はじめに 人はその意識に目覚めてから死の瞬間に至るまで、承認という普遍的な欲求に揺さぶられ続ける。これほどまでに現代の人々を翻弄する承認欲求だが、その源流を辿れば、太古の部族社会における帰属意識に行き着く。あの頃、他者との結びつきは生存を賭けた不可欠なものであり、共に暮らし共に狩りをすることで己が価値が明確化され、群れの中での自らの位置を確立していったのだ。やがて文明は進化し、集団が一枚岩として機能しなくなっても、他者の承認を欲する本能は残り続け、現代に至るまで受け継がれている。 承認を即座に可視化する手段が人々の掌に握られるようになったのは、ここ数十年のことである。SNSが「いいね」やフォロ…