み、私利私欲のために殺人を犯した金持ちの殺人者だけを追ってい…
閉鎖空間で7日間すごすだけで時給112,000円。「おいしいバイト」につられて応募した参加者を待ち受けていたのは、報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てデスゲームだった!米澤穂信さんの新境地をひらき、映画化でも話題になったミステリー、インシテミルの感想を書きました。 インシテミル var today = new Date(); var day = today.getDate(); if( day == 5 || day == 10 || day == 15 || day == 20 || day == 25 || day == 30 ){ document.write('★5と0のつく日は楽…
Donald Clarke: The enduring appeal of the greatest TV show ever made 史上最高のテレビ番組というのは奇抜な見方ではない。「私は、刑事コロンボが史上最高のテレビシリーズだと思っています」と、スティーブン・フライは10年ほど前にQIで語った。これほど心地よくすっきりとした物語のテンプレートに沿って作られた探偵シリーズは他にない。 ピーター・フォークの当惑した演技は、何もないところから丸ごとつかみ出されたかのようだった。スティーブン・スピルバーグ、ジョナサン・デミ、スティーブン・ボチコなどのカメラの後ろの若い才能が、アン・バクスター…
William Link & Richard Levinson レビンソンとリンクは、ミステリー、マジック、執筆に対する互いの情熱を、テレビ史上最も名誉ある、実りあるコラボレーションに活かした。刑事コロンボの制作者として最もよく知られているレビンソンとリンクは、ジャンルミステリーと問題志向の重厚なドラマの両方に通じており、学生の騒動を描いた「The Whole World Is Watching」、人種関係を描いた「Crisis at Central High」、テレビの暴力の影響を描いた「The Storyteller」など、高く評価されているテレビ映画を制作した。しかし、彼らはこのジャンル…
坂口安吾『安吾探偵事件帖』 坂口安吾『不連続殺人事件 附・安吾探偵とそのライヴァルたち』 大田洋子『屍の街』 清水克行『室町は今日もハードボイルド』 仙田学「また次の夜に」(「文學界」2024.10月号) 川勝徳重『痩我慢の説』 ミハル・アイヴァス『もうひとつの街』 坂口安吾『安吾探偵事件帖』 安吾探偵事件帖-事件と探偵小説 (中公文庫 さ 77-2)作者:坂口 安吾中央公論新社Amazon帝銀事件、下山事件、金閣寺放火やチャタレイ裁判など現実の事件について書いたものと、探偵小説についてのものという独自の観点で集められた安吾のエッセイ集。編集方針が面白いし、事件評が文学、政治の問題へと発展して…
ページ内のリンクには商品プロモーションが含まれています “――今月21日のアンドーヴァーに注意することだ”ポワロの自宅に届いた、「ABC」を名乗る謎の挑戦状。当日、現地で頭文字がAの女性が殺され、その後も新たな予告と共に、Bから始まる名前の町で頭文字がBの被害者が、Cの町でCの被害者が発見される。ポワロはヘイスティングズと共に見えない敵を追うが……。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a]||function(){arguments.currentScript=c.currentScript ||c.scri…
『本格ミステリを識るための100冊 令和のためのミステリブックガイド』佳多山大地(星海社新書)★★★☆☆ タイトルにもある通りブックガイドなので、佳多山大地ならではのユニークな視点というのはあまりなく、知らなかった作品のなかから面白そうな作品を見つけるというごく普通のブックガイドとして読みました。 麻耶作品について、「麻耶雄嵩中期の代表作はどれも尖った内容なのだけれど、初期の麻耶は若気の才迸ってもっと尖っていた」からといって初心者には中期作品をおすすめしているのが、確かにその通りなのですが妙に可笑しくて笑ってしまいました。 佳多山大地ならではと言えるコメントは、城平京『虚構推理 鋼人七瀬』で見…